October 12 2010, No.433
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第184号 / ジョン・レノン・トリビュート・シーズンの始まり ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish184_photo.html ≫
 
こんにちは。
10月9日のジョン・レノン生誕70周年と12月8日の30回忌を記念して、リヴァ
プール市と博物館<ビートルズ・ストーリー>が中心となって企画した「ジョン・
レノン・トリビュート・シーズン」がスタートしました。

その幕開けとなるメインイベントとして、ショッピングセンターLiverpool ONE
のシャヴァス・パーク(Chavasse Park)で、ジョン・レノンと平和
のために捧げられたヨーロピアン・ピース・モニュメントが、ジョンの長男ジュ
リアン・レノンと前妻のシンシア・レノンによって披露されました。

この記念碑は、米国カリフォルニアに本拠地を置く<The Global Peace
Initiative>の製作によるものです。
この団体では、世界七大陸に一つずつ若い芸術家によって制作された記念碑を贈
呈することで、「芸術を通じて平和のメッセージを発信し、人々がその記念碑に
集まり、平和について考える場を創る」という活動をしています。
すでにアジアではシンガポールで記念碑が発表されており、今回のリヴァプール
ではその第二段階で、ヨーロッパにおけるピース・モニュメントとして設置され
ました。

当初はベルリンに置かれる話があったそうなのですが、ビートルズ・ストーリー
が積極的に誘致し、今回のリヴァプールでの除幕式に至りました。

この式典では、<BBCラジオ・マージーサイド>のロジャー・フィリップスが司会
進行を務め、市長のヘーゼル・ウィリアムズによる歓迎の挨拶の後、<The
Liverpool Signing Choir>という耳の不自由な子供達による合唱団が、手話で
ジョン・レノンおよびビートルズのナンバー「イマジン」、「イン・マイ・ライ
フ」、「リアル・ラヴ」を披露しました。それまでどんよりとしていた空から、
太陽の光りが差し込みました。

その後、グローバル・ピース・イニシアチブ代表のベン・ヴァレンティーとアー
ティストのローレン・ヴォイアーズが、リヴァプール市およびビートルズ・ス
トーリーに記念碑を贈呈します。

そしてジュリアンとシンシアによるスピーチが行われました。
当初はスピーチをするつもりがなかったというジュリアンも、
「私達は、心から父を讃え、平和のために祈るためにここへやってきました。今
日という日を祝うひとりひとりに感謝したいと思います。心をこめて、リアル・
ラヴ。ありがとう」
と述べた後、手話で「愛」を表しました。

シンシアのスピーチです。
「愛と平和については、他にあまり言うことはありませんが、一つ言える事実と
して、ジョンは生涯の中で多くの種を植えました。私にとって最も大切な種は大
きく育って美しい木となりました。それが私の息子です。ジュリアンだけでなく、
ショーンもそうです」

ここでジュリアンが、
「ショーン、誕生日おめでとう」
と付け加え、拍手喝采がありました。シンシアが続けます。
「ショーンが誕生し、ジョンが去っていきました。ジョンのために哀悼するのは
もうやめにしましょう。彼を祝うときがやってきたのです。私達はそのためにこ
こにいるのです。彼の人生を思い起こせば、ポジティブで良いことばかりでした。
ですから、それを満喫してほしいのです。辛気臭くなるのはやめて、彼や彼の曲
から感じられる喜びをかみしめるのです。ありがとうございました」
と温かく語りました。

それまでやや厳粛に行われていたこの式典も、シンシアのスピーチによって、雰
囲気が和らいで祝賀ムードが高まっていった気がします。

いよいよシンシアとジュリアンが記念碑を披露すべく、リボンにハサミを入れま
す。すると白い風船が空に放たれ、彫刻が姿を現しました。

そしてThe Liverpool Signing Choirによる「ギヴ・ピース・ア・チャンス」で
締めくくられました。

このヨーロピアン・ピース・モニュメントは、19歳の女性アーティスト、ローレ
ン・ヴォイアーズ(Lauren Voiers)によるもので、その名も「ピース&ハーモ
ニー」。
地球を表した球体には、空を仰ぐような二つの手から放たれる鳩、ピースマーク
といった平和のシンボルと、偉大なミュージシャンへのトリビュートとして、
ギター、サックス、キーボード、音符、五線譜が飾られていて、この彫刻の天辺
には、ジュリアン・レノンからの要望による白い羽根が添えられています。

