March 04 2008, No.334
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第120号 / "Liverpool Art Prize 2008" オープン! ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish120_photo.html ≫

こんにちは。
面白い統計が発表されました。この2ヶ月間で、115万人もの人々がリ
ヴァプールの文化イベントに訪れたそうで、記録的な数字だそうです。
しかもこれは、今年の1月1日から現在までのアンフィールド(リヴァ
プールFC)とグディソンパーク(エヴァトン)での観客動員数の合計の2
倍にあたるとのこと!
リヴァプールでの文化熱が着実に上がっていることを物語っています。

ちなみに、このことについて書かれたBBCのホームページの記事に、
数ある文化イベントのなかから、私たちの "Liverpool Art Prize" につ
いても触れられていて、思わずガッツポーズしてしまいました。
BBC: http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/merseyside/7271852.stm

もうひとつ、"Liverpool 08" のオープニングにも登場した、今ホットなバ
ンドWombatsのシングル<Let's Dance To Joy Division>が、音楽紙
NMEが主催する<NME Awards>の最優秀ダンスフロア・フィラー賞を受
賞!( http://www.nme.com/news/nme-awards/34800 )
この波にのって、是非2008年のナンバーワンヒットを飛ばしてほしいも
のです!

♪ ♪ ♪

今週の木曜日、"Liverpool Art Prize 2008" のオープニングが開催さ
れました!
このイベントは私と旦那で運営している<Artinliverpool>主催の初の展
覧会&コンテストです。
昨年のゴールドフィッシュだより85号で「"The Liverpool Turner" をやり
ます!」と公言してたあの企画が、紆余曲折しながらの長い道のりでは
ありましたが、願ってもない素晴らしい形に発展して、"Liverpool Art
Prize" という独自のアイデンティティをもって歩き始めました。

当初は、「2007年リヴァプールにやってきたターナー賞に、地元のアー
ティストをノミネーションしよう!」というキャンペーンからスタート。
結果的にターナー賞にはリヴァプールの作家は選ばれませんでした
が、せっかく44名の優秀なローカル・アーティストのノミネーションが集
まったんだから、独自のコンテストを開こうということになったわけです。
ウェブ上では一般の人々からオンライン投票してもらい、審査員6名が
協議をした結果をもとに、最終選考で6名まで絞りました。偶然にも多
種多様なスタイルの作家6人です。

"Liverpool Art Prize 2008" の候補者は、、、
 Mary Fitzpatrick(写真)
 Gareth Kemp(油絵)
 Jayne Lawless(インスタレーション)
 Emma Rogers(彫刻)
 The Singh Twins(ペインティング)
 Imogen Stidworthy(サウンド・映像インスタレーション)

会場のNovas CUC (Contemporary Urban Centre)ですが、これは社
会的弱者層の人々への住宅の提供、職業トレーニングやアートを通じ
た社会復帰を目的としたチャリティー団体<Novas Scarman Group>が
所有、運営する新しい文化施設です。
マージー川から程近いこともあり、かつては綿花を保管する倉庫で、外
壁にブッドレアの花木が多く生えていたことから、地元の人々の間では
<Buddleia Building>という愛称で知られています。

とにかく巨大で、1600万ポンドをかけてリノベーションしたこの建物は、
3Fのギャラリースペースと現在オープンしている地上階のカフェの他に
も、複数のシアタースペース、ミニシネマ、クラブ用スペース、パブ、
バー、レストラン、オフィスが5月1日にグランドオープンの予定です。

事の始まりはというと、去年の夏ごろに別件でNovasにミーティングに
行ったときに、なんとなく "Liverpool Art Prize" のアイディアを担当者
に話したところ、「CUCがオープンしたら是非スペースを用意させてほ
しい!」と熱烈歓迎されて話が弾み、その場でヘルメットと安全靴を着
用させられて、まだ内装工事中の建物に案内されました。
当初は去年の秋にオープン予定だったので、ターナー賞と同時期に開
催できると読んでいたのですが、その後、延期延期になり、今年の2月
の下旬にオープンが決まりました。

予定より遅れてしまってターナー賞の展覧会時期に間に合わなかった
代わりに、会計事務所のDuncan Sheard Glass、看板デザイン製作会
社のArthur Diamond Design、デザイン会社Alexander MacGregor、
ディベロッパーのUrban Splashといった、純粋に地元のアートシーンを
サポートしている素晴らしいスポンサーが見つかりました。また、展覧
会のキューレーターには若手で才能溢れるMercyのTomas Haroldを迎
えることができたのも幸運でした。

