May 24 2011, No.460
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第195号 / From Liverpool For Japan ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish195_photo.html ≫

こんにちは。
最高気温が20度を軽く超し、夏の晴天の続いた4月とは打って変わって、5月
は、初旬まではその陽気が持続したものの、その後はどんよりとした風の強いい
つものリヴァプールに逆戻りしています。

前回に続き今回も、リヴァプールで行われた東日本大震災チャリティイベントに
ついてお知らせしたいと思います。

まずは、5月2日に行われた、リヴァプールが誇る日本食レストラン「悦」主催
による《Japan Fun Day》。
ピアヘッドから道を隔てたところにある「悦」では、屋外スペースで焼き鳥や野
菜串その他の食べ物の販売(炭焼きの香ばしい煙に誘われて、長蛇の列が途切れ
ることがありませんでした!)や、本格的な剣道や和太鼓のデモンストレーショ
ンから、コミカルな着ぐるみ姿で取っ組み合いをするお相撲まで、様々なアク
ティビティが繰り広げられる一方、向かいの屋内スペースで書道、折り紙、写真
コーナー、和風グッズの販売など、そしてレストラン内では「悦」の名寿司職人
直伝の巻き寿司ワークショップが行われました。

この《Japan Fun Day》が開催された背景には、スタッフの一人のご実家が今回
の地震と津波で壊滅的被害に遭われたこと、そしてレストランのオーナーのご家
族も東北とゆかりが深いということもあり、被災地で暮らす人達に、何とか直接
的な形で支援をしたいという強い気持ちがこのイベント開催の原動力となったよ
うです。
レストランの運営と平行しながらの準備は、並々ならぬご苦労だったに違いあり
ません。
このイベントの収益金はなんと、総額7,000ポンドに上ったそうです!

清々しい青空に恵まれて、本当に大勢の人達が詰めかけ、大きな鯉のぼりが気持
ち良さそうに空を泳いでいました。
子供のころに行った日本のお祭りを彷彿をさせる和やかさがあり、ここリヴァ
プールで懐かしい感覚になりました。
楽しいイベントでした。また現地のリヴァプールの人達にとっては、日本の食べ
物や文化を味わう素晴らしい機会になったことと思います。

Etsu Japanese Restaurant: http://www.etsu-restaurant.co.uk/

♪ ♪ ♪ 

5月7日(土)、Wolstenholme Creative Spaceにて、《FIESTA OBSCENIC 2011》
が開催されました。
これは、東日本大震災とリビア情勢における赤十字による救援活動を支援する目
的で行われたもので、30組もの地元のバンドやミュージシャンが正午から晩まで
プレイしました。
私達は長居できなかったのですが、お目当ての女の子3人組バンド<Stealing
Sheep>だけしっかり鑑賞してきました。もっと他のバンドもいっぱい観たかった
です。

Stealing Sheep: http://www.stealingsheep.co.uk

FIESTA OBSCENIC 2011:
http://www.peterguy.merseyblogs.co.uk/2011/05/getintothis-previews-the-one-d.html 

他のライブの写真は、BBC News のホームページをどうぞ。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-merseyside-13394085

そしてKeith Ainsworth撮影の写真がここにアップされています。

http://www.flickr.com/photos/21381597@N02/sets/72157626683314210/with/5703567477/

♪ ♪ ♪

5月12日(木)は、3345 Parr Streetのラウンジーなバー<Studio2>にて、《ART
AID Auction Liverpool for Japan》を開催。
こちらは、3345 Parr Streetのオーナーで市議会議員でもあるGary Millar氏と、
Perfectly Frankという名でフランク・シナトラのインパーソネーターとして活
躍する傍らアーティストとしての
活動を行っているDavid Knopov、そして私と旦那で運営するArtinliverpoolの
共同開催によるものです。
12名の選りすぐりのアーティストによる作品15点がオークションにかけられま
した。オークショネアはGaryが務めました。

ハイライトとしては、リヴァプールでも著名な詩人、アーティストだったAdrian
Henri(リヴァプールの国立博物館からもバイヤーが来ました!)、リヴァプール
出身で全国的に活躍する脚本家Willy Russell、戦場カメラマンJudah Passowの
作品が挙げられます。
私達も、全国紙からの依頼を受けているイラストレーターのMark Harrisonによ
るユーモアたっぷりでポップなペンシル画と、Bernadette O'Tooleの美しい抽
象画を購入しました。

