November 18 2008, No.365
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第143号 / Long Night Biennial & Our City ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish143_photo.html ≫  

こんにちは!
先週もお休みをいただいてしまってすみませんでした。
11月12日に行われた日本・リヴァプール・アイルランドをつなぐ青少年
合唱団コンサートの準備で忙しくしていました。
このコンサートのほかにも先週から今週にかけては数カ国の国際交
流のイベントがありますので、こちらについてはまた来週まとめてお知
らせします。

もうすっかり11月も半ばを過ぎてしまいましたが、今週はまずは10月末
に行われた《The Long Night of the Biennial》から。
リヴァプール中のギャラリーが夜10時、11時までオープンし、特別イベ
ントも各地で企画されていました。
参加会場では、ポキッと折るとポッと光るペンダントを配布していて、夜
のシティーセンターには、これを首に下げて歩いている人がちらほら見
られました。また、この日のために特別車のMADE UPカーも出現!

最初は、何より先に腹ごしらえから! ということでStatic Galleryへ。
キムチたっぷりのチジミとナムルをたらふく頂きました。Staticには、今
年のバイエニアルの開始とともに期間限定で、韓国のオルタナティブ・
アート・スペース<Ssamzie(サムジ)>プロデュースの「サムジ・ショップ」
と「ヌードル・バー」があります。
サムジショップでは、個性的なファッションアイテムや韓国のインディー
ズのCD、そして同スペースでレジデンスをしているアーティストのジン
ギョン・リーによるポストカードやハンドペインティングのTシャツなどが
満載で見ているだけでワクワクするショップです。
ヌードルバーは現在は毎週木曜日の晩のみの営業ですが、ショップは
日曜日を除き毎日やっています。

< Ssamzie Store & Noodle Bar at Static >
 23 Roscoe Lane, Liverpool L1 9JD
 電話:0151 707 0770
 Ssamzie: http://www.ssamzie.com/
 http://www.artinliverpool.com/index.php/other-galleries/static/876-static-ssamzie

その後、シティセンターからちょっと離れたところに今年7月にオープン
したての新しいコマーシャルギャラリーCeri Hand Galleryへ。
元FACTやMETALのキューレーターだったケリ・ハンドがニック・クロー
&イアン・ローリンソンほか11名の作家を代表しています。
この日は、ニューヨーク出身のジェン・リウの個展《Drastic Measures,
Unknown Pleasure》がスタート。
絵画、コラージュ、ミックスメディアのインスタレーション、ビデオ作品な
ど手法も実に幅広く、イマジネーションに富んでいます。
ニューバランスのジョイ・ディヴィジョン・モデル(プロトタイプで非常にレ
アものだそう!)に電力の流れるじゃがいも芋にパソコンが連なった
<Potato Battery Unknown Pleasure 1: Dylan Adair's New Balance
Leads the Way (2008)>が特に気になりました。

< Ceri Hand Gallery >
 12 Cotton Street, Liverpool L3 7DY
 電話:0151 207 0899
 ホームページ: http://www.cerihand.co.uk/
 オープン:水−土 10.00-18.00 左記時間外は要予約。

シティーセンターに戻ってからTate Liverpoolへ。Hive Collective主催
で、元クラフトワークのウルフガング・フルーアがやってくるというので
これは逃せまいと行ってきました。
きちんと情報を読まずに行ったので、てっきりライブかDJをするのかと
思っていたらオートバイオグラフィー《Ich war ein Roboter》の朗読でし
た!

彼自身、ビートルズやブリティッシュ・ロックの影響を強く受けて音楽活
動をはじめたこともあり、リヴァプールは憧れの土地だったそうです。
1975年にリヴァプールはエムパイア・シアターにて念願の初のライブを
行ったのですが、皮肉にも同じ日にウィングスのコンサートが重なった
こともあり、客入りがわずかだったとのこと。
しかも本番中に技術的な問題にもぶち当たり、災難なコンサートになっ
てしまったと苦笑していました。

しかし、数少ない観客のなかにいた熱心な若者から話しかけられ、そ
の後このファンの人達は、OMD(オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・
ザ・ダーク)を結成し、彼らも世界的な成功を収めます。今でも親交を
保っているようです。興味深いエピソードでした!

Tate Liverpoolの後にBluecoatに一瞬寄って、Red Wire Galleryへ。
ゴールドフィッシュ141号でダニエル・ジョンストン展についてお伝えしま
したが、この日はその関連音楽イベントで、ダニエル・ジョンストン・トリ
ビュート・ナイト。会場には、トレードマークの目玉のオブジェもあちこち
に飾られていました。
電子音楽ユニットA Cup of Teaとドラムとベースの二人組みMan in the
Darkがそれぞれ全くカラーの異なるカバーを披露。会場はフルハウス
でいい雰囲気でした。

< Red Wire Gallery >
 Carlisle Building, 69 Victoria St. Liverpool
 開館時間:木〜日午後12時〜6時まで 入場無料
 ホームページ: http://redwireredwire.com

最後にがんばってもう一軒、バー3345にて写真家テリー・クライアーに
よるジャズ・ブルースのミュージシャンを撮った写真展《Love You All
Madly》にちなんで、ジャズのライブが行われていました。
私達の到着したときは、Ernie's Rhythm Sectionが渋いブルージーなプ
レイをしていて、いい夜の締めくくりとなりました。

