December 18 2007, No.325
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第112号 / 「クリスマス・スピリット in Liverpool 」―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish112_photo.html ≫

こんにちは。
引き続きクリスマス気分を満喫しています。先週はショッピングの話題
でしたが、今週はコマーシャリズムから離れてよりクリスマスらしい雰囲
気を楽しみました。

土曜日。
先週と同様まずは<Living Market>に寄ってから、アルバート・ドックへ
散歩しに行きました。コロネードにはシンプルな白いクリスマス・リース
が飾られ、オレンジ色の柱とのコントラストがきれいです。
この週末のアルバート・ドックは「ヴィクトリアン・クリスマス」がテーマと
のことで、Maritime Museumの前では、おじさんが焼き栗を作ってくれ、
そして通りかかる人々のためにクリスマス・キャロルを歌ってくれる男
女がいました。3曲の中から<Hark! the Herald Angels Sing(天には栄
え)>を歌ってもらいました。なんだかいいものですね。

ドックの辺りをぐるっと回った後、帰宅の途中に休憩を兼ねて、少し暖
をとろうと決めてパブ<Baltic Fleet>に立ち寄りました。
この特徴ある建物は何度も見たことがあったのですが、入ったのは初
めてでした。地下で醸造している地ビール<Wapping Beer>をオーダー
して飲みました。コクがあって美味しかったです。ガストロ・パブとしても
好評なようなので、次回はトライしてみたいと思います。
 <Baltic Fleet>
 住所: 33 Wapping, Liverpool, Merseyside, L1 8DQ
 電話: 0151 709 3116
 ホームページ: http://www.wappingbeers.co.uk (パブ) 
         http://www.fydles.co.uk (食事)

♪ ♪ ♪

その晩は、Windsor Streetにある<The Grey>という以前はRoyal
Standardというアーティストのアトリエ&ギャラリーのあったところで、
ミュージック・オーガナイザー<Defcon>(ゴールドフィッシュ87号で登場
しましたね)主催のクリスマスパーティーに行ってきました。

まずはクリスマスのロースト・ディナーを食しました。
普通はガチョウですが、ベジタリアン仕様でナッツ・ローストです。という
とナッツがフライパンの上でゴロゴロとローストされるようなイメージが
湧くかもしれませんが、違います! ミートローフみたいな形と質感で、
香ばしく、歯ごたえもよく、美味しいんです!
周りがパリッとして中がホクッとしたローストポテトやキャロット、パース
ニップ、茹でたブラッセルスプラウト、ブロッコリーをサイドディッシュに、
上からグレイビーをがーっとかけて頂きます。

食事がひと段落すると、次はビンゴ。番号にいちいち呼び名があるん
ですね、例えば『2ファット・レディーズ=88』みたいに。
勝ってもしょうもなさそうなのにもかかわらず、参加者は真剣に番号に
耳を傾けていました。私も含め。。。

その後は、1バンドにつき1曲のみのライブパフォーマンス。
フライヤーには、“A Tribute to Lee Hazelwood & Nancy Sinatra
performed by Top Local Bands”と、相変わらずどこまで本気か分から
ない告知がされていましたが、やっぱりギャグでした。
ラインアップは、Defconメンバーによるスペシャルユニットでは、古いカ
シオのキーボードのへっぽこリズムに乗ってPaul Tarpeyがボーカルを
とり、会場を沸かせました。
続くはa.P.A.t.T の実験的、奇妙でちょっぴりおどろおどろしさも漂う音
で面白かったのですが、1曲だけだったのが残念。もっと聞きたかった
です。
a.P.A.t.Tマイスペース: http://www.myspace.com/apatt

11時ごろにおいとましましたが、パーティーはまだまだその後も続いて
いたようです。
Defconはつい最近、<Defnet Media>という新しいプロジェクトを立ち上
げ、今後<artinliverpool.com>と共同で、定期的なポッドキャストの配信
を計画しています。第一弾がまもなく開始の予定です。いずれまた続
報をお伝えします!

♪ ♪ ♪

日曜日の晩は、<Liverpool Nativity>を観にいきました。これはテレビ
局BBC3で生中継された、観客を巻き込んだ野外パフォーマンス
Nativity play(キリスト降誕劇)ときいて、正直なところそれほど注目し
ていませんでした。モダンなアプローチでリメイクした、という謳い文句
がついても、このテーマを斬新にするにも限界があるんじゃないか、と
たかをくくっていたのです。
でも、このイベントに係わった友達からは「観に来てね!」と誘われ、リ
ヴァプール在住の日本人の友達も観に行くと言い、無神論者の友達か
ら電話がかかってきて「Nativity、何時にはじまるんだっけ?」と訊かれ
るにいたって、「一体どうなっているんだろう? これはちょっと違うかも
」と思いはじめ、結局William Brown Streetへ赴くことにしました!

