――――――――――――――――――――――――――――――
▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第29回 / 「妖精の住む部屋から」 ― 

みなさんこんにちは!
この週末に引越をしました。といっても前住んでいたところから徒歩2
分くらいのところです。
小さな部屋なのですが、窓からはアングリカン大聖堂が見えて、部屋
のドアには "Fairies Live Here" というステッカーが貼ってあって、これ
はいい兆候だ! と即決しました。
フラットメ−トもちゃきちゃきのリヴァプール人で、これからが楽しみで
す。

ということで、今週は妖精の住むらしい新居からレポートをお送りしま
す。

この一週間ですが、まず火曜日に FACT で行なわれた、Grosvenor と
いうディベロッパーの Stakeholder's meeting 。
私は投資家でもなんでもありませんが、代わりに行ってきて! とお願
いされたので、出席してきました。

以前14号のパラダイス・ストリート特集でもお伝えしましたが、今シティ
センターでは大掛かりな再開発が繰り広げられています。このプロジェ
クトを進めているのが Grosvenor です。

このプロジェクトに、11月1日付けで『 Liverpool One 』というブランド
ネームがつきました。
ブランディングを手がけたのは、Wolff Olins という国際的なコンサルタ
ント会社。去年のアテネオリンピックや、大手携帯電話会社 Orange
などのブランディングも手掛けています。

Liverpool One "New Rules" ということで、Rule 1: "Make New Rules",
Rule 2: "Involve Everyone", Rule 3:"Love the city",
Rule 4: "Think Big", Rule 5: "Create More", Rule 6: "Be the Best" な
ど、ナイキあたりが使いそうなコピーに似た新しいルールが掲げられ
ています。
6つのゾーン、20人もの有数の建築家が関わって展開される30ものビ
ル、John Lewis や Debenhams をはじめとしたデパートも参入予定の
大型コンプレクス、160もの新しいショップ、2つのホテル、公園、映画
館、450室のマンション、駐車場などが2008年に一気にオープンすると
のことです。
(ホームページはこちらです。まだこちらも工事中のようですが…。
http://www.liverpool-one.com )

このミーティングでは Grosvenor とは別プロジェクトではありますが、
同じくパラダイス・ストリートエリアで再開発が進んでいる、Bluecoat
Arts Centre のプロジェクトのプレゼンも行なわれました。
こちらは2007年にリオープン予定で現在まだ工事中ですが、予約をす
れば現在の進捗と今後のプランなどの説明も含めたガイド・ツアーに
参加できるとのことです。
Bluecoat Arts Centre / Tel: 0151-702-5328, 702-5329


木曜日には、以前何度がご紹介した、Polished T にて、Mark McNulty
( http://www.mcnulty.co.uk/ )による新しい本の出版パーティーがあ
りました。"Rocketships and Windmills" という、40あまりのミニゴルフ
場の写真のコレクション。
会場は新しい Parr Street の引越先で行なわれ、9ホールのクレー
ジー・ゴルフが設置されていて、1ラウンド 1.5ポンドで回れます。結構
コレ難しいんですよね。みんな真剣にプレイしていました。意外にうしろ
に並んでいた子供のほうが手慣れていてすごいプレッシャーでした。


金曜日は、View Two Gallery にて、Zukanikan というリヴァプールのイ
ンプロヴァイゼーション・ユニットと、そして A Hawk And A Hacksaw
( http://www.brokenheartfoundation.org.uk/hawk/ )というアメリカ・
ニューメキシコ出身のミュージシャンのライヴ。
数ヶ月前に、Parr Street の The KIF でも一度観たのですが、すっか
りその世界にひきこまれました。
音についてはなんと形容していいのか困るんですが、ジプシー音楽と
もいえるでしょうか、とにかくこれは私がいろいろいわずに、ライブを見
たり音源を聞いてほしいオススメのライブでした。

鈴とドラムスティックが一本くっついたニット帽でシンバルと鈴を鳴らし、
同時にアコーディオンとドラムと足にもついた鈴を奏でる Jeremy
Barns は一見滑稽にも見えますが、一旦ライブがはじまると、会場は
不思議なメランコリーと緊張感に包まれ、2005年とは思えないようなモ
ノクロームな雰囲気でした。
ライブが終わって、飲んだくれであふれた金曜の夜のマシューストリー
トで一気に現実に戻されましたけれども。。。


土、日は、こちらも以前7号でご紹介した、エレクトロニカ集団、The
Hive Collective による "Hive Festival" 。
引越やらいろいろあったので、土曜日の Korova で行なわれたイベン
トのみに行きましたが、なかなかの人の入りで、ハコのカラーもあって
か、ダンス寄りで、これまでよりもより幅広いオーディエンスにアピール
しているようでした。
個人的には Fact あたりで室内楽的に聞く実験的な電子音のほうが
好きなので、そっち系の音もキープしてくれるとウレシイですが。
チケットの売れ行きもよかったみたいなので、今後もっともっと活動の
場を広げていくといいなと期待しています。
( http://www.thehivecollective.co.uk/ ちなみに Images をクリックする
と、Cavern で撮った写真がこちらのホームページにも掲載されていま
す!)


日曜日は、Philharmonic Hall で、アイスランド出身の Sigur Ros
( http://www.sigur-ros.co.uk/ )のライブを見ました。
いきなりエレキをバイオリンの弓でかき鳴らして登場したときは「お
おっ!」という感じでしたが、Jonsi Bor Birgisson の独特のボーカルス
タイルと、ロー&ミドルテンポの浮遊感のあふれる音の中で、何度か
眠りに誘われました。退屈した訳ではないんです、本当に心地よかっ
た!
メンバー4人にストリング・カルテットが加わって、思ったよりもエレクト
リック色よりもオーケストラルなアレンジでした。
ビデオのプロジェクションもかなり凝っていて、最初とアンコール中に
は、奥のスクリーンとバンドの前面に掛かった薄いカーテンに写し出さ
れた映像がかっこよかったです。


というかんじで、今週はまた音楽三昧リヴァプールでした。
今月はまだまだ盛り沢山で、20日から9日間にわたって行なわれる、
Liverpool Music Week( http://www.liverpoolmusicweek.co.uk )では、
8箇所の会場で、150ものライブが繰り広げられ、しかもフリーイベント
ということですから、リヴァプールのローカルバンドをつまみ食いするの
にはいいチャンス!? La's / Cast のジョン・パワーも出演予定だそ
うです。

それではまた来週! 

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/goldfish29_photo.htm )


――――――――――――――――――――――――――――――