この写真展ではリヴァプールでのルイ・アームストロングや、ロンドンで
のナット・キング・コールなどの写真が見ものです。12月3日まで続きま
す。

< 3345 Parr Street >
 33-45 Parr Street, Liverpool L1 4JN
 電話:0151 708 6345
 展覧会の詳細: http://www.independentsbiennial.org/2008events/474-terry-cryer
 Ernie's Rhythm Sectionマイスペース: http://www.myspace.com/onlyforthepleasure

リヴァプールでは新しい試みだったロングナイト・バイエニアル、アート
よりも音楽もののイベントのほうが多かったかもしれません。
2〜3ヶ月に一度くらいこのような企画が行われることを願っています。
The Long Night of the Biennial:
http://www.biennial.com/content/TalksToursEvents/LongNightoftheBiennial/Overview.aspx

♪ ♪ ♪

11月6日、リヴァプールは《MTVヨーロピアン・ミュージック・アウォーズ》
で、やれマッカだ、ボノだ、ビヨンセだと大騒ぎで、ホープ・ストリート・ホ
テルの前にも多くの出待ちファンが詰め掛ける中、そんなことはそっち
のけで、私と旦那は一目散にLIPAへと向かいました。
というのは、私達にとってはドリームカムトゥルーな出会いが待ってい
たからです!
二ール・ブキャナン氏。日本ではマイナーすぎて面白くなくてすみませ
ん。。。
しかし、イギリスでは子供から大人まで絶大な人気を誇る工作番組
《Art Attack!》のプレゼンターで、感覚的には「できるかな?」のノッポ
さんに会うようなものです(古くてすみません。。。)。

ニール・ブキャナンは、リヴァプールはエイントリー出身。ポールと
ジョージの通ったリヴァプール・インスティチュートを卒業し、ジョン・レノ
ンの通ったアートスクールを受験しますが、残念ながら念願かなわず。
1976年に、マルセーユというバンドを結成、アルバム2枚、シングル5
枚をリリースし、アメリカでもコンサートを行ったそうです(バンド紹介で、
「イギリスはリヴァプール出身のマルセーユです〜!」とアナウンスが
あると、観客が頭を傾げたと言ってました)。

80年代半ばに入ると、ニールがテレビ業界での仕事に専念するために
バンドを解散します。
《Art Attack!》は1989年から2007年まで続いた長者番組で、ディズニー
チャンネルを通じて、アメリカ以外のほとんどの国で放映されています。

《Art Attack!》は、身近にあるものを使って誰にでも簡単にできるアート
の作り方を紹介し、作品が出来上がると“Try yourself!”の合言葉。
<Big Art Attack>のコーナーでは、屋外や広いスペースで、ニール本
人がこちらも身近にあるもので大きな絵を描き上げます。結構すごい
ものを作るんですよ。
しかも、番組の最後には必ず「チャラ〜(リヴァプール訛りで「じゃあ
ね」)」と締めくくるところもニクイです。是非ホームページを見てみてく
ださい!
Art Attack!: http://www.hitentertainment.com/artattacK/
(トップページで音量が大きいのでご注意!)

前置きが長くなってしまいましたが、この日ニール・ブキャナン氏はか
つては母校の美術室だった部屋で、50名の子供達とアーティストのパ
トリシア・リーと一緒に集まりました。
これは、ナショナル・ミュージアム・リヴァプール(NML)が2010年にオー
プンする<Museum of Liverpool>に展示するためのデジタルマップを製
作する、<Our City>プロジェクトの立ち上げイベント。
この日は、地元の子供達が思い出の深い建物の立体模型を作って実
際に配置し、自分達の街の大きな地図が作られました。まさにビッグ・
アートアタック!

ニール・ブキャナンは、母校のリヴァプール・インスティチュートの建物
を、パトリシア・リーはライヴァー・ビルディングとスーパー・ラム・バナナ
を作り、子供達からは大聖堂やサッカー場、おばあちゃんの家から、
プライマーク(激安ファッションショップ!)まで思い思いの建物が作ら
れました。

このプロジェクトは2011年まで続き、作られた模型、絵画や写真はそ
れぞれデジタル保存してマップとしてまとめられ、新しいミュージアムに
展示される予定です。
NML Our City Project: http://www.liverpoolmuseums.org.uk/mol/galleries/our_city.aspx

ニール・ブキャナンは子供番組をやっているだけあって、子供達とのコ
ミュニケーションも抜群で、このイベントが終わった後に、LIPAの生徒
さんたちがどっと押し寄せて写真やサインをねだっても嫌な顔ひとつ見
せず、それどころか彼らの描いたスケッチについてアドバイスなどをす
る場面も。
今後も何かにつけてリヴァプールへ戻ってきて、故郷に貢献できるよう
なプロジェクトに協力したいとの熱意を込めて語っていました。

追記:検索をかけて調べてみたら、ニール・ブキャナンの本が日本でも
出版されているんですね。
書名が「アートアタック」、副題が「びっくり!工作」で笑ってしまいまし
た。

♪ ♪ ♪

ホープ・ストリートに2つの大聖堂をつなぐ一本の緑色の光が!
光だけでなく、音もつながっているらしい?!
最後に、<Hope Street Project>の写真を送ります。11月末まで見られ
ます。
Hope Street Project: http://hopestreetproject.blogspot.com/

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish143_photo.html ≫


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