December 16 2008, No.369
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第147号 / ラスト・スパート・リヴァプール ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish147_photo.html ≫

こんにちは。
今年一年走り続けていたからか、もしくは夏らしい夏がなく季節感がな
いまま12月になってしまったからか、年の瀬という実感が湧きません
が、地元のメディアは2008年の総まとめの時期に入っています。
地元紙Echoの付録で、《Our Great 08》という36ページの特集が組ま
れました(ウェブ版はこちらから)。
http://issuu.com/liverpool/docs/ourgreat08?mode=embed&documentId=081211154439-e28fa7681b22480d8e8f96b9b3e64418&layout=grey
写真を眺めながら、本当にいろいろあったなあと思い返しています。
大小の規模のアート、音楽、文学、舞台、ストリートカーニヴァル、コ
ミュニティー・イベント、国際イベント、巨大なスパイダー、トールシップ
やQEIIの寄港など、本当にハイライトだらけでした。

街のランドスケープも賑やかになりました。
Echoアリーナ&コンヴェンション・センター、巨大ショッピング・ストリー
ト<リヴァプール・ワン>のオープン、英国最古のアート・センター<ブルー
コート>も再オープンしました。
ピアヘッド近辺では、2010年オープン予定の<ミュージアム・オブ・リ
ヴァプール>の建物も着々と形をなし、<リーズ・リヴァプール・カナル
(運河)>がピアヘッド前の広場まで延長され、水を臨む新風景が完成
しつつあります(写真を送ります)。

The Leeds and Liverpool Canal
http://www.britishwaterways.com/liverpool-canal-link

リヴァプール・カルチャー・カンパニーの発表では、リヴァプールの欧州
文化首都がもたらした経済効果は、今年だけで8億ポンド。
国内および海外から初めてリヴァプールを訪れた旅行者の数は350万
人(旅行者全体の25%)に登り、欧州文化首都の公式イベントを目的
にやってきた旅行者は520万人、08効果で美術館や博物館などの文
化施設や文化イベントへの動員数も前年比平均30%アップ。

テート・リヴァプールやマリタイム・ミュージアムはそれぞれ100万人の
入場者をマークし、前年比なんと65%アップ!

リヴァプールの欧州文化首都は、国内メディアだけでも12000以上の
記事が掲載され、国内外の新聞のヘッドラインも「今年はリヴァプール
が輝くとき」、「プール・オブ・タレント」、「リヴァプール・アイ・ラヴ・ユー」、
「文化革命、始まる」という分かりやすいものから、「リヴァプール、次な
るバルセロナ」というピンと来にくいものまでいろいろです。

このほかにも、様々な統計が発表されていますが、一番大事なのは欧
州文化首都がリヴァプールの人々や旅行者の人たちに何を残したか、
そして来年以降どうなるのか? が気になるところです。

今年一年を回顧するのは、年明けにとっておくことにして、今週の出来
事に移ります!

♪ ♪ ♪

<ワールド・ミュージアム・リヴァプール>に、新しく常設の古代エジプト・
ギャラリーがオープンしました。
リヴァプールは、イギリス国内でもエジプト考古学研究の中心ということ
で有名だそうです。
1300点あまりという世界でも有数の貴重な所蔵品を通じて、ファラオ
(古代エジプトの君主)たちの生活ぶりやピラミッドやスフィンクスを建
設した優れた文明を探ります。

古代の楽器、5体の人間ミイラに加え、動物のミイラ、ミイラを収めるた
めの装飾された棺の数々が展示されています。
棺のひとつには、古代エジプトの人々が考えていた死後の世界や、ミ
イラの保存方法を描いているものもありました。

目玉の所蔵品のひとつとしては、ラマセス3世が着用していた軍服の
一部の帯が、3000年の時を越えて驚くほどの良いコンディションで展示
されています。必見です。

 < World Museum Liverpool >
  William Brown Street, Liverpool L3 8EN
  Tel: 0151 478 4393
  開館時間:毎日午前10時〜午後5時まで 入場無料
    (※12月25,26日、元旦は休館。クリスマスイブは午後2時まで)
  http://www.liverpoolmuseums.org.uk/wml/humanworld/ancientworld/egyptian/gallery/index.aspx

♪ ♪ ♪

木曜日の晩は、FACTにて《Ding >> Dong》展、オープン・アイ・ギャラ
リー(フォトギャラリー)にてデヴィッド・ゴールドブラット《Intersections
Intersected》展、ブルーコートにてリヴァプールのアーティストをショー
ケースした《Next Up:Liverpool Art Now》展が、土曜日には14名の国際
的にも活躍するアーティストとリヴァプールのコミュニティーとのコラボ
レーションプロジェクト《The Fifth Floor》展がテート・リヴァプールにて
軒並みスタート。バイエニアルが戻ってきたくらいの勢いです。
オープニングは人でごった返していたので、年末年始にゆっくりまた見
に行こうと思います。

