――――――――――――――――――――――――――――――
▽特別企画:「メリッサ・ストーリー インタヴュー」
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

Melissa Storey (The Mathew Street Gallery) Interview
               - Text by Minako Ueda, NLW Correspondent

「メリッサ・ストーリー(マシュー・ストリート・ギャラリー) インタヴュー」
                 3月31日:インタヴュアー/ウエダミナコ

マシュー・ストリート・ギャラリーが閉館になるということで、3月31日、
ウェブサイト『 Art In Liverpool 』を主催している Ian Jackson 氏と一緒
にお話を聞きに行って来ました。

階段を上って入り口を入ると、ギャラリーマネージャーの Melissa が明
るい笑顔とともに暖かく迎えてくれました。閉鎖が決まってからNLWが
初めてのインタビューということです。

Q: マシューストリートギャラリーのクローズはいつ決まったのですか?
A: 3週間前です。本当に急なんだけれど、このところの European
 Capital of Culture の影響で家賃の高騰と、ドル安の影響で観光客
 の激減などのあおりもあって、いよいよこの場所をキープするのが
 難しくなってしまいました。911後ごろから年々観光客の数が減る傾
 向にあったけれど、特にこの1月2月のローシーズンは本当にだれ
 も来なかったわ。

Q: マシューストリートギャラリーの歴史を簡単に教えてもえらえます
 か?
A: 1999年6月に、ジョン・レノンのリトグラフを展示することから始まり
 ました。その後、Robert Whitaker、Klaus Voormann 、Astrid
 Kirchherr などの写真を展示するようになりました。リヴァプール
 唯一のコマーシャル・フォトのギャラリーだったので、ここがなくなって
 しまうのはリヴァプールにとって残念なことだと思います。

Q: Melissa さんのもともとのバックグラウンドを聞かせてください。
A: マシューストリートギャラリーに関わる前まではフロリダでツアーガイ
 ドをしていました。
 ビートルズ? ビートルズは私も私の旦那さんも大ファンだったことも
 あって、いつも身近な存在でした。あるとき、リヴァプールの The
 Beatles Shop の Steve から、「店の上のギャラリーでマネージャー
 の募集があるよ」ときいて、面接に行ったら、その場で採用がきまっ
 たの。
 6年間この仕事をしながら、知らず知らずのうちにビートルズについ
 て多くのことを知っている自分に驚くことがあります。
 アートや写真はずっと好きだったけれど、はじめは特に知識や経験
 があるわけではありませんでした。写真についても、この仕事を通じ
 てたくさん学びました。写真って誰でも撮れると思われがちだけど、
 本当に奥が深いものです。撮影や現像にどんな手法があるかという
 のは知識として知っていても、実際にいい写真を撮るということは、
 ミラクルで、才能のある人だけができることです。
 (そのいい写真でも)雑誌などに印刷されてしまうとその良さは半減し
 てしまうけど、オリジナルのプリントやフィルムを見ると、色や質感の
 すばらしさに鳥肌が立つことがあります。写真も、絵画同様にアート
 としてもっと評価されるべきだと思います。

Q: これまでどんなゲストがマシューストリートギャラリーに訪れました
 か?
A: マイク・マッカートニー。彼自身も写真を撮るけど、売ったりすること
 には興味はなかったみたいね。そして、ポール・マッカートニーが花
 を贈ってくれたことがあるわ。
 あとは、オアシスのノエルとリアム・ギャラガー。彼らも大のビートル
 ズファンよね。Klaus Voormann のシリーズを買っていきました。あと
 は、ホワイト・ストライプやストロークス。ライブでリヴァプールを訪れ
 たときに立ち寄ったようです。

Q: 印象に残るイベントは何ですか?
A: 2004年5月の Mick Rock 展のオープニングかしら。Mick Rock は、
 1970年代にクイーンやデヴィッド・ボウイ、ルー・リードなどを撮影した
 フォトグラファーです。リヴァプール内外のセレブレティたちがここに
 集まって来たんですよ。いっつも名前が思い出せないんだけど、エ
 コー・アンド・ザ・バニーメンや、ピート・ワイリー、そう、元スミスの
 ジョニー・マーもいたかしら。ギャラリーの中は身動きがとてないほど
 で、(ギャラリーの外の)階段の下まで30-40人くらいの列もできてた
 のよ!

