June 8 2004, No.153
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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*** http://scousehouse.net/ ***
□■ INDEX ■□
▽フロム・エディター
▼リヴァプール・ニュース <2004年5月31日〜6月5日>
▽スカウスハウス・ニュース
▼今週のフォト&BGM
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▽フロム・エディター
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池澤夏樹さんの講演に行ってきました。
池澤さんのお話は滅法面白く、示唆に富んでいて、まさにあっという間
の1時間半でした。
池澤さんはもちろんのこと、主催した大阪府書店商業組合さんにも感
謝したい気持ちです。
「なぜ小説を書くのか」。これが講演のテーマでした。
そもそも小説とか何か、なぜ人は小説を読むのか。池澤さんの話は、
実に明快でした。
1.我を忘れる(ドキドキ)
2.身につまされる(しみじみ)
この2つが小説の原理であり、それを支えているのが、人間の持つ、
他人の人生や運命への関心である。
つまり、新聞の社会面を読んだり、週刊誌を買ってきたり、テレビのワ
イドショーが興味を惹くのとまったく同じで、小説の原点は「ゴシップ」
である。神様たちのゴシップは、「神話」と呼ばれる。
他人が何を見、どう考え、何を受け取ったか。それを知りたい、学びた
いという欲求。それは、「人間とは何か」ということの追求でもある。
歴史とは、「起こったこと」ではなく、「起こったことの周囲にどんな人が
いたか」である。
先進国と途上国というシステム。アフガン爆撃もイラク戦争も、先進国
の視点で、先進国にとって都合のよい報道しかなされない。ロケット弾
が発射される映像。我々は、どうしても爆撃をする側に立って見てしま
う。あの先で、誰が死ぬのか。何という名前の、どんな顔の人が死ん
でいくのか。テレビは決して伝えない。
そこで、作家的な頭の使い方、想像力が必要になってくる。
例えば、空爆の迫ったアフガニスタンのカブール。とどまる人、脱出す
る人。脱出ルートは、三百数十キロ、高度差千メートルを越えてパキ
スタンまで歩かなくてはいけない。ちょうど東京から長野の距離、高度
差に相当する、過酷な旅である。年寄りや子供のいる家族はどうする
か。食料はどうするか。途中で調達できる可能性は低いから、手持ち
の食料を持って行かなくてはならない。それが底をついたあとはどうす
るか。道中、老人が病気で倒れたらどうするか。1人のために家族が
全滅してしまう危険を覚悟で背負って行くか、家族のためにおいて行
くか。あるいは死んだらどうするか。穴を掘って埋める。そのためのス
コップはどうするか。などなど……。
外の世界への関心を持つこと。
日本人はその関心が低く、中しか見ていない。世界で起こっているこ
とに目を向けず、「この国だけはだいじょうぶ」という根拠の無い思い
込みで、温室状態の中に閉じこもっている。逆に、先日の人質事件の
リアクションのように、外へ出て行って何かしようとする人には過剰に
反発する。
しかし温室はいつまでも続かない。個人の生活の外に社会があり、そ
の外に世界がある。日本はいずれ開かざるをえない。他人への関心
を持ち、小説家的視点でもって外の世界を見ることに心を配っていか
なくてはいけない。
以上、お話を聴きながら取ったメモを頼りに、ほんの一部ですが、自
分なりに再現してみました。うまく再現できていないかもしれませんし、
あるいは間違った文脈になっているかもしれませんが、少しでも講演
の雰囲気が伝われば嬉しいです。
「911」直後にスタートしたメールコラムをまとめた「新世紀へようこそ」
(光文社)、そして戦争直前のイラク紀行「イラクの小さな橋を渡って」
(光文社)。この2冊は、ぜひ多くの人に読んでほしい本です。
(池澤夏樹さんの公式サイト「Cafe Impala」 http://www.impala.jp/ )
― Kaz (08/06/2004)
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▼リヴァプール・ニュース <2004年5月31日〜6月5日>
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*** 5月31日(月) *******************************
【モデルから俳優へ】
マージーサイドのモデル Matt Bailey が、Bacardi の「新しい顔」として
