November 7 2006, No.272
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第68号 / 「 Liverpool Music Week 2006 ♪」 ―

こんにちは。
このところ気温がさらにググッと下がって、つま先から凍えるような日
もぼちぼちある冬本格化のリヴァプールです。晴れの日が多いのがせ
めてもの救いですが。。。

今週も様々なフェスティヴァルがスタートしました。
月曜日にはリヴァプール発のゲイ・アーツ・フェスティヴァル
"Homotopia" の公式オープニング、金曜日からの3日間は、BBC
Radio 3 主催の "The Free Thinking Festival" が開催され、そしてそし
て土曜日からは "Liverpool Music Week" のキックオフです!

"The Free Thinking Festival 2006" は、“トークやディベート、インタ
ビュー、パフォーマンスなどを通じて、革新的かつ自由な発想でモノを
考えよう!”と提唱する新しいフェスティヴァル。
今年初めての試みで、今後もリヴァプールを拠点に開催していくそうで
す。
11月3日の最初の講演に登場したのは、アンビエント・ミュージック、
環境音楽の創始者であり、長年にわたって実験的な電子音楽やミニ
マルで前衛的音楽を作り続けている Brian Eno 。
David Bowie, Talking Heads, U2 などを手がけたプロデューサーとして
も名が高い人物です。
ワタクシごとですが、この日は自分の誕生日だったので、この“ナマ
Brian Eno ”イベントはとってもうれしいバースデープレゼントとなりまし
た!

このレクチャーは、Hope University の Cornerstone Gallery 内講堂で
公開録音されて、その後ラジオで放送されました。
彼の考え方は、既存の枠をまったく取り払って、物事をよりシンプル
に、ミニマルにすることでより多くのものを生み出すというもの。これは
"non-musician" と自称している彼の音楽性にもずっと通じていること
が分かります。

トーキングヘッズのボーカル、David Byrne とのコラボレーションで1981
年にリリースされたアルバム "My life in the Bush of Ghosts" は、サ
ンプリングの先駆けで、以降、多くのDJやミュージシャンが影響を受け
ました。
2006年にそのアルバムの内の2曲のマルチトラックすべてをインター
ネットからダウンロード可能とし、ユーザーが好き勝手にリミックスして
新しい曲を作り出して、アップロードできます。リスナーは好きなリミッ
クスに点数をつけられるみたいです。
ホントは音の素材をネットにアップロードして、ユーザーが組み立てた
曲でアルバムをリリースしたいと思ってたらしいのですが、どうやら、レ
コード会社からは、著作権や版権が訳が分からなくのでやめてほしい
と言われたそうです。
既存のシステムにとことんチャレンジするところが彼らの先陣きった
新しいアイディアですね。しかも面白い形で創り上げるところがまたい
い。
My life in the Bush of Ghost 公式HP:
                       http://www.bush-of-ghosts.com  

知的で、ポジティブで、驚くような発想が面白い Brian Eno レクチャー
は、BBCウェブサイトから聞けます。
http://www.bbc.co.uk/radio3/freethinking2006/pip/132yy/


"Liverpool Music Week" が今年も帰ってきました!
スタートは、真昼間の土曜日のシティーセンター。正午から午後3時ま
で、Clayton Square の BBC Big Screen にて、フェスティヴァルのオー
プニング・ライブがありました。
天候は曇りで、気温も低く、屋外で立ちっぱなしで鑑賞するにはちょっ
とキビシイものがありましたが、観客だけでなく、通行人も楽しんでいた
ようです。
一番手は、Tom Q のライブ。気持ちダンサブルなリズムのエレクトロ
ニックビートで、スクリーンには、 The Hive Collective によるヴィジュア
ルが映しだされていました。
2番手は Super Numeri 。7人構成のフリージャズ&インプロヴァイ
ゼーション。ハープの Stan も参加してました。
ラストは、Kinetic Fallacy のステージ。ヴィブラフォン/パーカッション、
バイオリンとラップトップ(ヴィジュアル)の3ピースのフュージョン・ユ
ニットです。
今年のミュージックウィーク、のっけから音的にさらに多様化している
ことを見せつけていると思いました!

翌日の日曜日、Liverpool Music Week のメイン会場である Bumper で
のオープニングがありました。
今年は、2ステージ構成です。
まずはアコースティックセットでスタート。
私が着いたときには、Grenville Harrop が終わりかけたころで、次が
Alun Parry 。
アコギ一本で、のびのあるボーカルで、イキのいいフォーク。日常の中
で観察し、感じたことをネタに歌うシンガーソングライターです。今月は
毎週月曜日に 3345 Parr Street でライブを行うそうです。
Alun Parry ウェブサイト: www.parrysongs.co.uk

続いて、バンドとしての最初のアクト Tom Cartledge 。
ボーカルがちょっと Undertones を思わせました( Myspace で聴くとそ
うでもないですが)。パワー溢れるライブで、「若いっていいなあ」とポ
ロッと口走ってしまいました。いかん、いかん。。。
Tom Cartledge Myspace: http://www.myspace.com/tomcartledge

もうひとつのステージに移って、Mike Wilson 。
対照的に、渋くブルージーなアコースティック。一人でギター・パーカッ
ション・ボーカルを器用にこなしてます。
Mike Wilson Myspace: http://www.myspace.com/markwilson2

もとのステージに戻って、Mirrorball 。
La's を思わせるネオ・マージービート。それもそのはず、シンガーの
Barry Sutton は元 La's でした!
ちょっぴりスペーシーなロックです。
Mirrorball Myspace: http://www.myspace.com/mirrorballfc

今年の Liverpool Music Festival は、スポンサーのひとつに、Myspace
があります。
Myspace とは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) で、特
にバンドやミュージシャンが多く登録し、音源やビデオクリップを視聴
用にアップして絶大な人気を誇ってます。
こっちでは、独自のホームページとは別に Myspace をやってるバンド
のほうが多いかもしれません。とにかく、今年のプログラムには、期間
中に参加するバンドの Myspace のURLの一覧が載ってるので、事前
に予習をしていくのに持ってこいです。

Liverpool Music Week は、11月13日まで、Bumper (Hardman Street)
を中心に各ライブハウスにて毎日開催。まだまだ続きます!

 <The Bumper (ザ・バンパー)>
  住所: 14-18 Hardman St, Liverpool, L1 9AX

Liverpool Music Week ホームページ:
                  http://www.liverpoolmusicweek.co.uk/


告知です。
なななんと、我が "Digital Show (www.digitalshow.co.uk)" が、ウォー
カー美術館で紹介されることが決定!
場所は、2階の特別展室(今、"John Moore 24" が行われているとこ
ろ)の入り口、ショップの手前のコンピュータースクリーンです。
会期は、11月12日から26日までです。

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン

(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「 NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish68_photo.htm )


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