Q: そのほかは?
A: そうね、マリリン・モンロー展。これは地元の人たちにとっても人気
 があったの。開催中、人が途絶えることがなかったわ。

Q: このギャラリーの中で、Melissa さんにとって特別な作品はどれです
 か?
A: そうね、、、これ。Robert Whitaker の The Butcher Cover 。これは
 当時5枚しかプリントされなかったうちの一枚でとってもレアな作品な
 の。貴重すぎてプライスもつけてません。

Q: ちなみにおいくらなんでしょう?
A: 10000ポンドです!

Q: ビートルズファンとしては、今年のマシュー・ストリート・フェスティバ
 ルに、このマシューストリートギャラリーで作品が見られないのは、残
 念なことでしょうね。
A: そうね、確かにフェスティバル真っただ中のマシューストリートの喧
 騒を離れて、ギャラリーを憩いの場とする人たちも多かったですし
 ね。でも今年のフェスティバルでは、アデルフィ・ホテルで展覧会をす
 ることになると思いますよ。これからも何かしらの形で作品を見ても
 らう機会はありますよ。

Q: マシューストリートギャラリーの今後について教えてください。
A: 基本的に大きな変化というと、この場所がなくなることくらいで、マ
 シューストリートギャラリーはオンライン・ギャラリーとして存続します。
 現在新しいホームページをアップグレード中で、作品は引き続きオン
 ライン・ギャラリーにて展示・販売されます。また、他のギャラリーを
 借りて展覧会を開催することも考えています。これまでのビートルズ
 関連の展覧会に加えて、ビートルズ以外の展覧会も考えています。
 地元の人たちのビートルズに対する関心は海外ほど高くないので、
 リヴァプールの人も楽しめるような展覧会も運営していきたいと思っ
 てます。

Q: 海外での展覧会は考えていますか?
A: これといった計画は今はないけれども、いいアイディアですね。きっ
 と日本で未発表のビートルズの写真展などを開催するのもいいかも。

Q: 閉鎖を前にしてどんな気持ちですか?
A: これから新しいことが始まることを考えるとワクワクするけれども、
 やっぱりこの場所を閉めるのは寂しいです。この6年間、本当にこの
 ギャラリーにすべてをつぎ込んできた、私の人生の一部だから。複
 雑な気持ちです。

Q: ありがとうございました。今後の成功をお祈りしています!

(インタヴューを終えて)
いやいや、Melissa さん本当に本当にいい人で、出会えてよかったで
す。その日一日、ハッピーな気持ちで包まれてました。この機会を作っ
てくれた Kaz さん、どうもありがとうございました。帰りがけに、私が日
本出身ということもあってか、ロンドンでの “Robert Whitaker / Far
East AND Far Out - The Beatles' 1966 Asian Tour”展のパンフレット
と、マシュー・ストリート・ギャラリーで行われた Robert Whitaker 展の
招待状、そしてMOJOマガジンのビートルズ特集を記念にいただきま
した。一生宝物にします!

マシュー・ストリート・ギャラリーは今後オンラインギャラリーとして生ま
れ変わります。今後の新しいニュースについては、メーリングリストに
登録すれば定期的に情報が送られてきます。
詳しくは、http://www.lennonart.co.uk で。

また、Ian Jackson 氏のウェブサイト『 Art in Liverpool
( http://www.artinliverpool.com ) 』のブログもご覧ください! 

それでは。

ウエダミナコ


――――――――――――――――――――――――――――――