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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第28回 / 「ごぶさたリヴァプール!」 ― 

みなさんこんにちは!
数週間お休みをいただき、11月2日にリヴァに戻りました。統計的にも
晴れの多い日本をわざわざ離れる価値があるのかと考えさせられる
ようなグズついた天気の続くリヴァプールですが、思ったよりも暖かい
ので少しホッとしています。

今回はKLMでアムス経由のマンチェスター入りだったので飛行時間が
短い上に、映画やゲームが充実しててとても快適だったのですが、空
港からリヴァプールまでの電車に遅延やキャンセルが続出したせいで
駅で足止めをくらい、その間ゴスの兄ちゃんがプラットフォームでしゃ
がんで叩く、ヘッポコドラムを聴きながらひたすら電車を待ち、3時間
半かかってリヴァ入りしました。まあこれくらい待たされたくらいのほう
が着いたときのありがたみもひとしおといえば、そうも言えますが。。。
着いて一番最初に食べた、ベジタリアンソーセージ、ビーンズ&チップ
スの旨かったこと。。。

到着して翌日、早速久びさのリヴァプールの街を散策しました。
ボールド・ストリートやチャーチ・ストリートには、クリスマス・イルミネー
ションが飾られ、Big Dig と呼ばれる道路の舗装工事もかなり進んでい
るようでした。
たったの6週間の間に、新しいお店や建物ができていて、かつてのリ
ヴァプールではあり得ないほどの猛スピードで変化をとげる勢いを感
じます。

まずは、Wood Street と Seel Street の間にできた「 Korova 」。お茶
も飲めて、食事もできて、お酒も飲めて、ライブやクラブも楽しめる新
スポット。朝お茶をして、早速もらったクレヨン付きの誕生日カードにぬ
り絵をしてました。
ちなみにローカルのエレクトロポップ・バンド、Ladytron のダニーさん
もお茶をしてましたよ。

 < Korova >
  52-54 Wood Street, Liverpool
  Tel: 0151 709 7097
  ホームページ: http://www.korova-liverpool.com

その日は夕方に、「 Cornerstone Gallery 」で Arthur Roberts というリ
ヴァプールの抽象画アーティストのオープニングがありました。
うかつにも時差ボケと、その前にどこかで飲んだ赤ワインが回ってめ
まいがしたので、座って休憩しながら作品を眺めていました。情けな
い。。。

その後は本当はまっすぐ帰りたかったのですが、誕生日を祝ってくれ
るという友人たちに引きずられて、ちょっとがんばって「 Everyman
Bistro 」に流れました。まぶたを開けるので必死でしたが楽しい誕生日
を過ごすことができました。

金曜日、夕方に、Victoria Street の「 Patrick's Bar 」で、ドイツ人フォト
グラファー Ben Zuhlcke の写真展。これは 11月1日から2週間にわ
たって行われている『 Homotopia( http://www.homotopia.net )』 とい
うゲイ・フェスティバルの一環。
'Wildelife' というテーマは、同性愛で投獄されたオスカー・ワイルドの
名前からとったものですが、ゲイの人々の社会の中にいる昼間の日
常の顔と、本来ありたい姿をそれぞれ写し出したもので、被写体の意
思をなるたけ汲みいれて撮影したとのことです。

そのあと駆け足でホープ・ストリートまで上がり、「 68 Hope Street 」で
行われた Sue Milburn の個展のオープニングをキャッチ。
17号でも一度紹介したことのあるアーティストで、今回は普段の Sue
のアブストラクトの作品を展示。
友人の Martin と写ってる写真がイアンのブログに載せられてしまいま
した。恥ずかし。。。
http://www.artinliverpool.com/blogarch/2005/11/sue_milburn_at.html  

「 68 Hope Street 」はジョン・レノンの通っていたアート・スクールだっ
たことで有名な建物で、現在は、Liverpool John Moore University の
敷地になっていますが、近い将来売りに出されるという話がささやか
れています。
目先のお金になるような高級マンションとかショッピングセンターのよ
うなつまらない建物に取って代わられることがなく、文化的な施設とし
て残ることを祈りたいと思います。
LIPAあたりが買ったりしてくれたらいいのになんて思ったりしますが、
どうなるのでしょうか・・・。

高級マンションといえば、デイリーポストで、いやーな記事を見ました。
以前、13号で紹介した「 3345 」のあるパー・ストリート・スタジオ を閉
鎖して、高級マンションを建設?! というお話。
パー・ストリート・スタジオは、Cold Play, Gomez, Charlatans, Embrace
などのアルバムを生み出し、またその他にも、New Order, Pulp,
Teenage Fanclub, Snow Patrol や、リヴァプール出身のバンド Echo &
The Bunnymen, Cast, Dead 60's などもレコーディングを行ったスタジ
オです。
以前、中を見せてもらったことがあるのですが、大小各種のスタジオと
宿泊施設も備えた、地方都市では最大のレコーディングスタジオ。
今回の記事で初めて知ったのですが、ここはフィル・コリンズをはじめ
とする、ジェネシスのメンバーが所有するスタジオだったんですね。

2008年の Capital of Culture に向けて、再開発が進み、地価が高騰
するなか、多くの文化施設や小規模なビジネスが立ち退きや閉鎖を余
儀なくされ、マンションの建設ばかりが目につくのは今はじまったこと
ではありませんが、さすがにこのスタジオの閉鎖に関しては、多くの地
元の人々がスタジオの存続を望んでいるようなので、どうにか食い止
められることを期待したいところです。

そして、「 68 Hope Street 」の後は、「 52 Roscoe Street 」という新し
いギャラリーで展覧会のオープニングとバンドの演奏などがあると聞
いたので、ちょろっと顔を出しましたが、寒さと時差ボケに勝てず、退
散。
車をスペースシップに改造したオブジェの脇に、「宇宙飛行士志願申
込書」なるものに人々が好き勝手に自己PRを書き入れてられたもの
が面白かったです。

土曜日はボン・ファイアー・ナイト。
アルバート・ドックと、セフトン・パークで花火が行われていましたが、
天気も悪く、人込みも凄そうだったのでやめて、Rodney Street にある
「 Museum MAN 」でベルリンのアーティストの展覧会のオープニング
があったので、そっちに行くことにしました。
「 Museum MAN 」は、こちらも17号の「眺めのあるギャラリーから」でご
紹介しましたが、遠目にマージー川が見下ろせて、そこから花火も見
れたので、ちょっと得した気分。

日曜日は、昼間にホープ・ストリートをぶらつきました。
LIPAの近くのスーツケースのオブジェがないっ?! 
こちらも Big Dig の最中で、路面を舗装しなおしている間、どこかかに
かくまわれているようです。今後どんな風に生まれかわるのかが楽し
みですね。

夕方は「 Egg Cafe 」にて、こちらも『 Homotopia 』のイベントのひとつ
で、David Hoyleによる『 Alternative Sunday School 』というワンマン・
パフォーマンス。
きゅうりのサンドイッチとスコーンでもてなされ、なぜかポール・アンカを
BGMに、ダンス、ライブペインティング、ロビー・ファウラーの本の朗読
など、お客も巻き込んだ、盛りだくさんのハプニング・ショーでした。
私とイアンもライブペインティングの餌食になって、これから2週間この
絵も「 Egg Cafe 」で飾られるとのことです。。。。

とりあえず今週のアップデートはこんなところでしょうか。
それではまた来週!

ウエダミナコ


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