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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第20回 / 「 生ポール体験!」 ―

NLW読者のみなさん、こんにちは!
早速ですが、今週のイベント2つ。
まずは木曜日にデューク・ストリートに新しく登場した Polished T ギャ
ラリー&ショップのオープニング。
ここは、NLW203号でもちょろっとお伝えしたリヴァプール発のカル
チャー&スタイル・マガジン
Plastic Rhino ( http://www.plasticrhino.co.uk/ ) と、
Pepped Sprout ( http://www.pepperedsprout.co.uk/ )
の発信地でもあります。

Polished T では、リヴァプールではここでしか入手できない、イギリス
&世界各地からのアート・デザイン、ファッション系雑誌やグッズを販
売するとともに、定期的にギャラリーも開催されます。
ショップのオープンにあわせて、新しい雑誌『 Polished T 』も発刊。イラ
ストレーション、アート、写真、グラフィック満載で見ごたえありです。
( http://www.polishedt.com/ 〜まだ工事中ですが、マメにチェックし
てみてください!)

オープニング・イヴェントは、75名のアーチストの作品が壁を埋めつく
している上に、ショップ内は身動きのとれないほどの大入りで、何がな
んだかよく分からない状態でした。
DJは気がついたら「 Back in 5! 」と書き置きを残したまま戻ってこない
ですし。。。(編注:「5分で戻ります」という意味のはずですが…ひょっ
として「5時間」??)

そんななか、音楽・ファッション関連の写真を多く手掛ける写真家の
Mark McNulty (http://www.mcnulty.co.uk )をキャッチ。
後で気がついたのですが、写真家の写真を撮ってたんですね、もっと
ちゃんと撮ればよかったなんてちょっと反省しました。。。

この Polished T では、変わりどころの新しいリヴァプール土産が見つ
かるかもしれません。ぜひ立ち寄ってみてください!

<Polished T (ポリッシュド T ) インフォメーション>
 37-41 Duke Street, Liverpool
 営業時間:月-土 10:00-16:00
 このショップは今年の12月までここで営業、その後は移転する予定
 です。


2つ目のイベントは、金曜日の午後に行われた、LIPA ( Liverpool
Institute of Performing Arts )の卒業式です。
言わずと知れた Sir ポール・マッカートニーの設立した大学ですね。
フィルハーモニック・ホールで行われた卒業式に、上司の代わりに出
席して来ました。

招待状にも厳しくカメラ厳禁のお達しが記載されていましたが、入場時
にはカバンのなかをじっくりチェックされ、カメラおよびカメラつき携帯
はすべて預けなければならないという徹底ぶり(従って、写真はナシな
んです。ごめんなさい!)。事前には何のアナウンスもありませんでし
たが、やはりポールさんがお越しになる気配がちらほら。招待チケット
に指定されたH列の一番左端の席に着きました。
ステージ上にはところ狭しと卒業生が着席しており、学長の Mark
Featherstone-Witty 、Sir ポール、その他ゲストたちが入場し、ステー
ジの前列に着席。

The Killers の “All These Things That I Have Done” に合わせて、スク
リーンにキャンパスの様子や学生のパフォーマンス風景が映しだされ
ました。会場は笑いや喝采にあふれ、和やかな雰囲気で式がスタート
しました。
音楽、ダンス、演劇、コミュニティーアーツなどのパフォーミング・アー
ツ、芸能マネージメント、サウンド・エンジニアリング、舞台・パフォーマ
ンス・デザインなどの学部から学士、ポスト・グラジュエート、ディプロマ
レベルの学生たちひとひとりに学位授与。

ステージに上がる学生たちの表情は、喜びと清々しさにあふれていま
した。中には、ポールさんにお願いして、会場にいる家族に向かって手
を振ってもらっていたりする微笑ましい場面も。

このほかに、 Honour Companionship という名誉学位として、バンド
Ash のボーカル Tim Wheeler 、Bee Gees の Robin Gibb 、Robbie
Williams などに楽曲提供をしている作曲家の Guy Chambers 、当日
出席できなかった Alex McCowen が表彰されました。式のはじめに入
場した際に、どっかで見たことがある顔だなあ、とは思いましたが、ま
さか Sir ポールの他にもゲストがいるとは思わなかったので、ちょっと
得した気分でした。

2時間拍手しっぱなしで手が真っ赤になりはじめたところで学位授与
が終了しました。
卒業生によるタップダンスのパフォーマンス、スピーチ、ビデオ上映の
あと、The McCartney Human Spirit Award や、The Beatles Story
Prizes をはじめとした各賞が、選ばれた学生たちに贈られました。

閉会式には、Sir ポール・マッカートニー氏と、学長 / CEO の Mark
Featherstone-Witty 氏のスピーチ。
Sir ポールは、出席者たちにこう語りかけました。
「過去10年間の現在までの LIPA の歩みを振り返ってみて、(LIPAの
前身で、ポール自身の出身校でもある)リヴァプール・インスティテュー
トが閉鎖し、取り壊しの危機にさらされ、おそらく当時スカリーたちに
のっとられていたかと想像します。これはなんとかしなければ、と友人
の Mark( Featherstone 氏)などに呼びかけて、再生のアイデアを持ち
かけたわけですが、この古い建物を救いたい! という願いがこのよ
うな(LIPAという)本当に意味のある形に生まれ変わったことは、まさ
にドリーム・カム・トュルーで、感動的なことです」

また、音楽業界の中でもLIPAの卒業生の評判はとても高く、誰かから
「最近、LIPA出身の子が働いてるよ」と言われて感想をきくと、決まっ
て「エクセレントだ!」とのことで、誇らしげでした。

私個人的に、ポール・マッカートニーは12歳の時に音楽に初めてのめ
りこんだきっかけになったミュージシャンで、子供心に「将来ポールに
会いたい!」と夢みていたものです。
そして今、ビートルズの足跡がそこらじゅうに散らばっているリヴァ
プールに住んでいるわけですが、あらためて考えてみると、ポール・
マッカートニーまたはビートルズとリヴァプールという場所との結びつき
を、実感として感じたことがなかったかもしれないなあと思います。

しかし、今回のスピーチの中で、当時のリヴァプール・インスティテュー
トや向かいにある元女子校だったブラックバーン・ハウスの話やLIPA
設立までの話を聞きながら、よりポール・マッカートニーという人物に
対して、同郷意識に似たような親近感を感じるようになった気がしま
す。
世代は異なるけれど、ポールも私も、多くの時間をホープ・ストリートで
過し、この場所に対して特別な思いを持っているんだなあと…私の勝
手な思い込みですが。

LIPAを巣立ち、ショービジネスという生存競争の厳しい世界に飛び込
んでいく250名の才能あふれる卒業生たちに、陰ながらエールを贈り
つつ、彼らが新しいカルチャーを切り開いていき、活躍していくことを
心から期待したいと思います!

さて、気がついたら、この「ゴールドフィッシュだより」も早いもので第20
回。
好きなことを書かせてもらっていますが、読者の皆さんがリヴァプール
のどんなことを知りたがってるのか気になってみたりすることがありま
す。
もし私にリヴァプールで探求してほしいミッションがありましたらスカウ
スハウスまでどうぞ!

それではまた来週! 

ウエダミナコ


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