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Vol.16 Premiership; Liverpool VS Sunderland, Anfield 03.03.2009

from NLW No.378 - March 10 2009  
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下村えり
Eri Shimomura
リヴァプール在住のフローラル・デザイナー。ファンとして長年プレミアリーグをウォッチし続けるうち、日本からの取材コーディネートや原稿執筆を手がけることに。スカウス・ハウスのメールマガジン「リヴァプール・ニュース(NLW)」に『Footballの旅』と『リアルエールのすすめ』を不定期連載中。
【 Introduction:はじめに 】
春の訪れを待つリバプールでは、クロッカスの花が咲き乱れ、ダフォデル(水仙)の蕾も大きく膨らんでいます。

NLWをご覧の皆様こんにちは! 
シーズン後半を迎えたプレミアーシップは、上位3チームの優勝争い(マンチェスターUTD、リバプール、チェルシー)と降格ラインのボトム争いで、今年も異常な盛り上がりを見せています。

今日のアンフィールド観戦は、日本から新婚ほやほやのOさん夫妻とご一緒させていただきました。
熱心なリバプールサポーターのご主人様のために、健気にも奥様がすべて、今回のハネムーンツアーを計画なさったそうです。本当にお似合いの素敵なご夫婦でした。
アンフィールドを十分に満喫されて、翌日に次の目的地ロンドンに向かわれました。次はいつになるかはわかりませんが、きっとまたお会いできることと思います。お二人の将来に幸アレ!

【 Anfield:アンフィールド 】
春特有の雨風に見舞われた今日のアンフィールド。我々の願いは叶わず、とても冷たい気候となった。地元のサッカーバスの車掌さんも、『冬に逆戻りだよ』と苦笑い。

ゲートMよりスタジアムに入る。今日は珍しくセキュリティーチェックが厳しく、ハンドバックの中も見られてしまった。ロンドンのクラブチーム並みの対応だ。
来週に控えるビックマッチ、リアルマドリッドとの一戦(CL)に備えて、セキュリティーの予行演習なのかとも思う。

場内に入ると、今日の試合はSold Outとのアナウンス。先週はアウェイで惨敗してしまい、リヴァプールは首位のマンUに7ポイントの差をつけられてしまった。すべてのファンが落胆したに違いないが、さすがはアンフィールド。スカウサーたちのポジティブマインド、最後まで諦めない強力なスピリットが感じられる。
今日の座席は、Anfield Road側のゴール裏。反対のサイドにはアウェイサポーター陣が構えている。
しかしピッチにも近く、まずまずの眺めである。ピッチでは両チームともウォーミングアップを始めていた。

【 今回の見所とRicky Sbragia監督 】
今日の対戦相手は、イングランド北東部代表のサンダーランドである。
前回サンダーランドの試合をご紹介したのは、2007年、グディソンにて、新米監督ロイ・キーンの下でチャンピオンシップ・ディビジョン(2部)より昇格し、新たにプレミアシップにチャレンジし始めた年であった。
ヨーヨーチーム(昇格、降格を繰り返してるチームのこと)のレッテルは貼られたもの、今シーズン後半に入ってからは急上昇。降格ラインは遥かに超えて、上位半分にも顔を出す有様。
シーズン途中でのロイ・キーン監督の突然の辞任にファンの不安は頂点に達したものの、昨年12月より暫定監督を務めていたスコットランド人Ricky Sbragia氏を正式に監督に起用。彼の的確な采配がサンダーランドを安泰の地位に導いている。

前節Arsenal戦で膝を負傷したサンラーランドのホープ・ストライカーKenwyne Jonesは、フィットネス検査の結果により、今日の試合に臨むことが出来るとのニュースが入ってきた。
ストライカーと言えば、以前リバプールに所属していたDjibril Cisseもサンダーランドの要の選手であるが、絶えず怪我で悩むプレイヤーでもあり、今日の試合に出場するかどうかはわからない。

熱心なことに、先週末のリバプール対ミドズバラ戦には、Sbragia監督自らが偵察に行っていたらしい。
現在リーグテーブル11位のサンダーランドが、未だ優勝へのホープを辛うじて残すリバプール(現3位)にどの様に挑むのか、フットボールファンとしては興味深々である。

一方、ホームのリバプールであるが、なんとも痛い先週末ミドズバラ戦の2−0ディフィート。しかも試合を引っ張っていったのはリバプールであり、最後まで攻撃の手を緩めず仕掛けて行ったのだが、力及ばずだった。アロンゾのオンゴールといい、全くツキも無かった。
先々週のCLでは、アウェイでのリアルマドリッド戦で見事に勝利しながら、リーグボトムのミドズバラ相手にこの結果というのは、本当に意外だった。