このイベントからは、2,000ポンド以上の収益を上げ、「ブリティッシュ・レッ
ド・クロス・ジャパン・ツナミ・アピール」に寄付されました。

ART AID Auction Liverpool for Japan: http://www.artinliverpool.com/?p=18635

♪ ♪ ♪

5月14日(土)は、在英日本人と、リヴァプールのクリエイティブ・コミュニ
ティが共同で開催した《Smiles For Japan》が行われました。
すべては、震災から数週間経った後に、リヴァプールおよび近郊に住む友人達と
集まって、何かできないかとアイディアを出し合い、家族連れが楽しめるこじん
まりとしたイベントを開こうという話になったことに始まります。
子供向けの映画の上映も視野に入れていたので、シネマ施設や多目的スペースを
擁するCUC Liverpoolのクリエイティブダイレクターにメールをしたところ、30
分も経たないうちに二つ返事で引き受けてくれました。
会場を無償で提供してくれただけでなく、イベントオーガナイザーのThreshold
も巻き込んで、日中のファミリー・フレンドリーイベントと夜のライブイベント
という構成で共同開催をしてくれるという運びになりました。

その後も日本向けのチャリティイベントをやりたいと考えてた現地の人達も加わ
り、5週間に渡って毎週水曜日に全体ミーティングを行い、イベントを形成づけ
ていきました。
日本人グループのほうは、この地域に住む日本人住民それぞれのネットワークを
伝ってさらに広く参加者を呼びかけて、マージーサイドの日本人住民だけでなく、
中にはチェスター、マンチェスター、ブラックバーン、そしてさらに遠いところ
でテルフォードから駆けつけてくださった方々までいました。
担当セクションごとに班に分かれて、それぞれの内容を固めていきました。

コンセプトは、文字通り、リヴァプールから日本へ笑顔を送ろうというもの。
会場は、CUC Liverpool の4階部分にある、イベントのハブとなる多目的スペー
スと、パフォーマンススペース、シネマ、メザニンというラウンジスペースを使
用しました。

不機嫌な空模様と強風の中、一時はどうなるかと思いましたが、開始直後から
徐々に人が入り始め、一時間ほどを過ぎた頃からメインの会場は来場者で賑わい
だし、不安も吹き飛びました。一旦始まってしまった後は、あれよあれよという
うちに時間が過ぎていきました。会場には参加者、来客者のたくさんの笑顔が見
られました。

日本人チームが担当したセクションは、日中に行われたアクティビティでした。
Jジャンブルセール(日本の物を集めたバザー)、書道、千羽鶴チャレンジ、ガ
ンバレ東北写真コーナー(日本人チームが写真コーナーの背景を制作と浴衣の着
付けを担当、撮影は、地元で活躍するフォトグラファー達が担当)、ホームメー
ドの日本食の販売、ビンテージ着物&着物アクセサリー、手作りの工芸品の販売、
リヴァプールで留学中の日本人アーティストのミニ展示コーナー、フェイスペイ
ンティング、日本の昔話をテーマにしたストーリーテリング、そして募金チーム
に分かれて、参加者それぞれが得意分野を存分に活かし、見事なチームワークで、
仕込みやセッティング、運営までをこなしました。

この他、DJがジャパネスクな選曲でプレイし、リヴァプールを拠点とするアー
ティストのEmily Speedが全国のアーティストに呼びかけて寄付された作品や工
芸品、アーティストブックなどを販売するMade For Japanのストール、そして
来場者が手描きのオリジナルバッジを作ったりSmiles For Japanオリジナル
バッジをその場で作ってくれたバッジメーカーも来てくれました。

日中のパフォーマンスプログラムは、China Pearlによるダンス、Edge Forward
のパフォーマンス、悦のイベントで出演していたLiverpool Kendo Clubによる
剣道のデモンストレーション、CUC Choirによる歌の披露がパフォーマンス・ス
ペースで行われ、こちらも大入りでした。

日中のイベントが5時に終了すると同時に、メザニンではアコースティック・
セッションがスタートし、Jazamin Sinclair、David Masson、Jo Bywater、
Fabian Rothschildeが出演。

