September 20 2011, No.475
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第199号 / On the Waterfront & One Night Only ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish199_photo.html ≫

こんにちは。
寒い8月が過ぎて、9月に入った途端に温暖で晴れ間が多々見られ、快適な気候
が続くリヴァプールです。

9月8日から15日まで、ピアヘッドおよびアルバートドックでは「海洋」を
テーマにした《オン・ザ・ウォーターフロント》の第三弾が開催されました。
このイベントは、キュナード社の最新航路客船クイーンエリザベス号の寄港でス
タートし、クイーンメアリー号がリヴァプールを発って締めくくられました。

9月8日(木)、クイーンエリザベス号がリヴァプールのクルーズライナーター
ミナルに到着した朝は、霧笛がホープストリート近辺まで聞こえてきました。
リタイアしたQE2を2万トン上回る92,000トンという総トン数のこの船は、あ
えてQE3とは呼ばずに、元祖クイーンエリザベス号の華やかな栄光と精神を受け
継ぐ名称となっていて、大きいだけでなく外観もエレガントでした。おそらく中
はもっとゴージャスなことでしょう。

週末は、ピアヘッドでは様々なエンターテインメントが、アルバートドック周辺
ではトールシップも登場し、賑わいました。9月15日には、さらにビッグなク
イーンメアリー2が寄港し、対岸のニューブライトンからも見えるほどの大きさ
で驚きました。QEそしてQM2ともに、リヴァプールを去る前には見送るように
花火が打ち上げられ、我が家の窓からも見えました。

On The Waterfront: http://www.liverpoolonthewaterfront.co.uk/8-15-sept/

♪ ♪ ♪

2008年の世界金融危機による不景気から脱しきれないまま、イギリス保守政権に
よる大幅な公共支出削減や欧州の金融不安が重なり、厳しさがこれまでになく現
実味を増している気がします。

文化団体の助成金カットで大きな打撃を受けたのが、<アーバン・ストロベリー・
ランチ(USL)>です。
80年代からリサイクル素材を使った自作の楽器で奏でるパフォーマンスや、コ
ミュニティに根ざしたワークショップなどを繰り広げるグループで、<ボムド・
アウト・チャーチ(正式名セント・ルークス・チャーチ)>に拠点を置き、荒れ
放題だったこの場所を文化活動を通じて活性化してきました。

ボムド・アウト・チャーチは、第二次世界大戦のドイツ軍による爆撃で外壁のみ
が残った空洞の教会です。
この空間の持つパワーに、多くのアーティストやミュージシャンが惹きつけられ、
展覧会やライブが行われきました。

9月9日(土)の晩、《ワン・ナイト・オンリー》と題したUSLとボムド・アウ
ト・チャーチの活動を支援するためのチャリティーイベントが行われました。
かつてここで展覧会を行った<FABコレクティブ>がチャリティーオークションを
開き、その後、コーラスグループの<ホープ・ストリート・ハーモニーズ>、ファ
ビアン・ロスチャイルド、<マーヴィン・ガーシュ>、そして<シャック>のジョン・
ヘッドが駆けつけ、ライブ出演しました。誰もがこの場所に特別な思い入れのあ
る人達です。

この晩は運よく天気も良好で温暖で、夜風が心地よかったことも手伝って、本当
に素晴らしい夜でした。

ちょうどファビアン・ロスチャイルドの終わる頃に着いて、ホープ・ストリー
ト・ハーモニーズが誰もが知ってるお馴染みのカバー曲を熱唱。
その次のマーヴィン・ガーシュは、リヴァプール出身の4ピースバンド。音楽的
には、<ザ・コーラル>を彷彿させるようなメロディーやコーラスワークの爽やか
なナンバーがあったかと思えば、漫画のようなコミカルなセンスが炸裂した曲ま
であり盛りだくさんです。MCも最高に面白おかしく、いつまでも観ていたい楽し
いショーでした。
10月にはミニアルバムがリリースされるそうですので、お楽しみに!

Mervin Gersh: http://www.mervingersh.com/

最後は、80年代後半から活躍するリヴァプールのバンド、シャックのヘッド兄弟
の一人でリードギタリストのジョン・ヘッドが、同じくシャックのドラマーのイ
アン・テンプルトンを迎えてソロのアコースティックセットを披露しました。
マーヴィン・ガーシュのハイパーなステージとは打って変わって、ジョンの繊細
なヴォイスとギターと、響き渡るパーカッションの音色が、ボムド・アウト・
チャーチの壁に映し出される照明とともに建物の存在感をより強く感じさせてく
れるものがありました。美しくて思わず見入ってしまう光景でした。

Shack: http://www.shacknet.co.uk/

オークションだけで1000ポンド以上の収益を上げ、総額2000ポンド以上が集
まったそうです。
まだまだ道のりは長いと思いますが、USLの活動が持続的に可能となるような道
が開けてくれることを心から願ってます。

Urban Strawberry Lunch: http://www.usl.org.uk/

♪ ♪ ♪

【今号の告知】
この週末は《ボールド・ストリート・フェスティバル》が開催されます。
昨年まで1日だったこのイベントは2日間に拡大し、9月24日(土)は主に商
店の屋内で行われますが、メインの25日(日)は歩行者天国となり、様々な屋
外イベントが用意されています。
http://www.ropewalksliverpool.com/blog/view/bold-street-festival-details-revield

翌週のボールド・ストリートもまだまだパワフルです。
ニューシネマとデジタル・アートの祭典《ANDフェスティバル(Abandon Normal
Devices Festival)》がFACTを中心とした複数の会場で開催されます。
http://www.andfestival.org.uk/

10月28日から11月13日は、《リヴァプール・ミュージック・ウィーク》です。
http://www.liverpoolmusicweek.co.uk/

イベント以外の話題で、あと2つ。
ロンドンにはオイスターカード、日本にはスイカ、香港にはオクトパスカードが
ありますが、9月19日、リヴァプールでもスマートカードが発表されました。
その名も<ウォルラス・カード>。
当面は、年間トリオパス(定期券)がウォルラス・カードに切り替えられるよう
にるだけで、トップアップ機能ついたプリペイドカードとして実用化されるのは
2013年からということなので、ちょっと先の話なのが残念ですが、首を長くして
待つしかありませんね。
http://www.merseytravel.gov.uk/newsarticle.asp?articleid=1866&catid=1

最後に、最近開始されたばかりのリヴァプールの新しい参加型マーケティング
キャンペーン《It's Liverpool》。
"it's Liverpool", "I'm Liverpool"をキーワードに、この街の人々の声やス
トーリーを通じて、リヴァプールの観光、投資、就学、就職の魅力を伝えるとい
うものです。 http://www.itsliverpool.com/
プロモーショナルビデオで、フロック・オブ・シーガルズの"Wishing (If I Had
a Photograph of You)"のカバーバージョンをBGMに、リヴァプールがちょっと
素敵に見えるビデオが制作されてますので、是非ご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=CQ6Pkx80Fio

それではまた!

ミナコ・ジャクソン

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish199_photo.html ≫


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