December 28 2010, No.443
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第188号 / Lennon Remembered ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish188_photo.html ≫

こんにちは。
良いクリスマスを過ごされましたでしょうか?
私のところでは、ファミリーでのんびりとしたクリスマスを送り、余韻を楽しん
でいるところです。

今回号では、少し前になりますが、ジョン・レノン30回忌について少し触れて
おきます。

12月8日から9日、リヴァプールではジョン・レノンを偲び、讃えるイベントが
行われました。
8日にはビートルズ博物館「ビートルズ・ストーリー」が中心となって、前夜祭
の祈りが行われました。Liverpool ONEのシャヴァス・パークに設置されたピー
ス・モニュメントには、大勢の人々が詰めかけていました。
私は残念ながら急ぎ足でその場を通り過ぎただけで、実際に体験したわけではな
いのですが、厳かにしめやに行われている様子が伺われました。

地元のフォトグラファー、ピート・カーのブログからその様子がご覧になれます。
John Lennon Vigil in Liverpool One - Pete Carr Photo blog:
 http://blog.petecarr.net/2010/12/09/lennon-vigil-in-liverpool-one/

♪ ♪ ♪

12月9日の日中のブルーコートでは、10月から日替わりで一般参加の「ベッド・
イン」の最終回が行われました。
私が行ったときは、ジョンとヨーコのそっくりさん(?!)が登場したり、ギャ
リーとレナ夫妻とそのお子さんが、1960年代にオノ・ヨーコが披露したパ
フォーマンス「カット・ピース」にちなんで、現代版の「カット・ピース」を
行っていました。

今年の政権交代で、イギリス政府は戦後最大とも言われる著しい歳出削減
(=Cuts)に乗り出しており、自治体、医療、教育、警察、芸術、公共プログラ
ムなどの予算に大きな影響が出ています。そうした事例を挙げながら、政府の動
きにプロテストしていました。

もちろん、オリジナルの「カット・ピース」のように、時折、ハサミを渡された
観客が、ベッドのシーツを切っていました。。。

ブルーコートでの「ベッドイン」の様子は、こちらからご覧になれます。
Bed-in at the Bluecoat:
 http://www.thebluecoat.org.uk/events/view/events/828

♪ ♪ ♪

同じく9日、10月から始まった『ジョン・レノン・トリビュート・シーズン』の
締めくくりとなったメモリアル・コンサート《Lennon Remembered》がEchoア
リーナで行われました。
会場は満席。前半はジョンとかつて一緒にプレイしていたミュージシャンやトリ
ビュートバンドが思い出のナンバーを演奏しました。

ジョンの最初に結成したバンド、ザ・クオリーメンがスキッフルを披露し、ハン
ブルグ時代のメンバーだったトニー・シェリダンが意気揚々に「マイ・ボニー」
を歌い上げました。

その後ビートルズのプレスオフィサーで、アップル社の元CEOトニー・ブラム
ウェルによるスピーチ。
「ジョンは没後、『セント・ジョン』になっちゃったけど、彼にはダークな部分
もあったし、僕から言わせれば聖人なんかじゃない。『イマジン』を書いたとき
も、別に彼は聖人になろうとして書いたわけでもはなく、ジョンにとっては他の
曲と変わらないものだったんだと思う」
と、親しみと愛情をこめて語っていました。

ジョン・レノンと親交のあった生き証人やミュージシャンやのほかには、来年の
5月に米国ロサンゼルスのパラマウント・スタジオで行われる「ザ・ビートル
ズ・セッションズ」(ミュージカル・プロデューサーにジェフ・エメリックを迎
え、アビーロード・スタジオのレコーディングセッションを再現するミュージカ
ル)のキャスティングに抜擢されたトリビュートミュージシャンによるプレ
ヴューがお披露目となり、初期から後期のナンバーが演奏されました。