夜の部のギグが7時半から同スペースで行われ、リヴァプール在住のパフォー
マー鈴木智子さんが着物姿で、リチャードさんがイルカ姿で登場し、司会進行を
務めました。
メインアクトに注目の若手バンドMan Get Outを迎え、その他、前日に出演を承
諾してくれたThe Big House(ズートンズのギタリストPaul Molloyとシンガー
Candie Payneのデュオ)、Ian Dunn
(アコースティック/フォーク)、Mashemon (エレクトロ系デュオ)がそれぞれ
素晴らしい演奏を披露してくれました。

準備段階で何度か出演者に変更がありましたが、最終的に本当に良いアクトが揃
い、感謝感激です。Smiles For Japanのイベントは、心地良い雰囲気の中で締め
くくられました。

このイベントでは、総額£3,408の収益金が集まり、「ブリティッシュ・レッド・
クロス・ジャパン・ツナミ・アピール」に寄付をしました。

このイベントが素晴らしい形で成功して、安堵感と達成感で満たされましたが、
作り上げるプロセスもまた感動の連続でした。
何かをやりたいと思う人達やイベントの趣旨に共感した人達が次々と現れ、それ
ぞれの参加者のもつネットワークを通じて新しい出会いがあり、雪だるま式にそ
の輪が大きくなっていくのが実感できました。
このサイズのイベントが予算なしで実現できたのは、ひとえに様々な形でこのイ
ベントに関わった全ての人たちのやりたいという気持ち、善意、寛大な支援によ
るものです。

準備に多大な時間と労力を費やした全体のオーガナイザーと参加者と会場スタッ
フ。
無償でパフォーマンスをしてくれた出演者。当日駆けつけてくれたボランティア
の方たち。
素敵な新ロゴをデザインしてくれたデザイナー、そのロゴを引き伸ばして印刷し
て巨大なバナーを作ってくれた上にチラシの印刷代も出してくれた地元自営業の
オーナー、そのチラシを配布してくれた会社。
飾りつけの小物や食品チームの器具の貸与に加えアイディアやリソースをシェア
してくれたレストラン「悦」、ラッフル(福引)の賞品を提供してくれた地元の
文化団体や企業、アーティスト、そしてキング・オブ・コメディーのKen Dodd
氏まで!

またイベント前と後にそれぞれトップページにこのイベントをフィーチャーして
くれたLiverpool Daily Postと、イベント前後にフィーチャーしてくれた
Liverpool Echo。
各ウェブサイトでイベントの告知を掲載したりツイッターで拡散してくれた個人
や団体。このイベントに足を運んでくれた全ての来場者。
また、イベントには来れないけど、せめて寄付はしたいと小切手を送ってくれた
人達。感謝の念は尽きません。

今回のイベントは、素晴らしいイベントとして成立したこと、寄付金をたくさん
集められたことだけでなく、英国メディアから日本の被災地の状況が報道されな
くなってきた今、被災地の復興には長期的な支援が必要だということを思い出し
てもらおうというメッセージが広がったという点でも意義があったと思います。
今のところ特に次のイベントは企画していませんが、引き続きLiverpool For
Japanのホームページを通じて、メッセージを発信し続けたいと思います。

Smiles For Japan: http://www.liverpoolforjapan.com/?p=494

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
歴史ある文化複合施設のブルーコートに、なんとリヴァプールFCがギャラリー
をオープンしました。その名も<The Reds Gallery>。
第一回の展覧会のテーマは《The Famous LFC Boot Room》で、8月11日まで続
きます。
その後も展示は定期的に入れ替わる模様です。ギャラリーのホームページも近日
開通の予定です。次回のゴールドフィッシュで詳しくお伝えします。
The Reds Gallery opened at The Bluecoat: http://www.liverpoolfc.tv/redsgallery

【現在開催中のイベント】
初のフォトグラフィーフェスティバル《Look11 Photography Festival》が、6
月26日まで市内各所で開催中です。
http://www.look2011.co.uk/

今年で第4回を迎える《Liverpool Art Prize》は、今年も世界最古の現役旅客
鉄道駅のプラットフォーム1にあるギャラリー<Metal at Edge Hill Station>に
て、6月11日まで開催。

それではまた!

ミナコ・ジャクソン♪

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish195_photo.html ≫


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