今日の試合にリバプールがどの様に頭を切り替えて臨むのか。
未だ希望は捨て難い待望のリーグ優勝を目指して、一歩でも前進して欲しいと、リバプールファンならば誰もが願っていることだろう。

【 Kick Off:試合開始 】
<前半>
アンフィールドにホイッスルが響き渡り試合が始まった。リバプールがボールを握り、コップサイドでパスワークが展開される。
サンダーランドも開始1分、MF Kieran Richardsonのスローインで初めてボールを握ると、迷うことなく前へ出る。

最初のチャンスもその4分後にサンダーランド、FW JonesがリバプールDF Martin Skrtelをかわして、単独でゴールの前に躍り出る。10ヤードからショットを放つが、そこはリバプールGK Jose Reinaが見事なセーブ。
場内のあちこちから、『リバプール、しっかりしろ!!』の声が上がる。

サンダーランドはその後も攻撃の手を緩めず、ゴールへと積極的に向かうが、今ひとつシュートに力強さと正確さが感じられない。

リバプールは9分、今日鋭い動きを見せるMF Yossi Benayounがドリブルでボックス内に切り込むが、最後のショットが決まらず、場内にため息が漏れる。

更に10分にもチームメイトFW Dirk Kuytがシュートを打つが、ゴールポスト脇でサンダーランドGK Marton Fulopによってセーブされた。

その後もリバプールは主導権を握ってゴールを目指すが、オフサイドトラップにかかり、ボールを前に出せない。

思うような攻撃ができない不満が表れたか、サンダーランドDF Tal Ben-Haimへの遅いタックルで、リバプールFW David Ngogに今日最初のイエローカードが渡された。

その後20分台もリバプールMF Javier Mascherano、Benayounとシュートが続き、ゴールを狙うが得点には結びつかず、アンフィールドは又深いため息に包まれる。
試合開始33分過ぎ、リバプール主将MF Steven Gerrardのコーナーキックに注目。
右足で外よりに蹴りだすと、ボールはスウィングしてボックス内に進入、そこで待ち受けるMF Emiliano Insuaが上手くあわせてシュート。しかしサンダーランドMF Kieran Richardsonにブロックされた。惜しい!

前半もハーフタイム近づくと主導権は完全にリバプールに渡っていた。
しかし数々のショットはひとつも決まらず、“チャンスは作るがゴールにならず”といった先週同様のまずい展開になってきた。

そして前半終了。リバプールファンも『またか…』といった様子。期待は後半に持ち越された。

<ハーフタイムブレイク>
カメラを持つ手も凍え、このまま席にじっとしてるのも寒すぎるので、群衆に混ざって、ショップエリアへとエスケープすることにした。
中には超ミニスカートにコート無しの格好の子がいる。今日の寒空、フットボール観戦にその格好で? と見てるだけでこっちも震えが来る。いかにもここはイギリスだ。

<後半>
後半が始まった。
前半と同じくリバプールがペースを掴んで最終的にゴールをもぎ取るのか、それともサンダーランドがリバプールのブレイクを狙って、カウンターアタックに挑むのだろうか。

47分、リバプールのコーナーキック。Benayounがゴール前で頭で合わせるが、大きくネットを越えた。
49分、続けてサンダーランドも負けじと前に出ようとするが、前線を鋭くマークするセンターバックの2人、SkrtelとDF Jamie Carragherに完全に封じ込められる。

そして待ちに待ったゴールが試合開始52分、辛抱し続けて攻撃の手を緩めなかったリバプールにご褒美が与えられたかの様。
リバプールMF Albert RieraがサンダーランドBen-Haimのディフェンスをすり抜けてGerrardにパス。Gerrardはへダーでゴールを狙ったかの様にもみえたが、ボールはゴール右に待ち構えるNgogに渡る。Ngogは素早いターンでインサイドボックス中央からシュートを決めた。
1−0。彼のプレミアーリーグ初ゴールである。

場内は一気に活気を取り戻した。闘士のボルテージも更に上がったのだろう、リバプールの選手たちの動きにも変化が現れたように見えた。

57分台にはBenayounやGerrardが次々にゴールに矢を放つが、いずれも標的を射抜くことはできなかった。

60分にはサンダーランドサイドのメンバーチェンジが言い渡される。リバプールファンも待ち望んでいたMF(FW) Djibril Cisseが登場。大きな拍手に迎えられて、Grant Leadbitterに代わってピッチに入った。

その数分後の64-5分、リバプールに2つめのゴールが決まった!
本日絶好調の働きを見せているBenayounが、キーパーが弾いたボールをダイレクトでシュート。ゴールの右コーナーに鋭く突き刺さった。2−0。

