February 14 2006, No.238
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第40回  「 Love Love Love 」 ― 

バレンタインですね。
こちらもお店ではバレンタイン用のカードやグッズのコーナーがあった
り、レストランでもバレンタインディナーの予約をとっていたり、あの
ウォーカー美術館ではなんとシングルズナイト(合コン?)まで行われ
ていたようです。
私の周りの人間はそれほど大騒ぎはしていないようですし、私もどちら
かというとどうでもいいほうですが、真っ赤なハートが街中に飾られて
いるのを見るのもそんなに悪いものではないので、この号ではちょっと
だけ乗っかっちゃおうと思います。

金曜日は、Renshaw Street と Mount Pleasant の間の一本小道
Upper Newington にある Domino Gallery で、"Be My Valentine" 展が
行われました。
ここは、昼間は Greenfish Cafe というベジタリアンカ
フェ。LIPA卒業生で日本で大活躍しているミュージシャ
ン、Akeboshi 君の曲の中にも登場してるんですよ。水
曜日の昼にはハープ弾きのスタンの演奏も聴けます。
ここもオススメのカフェです。

今回の展覧会では、8人アーティストが参加し、作品はポートレート、
抽象、写真、テキスタイルなどバラエティーに富んでいて、もっとバレン
タインにちなんでメルヘンチックなコレクションなのかと思いましたが、
意外にしっとりとしたメローなトーンの作品が多く、逆にロマンチックな
効果があるのかもしれません。
写真家であり、スカウスなまり研究家でもある Michael
Pace-Sigge(15号の "HOTFOOT" コンサートでのカメ
ラマンでもあります)と、アーティストであり、ギャラリー
オーナーの Felicity のツーショットを撮ろうとしたら、い
つのまにか他の参加アーティストも集まって、にぎやか
な集合写真となりました。
この展覧会は、3月25日まで続きます。

 < Domino Gallery / Green Fish Cafe >
  11 Upper Newington, Liverpool
  電話:0151 707 0764
  オープン:月曜日〜土曜日 11:00am - 5:30pm


土曜日に、Smithdown Road にある、Urban Coffee Lounge というカ
フェに行きました。
ここは、2004年のリヴァプール・バイエニアルにも会場のひとつとして
参加した、ギャラリーカフェです。ペニーレーンからも徒歩圏で、日曜日
の昼下がりにのんびりとカフェラテなどをすするのに最適な場所です。

だいぶ前にお茶をしに入ったときに、ガラスケースの中に、「コレは!」
と目をひくパッケージの石鹸を発見。その名も "Scouse Soap" 。
ライヴァー・ビルディングのロゴに、"You'll Never Wash
Alone", "Calm Down Calm Down", "All You Need Is
Lavender", "Scrubber Soul" など、思わずクスッと笑い
をさそう最高なネーミングの数々です。
その後暫く忘れかけていたのですが、先週ふと何かの
拍子で思い出して、記憶をたよりにホームページを見て
「もっと知りたいかも!」と思い、その場で電話をしてみました。

Scouse Soap Company( http://www.scousesoap.co.uk )を運営する
だけでなく、石鹸づくりからパッケージまですべてを手がけている、
Jane さん。ユーモアたっぷりで明るい女の子という印象が電話口から
も伝わってきました。
その後、資料などをいろいろ送ってもらったのですが、
ますます興味が湧いて、土曜日に Urban Coffee
Lounge に会いにいったというわけです。

Jane さんは、マージー川の向こう側のウィラルで育ち、
今もそこで石鹸作りをしています。
この石鹸は、パッケージが可愛いくて面白いだけじゃないんですよ。
原料は、すべて100%ナチュラルで手作り。1ロット完成するのに4週
間かかるそうです。
この石鹸のシリーズは、イギリス初のパームオイル・フリー、しかも一
個につき10ペンスを、オランウータン基金に寄付をしているそうです。

これは話をきいて初めて知ったのですが、石鹸の原料となるアブラヤ
シのプランテーションの拡大、熱帯雨林の伐採が、オランウータンの
生息に危機をもたらしているのだそうです。Jane さんは、それを知っ
てこのシリーズを作ることにしたそうです。

また Janeさんは、大のビートルズファンであるお母さんから多大な影
響を受けたようです。
ちなみにお母さんは、当時のキャヴァーンクラブでのビートルズのライ
ブの様子を伝えた新聞の写真で、グルーピーたちにのなかにしっかり
写っているそうです。
"Scouse Soap" 各種のネーミングは、お気づきのとおり、こうしたリ
ヴァプールを含めたマージーサイドを象徴しています。そうした元ネタ
をさらに笑いに変えてしまうというユーモアのセンスも、とってもスカウ
サーならではですね。

Jane さんの石鹸には、使う人々、環境、そして原料の作られる土地に
棲息する動物に対するやさしさと、自分の育ったマージーサイド、家族
への愛情が込められています。

マージーサイドでハンドメイドで作られた"Scouse Soap" は、以下の場
所で購入できます。どちらかというと男っぽいグッズの多いリヴァプー
ルですが、女の子にもうれしいお土産になりそうですね。

 < City Centre >
  08 Place ( Whitechapel )
  News From Nowhere( Bold Street)

 < outside City Centre >
  Urban Coffee Lounge( 349 Smithdown Road )
  電話:0151 734 2624 (cafe)
  アクセス: バス86番に乗り、ASDAを過ぎて一つ目の停留所。大き
        な文字の看板が見えます。

 < internet >
  http://www.scousesoap.co.uk
  jane@littlesatsuma.com

ちなみに、これから数ヶ月のあいだに、Urban Coffee Lounge のとなり
に、Jane さん自らアロマセラピーやマッサージなどを提供する、ホリス
ティックセラピールームがオープンする予定です。


最後になりますが、新しくなった(といってもだいぶ前になりますが)パ
ラダイス・ストリートのバスターミナルに隣接した工事現場の囲いに、
ストリート・アートが飾られています。
36号で紹介した Met Quarter よりも前から展示されて
いるのですが、バレンタインにぴったりなのでたくさん
写真を撮ってきました。
去年 Tate Liverpool でサイケデリック・アートのコレクシ
ョン "Summer of Love" 展が行われたときに、プロジェ
クトの一環で国際交流カンファレンスが行われ、ヨー
ロッパ5ヶ国から集まった若者たちが描いた作品です。

リヴァプールより愛をこめて。それではまた来週!

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish40_photo.htm )


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