TVCMに登場しています。
マットはセイント・へレンズ出身の28歳。ここ数年、雑誌のカヴァーや、
Gucci や Yves Saint Laurent などの広告モデルとして活躍しています。
1300万ポンド(約26億9000万円)をかけたバカルディのTVキャン
ペーンの一環であるこのCMは、マットにとって、俳優としてのキャリア
の華々しいスタートとなります。
マットはこう言っています。
「このCMの仕事は、アメイジンな経験だったな。140人のエキストラ
や、毎晩毎晩続く撮影とかね。ずっと俳優になりたいって思ってたか
ら、これがきっかけになってくれたらいいなあ」
「モデルをやってて良かったと思うのは、お金と、それからライフスタイ
ルだね。そう、ナイン・トゥ・ファイヴじゃないところ。僕はすごくラッキー
だと思ってる」
「旅行にも行けるし、グレイトな女の子にも会えるしね!」
売れっ子になった今でもマットは、セイント・へレンズの家にちょくちょく
帰っています。母親の Barbara 、父親の Ron 、そして妹の Susan に
会うためです。
「ファミリーと離れているとすごく寂しいからね。それと、セイント・へレ
ンズには呑み友だちがいるし。みんな、僕のやってることに結構興味
津々なんだ」
このバカルディのCMは、夏の間中、英国のTVで流れます。
*** 6月2日(水) *******************************
【スモーク・フリーへ】
リヴァプールは、英国で最も肺がんのリスクの高い都市のひとつです。
喫煙率は27%で、毎年およそ1000人が喫煙に関連した疾病で死
亡しているという調査結果もあります。
でもこれから数年で、「健康的な街」に変身するかもしれません。
現在リヴァプールでは、「2008年までに禁煙都市にしよう」というキャ
ンペーン、SmokeFree Liverpool が展開されています。
また、禁煙をサポートする Support というサーヴィス・センターも積極
的に活動を展開しています。
North Liverpool Primary Care Trust (PCT) のパブリック・ヘルス・ダ
イレクター Dr Dympna Edwards はこう話しています。
「実に多くのスモーカーが、喫煙をやめたいと思っているんです。『サ
ポート』はその悪習慣を絶つサポートをしています」
「公共の場所が禁煙になれば、やめたいと思っているスモーカーを助
けることになるはずです。わざわざ禁煙を始めなくてもいいってことに
もなりますから」
この活動のおかげで、現在リヴァプールでは約7000人が禁煙に成
功しています。また、過去12ヶ月にタバコをやめた人の数は約1000
人で、これは前年に比べて10%も増加しているそうです。
Central Liverpool PCT のパブリック・ヘルス・ダイレクター Dr. Paula
Grey は、こう話しています。
「ものすごく励みになりますね、この数字は。禁煙支援サーヴィスがこ
の調子で普及して行けば、喫煙に関係する疾病での医療費が抑えら
れたり、命を救ったり、公衆衛生の改善につながります」
現在リヴァプールでは、市内の40ヶ所以上で禁煙相談サーヴィスを
受けることができ、病院や学校、刑務所といった場所でもカウンセリン
グが行われています。
また、禁煙を希望する妊婦を助産婦が訪れたり、薬局でも相談を申し
込むことができたりと、きめ細かなサポート体制が整えられています。
South Liverpool PCT のパブリック・ヘルス・ダイレクター Dr Kate
Ardern は、こう話しています。
「『サポート』がやっているような禁煙支援サーヴィスは、素晴らしい実
例だと思いますよ。呼吸器の疾病や肺がんによる死を減らすため、こ
の地域の住民のクォリティ・オブ・ライフの向上のために、とても大きな
貢献をしてくれてますよね」
*** 6月3日(木) *******************************
【イングランド1−日本1】
1日、マンチェスターの City of Manchester Stadium で行われたイン
グランド代表対日本代表の親善マッチは、1−1(前半:1−0)の引き
分けという結果になりました。
リヴァプールからは Steven Gerrard と Michael Owen 、エヴァトンか
らは Wayne Rooney がイングランド代表としてこの試合に先発出場し
ました。ルーニーには、フル代表では初めてエース・ストライカーの背
番号「9」が与えられました。
イングランドのゴールは、ジェラードがミドル・シュートを放ち、キー
パーが弾いたところをオーウェンが押し込んで決めたものでした。
格下の日本と引き分けに終わったことは、ユーロ2004に向けての準
備としては特に悲観することではないとジェラードは話しています。