というわけで、2008年のCapital of Culture年に、オープンしたての
Novas CUCで行われる最初の大イベントとして、絶妙なタイミングで開
催することができたと喜んでいます。

ここ数週間はこの展覧会の準備は非常に忙しかったのですが、オープ
ニングの当日はさらに多忙を極め、6時の開場ぎりぎりまで準備が続
きました。頭の中で砂時計の砂が一粒一粒減っていくような、秒読みの
プレッシャーを誰もが感じていたと思います。
そして開場の1時間半ほど前に「BBC がカメラクルーと中継車と連れて
到着したらしい!」というニュースが入り、焦りは倍増! BBCのイヴ
ニングニュース<North West Tonight>のアナウンサーJayne Barrettが
来るということは聞いていたのですが、まさか生中継だとは知らされて
いなかったのです!

何とか午後6時ぎりぎりに、それらしく会場の準備が整いました。
家に帰って着替える暇もなかった私は、朝からのすっぴん&作業服同
然のままお客さんを歓迎しました。
その甲斐あってか、この木曜の晩は350名あまりのお客さんが訪れ、
大大盛況に終わり、素晴らしいスタートを切ることができました。

Liverpool Culture Companyの副チェアマンのPhil Redmond氏も駆けつ
けてくれました。
なんと、同じ日にメトロポリタン大聖堂で行われたクラッシックコンサー
ト "John Taverner's Requiem" のプレミア公演でのスピーチを蹴って、
我らが "Liverpool Art Prize" でのオープニングのスピーチをしてくれ
たのです。

私は来客者への対応で走り回っていた上に、すっかり有頂天だったの
で、正直言ってこの日のことはよく覚えてません。
1つ覚えていることといえば、アーティスト、お客さん、スポンサー、
Novasのスタッフ、主催者側ともに、とにかくハッピーだったこと。
本当に最高な晩となりました。

金曜日は余韻を楽しむ暇なく、朝からギャラリーに戻り、打ち合わせや
微調整をして、午後には新しいラジオ局City Talk (105.9) の<The Dean   
Sullivan's Show>に "Liverpool Art Prize" を代表して旦那のIanと
キューレーターのTomが出演。ラジオシティータワーの上からオンエア
されました。
短いインタビューですが、今週の金曜日に更新されるまでオンラインで
聞けます。金曜日のショーの2時間8分目くらいから出演しています。
City Talk FM: http://www.citytalk.fm/showdj.asp?DJID=42313

3月9日(日)には、"39 Art Day(サンキュー・アート・デー)" に合わせ
て授賞式を行います。
大賞には£2000、来客者からの投票で選ばれるピープルズ・チョイス
賞には£500が授与されます。
それぞれの作家や作品、そして賞の結果はまた来週お知らせします!

この展覧会は、5月7日まで続きます。
 <Liverpool Art Prize 2008>
  会場:Novas CUC (Contemporary Urban Centre) 
  住所:41-51 Greenland Street, Liverpool L1 0BS
  電話:0151 706 6900
  オープン:火〜日 11.00〜18.00
        (月曜閉館。バンクホリデーはオープン)
  ホームページ: http://www.liverpoolartprize.com 

追記:
Novas CUCから道を渡って向こう側には、地ビールCainsの醸造所が
あります。地元のアートに触れて、そのあとCainsのパブで一杯ひっか
けてみては?!

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
雑誌『音遊人(みゅーじん)』
ヤマハが発行する大人の音楽雑誌、『音遊人』4月号(2月27日発売)
の特集が『魔法の先へ 英国音楽旅。』。
特集ページのトップからいきなりリヴァプールがフィーチャーされてま
す! しかも表紙の写真はアルバートドックのBilly Fury像。素敵な写真
の数々とともに、記事には、ビートルズを中心に海洋の歴史、音楽・
アートもカバーされていて、必読です!
リヴァプールの他の地域では、エルガーを追ったロンドン、ウスター、
コッツウォルズへの旅について綴られています。
『音遊人』: http://www.yamaha.co.jp/fc/musin/index.html

アディダスショップのオープニングとTateでのターナー賞のプレス
ビューでたまたま『音遊人』編集部の山崎さんとカメラマンの阿部さんと
お会いしたことがきっかけで見本誌を送ってくださり、感激しました。
この場をお借りして心からお礼させていただきます。

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish120_photo.html ≫


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