April 08 2008, No.339
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第124号 /
    アート、デザイン、建築、ビートルズ&ディスコ with ヨーコ! ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish124_photo.html ≫

今週は、日差しの眩しい美しい陽気、ときどき雹又は雪、というバラエ
ティーに富んだ、イギリスらしい展開の天候な1週間でした。
それにしても、まだまだ肌寒いので油断できません。初夏の晴れた日
にYe Crackeの中庭でCainsビールをいただく日が非常に待ち遠しいで
す!

♪ ♪ ♪

今週はイースター休暇も完全に明けて、またまた文化的に忙しい日々
が戻ってきました。特に木曜日などは、6つの展覧会のプライベート・
ヴューに招待されていて、頑張って回りました!

まずは、Liverpool Hope University のエヴァトン・キャンパスにある
<Cornerstone Gallery>では、グループ展 "Changing Eight" 、スウェー
デンのジュエリーデザイナーのグループ・ショー "Extended" を見に行
きました。
Cornerstone Gallery, Hope @ Everton
http://www.hope.ac.uk/cornerstone-gallery/welcome-to-the-cornerstone-gallery.html

次に、Wood Streetの<RENEW Rooms>では、100年以上にわたるリ
ヴァプール大学建築学部の歴史、出身の建築家の手掛けた建造物を
紹介する展覧会 "World in One School Exhibition" 。
新しくできたEcho ArenaやGatehead Millennium Bridgeなどの模型や
写真が見られます。そして、意外なところでは、Pet Shop Boysの
Chris Loweも卒業生です!
RENEW Rooms
http://www.renew.co.uk/Pages/Event.aspx?id=7&EventID=1740

続いてBold Streetにある、おしゃれなインテリア雑貨ショップ<Utility>
では、6月19日から22日まで行われる "Liverpool Design Show" に先
駆けて、限定マグ&プレートの製品発表パーティーがありました。
これは、Utilityとテーブルウェア・メーカー<People Will Always Need
Plates>の共同開発した6デザインのマグ(£11)とお皿(£26)で、各
アイテム200個限定です。
リヴァプール大聖堂、メトロポリタン大聖堂、ラジオシティー・タワー、新
しくオープンするLiverpool John Moores大学のArt & Design Academy
などがデザインされてます。
我が家では、2つの大聖堂のお皿を1枚ずつ買って、ダイニングテー
ブル上でHope Streetを再現しようと目論んでいるところです!
 <Utility Home Store>
  60 Bold Street, Liverpool L1 4HY
  (86 Bold Street のギフトストアもカワイイですよ!)
  http://www.utilitydesign.co.uk

その次は、Hanover StreetのGostins Arcadeのカフェと廊下をギャラ
リーにした <Gostins Gallery>。
クロスビー出身の父と息子Anthony & Nathan Pendleburyによる2人
展 "As Is Now" で抽象画を楽しみました。
Erpen Studiosウェブサイト:http://www.erpenstudios.co.uk

そのままアルバート・ドックまで足を伸ばして、<Beatles Story>へ。
2倍の展示面積に拡大する予定のBeatles Storyですが、新たに特別
展用のスペースを設けてスタートを切ったのが、"The Beatles!
Backstage and Behind the Scenes at CBS!" 。
アメリカでのビートルズ旋風を巻き起こすきっかけとなった《Ed Sullivan
Show》舞台裏でのメンバーのリラックスした姿や、お茶目な風景、熱狂
的ファンを、CBSテレビとライフ・マガジンの専属カメラマンBill Eppridge
がレンズに収めたものです。
これまでアメリカ、ワシントンのスミソニアン博物館で展示されていたそ
うですが、イギリスでの展示はこれがプレミアとなります。
この展示は8月15日まで続きます。
The Beatles Story
http://www.beatlesstory.com/

この日の最後は、Egg Cafeにて、地元のアーティスト8名によるグルー
プ展 "Away With Faeries" がスタート。
沢山の妖精に囲まれて、すっかり癒されて一日を終えました。。。
Eggspace
http://www.eggspace.org

♪ ♪ ♪

金曜の晩は、<The Bluecoat>にてオノ・ヨーコのパフォーマンスを観に
行きました。
1967年の彼女のハプニングイベントから41年ぶりにThe Bluecoatで
ショーを行うとあって、誰もが注目していてはいたのですが、ショーの
題名もなければ、前情報もなく、どういう展開になるかは誰にも予想が
つかなかったようです。
パフォーマンス・ルームはキャパ200人足らずのこじんまりとした会場
でしたので、即売り切れでしたが、この模様は会場入り口ハブ(入り口
ロビー)と、Clayton SquareのBBCビッグ・スクリーンで生中継されまし
た。

私と旦那は、ヨーコさんが数歩先でパフォーマンスをしているまさに至
近距離である最前列の座席を確保できました。
よく、67年の映像を見ながら、かぶりつきで見ていた若き日のAdrian
Henriなどや他の観客を羨ましく思っていましたので、本当に願ったり
かなったりです。

ショーを見る前の私の勝手な憶測では、The Bluecoatはヨーコさんに
とってアーティストとして深く縁のあった場所であって、ビートルズやジョ
ンとは切り離されたものになるのでは? と考えていました。
しかし一旦ショーが始まり進行していくうちに、ヨーコさんの回顧録的な
ストーリー仕立てであることに気づきます。