「あと2週間くらいあるからね、フランス戦までには。それまでに練習し
ないといけないことってたくさんあるから」
「左サイドでのプレイにアジャストするのはちょっとたいへんかな。リ
ヴァプールでは1年じゅう真ん中でやってるからね。でも、僕ならでき
ると監督が判断して、僕もそれを了解したわけだからね。まあフランス
戦には間に合わせるよ」
イングランドは、土曜日にアイスランドと親善マッチを戦った後、本番
のユーロ2004を迎えます。
来週開幕するユーロ2004では、グループBの緒戦でいきなり優勝候
補のフランスとあたります。
*** 6月4日(金) *******************************
【ケインズのラガー】
リヴァプールのブリュワリー Cains が、プレミアム・ラガービールを発
売します。
トラディショナルなリアル・エールで有名なケインズが、ラガーを醸造・
販売するのは、154年の歴史の中でこれが初めてのことです。
反対の声も予想されるところですが、試飲したビア・ライターの Roger
Protz からは絶賛されています。
ケインズのヘッド・ブリュワー David Nijs と彼のチームは、“lagering”
のオリジナルの意味に注目しました。それは貯蔵するということで、こ
の新しいラガーには、3ヶ月間「寝かせる」プロセスが採用されました。
その結果、スムースな飲み口で、風味も豊かで、色の濃い独特のラ
ガービールが完成しました。アルコール度数は5.0%です。
ケインズのオーナーのひとりである Sudarghara Dusanj は、こう話し
ています。
「ヨーロッパ大陸のラガーが最初に英国のマーケットに入って来た時
に、わざと弱く、薄くされているんですよ。英国人の嗜好に合うように
ね。それは現在にいたるまで、ほとんど変わっていないのです」
「これほど清々しくて独特の風味を持ったラガーが、かつてこの国で
作られたことはないでしょうね」
「ほとんどメジャーなブランドが独占している状態ですからね、ラガー
ビールの市場は。英国のブリュワリーはスーパーパワーに押されっぱ
なしで、まるで太刀打ちできませんでした」
「でも我々は恐れずに挑戦します。ケインズは誇り高きリヴァプールの
ブランドです。ここはチャレンジ精神を愛する誇り高き街ですからね」
「ケインズの業績は好調ですよ。ドリンク・ブランド国内上位200社の
調査レポートを見ても、ローカル・ブリュワリーの上質なビールの人気
が復活して来ているようですね。巨大ブランドのみなさんが、味や品
質そっちのけで大量生産することばかりに気を取られているからで
しょうね」
「ですから我々は、我々のような地方ブリュワリーにも入り込んで行く
余地がマーケットにあると考えたのです。150年以上の経験を使っ
て、いい品質のラガーを作れればね」
権威ある Glenfiddich Awards において、Drink Writer of the Year
2004 に選ばれたロジャー・プロッツはこう話しています。
「ラガーは世界で最も人気のあるビールのスタイルです」
「ですが悲しいことに、英国のビール飲みはラガーのほんとうの美味さ
というものを知らないのです。この国で飲まれている大手ブランドのラ
ガーは、チェコやドイツのクラシック・ラガーとは全然違いますからね。
3ヶ月も貯蔵されるケインズ・ラガーは、まさにほんもののラガーです
よ」
「ケインズ・ラガーの登場は、ビール愛好家を喜ばせるだけにとどまら
ないかもしれませんね。もしかするとですけど、大手のビール会社が、
態度を改めてちゃんとしたラガーを作ろうとするかもしれない」
ケインズ・ラガーはまず、今月17日からスタンホープ・ストリートのパ
ブ Brewery Tap で限定販売されます。このパブは、醸造所の正門横
にあるケインズ直営パブです。
*** 6月5日(土) *******************************
【ベッカムも絶賛】
イングランド代表のキャプテン David Beckham が、リヴァプールの
キャプテン Steven Gerrard を絶賛しています。
イングランド代表は現在、目前に迫ったユーロ2004(ヨーロッパ選手
権)に向けて合宿中です。
ジェラードは、ポルトガルで開催される今回のヨーロッパ選手権に、特
に怪我もなく、万全の体調で望むことができます。2002年のワール
ド・カップでは、大会直前に骨折したジェラードを欠いての戦いを強い
られたイングランド代表チームにとっては、これ以上ない心強い存在
です。
ベッカムはこう話しています。
「スティーヴンみたいなプレイヤーがいると、格段にいいチームになる
よね。2002年のときは、彼がいてくれたらって感じだったから、ほん
とに」
「日本戦の、特に前半のプレイを見たよね。彼のあの強さ、パワー、
