July 01 2008, No.348
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第132号 / ラムバナナがいっぱい ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish132_photo.html ≫
 
こんにちは。
先週は思いのほかバタバタしていてお休みをいただきました。
2008年も折り返し地点を迎えましたが、まだまだ留まるところを知らな
い勢いのリヴァプールです。
今週は、2週間の間にあった出来事をお知らせします。

ここ数週間のもっぱらの話題は、6月16日にスタートした《ゴー・スー
パーラムバナナズ(Go Superlambananas!)》。
地元のアーティストやコミュニティー・グループによってデザインされた
100頭以上のスーパーラムバナナが、リヴァプール市内のみならず、
ウィラルやロンドンのユーストン駅にも出没しています。

私もまだ全部は制覇していませんが、面白いところでは、ショッピング
センター<Metquarter>にある、ラファをモデルにした「ラファエル・バア
アニテス・ラムバナナ」や、LFCショップの前に飾られた選手風「Koppy」
と隣の「スーパー・ワグ・バッグ・バナナ(Wag=主にスポーツ選手やセ
レブのワイフ&ガールフレンド)、地ビール会社ケインズのユニオン
ジャックもの(中にはドラフト・ビールのハンドル付きもあり!)、クレイト
ン・スクエアのコミュニティー・グループが作成したモザイクもの、ピア・
ヘッド近くの夜光ラムバナナ、結婚登記所の“ラブ”バナナなどなど、
思い思いのデザインがされています。

見る人々の反応としては、まず撫でる→記念写真を撮る。子供は、抱
きつく→乗りたがる。
面白いですね。ただ、心無い人々によるいたずら落書きや誘拐事件
(ディベロッパー会社マゴールによるミニ・ラムバナナちゃんが何者か
によって持ち去られて、身代品として羊(ラム)とバナナを要求する脅
迫状まで残されていたとのことです!)なども発生していて、市議会
リーダー自らが、「大切にしてあげてね」とメッセージを発表したところ
です。すっかり社会現象ですね。

このゴー・スーパーラムバナナズは、8月25日まで。
会期が終わるとそれぞれのラムバナナたちはオークションにかけられ、
その収益は地元のチャリティー団体に寄付されるとのこと。

ラムバナナの紹介&マップは、以下のホームページ(PDF)でダウン
ロードできます。
http://www.gosuperlambananas.co.uk/Resources/maps.pdf

元祖スーパーラムバナナは、日本人アーティストの太郎千恵藏による
1998年の作品。
その所有権をめぐって、現在、市と揉めています。
アーティスト側の主張では、リヴァプール市への10年間限定のリースで
あり、その契約が満了になるのが今年の末とのこと。
既に買い手からの打診もあるようで、噂ではマンチェスターに売りに出
されるかも?! とも囁かれています。

いずれにしても、アーティスト側と市が双方満足いく形で、リヴァプール
に残ってほしいものです。
ゴー・スーパーラムバナナズ: http://www.gosuperlambananas.co.uk

♪ ♪ ♪

6月19日から22日、Novas CUCにて《デザイン・ショー・リヴァプール
(Design Show Liverpool)》 が開催され、開幕1日前のプライベート・
ビューに行ってきました。
リヴァプールのみならず、イギリス各地、そして海外からのファッション、
アクセサリー、家具、エコ製品など170ものデザイナーが出展。
ファッション・ショーなども行われて、華やかでした。
JMUの学生の作品も回転寿司をイメージしたコンベアの上に展示され
ていて微笑ましかったです。会期中、7000名もの人々が訪れ、大盛況
で終わったそうです。
Design Show Liverpool: http://www.designshowliverpool.com

♪ ♪ ♪

6月20日に、若手のアーティストのアトリエ&ギャラリーRed Wireにて
《Your Art Show》がスタートしました。
これは、ハダーズフィールド出身のボブ・ミルナーとトム・シニアのコン
ビ<ミルク・トゥー・シュガーズ(Milk, Two Sugars)>による展覧会。
とはいっても、作品を作るのは会場に訪れるお客さん。絵の具やスプ
レーや絵の具入りの風船などを使って、ギャラリースペースを好き放
題に描きたくり塗りたくれる、クレイジーすぎて気持ちのいい参加型イ
ベントでした!
Red Wire: http://redwireredwire.com/page48.htm
Milk, Two Sugars: http://www.milktwosugars.org/

♪ ♪ ♪

今週は、大型の展覧会のオープニングが二つほどありました。
FACTでは、国際的に活躍しているスイス人アーティスト、ピピロッティ・
リストの個展。
主にビデオやオーディオ作品の展示ですが、メディア・ラウンジに設置
された巨大なソファに座って童心に返ってみては?
http://www.fact.co.uk/whatson/detail/?infoID=6067470613225552675

