August 10 2010, No.427
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第181号 / On the Waterfront & Liverpool Pride ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish181_photo.html ≫

こんにちは。
7月の後半から、今年も連日20度を軽く割る肌寒い夏が戻ってきました。
その上、干ばつで貯水池が干上がり、節水のためにホース使用禁止令が敷かれた
にもかかわらず、先月中旬には集中豪雨でリヴァプール各地でも洪水が起こると
いう事態に見舞われました。

テレビでニュースを見ながら、大変なことが起こっているなと思っていた矢先に、
どこからか水が滴る音が…。
まさかと思ったらキッチンから雨漏り!
ポタポタと落ちる音のスピードはどんどん加速して、天井の電気や換気口からも
漏れてきて、驚きました!

おかげで2日ほど天井の電源ナシで過ごしました。後で管理人さんに確認をした
ところ、屋上の排水パイプが詰まり、雨水が貯まってしまったことが原因でした。
非常事態になる前に日頃から家周りの点検は必要だなと実感した出来事でした!

♪ ♪ ♪

今年もリヴァプールではウォーターフロントにて、7月と8月に《Liverpool on
the Waterfront》という野外イベントが開催されました。

7月のイベントでは、16日から18日にかけて、アートとピカソとマリタイムを
テーマにしたパフォーマンスやショーがアルバートドックおよびピアヘッド付近
で行われました。

目玉となったイベントは、初日の16日金曜日と翌日17日土曜日の2回行われた
《A Wave at Picasso》。
これはTate Liverpoolで開催中のピカソ展からインスピレーションを受けて制作
され、アルバートドックの隣のソルトハウス・ドックを舞台に、パイロテクニク
スを駆使したソンエリュミエール(音と光のパフォーマンス)です。
ドックという場所を活かして、水陸両方でドラマチックなパフォーマンスが繰り
広げられました。

その他、この週末の午後には<Sensational Sand Sculpture>が造られました。
ピア・ヘッドに60トンの砂が運び込まれ、今回のピカソ展で多く登場していた平
和のシンボルをイメージした砂の彫刻です。雨風にも負けず、持ちこたえていま
した。

パフォーマンスやショーを作りあげるのは、プロのパフォーマーだけではありま
せん。
18日(日)に行われたもうひとつのハイライト《Mersey Pirate Muster》では、
一般市民がパイレーツ(海賊)に扮して、Echo Arena周辺に集まり、ギネスブッ
ク記録更新に挑みました。
思い思いの解釈で海賊の帽子やギザギザのズボン、アイパッチを身に着け、肩に
はオウムをのせた人々が大勢詰め掛けました。中には市長さんの姿も!

その後マリタイム・ミュージアムの方で大砲が聞こえてきたので、音の方向に歩
いていく間にも、複数の可笑しなパフォーマーと出くわしました。
ミュージアムの目の前のハートレー・ドックでは、海賊の戦いのパフォーマンス
が行われていましたが、人混みが多くてその様子は見えませんでした。
聞こえてきたのは、連発する大砲の音とそれをきいて悲鳴をあげる子供達の声の
みで、耳を押さえて大声で泣きじゃくる子達の姿が印象的でした。

♪ ♪ ♪

8月のOn the Waterfrontのテーマは「ダンス」で、6日から8日の週末にピア
ヘッドにて行われました。
8月7日(土)の午後に行ってきました。
小人の老夫婦の格好をしたパフォーマーやカバが出没して通行人にちょっかいを
出すといった、コミカルなインターベンションの傍らで、定期的に異なるダンス
パフォーマンスが披露されました。

その晩には、8月のイベントだけでなく今年のウォーターフロントのイベントの
切り札とも言える、アルゼンチン出身のダンスカンパニー<Voala>によるショー
が行われました。
歌ありストーリーありのこのパフォーマンスの何よりの魅力は、上空30メートル
での空中浮遊ダンス。歌がスペイン語だったこともあり、歌の内容が分からない
分、ダンスそのものに釘付けになりました。
人間の身体が創りだす絵や模様は本当に魅惑的で、宙吊りになったダンサー達が
ライヴァー・ビルディングのほうへ近づくと、まるで人間シャンデリアのように
も見えました。本当に美しいイベントで、終わった後もまだ魔法にかかったまま
のような余韻がいつまでも感じられた晩となりました。

Voala Project: http://www.voalaproject.com/eng/Home.html

今年のイギリスでは政権交代により、公共投資の著しい削減が発表されました。
特に文化セクターは非常に厳しい状況に置かれており、リヴァプールの文化団体
や博物館および美術館も縮小もしくは閉鎖の危機にさらされています。
こうした市民のためのイベントが来年、さ来年、ずっと先まで続いてくれること
を祈っています。

Liverpool on the Waterfront: http://www.liverpoolonthewaterfront.co.uk/

♪ ♪ ♪

同じく8月7日(土)の午後、リヴァプール中心街はレインボーカラーに染まり
ました。
セント・ジョージズ・ホールやタウン・ホールにも虹色の旗が掲げられ、街じゅ
うがカラフルで笑顔に満ちていました。
ゲイ・レズビアンの祭典《Liverpool Pride》の開催です。
スタート地点であるセント・ジョージズ・ホール前の広場には、LGBTおよびこの
フェスティバルの重要性を理解し賛同する団体や人々が集まり、最終地点である
タウン・ホールへと行進しました。

これまでも《Homotopia》といったフェスティバルが行われてきましたが、こう
した公式パレードはリヴァプールでは今年が初めてです。
2008年、ティーンエイジャーだったMichael Causerがゲイであることを理由に殺
害された日を選び、追悼の気持ちを込めてこの時期に開催することを決定したと
のことです。
それからLGBTコミュニティーが中心となって2年間かけて準備を進め、この日を
迎えました。

ゲイの知人いわく、表通りにゲイバーなどの開店を市が許可することは10年前に
はあり得なかったため、そうした店舗は路地裏にひっそりと身を隠すように営業
しており、ゲイクオーターなるものは存在しなかったそうです。
現在でもまだ偏見や誤解による差別や暴力が完全に消え去った訳ではありません
が、多くの支援を受けて、公の場で人間の多様性を称賛し、平等の権利を訴える
ことができるようになったのは、まさに誇り高い大きなステップだといえると思
います。

このパレードの後も屋外ステージでライブやイベントが週末にかけて続き、大盛
況に終わったようです。
このフェスティバルも間違いなくリヴァプールの恒例イベントカレンダーの一つ
となることでしょう。

Liverpool Pride Festival: http://www.liverpoolpride.co.uk/

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
8月末といえば、Beatle WeekやMathew Street Festivalが開催されますが、こ
れに関連してリヴァプール大学の<Victoria Gallery & Museum>では、故スチュ
アート・サトクリフの恋人で初期のビートルズの表情を数多くとらえたことで知
られる写真家のアストリッド・キルヒアの回顧展が開催されます。
VG&Mホームページ: http://www.liv.ac.uk/vgm/

【オマケの写真】
ビートルズシーズン到来にちなんで、チャーチ・ストリートに出現した「へル
タースケルター」です。曲の歌詞はへヴィーですが、現物は子供達が大はしゃぎ
する螺旋状の滑り台です!

それではまた!

ミナコ・ジャクソン♪


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