金曜日、リヴァプール・ホープ大学のエヴァトン・キャンパスにあるコー
ナーストーン・ギャラリーにて、《Pre-Paid Post Card Auction》 が行わ
れました。ハンマーを打つのは、リヴァプールのアート・オークションの
雄、Dr.ポール・オキーフ。またまたハイパーなオークションを展開してく
れました。

これは、アーティストや地元のセレブリティーなどが描いた絵葉書を競
り落とすチャリティー・オークションで、収益金はThe Artists' General
Benevolent Institution (AGBI)へ寄付されます。

我が家にも、白紙のポストカードと切手のついた返信用封筒が届き、
私と旦那は非アーティスト、非セレブリティ部門(?!)で参加しました。
有名どころで話題になったのは、サー・ピーター・ブレイク、ホリー・ジョ
ンソン(元フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド)、マイク・マッカートニー、
2006年のジョンムーア賞大賞を受賞したマーティン・グリーンランド。
しかし、これは「ブラインド・オークション」なので、どれが誰の作品かは
明かされません。誰もが、ピーター・ブレイクがどの作品か探っていた
ようです。
最初は私もそうでしたが、結果的にはどうでもよくなって、純粋に気に
入ったものだけを選んで入札しました。

£10スタートなのですが、運よく私が選んだ3点は競う相手もいなく、3
点落札で各10ポンド、合計30ポンド分購入しました。

私と旦那が書いた絵葉書は、ロット番号44番・45番。
自分の描いた不慣れな絵を人様に見せる上に売るなんて、おこがまし
さ極まりないのですが、チャリティーということで許していただきましょう。
それぞれ£10の売り上げでした!

80点のオークションが終わると、最後に作品の作家名が明かされまし
た。
月と星とデブ猫の下に 'weird' という文字の本当にヘンテコなドローイン
グのマイク・マッカートニー氏の絵葉書が最も高値の£110で競り落とさ
れました。
クオリティー的にはどうかな、と思いましたが、まあチャリティーというこ
とで勘弁しましょう。

そしてピーター・ブレイクの絵葉書は、まさかのまさか、星とターゲットと
ハートが描かれたこちらも簡素なドローイング。
ターゲットがピーター・ブレイク風だけれども、まさかこのドローイングは
ないでしょ? と思った人が多数だったようで、名前が明かされたとき
は、会場にどよめきがおきました! 
落札価格は£30。バーゲンで、競り落とした人は本当にラッキーです。

驚いたことに、私が£10で購入した赤い椿のような花のモノプリント版
画、これがホリー・ジョンソンの作品でした! しかも直筆サイン付き。
今年の思わぬクリスマスプレゼントとなりました。

それぞれの絵葉書は、こちらのホームページからご覧になれます。
Pre-Paid Postcard Auction:
http://www.hope.ac.uk/cornerstonegallery/postcards

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
《Transition》
リヴァプールの2008年欧州文化首都は終わりますが、スカウサーは
フィナーレやクロージング・イベントは行いません!
その代わりに、「Transition (=移り変わり、遷移、過渡期)」と題した、
08年の「文化の年」から09年の「環境の年」へのハンドオーバー・イベン
トが開催されます。
08のオープニングイベントから一年後にあたる2009年1月10日の夕方
から夜にかけて、リヴァプール市内各地で様々な催し物が予定されて
います。
ハイライトは、午後6:15から、新しく整備されたピアヘッドの広場にて、
光と音と映像で綴るリヴァプールの70億年前から現在までの歴史のプ
ロジェクション、そして午後7:00からは、マージー川より花火が打ち上げ
られます。
7時以降はストリートパフォーマンスや音楽、ダンスのパフォーマンスが
行われ、この他にも美術館や博物館は通常よりも延長して開館する予
定です。
詳細はこちらから。
http://www.liverpool08.com/streets/Transition/index.asp

2008年のゴールドフィッシュだよりは今週で書き収めになります。
ブルーコートで見つけた、面白いクリスマスツリーの写真を送ります。
学校の古い机を積み上げて作ったツリーで、穴を覗くとキラキラとした
デコレーションが綺麗でした。

それでは皆様、楽しいクリスマスとすばらしい新年をお過ごし下さい!

リヴァプールより
ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish147_photo.html ≫


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