「私は75歳になりますが、生きて、ここに存在していることを毎日感謝
しています。人生を、そして皆さんを愛しています」
というメッセージからスタート。

時計のチクタク音とともにThe Bluecoatで行われたバンデージのパ
フォーマンスの映像が流れて1967年にタイムスリップし、ステージから
一瞬姿を消したと思うと、包帯をぐるぐる巻き状態でステージへ現れ、
「包帯をほどいて下さい」と観客をステージに招待します。

シーンが変わって、ステージに置かれた白い椅子を取り上げ、「椅子と
の関係を深めてみる」とのこと。
様々な角度に置いてみたり、座面の裏を眺めてみたり、椅子をひっくり
返して椅子と同じポーズをとってみたり(体の柔らかいこと!)。最後に
は椅子を正面に置きなおして心地よさそうに座り、「やっぱりこれがベ
ターだわ」と微笑みます。

時は変わって、ジョンとヨーコが新聞社やベッド・インでの取材の中で
彼らの活動考えが理解されずにジャーナリストと議論を戦わせるシー
ンの映像が流れます。その映像の脇で、ヨーコさんは編み物をしてい
ます。
立ち上がり空洞のミラーごしに遠くを眺め、ジョンの死後にリリースさ
れた《Walking on Thin Ice》の映像が流れ、悪夢にうなされたような、あ
るいは哀しみがこみあげたような嗚咽を発します。私達の足元のすぐ
脇に置かれた白いチェスの駒をエモーショナルにバラバラと払います。

その後、『オノコード』のドキュメンタリー映像に変わります。
オノコード(ONOCHORD)とは、モールス信号をもじったもので、1回、2
回、3回と懐中電灯などを点滅させて伝える「アイ・ラブ・ユー」のメッ
セージ(映像はこちらから。http://www.a-i-u.net/onochord_doc.html)。
ヴェネチア、ベルリン、ロンドン、東京で観客がペンライトをチカチカと
点滅される模様が映ると、The Bluecoatの会場の観客も入場時に配ら
れたペンライトを取り出して点滅をはじめます。

ビデオの《Give Peace A Chance》のダンスバージョンが引き続き流れ、
ヨーコさんが踊りだします。観客にも前に出て踊るように合図します。
はじめは、ほんの数人しか出てきませんでしたが、音楽がループで流
れるにつれて、徐々に増えていきました。小さな女の子が踊りだすと、
ヨーコさんは手をとって、回転したりしながら踊っていたのが印象的で
した。
私の友人も踊り始めたので、それじゃあ私も! と思って旦那を無理
やり引っ張って、一緒に参加しました。最終的には観客の大半がス
テージで踊っていたでしょうか。2008年The Bluecoat ヨーコ・オノのパ
フォーマンスのハイライトは間違いなく、「ディスコ with ヨーコ」と言える
と思います!
至福感に包まれながら、会場を後にしました。

平和や愛を語っているのに、誤解を受けたり理不尽な思いを強いられ
たり、最愛の人を凶弾で失ったりと、想像を絶するような波乱に満ちた
の道のりを経ながらも、まっすぐ前を向いて愛のメッセージを世界中に
発信し、人々の心の中に眠っている何かを呼び起す、ヨーコさんのパ
ワーとオーラに触れた気がします。

お土産もいろいろいただいて帰りました!
入場時に<ONOCHORD LIVERPOOL y.o.2008>と書かれたペンライトと
ポストカード、退場時には<IMAGINE PEACE>と書かれたバッジと、<13
DAYS DO-IT-YOURSELF DANCE FESTIVAL (as it was done)>のコ
ピーが配布されました。
その他、パフォーマンス中にステージに転がったチェスの駒を拾って
ヨーコさんに返そうとして差し出したら、「You're supposed to take it!」と
言われたので、ありがたく記念に持って帰りました。
そして旦那が咳をしていたのに気づかれたのか、私にフィッシャーマン
ズフレンド(ミントキャンディー)を袋ごと手渡してくれました。これは
一生の思い出になります。

パフォーマンス中は撮影厳禁だったのですが、その代わりに同日午後
に、写真撮影の許可が下りたので、行ってきました。
The Bluecoatの中庭のWish Treeの前、そしてヨーコさんの展覧会ス
ペースにて。
ほんの5分そこらの撮影時間でしたので、あっという間の出来事でし
た。そのときの写真を送ります。

パフォーマンスの写真が一枚だけThe Bluecoatホームページに上がっ
ていました。こちらから。
http://www.thebluecoat.org.uk/content/view/135/15/

最後に。オノコード、すっかりクセになってしまいました! i ii iii

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
ちょっと先になりますが、ミュージック・フェスティバル《Liverpool Sound
City》が5月27日〜30日まで開催されます。
ギグ、パーティー、カンファレンス、映画の上映などのほか、27日には、
サッカー狂だった伝説のDJ故ジョン・ピール氏を偲んだフットボール
トーナメント《John Peel World Cup 》 が、Liverpool FC Football
Academyにて開催されるとのことです。チケット発売中!
Liverpool Sound City
http://www.liverpoolsoundcity.co.uk

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish124_photo.html ≫


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