このモニュメントは、Liverpool ONEのシャヴァス・パークに常設されています。

Liverpool ONE: http://www.liverpool-one.com/website/liverpool-life.aspx

Beatles Story: http://www.beatlesstory.com/our-attraction/john-lennon-monument.html

Global Peace Initiative: http://www.theglobalpeaceinitiative.com/index.html

♪ ♪ ♪

「ジョン・レノン・トリビュート・シーズン」期間中の62日間、ギャラリー<The
Bluecoat>のロビーにはベッドが設置され、《Bed-in at the Bluecoat》という
イベントが行われます。
非暴力活動を通じて世の中をより良くするというテーマのもとで一般から募った
様々なベッド・イン活動が日替わりで繰り広げられています。

初日の10月9日には、Hayley Newman and the vacuum cleanerが11時間ベッドで
ひたすら踊り続けて平和を想像するというパフォーマンスが行われていたのです
が、始まって数分以内に跳ねすぎてベッドが壊れるというアクシデントに見舞わ
れました。
スタッフが修理をしているあいだもめげずに元気に踊り続ける彼女たちは天晴れ
でした!

日替わりパフォーマンスの様子は、ライヴ・ストリーミングにてご覧になれます。
http://www.livestream.com/thebluecoat

The Bluecoat: http://www.thebluecoat.org.uk/

♪ ♪ ♪

その日の夕方、ジョン・レノンの出生時間が午後6時半と聞いていたので、ちょ
うど我が家からすぐそばにあるジョンの生まれた<リヴァプール・マタニティー・
ホスピタル>跡地へ立ち寄ってみました。
きっとレノン・マニアが集まっているのだろうと思って行ってみると、日中に
ファンが残していったらしい花やハッピーバースデーのバナーがあっただけで、
意外にも誰ひとりいませんでした。
私と旦那だけでひっそりと、バースデーを祝って、その場を後にしました。

70年前にジョンが生まれたときも、こんなふうに薄暗く静けさに包まれた夕暮れ
時だったのかな、と過去に思いを馳せました。
(と書いたら、カズさんから「ジョンが生まれたときはドイツ軍の空襲の真っ最
中だったそうだよ。病院に爆弾が落ちなくてよかったね」とのコメントが。なる
ほど)

♪ ♪ ♪

10月9日から12月9日までのあいだ市を挙げて行われる「ジョン・レノン・トリ
ビュート・シーズン」では、音楽、アート、文学、舞台、ツアー、講演などさま
ざまな角度からジョン・レノンの人生および功績を讃え、そのレガシーを受け継
ぐイベントの数々が用意されています。

音楽では、キャヴァーン・クラブでは連日トリビュートショーが行われるほか、
12月9日には、エコー・アリーナにて《Lennon Remembered》 と題した特別コン
サートがで開催されます。
http://www.echoarena.com/whats_on/lennon_remembered.asp

アルバート・ドックでは、10月23日まで、ビートルズを撮影した写真家ビル・ジ
グマントによる写真が、アルバート・ドックの建物に投影されます。
http://www.albertdock.com/pages/?page_id=1950

ビートルズ・ストーリーでは、インターナショナル・ポエトリー・コンテストを
開催。
http://www.beatlesstory.com/our-attraction/john-lennon-tribute-season-2010/167/169/liverpool-lennon-poet-competition.html

Royal Court Theatreでは、10月15日から11月13日まで《Lennon by Bob Eaton》
というミュージカルが連日行われます。
https://royalcourtliverpool.ticketsolve.com/shows/23498569/events

ジョン・レノン・トリビュート・シーズンのイベント情報はこちらからご覧下さ
い。
http://www.visitliverpool.com/site/whats-on/john-lennon-tribute-season

【今週の告知】
10月15日から、毎年恒例の《Liverpool Irish Festival》が開催されます。
http://www.liverpoolirishfestival.com

それでは!

ミナコ・ジャクソン♪

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish184_photo.html ≫


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