この日は風も雨もない晴天でしたが、気温はかなり低く、おそらく零下
だったかもしれません。靴下2枚履きで帽子持参、マフラーをぐるぐる
巻きにして出かけました。
William Brown Streetの<World Museum Liverpool>から<Walker Art
Museum>にかけてのスペースに何千人もの人々が詰めかけ、前方に
はスクリーンを挟むようにステージが2つ組まれて、後方にも大きなス
クリーンがひとつ設置されていました。

この現代版キリスト降誕の舞台は、ベツレヘムではなくリヴァプール。
母となるMary(マリア:Jodie McNee)はリヴァプールはKnotty Ash出身
で、川向こうのSeacombのフェリーターミナルのカフェで働くウェイトレ
ス。お父さんのJoseph(ヨゼフ: Kenny Thompson)は亡命者。
彼らにメアリーの神の子の懐妊を伝え、導く守護天使のGabriel(ガブリ
エル:Geoffrey Hughes)はやさしいおじちゃん。
鬼の内務大臣(女優Cathy Tyson)は救世主となり世の中に革命を起
こす赤子が産まれるという情報を聞き、その子供は亡命者の子供では
ないか察知、亡命者を国から排除するための政策を通そうとします。

イエスの産まれる場所は馬小屋ではなく、なんとパブ<Dr. Duncan's>! 
ロールスロイスに乗ってやってきたスマートな格好だけどもコミカルな3
人の賢者(映画『フルモンティー』張りのダンスも披露してくれます)、天
使に連れられてやってきた羊飼いならぬホームレスの証人に囲まれ、
祝福されて赤ちゃんが産まれます。そこに迫害のサイレンが鳴り、
Mary, Josephそして生まれたばかりのイエスが当局に捕まらないよう
に、観客は彼らのために道をつくり、安全で自由な異国の土地へと旅
立って行くのを見届けます。。。

部分的には映像で、フェリーやSt Nicholas Church、St George's Hallな
どのリヴァプールの様々な風景で撮影されたシーンがあり、生の舞台
と切り替わります。
何がすごいって、ほとんどのシーンが一発撮りなんですね。出演者、撮
影クルーともにさすがです。

キャストは、ほぼみなリヴァプール出身または拠点の俳優、女優、アカ
ペラ合唱団のSense of Sound、LIPAの学生、Royal Liverpool
Philharmonic Orchestraなど300名が出演。
川向こうからリヴァプールへ降り立つシーンで、フェリーの船頭に
<Ferry Cross The Mersey>を歌った張本人Gerry Marsdenもちょろっと
登場しています。
観客は、パントのようにノリノリの反応で、悪者がでてくるとブーイング
を投げかけて、盛り上げます。

使用されたサウンドトラックは、Beatles、Teardrop Explodes、George
Harrison、John Lennon、Shack、Cast、La's、Ian McNabb、Echo & The
Bunnymen、Dead or Alive、Zutonsなど、すべてリヴァプール産の楽曲
が巧みにしっくり織り交ぜられていました。

George Harrisonの<My Sweet Lord>では会場からも「ハレルヤ〜」と
大合唱、赤子を探して殺そうと決意する内務省大臣の歌うDead or
Aliveの<You Spin Me Round>は怖いほどハマりすぎでした! イエスが
生まれたシーンではBeatlesの<Here Comes The Sun>(息子のSonと
引っかけた?)、生まれたあとは<Lady Madonna>(マドンナ=マリア)
など。

あと、久しぶりに聴いたShackの<Comedy>は改めて名曲! これを素
晴らしく歌ってくれて嬉しかったです。この街から生まれたポップソング
で十分ストーリーが組み立ってしまうのには驚かされます。そして、多く
がタイムレスで美しいメロディーです。

素晴らしい音楽とパフォーマンス、そして観客が一体となって作り上げ
た楽しい舞台でした。
そして、本当のクリスマス・スピリットに少し触れられた気がします。
このショーは、ウェブ上でも観られます(英国内のみですが…)。
Liverpool Nativity:
http://www.bbc.co.uk/iplayer/page/item/b008j2lq.shtml

この番組の収録が終わったあとになりますが、最後に<You'll Never
Walk Alone>が全員で歌われました。
観客はもちろん、手持ちのマフラーを広げてました。隣のおじさんはトラ
ンミアのスカーフでした!

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
12月31日
今年の大晦日は花火はありません。その代わりに、リヴァプール大聖
堂(アングリカン)では厳かなフリーイベントが行われます。
<Love & Joy Gospel Choir>によるパフォーマンスの後、午前0時には、
重さ14.5トンの鐘が12回鳴り響き、12本の大きなキャンドルに火が燈さ
れます。
この日はアングリカン大聖堂とメトロポリタン大聖堂のリーダー、市議
会リーダーのWarren Bradley、Paul Clark市長が出席する予定です。
詳細はこちらから。
http://www.liverpool08.com/News/NewYearsEveAtLiverpoolCathedral.asp

1月3日〜5日
<Fresh Festival>
2008年最初のイベントは、Fresh Festivalから。エレクトロニカ、ジャズ・
アコースティック、エクスペリメンタル、フュージョン、ヒップホップ、ドラ
ム・ン・ベースなどのジャンルのライブが、Bumper、Magnet、
Philharmonic Hall、Resident's Lounge (Hope Street Hotel)で行われま
す。
フェスティバル・パス(£10)でほとんどのライブアクトが観られるそうで
す。 
Fresh Festival ホームページ: http://www.fresh-festival.co.uk

それではみなさん、楽しいクリスマスをお過ごしください!

ミナコ・ジャクソン♪

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