April 11 2006, No.246
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第47回 / 「 Merseyside Derby 観戦レポート」 ― 

こんにちは!
先週の木曜日に帰国をしまして、ようやく時差ボケからあけたところで
す。
ちょうど桜の時期の帰国で、日曜日には東京の中目黒で、目黒川沿
いを缶ビール持参でぷらぷらと散策しました。本当にいい季節ですね!

約一ヶ月の帰国となるため、ゴールドフィッシュだよりは5月までお休
みとさせて頂きます。ごめんなさい!

その間、最近リヴァプールを訪れた友人に寄稿をお願いしています。
また違った角度からのリヴァプールが見えてくるかもしれませんので
楽しみにしていてください!

今週は3月25日に行なわれた、リヴァプール vs エヴァトンの怨念の
マージーサイド・ダービー戦特集です。今回もまたまた名物スカウサー、
トミーさんの登場です!

トミーさんにとって初めてのアンフィールドでのダービーマッチ観戦とい
うことで、これまでになく燃え上がっていました。トラブル続出の中での
快勝ということで、めでたしめでたしでした。
それではトミーさんのレポート、お楽しみください!

ウエダミナコ


Scouse House Review ************************************
    〜 LIVERPOOL vs EVERTON 25th March 2006 〜
            text; Tom Calderbank translation; minako & Kaz

僕はダービー戦が大好きだ。そして大嫌いでもある。
この特別な対戦にはひどく恐ろしい一面があって、この日ばかりはス
カウス・ユニティが壊れて街がほとんど内戦状態になってしまう。
とはいえ、シーズンの中で絶対に見逃せない試合のひとつだし(マンU
戦もそうだ)、観に行けることになって本当に嬉しかったよ。
「スカウス・ハウス」のナイスな人たちに感謝!

キックオフ直前に到着してしまったから、その日最高のシャッターチャ
ンスを逃してしまった。
2人のティーンエイジの女の子が抱き合ったシーン。ひとりは赤、もう
ひとりは青のキット姿だったんだ。ネッキングまでしてくれたらもう完璧
だったんだけどね、僕的には。

そうそう、家を出る前にうちの息子がね、「3ー1でリヴァプールが勝つ
ほうに賭けなよ」って言ったんだ。遅くなっちゃったからブッキーに行く
時間がなかったんだけど。。。

到着して、席に滑り込む。アトモスフィアはアメイジングだったね。旗、
バナー、ノイズそして歌声…「ディス・イズ・アンフィールド」だよ、マイ・フ
レンズ。
この信じられないような、赤と白の海。レッズが海とすれば、ブルーズ
はほんの水たまりだ。エヴァトン・ファンには何席が割り当てられたん
だろう。もちろんホーム・アドヴァンテージってのはわかるし、それはど
こも同じなんだけど、これだけ差があるとちょっとフェアじゃない気がす
るけどね。


さあ、試合が始まった。ゴー・オン!

序盤はエヴァトンのプレスが効いていた。グラウンドでドラマが展開す
るたびにスタンドからは大きなどよめきが起きる。
スティーヴィー・Gとジェイムズ・ビーティーは、ともに '08' の背番号をつ
けていた。この街が舞台となる 'Capital of Culture 2008' への、両クラ
ブのサポートの証として。

17分にミスター・Gが2枚目の警告で退場になってしまうと、まるでここ
の天気のように雰囲気が一変した。
僕たちは激怒し、ブルーズは熱狂した。そのときに、レッズ・ファンの何
人かが、ブルーズ・ファンの頭の上にものを投げはじめたのだ。
さきほどお話したように、エヴァトン・ファンには限られた席数があてが
われただけだった。つまり、アンフィールド・ロード・スタンドの端っこに
かたまっている彼らの上は、みんなレッズ・ファンだ。これが一部の群
集が問題を起こすきっかけとなってしまった。

我がチームは、心臓部であるスティーヴィーを欠いても、なんとかなっ
た。ベニテスの元でいかに成長したかってことだね。
ハーフタイム直前のフィル・ネヴィルのオウン・ゴールに、僕らは大喜
びした。そしてあの雄大なルイス・ガルシアのチッピング。
これで2−0だ!!

ティム・カーヒルの得点でエヴァトンが1点を返し、試合はさらに白熱す
る。
サミ・ヒーピアのゴールはオフサイドになってしまったけど、それでも僕
らは賞賛した。
そして、ほとんど犯罪的なほどの中傷や過小評価を受けているハリー・
キューウェルが輝くようなボレーを放ち、彼らにとどめを刺した。イエー
ス!

コッパイトからは、 "10 men! We've only got 10 men!" のチャントが歌
われた。
それは、終了20分前にアンディ・ファン・デル・メイデが退場になって、
両チームが同数になっても続いた。試合の殆どを少ない人数で戦った
のは、リヴァプールの方だったしね。

ファン・デル・メイデの退場は、完全に妥当だった。あれは誰もが認め
るこの日の「マン・オブ・ザ・マッチ」、シャビ・アロンゾのほお骨を砕き
かねないプレイだったから。
ミッドフィールドを駆け回り、試合を最高潮に盛り上げたシャビ・アロン
ゾだけど、惜しくもこの日は主役というわけには行かなかった。予想外
に早い復帰を遂げたモモ・シソコが、大歓迎を受けたからだ。ダビッツ・
スタイルのメガネがクールだった。

ファイナル・ホイッスルが鳴る前から、エヴァトニアンたちは出口に流
れ出した。
「1シーズンで2度もレッズに負けるのを見てられるか」という気持ちな
んだろうな。

3−1。
たったの10人でも試合を支配したという事実は、いかに我々がチーム
として進歩したかってことを教えてくれた。
全体的には、グレイト・ゲームだったと思う。個人的には、スティー
ヴィー・Gが退場になったこと、ロビー・ファウラーが出場しなかったこと、
それから、やたらカードを出したがるレフリー(だいたい10枚のイエ
ローカードに2枚のレッドだよ、どういうことだよ!)と、一部の観客の
行動に問題があったことを除けば、ということになるかな。


余談になるけど、この試合のあとで、サウス・リヴァプールにあるセフト
ン・パークのパームハウスに行ったんだ。
Hope Street Ltd というコミュニティー向けの文化振興団体によるイべ
ントがあったんだけど、学校やコミュニティーグループがたくさん参加し
ていた。このファンタスティックな会場で、食べ物の由来についてのクリ
エイティブな研究ができたよ。
それから、リヴァプールの一風変わった王様や女王様のバンド Urban
Strawberry Lunch が、雨の中にも関わらずブリリアントなパフォーマン
スを披露してくれた。ほんと最高だった。

北であれ南であれ、サッカーであれ別のイベントであれ、リヴァプール
は正真正銘のキャピタル・オブ・カルチャーだ。僕はそう思う。

最後に、日本の皆さんにひとつお願いしたい。リヴァプールになるたけ
早く訪れてほしい。リンゴ・スターの生家が取り壊される前にね!
そして…そう、これからもうちのキッド(訳注:リヴァプールの選手たち)
たちをよろしく!

( Scouse House Review
    〜 LIVERPOOL vs EVERTON 25th March 2006 〜
        text by; Tom Calderbank translation by; minako & Kaz )


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish47_photo.htm )


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