A Foundationでは《Port City》展。
砂糖でできたエンパイア・ステート・ビルやタージマハール、シドニーの
オペラ・ハウスやロンドンのガーキンの模型は必見!
http://www.afoundation.org.uk/greenlandstreet/details.php?id=38

♪ ♪ ♪

最後に、とっても心に残ったエルヴィス・コステロ with RLPO(ロイヤ
ル・リヴァプール・フィルハーモニック・オーケストラ)のコンサートにつ
いて触れておきたいと思います。
ホープ・ストリートにあるフィルハーモニック・ホールで、6月25日に開
催されました。

エルヴィス・コステロはロンドン生まれですが、多感な10代をマージー
サイドで過ごしました。
リヴァプールをどこよりも故郷として意識していて、また、コステロのお
母さんが40年代後半から数年間、ボランティアで案内係として働いて
いたこともあり、フィルハーモニック・ホールという会場にも、特別な思
い入れがあるようです。

2008年のヨーロピアン・キャピタル・オブ・カルチャーのリヴァプールを
祝い、プログラムには、リヴァプールについてハートのこもったメッージ
が。
「今年唯一の英国でのコンサートを、ピープルズ・リパブリックで演奏で
きることを本当に楽しみにしています。そして、ピケット(=リヴァプール
の音楽シーンを支えるライブハウス)を支持してあげてください」と書か
れていました。

コンサートそのものにも、そうしたアティチュードがにじみ出ていて、実
に人間味の溢れるステージでした。
観客もコステロのホームカミングを熱烈に歓迎し、会場全体が、何とも
形容しがたい温かい空気で包まれていた感じがしました。

曲目のスタイルもバラエティーに富んでいて、パンク、ニューウェーブ、
ロックからジャズ、クラッシックなどを取り入れ、年齢を重ねながら音楽
的にいい味に成熟してきた産物でした。

デンマークの童話作家アンデルセンの伝記をもとにしたオペラ仕立て
の<The Secret Songs>、ジャジーな<Almost Blue>、相棒ピアニストの
スティーヴ・ナイーヴとコステロが掻き鳴らすギターで始まったポップな
<Veronica>、リヴァプール周辺の造船所を舞台にした曲<Shipbuilding>
はグッときました。
映画『ノッティングヒル』の主題歌<She>や、バカラックとの共作の
<God Give Me Strength>は、オーケストラが美しく活きていました。

アンコールではエモーショナルに何度もステージへと戻ってきて、
ニュー・アルバム《Momofuku》(インスタントラーメンを発明した安藤百
福にインスパイアされたとか?)から<My Three Sons>も披露されまし
た。

ラストの<Couldn't Call It Unexpected, No. 4>では、途中からマイクから
離れてアンプラグド状態で熱唱し、素晴らしかったです。
まだ余韻から抜けられません。今度は、ロックンロールなコステロのス
テージが観てみたいです。
Elvis Costello: http://www.elviscostello.com/

このコンサートの様子は、リヴァプールの写真家マーク・マクナル
ティーがいい写真を撮ってます。彼のブログにもいい表情の写真がい
くつか載っているので、是非ご覧ください。
Mark McNulty: http://markmcnulty.typepad.com/mark_mcnulty/2008/06/elvis-costello.html

エルヴィス・コステロの最新ニュースとしては、7月3日にリヴァプール
大学から名誉博士号が贈られるとのことが決定しています。
http://www.liv.ac.uk/news/press_releases/2008/06/honorary-graduates.htm

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
7月10日は、第一回《The Beatles Day》が開催されます。
ビートルズが全米制覇の後、輝かしくリヴァプールへの凱旋したのが
1964年7月10日。それを記念して、リヴァプール市内あちこちで様々な
イベントが展開されるチャリティイベントです。
詳細は、Beatles Dayホームページから。
http://www.beatlesday.tv

Echoアリーナでは《The Beatles Day Imagine the Concert》が開催さ
れ、コメディー俳優のリッキー・トムリンソンを筆頭に、ジェリー・マーズ
デン、クオリーメンのほかに、OMDのアンディー・マクルスキー、ジョン・
パワーなどの出演も決定してます。
チケットは、£19.50〜£24.50+手数料で、収益はアルダーヘイ小児
病院、その他地元のチャリティー団体に寄付されます。
http://www.accliverpool.com/whatson/beatlesday_imagine.asp

コンサートに行けない人も、モップ・トップのウィッグ(£5)やバッジが
市内各地で販売されるそうですので、カツラをかぶってムードを高める
もあり?!

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish132_photo.html ≫


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