April 20 2010, No.415
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第175号 /
Fields of Hope - Hillsborough - Taste of Spain - Frank Maudsley ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish175_photo.html ≫

こんにちは。
リヴァプールはまだ少し肌寒いものの、爽やかな晴天が続き、春本番です。
また、夏時間に変わっただけでなく、日照時間がぐっと伸びました。午後8時ご
ろになってもまだ暗くなりません。

♪ ♪ ♪

2週間ほど前に、セフトンパークにプチ花見に行ってきました。
桜ではなくラッパ水仙です。池の周りに咲き乱れる真黄色の花は、まるで花絨毯
のようです。

久しぶりのセフトンパークでしたが、近年だいぶ整備されていて、ラッパ水仙の
花が年々増えているような気もしました。
このお花畑は<Fields of Hope>と呼ばれています。
リヴァプールに所在するホスピスMarie Curie Cancer Careが昨年秋に寄付を呼
びかけ、100万個のラッパ水仙の球根が植えられ、この春に花開いたものです。
ラッパ水仙は、このホスピスのロゴでもあり、球根のひとつひとつは癌で亡く
なったひとりひとりに捧げられています。

4月にリヴァプールに来られる方は是非バスに乗って見にいっていただきたい場
所です。

Marie Curies Cancer Care:
http://www.mariecurie.org.uk/supportus/plant_a_million_bulbs/

♪ ♪ ♪

4月15日。今年もまた過去の深い悲しみを振り返る日がやってきました。
1989年、シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムで行われたFAカップ準決勝で、
Liverpool FCのファン96名が命を落とした日です。
この惨事から今年で21年を迎えますが、若い世代の人たちのあいだでもこの悲劇
が風化することないように、市内各地で追悼イベントや黙祷が犠牲者に捧げられ
ました。

今年は4月13日から一週間、地元紙Echoが、本社のあるビルの屋内広場にて、過
去21年間にわたって報道したヒルズボロの悲劇についての記事を96のパネルに収
めて展示していました。
当時マッチ当日の試合後に毎回発行されていた「ピンク・エコー」が伝えた悲劇
の第一報の新聞や、事故翌日の緊急号のネガも見られます。
その記事の内容は、事故の様子、事実究明について、犠牲者や遺族にフォーカス
を当てたパーソナルなストーリーまでが綴られています。

この展覧会は終了してしまいましたが、Echo紙のリンクを添えておきます。
http://www.liverpoolecho.co.uk/liverpool-fc/liverpool-fc-news/2010/04/13/liverpool-echo-exhibition-of-hillsborough-coverage-unveiled-100252-26229284/

♪ ♪ ♪

日付は前後しますが、4月10日と11日の週末、15度を超える陽気の中、
Williamson Squareで行われた《A Taste of Spain》というスパニッシュフェス
ティバルを覗いてきました。
これはスペイン政府観光局がイギリス各地で巡回開催するもので、ちょっとした
スペインの各地の魅力を紹介したストールに加え、1000人分の巨大パエリアの実
演や、ワインやシェリーの試飲やオリーブやチーズの試食、私が通りかかったと
きにはまだやっていませんでしたが、フラメンコのパフォーマンスなどが行われ
ました。

リヴァプールとスペインは、フットボールを通じた言わずと知れた深い関係があ
り、またリヴァプールからスペイン各地へ飛ぶ飛行機も続々増えていて、スペイ
ンは手軽に行けるホリデーデスティネーションとして根強い人気を博しています。

せっかくの大々的なプロモーションも、今はアイスランドの火山灰の影響による
航空機飛行禁止措置で、どうもこうもいかなくなっている状況に陥ってしまって
いるのが非常に残念です。
とにかくまずは一日も早く噴火が収まり、混乱が落ち着いてほしいものです。

A Taste of Spain: http://www.atasteofspain.co.uk/

♪ ♪ ♪

4月15日に、80年代に活躍したリヴァプールのバンドFlock Of Seagullsのベー
シスト、Frank Maudsleyの個展が、マシューストリートのView Two Galleryでス
タートしました。
Flock of Seagullsといえば、シンセとギターの融合したニューウェーブ/
ニューロマンティックスなサウンドと、「シーガルヘア」と呼ばれるバンドの名
前の通り「カモメ」をイメージした奇抜なヘアスタイルで知られています。
もちろん画風がどんななのかも気になりましたが、どんな髪型をしているのか
こっそり期待してしまいました。

Frank Maudsleyは紛れもないスカウサーですが、現在フランス在住、フロックオ
ブシーガル城ならぬ、古城を買いとって、悠々自適なアーティストライフを営ん
でいます。
絵は4歳か5歳ごろから描いていて、とにかく描くことが好きで好きでたまらな
いその情熱は今でもそのままだそうです。

画風は本当に多岐にわたっています。
抽象画、シュールレアリズムっぽいものから、人物画、静物画、コラージュのも
のまで。
中でも印象的だったのが、芸術が爆発している《Big Bang Series》。持ち前の
ユーモアが炸裂したもので、イエスキリスト風の人物像が片手にエレキギター、
もう片手にギネスならず「ゴッドネス」というラベルの缶を持った<JC R.I.P.>
や、Last Supper(最後の晩餐)を模した<Last Consumer(最後のお客さん)>が
縦に並んでいて、しかもその下
にテーブルが設置されて、ろうそくが灯っていて、ドリンクやおつまみが置かれ
ていているなど、なかなか憎い演出をしていました。

この展覧会のタイトル《From Chord to Canvas(コードからキャンヴァスへ)》
もミュージシャンならではで、作品の中にはもちろん音楽ネタも多く登場します。
すでに亡くなったロックスターや有名人を一堂に集めた<Stairway to Heaven>や、
ギターの一部をコラージュにした<Don't Fret>などもさすがでした。

そして気になる髪型はというと、スキンヘッドでした!
ショーマンらしく、気さくでサービス旺盛で、ロックな人という印象を受けまし
た。

ギャラリーをぐるっと見回すと、Frankさんの関心事、考えていること、ユーモア、
頭の中で起こっていることが自然発生的にさまざまなスタイルで現れていて、作
品全体が彼のマインドスケープを見ているような、そんな展覧会でした。

この展覧会は、5月15日まで続きます。

<View Two Gallery>
 23 Mathew Street, Liverpool, L2 6RE
  Tel:0151 236 9444
オープン:木&金/12〜4pm 土/12〜5pm 入場無料 
 ホームページ:
 http://www.viewtwogallery.co.uk/archives/exhibition-from-chord-to-canvas-by-frank-maudsley

♪ ♪ ♪

それではまた次回!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish175_photo.html ≫


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