このミュージカルですが、今年の4月にリヴァプール、ロンドン、ロス、ニュー
ヨークでオーディションが行われ、メンバーのうちの4人がリヴァプール出身。
司会の人が、「来年の5月から、キャヴァーンのレジデント・ミュージシャンが
ロスに行っていなくなってしまうので、来年以降キャヴァーンで仕事したい人は
今がチャンスですよ」などと冗談を言って会場が沸きました。

ベテランのメンバーに交じって話題に上がったのが、最年少のジョッシュ・フェ
リガン。
キャヴァーンの前でバスキング(街頭演奏)をしていたところ、オーディション
に引きずり込まれて、数曲を演奏したら、ハリウッド行きが決まってしまったと
いうサクセスストーリーが生まれました。

ロンドンのアビーロード前の横断歩道が英国の歴史的文化遺産の指定を受けたば
かりですが、まだまだビートルズにちなんだ話題は続きそうです。

幕間をはさんで、後半はリヴァプール生まれの俳優マーク・マクガンによる舞台
が繰り広げられました。
マーク・マクガンは、マクガン・ブラザーズの一人で、8月の「ビートル・
ウィーク」期間中にフィルハーモニック・ホールで上演した『ジョン・レノン:
イン・マイ・ライフ』のカムバック公演です。

音楽を交えながら一人称で語るモノローグは、このコンサートのハイライトと
言っても過言ではありませんでした。
その証拠に彼のパフォーマンスが終わると、スタンディング・オべーションでし
た。とりわけジョン・レノンに外見が似てるわけでも、似せようと着飾ったり役
を作りこんだりしてるわけではないにもかかわらずが、セリフにも歌にも、まる
で魂にジョンが宿ったように、観る側がすーっとその世界に入っていけるような
自然さとパワーがあり、心を揺さぶるものがありました。

選曲もよかったです。
ビートルズ時代からソロにかけての曲そのものが、ジョン・レノンのライフスト
リーを物語っていました。

途中、舞台ミュージシャンに交じって、プラスティック・オノ・バンドのドラ
マーのアラン・ホワイトが登場してパワフルにドラムを披露し、バッドフィン
ガーのメンバーでジョン・レノンの「イマジン」のレコーディングに参加した
ジョーイ・モーランドがギターで加わり、ニューヨーク時代のジョン・レノンの
ソロアルバムを数々手掛けたエンジニアのデニス・フェランテが舞台の袖で渋
くミキシングデッキをいじっていました。

そしてジョン・レノンの母校だったダヴデイル小学校の子供達が合唱団として加
わり、すべての出演者がステージに上がって、ラストはお約束の「ギヴ・ピー
ス・ア・チャンス」で締めくくられました。

まさにコンサート名の通り、スキッフルからソロ時代までのジョン・レノンの人
生と音楽を回顧するイベントだったと思います。

Lennon Remembered:
 http://www.echoarena.com/whats_on/lennon_remembered.asp

残念ながらこの様子の写真はあまりありませんが、地元紙のデイリー・ポストか
ら写真が見られますので、こちらのリンクからご覧下さい。
http://www.liverpooldailypost.co.uk/multimedia/arts-and-culture/images/2010/12/10/lennon-remembered-at-liverpool-s-echo-arena-pics-gareth-jones-and-david-munn-92534-27803903/

♪ ♪ ♪

2010年も終わりに近づきました。そして2011年のリヴァプールのテーマは、
'Social Justice and City of Radicals' です。
「社会公正と過激派の街」とでも訳せるでしょうか。
この街で繰り広げられてきたラディカリズムを文化的、社会的、政治的な観点で
検証する一年となります。

景気後退から抜けきれないなかで、厳しい歳出削減、ついでにVAT(付加価値税)
が1月から17.5%から20%にアップするというような、暗いニュースが多い今
日この頃ですが、リヴァプール人のラディカルなアプローチ&ユーモアでどうに
か切り抜ける糸口が見つかったら良いものです。

それでは、2011年が皆様にとって健康で素晴らしい一年となりますように。
来年もよろしくお願いいたします。

ミナコ・ジャクソン♪

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish188_photo.html ≫


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