先週末のがっかりムードを払拭するかのように、スタジアムは歓喜であふれた。
アンフィールドに再び希望の光が射し込んだ。

69分には今度はリバプールの選手交代だ。初のゴールを決めたNgogに代わって、Lucas Leivaがオン。しっかり守りを固めるのだろう。

70分台にはサンダーランドも負けじと反撃を仕掛けるが、ボールが途切れ途切れでパスワークも乱れがち。
75分にはサンダーランドがメンバーチェンジ。前線で無駄な動きの多かったJonesに代えて、FW Daryl Murphyを入れてきた。
その後も80分台、次々に選手交代が言い渡される。
サンダーランドはMF Steed Malbranqueに代えてMF Carlos Edwardsを投入。リバプールはGerrardに代わりMF Ryan Babelが、そして殊勲のBenayounに代わってFW Nabil El Zharがピッチに立った。
2得点を獲得したリバプールは、来週に控える大切なチャンピオンズリーグ、リアル戦の為に選手を休ませる考えであろう。

終盤はサンダーランドの不満と焦りが重なり、リバプールへのファールが続く。
そしてロスタイムに入った1分後にサンダーランドMF Dean Whiteheadにイエローカード。この試合2つ目、両チームにとって1枚ずつの警告となった。

【 Ending:試合終了 】
結局、いいところのほとんどなかったブラックキャッツ(サンダーランドの愛称)の完敗となった。
怪我から戻ったばかりのJonesやCisseのチームブレンドが不十分だったようで、中盤でのパスの乱れや、コントロールの甘さがとても目立った。
サンダーランドとしては反省点の多い今日の一番だったと思う。まあ、彼らにとってはプレミアへの残留が今シーズンの優先事項なのだろうが。

リバプールにとっては、先週のミドズバラ戦の残酷な2−0ディフィートを忘れさせるかの様な、鮮やかな2得点白星となった。
勝ち続ける首位のマンUTDや、ライバルのチェルシーを意識することよりも、確実に1試合づつ勝利していくことが、今のリバプールには大切なことであろう。
とはいえ、今月14日にはオールドトラフォードでのトップ対決が控えている。
これは火花が散りそうだ。
それに加えて、その4日前には、これだけは誰にも譲りたくないCLの大一番、リアルマドリッド戦(ホーム)が控えている。リバプールファンにとっては興奮の続く1週間となることだろう。

最後に両監督のコメントを添えて終わりにしたい。

Rafa Benitez監督(Liverpool)
『(Ngogの初ゴールについて)彼には素晴らしいクォリティがある。それを披露してくれた。彼はまだ若いし、将来は明るいと思う』
『我々としてはこれからの試合を1つずつ勝ち続け、3ポイントを確保することだけを考えるべきだ』
『確かに優勝への道は険しいがチャンスは残っているはず。これからのゲーム全てに全力を注ぎたい』

Ricky Sbragia監督(Sunderland)
『前半は上手く持っていけたと思うが、後半1点を取られてムードが変わった。
我々が先に点を入れていたら、きっとリバプールにもっとプレッシャーを与えられたのだが』
『1点を取られた後も、ギャンブルだが前へ出て行った。しかしスペースを与える結果となり、2点目を取られてしまった』

下村 えり(Eri Shimomura)


【 マッチ・データ 】
 Premiership 08-09
 Liverpool VS Sunderland
 Anfield Stadium
 03 March, 2009  20:00 Kick Off
 Attendance: 41,587
  リバプール サンダーランド
スコア 2(Ngog 52, Benayoun 65)
ターゲットショット
コーナーキック
ファール
オフサイド
イエローカード 1(Ngog) 1(Whitehead)
レッドカード
ポゼッション 63.2% 36.8%

 Liverpool
  Reina, Mascherano, Skrtel, Carragher, Insua,
  Benayoun (El Zhar 90), Gerrard (Babel 82), Alonso, Riera, Kuyt,
  Ngog (Lucas 70).
  Subs Not Used: Cavalieri, Dossena, Hyypia, Aurelio.
  Goals: Ngog 52, Benayoun 65.
  Booked: Ngog.

 Sunderland
  Fulop, Ben-Haim, Ferdinand, Collins, McCartney,
  Malbranque (Edwards 81), Whitehead, Reid,
  Leadbitter (Cisse 62), Richardson, Jones (Murphy 76).
  Subs Not Used: Gordon, Bardsley, Davenport, Healy.
  Booked: Whitehead.

from NLW No.378 - March 10 2009     

Copyright(C) 2014 Eri Shimomura & scousehouse

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