相手への寄せ。最高のプレイヤーの中でも、ベストのひとりだよ」
「僕らはみんな、それぞれに経験を積んでこのトーナメントにのぞむわ
けだ。数年前にはまだまだ若手だったプレイヤーたちはぐっと成長し
てるよ」
「2年前は、スティーヴン・ジェラードや Gary Neville 抜きで日本に行
かなくちゃいけなかった。でもこの2人がいれば、チームがずっと強く
なるからね」
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▽スカウスハウス・ニュース
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「スカウス・ハウス」では、リヴァプールへの語学留学をサポートしてい
ます。
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「スカウス・ハウス」では、リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの
地を訪ねるガイドツアーをアレンジします。
ガイドはもちろん現地在住の日本人。レギュラー・ツアーのほか、
ちょっとマニアックなツアーも用意しています。また、ご希望により、プ
ライヴェート・ツアーのアレンジも承ります。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/info.htm
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「スカウス・ハウス」では、今年8月にリヴァプールで開催される「イン
ターナショナル・ビートル・ウィーク」の観光パッケージ「スカウスハウス・
ツアー」を企画し、参加者を募集しています。
「スカウスハウス・ツアー」は、イヴェントチケットとホテル宿泊がセット
になった、個人旅行をされるみなさんのための現地パッケージです。
ビートルズゆかりの地を訪ねるガイド・ツアーやランチョンなどのオリジ
ナル企画も大好評。リヴァプールが1年でいちばん賑わうこの「世界最
大のビートルズまつり」を、ひとりでも多くの方に楽しんでいただければ
と願っています。
詳細については、ウェブサイトの「スカウスハウス・ツアー 2004」ペー
ジをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/scousetour2004.htm
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「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して
います。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。
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▼今週のフォト&BGM
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*** 今週のフォト ******
今週は、リヴァプールのブリュワリー「ケインズ」の写真です。
ウェブサイトの「NLWライブラリー」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/library.htm
*** 今週のBGM ******
“Eden / Everything But The Girl (1984 blanco y negro)”
今週号は、このエヴリシング・バット・ザ・ガールのファースト・アルバム
を聴きながら編集しました。
僕の大好きなアルバムなんですが、不思議と雨の日に聴きたくなるん
ですよね。今日は朝から雨でした。これからの季節、頻繁にターン
テーブルに乗せることになりそうです。 (Kaz)
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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*** 毎週火曜日発行 ***
□■ 第153号 ■□
◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
◇編集 山本 和雄
◆ウェブサイト http://scousehouse.net/
◇Eメール info@scousehouse.net
ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお寄せください。
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