February 10 2009, No.374
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第150号 / 雪−タイル−ラムバナナ−レジェレンド! ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish150_photo.html ≫

先週のイギリスは、18年ぶりという記録的な大雪に見舞われました。
各地で交通機関が麻痺、学校やビジネスにも支障を来したというニュースが日本
でも伝えられたと思います。
ところがリヴァプールはというと、本格的な雪景色となったのはほんの一晩程度。
外出不可になることを想定して事前に食料を大量に買いこんでスタンバイしてい
ましたが、すっかり肩透しで、週の後半は何ごともなかったように晴れ間も覗く
ほどでした。
まあ混乱や事故が起こるよりはましですので、良しとしましょう。ホープ・スト
リート近辺の写真を送ります。

今週は、まずはセント・ジョージズ・ホール、グランド・ホールのタイル床の話
題から。2007年4月のセント・ジョージズ・デー以来の公開となりました。
3000枚ものミントン・タイルが敷き詰められた豪華なこの床ですが、1852年にこ
れらのタイルが敷かれるのにかかった費用は当時3000ポンド、そして現在、木
製の保護パネルを安全に取り外してタイル床を公開するだけで、一回につき
20,000ポンドかかるという噂です! どうりで頻繁に見せられないわけですね。

何度見に行っても新しい発見のあるデコラティブな床タイル、2月15日まで
一般公開されます。入場料は£1です。
詳細はArtinliverpool.comから。
http://www.artinliverpool.com/index.php/maingalleries/st-georges/1266-st-g-tiled-floor

♪ ♪ ♪

リヴァプールで最も知名度が高いアート作品といったら間違いなく、スーパーラ
ムバナナでしょう。
アート好きや文化団体だけでなく、学校、地域コミュニティー、企業やセレブリ
ティーまで幅広く巻き込んだ2008年の<Go Superlambananas>パレードの大成功
は、2008年の欧州文化首都のハイライトのひとつとなりました。
スーパーラムバナナは、紛れもなくリヴァプールのマスコットです。これほどま
で市民に深く浸透したパブリック・アートは稀なのではないかと思います。

そんな中、リヴァプール市と交わされた10年間のリースが2008年の終わりに満
期となり、リヴァプールを離れてマンチェスターに売りに出されるかもしれない
という話が浮上しました。
「マンチェスター? それはありえない!」
とリヴァプールではメディアが中心となって「スーパーラムバナナを救え!」
キャンペーンが繰り広げられ、リヴァプール市議会と作家・太郎知恵藏氏と代理
人の間で半年にわたり交渉が続けられたようです。

最終的な結論としては、オリジナルのスーパーラムバナナは作家本人がキープし、
リヴァプール市が太郎知恵藏さんに同じサイズのレプリカの制作を依頼するとい
うもの。
新しく作られるレプリカは、現在の石膏よりも耐久性のある素材で作られ、80年
のディスプレイ・ライセンスが結ばれると発表がありました。

2月4日(水)、オリジナルのスーパーラムバナナの前にウォーレン・ブラッド
リー市議会リーダーとフィル・レッドモンド氏とともに太郎知恵藏さんが姿を現
しました。

太郎知恵藏さんから、リヴァプールの意外なつながりも伺いました。
お父様が、浅井慎平の写真集「ビートルズ東京」のアート・ディレクターだった
こともあり、幼少のころに、何とお父様に連れられて、武道館でビートルズの日
本公演を鑑賞したそうです!
ご本人も認めるビートルズ・ファンということもあり、リヴァプールには親近感
を感じているとのこと。

ラムバナナの制作にあたっては、当時、リヴァプールについてくまなくリサーチ
をし、タコや鳥などの数パターンのデザインを試みた後、スーパーラムバナナに
至ったそうです。
ラムではなくタコだったらどんなだったでしょうか?

リヴァプールでのラムバナナ・フィーバー現象については、全く予期しなかった
だけに、驚き、嬉しく思っている。
パブリック・アートは人々のためのもの。アーティストのためでも美術史のため
でもない。
アートの未来は人々にとってよりオープンなものだと思います。
かつてはアーティストは宮廷に仕えて、王様に肖像画を描いていましたが、現在
はアーティストは、人々のためにアートを創る。そういった意味で、リヴァプー
ルの人々がこの彫刻を気に入ってくれたことを嬉しく思う。

と、太郎知恵藏さんは語っていました。

ラムバナナのレプリカ制作のために今後またリヴァプールを行き来することにな
るようですが、ニューモデル・ラムバナナの到来を楽しみにしています!
そしてオリジナルの行方はいずこへ。。。??

♪ ♪ ♪

スーパーラムバナナを後にした後、ウィリアムソン・スクエアを通りかかると、
真っ赤なトレーラーが。
その日のダービー・マッチに合わせて、FAカップのスポンサーE.On主催の「FA
カップ・トロフィー・ツアー」なるイベントが開催されていました。

観客は、ウェンブリーのヒーローがFAカップ・ファイナルでとどめのゴールを
決めるまでの足取りを辿り、最後に本物のトロフィーを掲げることができ、その
姿がミニ・ビデオクリップに収められるというもの。

そうこうしているうちに、スペシャルゲストが登場。
元リヴァプールFCのプレイヤーで、初のダービー戦となった1986年のFAカッ
プ決勝戦で、エヴァトンを3−1で下したゴールのうちの2点を決めた張本人で
す。さて、誰でしょう? (答えは写真ページをご覧ください)

この日のスコアもこうなるのかな、などと想像していましたが、延長戦のラスト
ぎりぎりでエヴァトンの勝利となりましたね。残念。 
The FA Cup Trophy Tour:
http://www.facuptrophytour.co.uk./the_experience.php

♪ ♪ ♪

翌日の2月5日には、もう1人のフットボール・レジェンドを見かけました。
テート・リヴァプールで行われた、<Lever Prize Award>の授賞式でのことです。
これは、北西イングランドにおいて世界レベルの文化団体に贈られる名誉ある賞
です。2006年にはリヴァプール・バイエニアルが、昨年はテート・リヴァプー
ルが獲得しました。

今年は、タットン・パーク・バイエニアル(チェシャー:彫刻主体の芸術祭)、
フューチャーソニック(マンチェスター:ニューメディア/音楽フェスティバル)
とナショナル・フットボール・ミュージアム(プレストン:フットボール博物
館)が最終選考に残り、フットボール・ミュージアムが大賞と賞金20,000ポン
ドを獲得しました。

ミュージアム代表者のなかに、トム・フィニーの姿が。
サー・トム・フィニーは、プレストン・ノース・エンドでキャリアのほとんどを
過ごし、1950年代に2度のフットボーラー・オブ・ザ・イヤーに輝いた大物です。
しかもプレストン市では、3月26日を<Sir Tom Finney Day>とし、今年は同日に
ナショナル・フットボール・ミュージアムで《Sir Tom Finney展》が開催される
とのこと。
今回の受賞で、ミュージアムの展示の更なるグレードアップが期待できます。

Lever Prize Award: http://www.nwblt.com/content.asp?id=247&cat=1&type=1
National Football Museum: http://www.nationalfootballmuseum.com/

それではまた再来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish150_photo.html ≫


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