September 27 2005, No.218
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2005年9月21日〜9月22日>
 ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▼「利物浦日記(2005年夏)」
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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サー・ポールの新作“ Chaos and Creation in the Backyard ”を聴いて
います。
感想をここに書こうと思うのですが、なかなか言葉が出てきません。
さっきから、ちょっと書いては消し、消してはちょっと書き、を繰り返して
います。
まったくなんというアルバムだろうと、出て来るのはため息ばかり…。

一言でいうと、完璧に「ポール・マッカートニー」なんです。
メロディーの一節一節、演奏の一音一音、声の一息一息、すべてが
「ポール・マッカートニー」なんですよね。
自然な完璧さ、と言ったらいいのか…ちょうど空や雲や海が完璧であ
るのと同じような、そういう種類の完璧さを感じます。

しかし、この「自然な完璧さ」は、決して自然に生まれたものではない。
もちろん偶然でもない。
おそらくポール自身も、「ポール・マッカートニーとしての完璧な作品を
作ろう」と本気で考えたのではないでしょうか。
ポールほどの天才が、その才能とセンスと集中力を総動員した挙句
に極限まで煮詰める。そこで初めて、あれほど緻密で繊細なアレンジ
が生まれたのだという気がします。

楽曲そのものの素晴らしさに加えて、ポップ・ミュージックの頂点といっ
てもいいような極上の音楽的クォリティ。
なのに、ぜ〜んぜんかしこまった音楽ではないんですよね。まるでひょ
いと裏庭をのぞいてみたらもしかしてそこで歌ってるんじゃないかって
いうくらいに、等身大のポールがここにいます。

こういうアルバムを、長いこと待ち望んでいたのです。ずっとずっと、
えーとそれこそ20年くらいですかね。
もちろんこれまでのアルバムに不満があったわけではなくて、どれも
が、ひとつ残らず素晴らしいアルバムだと思って聴いてきたわけです
が…。
でも、これ以上のポールのアルバムは、この先もないんじゃないかと
思います。個人的には。
そう考えると、念願が叶って嬉しいやら悲しいやら複雑な気持ちです
が…いやいや、ここは素直に喜んで、ポールさんに感謝したいと思い
ます。

ところで、1曲だけ、まるでジョージが書いたんじゃないかって曲があり
ますよね。きっとわざとなんだろうな。

                          ― Kaz (27/09/2005)


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▼リヴァプール・ニュース <2005年9月21日〜9月22日>
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*** 9月21日(水) *******************************

【プレミアシップ 05−06】
イングランド・プレミアリーグの結果です。
リヴァプールは、18日にホームにマンチェスター・ユナイテッドを迎え、
0−0のドローでした。

キャプテンのスティーヴン・ジェラードは、試合後にこう話しています。
「前半のウチは、ちょっと相手をリスペクトし過ぎたかな。でもチャンス
をいっぱい作って前がかりになると、ユナイテッドのカウンター攻撃の
思うつぼだからね、1−0でやられてしまうこともあり得たと思う」
「まあ、フェアな結果だと思う。前半は彼らがゲームをコントロールして、
後半はウチが押していた。決定的なチャンスは作れなかったけど」
「アンフィールドで1ポイント獲れて、たぶん向こうはハッピーなんじゃな
いかと思うよ」
「(リーグ戦4試合で、チームとしてわずか1得点しか取れていないこと
について)このまま練習に励むだけだよ。きっとゴールはついてくるさ」

19日にアウェイでアーセナルと対戦したエヴァトンは、2−0で敗れま
した。


*** 9月22日(木) *******************************

【リンゴの家】
リンゴ・スターの生家は、解体の危機を免れることはできませんでし
た。しかし、消滅だけは避けられそうです。なんとかぎりぎりのところ
で。
マドリン・ストリート9番地のリンゴの家は、5400万ポンド(約110億7
000万円)をかけた地区の再開発のために取り壊されますが、解体
後に保管されることになりました。

再開発の対象となったディングルのウェルシュ・ストリート地区の住民
の多くは、住宅の建て替えに賛成でした。
「必要な改修工事は認めるが建物自体は保存してほしい」と望む住民
は、あまり多くありませんでした。
このため、ウェルシュ・ストリート地区の500世帯は、当初の予定通り
に全面的な建て替えが行われることになりました。
しかしリヴァプール・シティ・カウンシルは16日、リンゴの生家だけは、
解体後はレンガのひとつひとつまで保存すると約束しました。

フロー・クルーカス議員はこう話しています。
「マドリン・ストリートにあるリンゴの家については、いろんな意見があり
ますね。私は事務方に、あの家は解体しても保存しておくように念押し
しています。将来的にそれをどうするかは、時が経てば決まってくるで
しょう」


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第25回 / 「怒涛のバンクホリデーウィークエンド」(3) ― 

27日から、マシュー・ストリート・フェスティバルがはじまりました。
私は、初日と3日目に、ピア・ヘッドにある「アーティスト・レジストレー
ション・オフィス」でボランティアをしてました。
出演前に登録にやってくるミュージシャンをバックステージまで案内し
たり、楽器運びをしたり、という、基本的には肉体労働だったのです
が、コピーバンドやインディのローカルバンドから、Lemar や Blue の
Simon Webbe など有名どころまでが通りすぎていき、ミュージシャンの
連れのとりまきや、ゲート前で待ち構える追っかけのファンの子達がい
ちいちコミカルで楽しかったです。

メインの3日目はさすがに大わらわでしたが、初日はステージが2つだ
けだったのでで、それほど忙しくありませんでした。
ぼーっとしている時間が多かったのですが、マネージャーからお呼び
がかかり、「日本からのプレスが来る予定なので、来てほしい」とのこ
と。
で、行った先がマシュー・ストリート・フェスティバルのプレス・センター
でした。それがどこにあるかというと…ライヴァー・ビルの最上階!
結局プレスの方々はいらっしゃらなかったのですが、仕事もしないで
私だけこんないい思いしていいのかなあなんて思いながら、待ってい
る間にビュッフェをいただき、ライヴァー・ビルの屋上から眺める風景
を楽しみ、また大会議室や円卓などのある部屋なども見せてもらって
しまいました。ラッキー!!

前回私がマシュー・ストリート・フェスティバルを見に行ったのが、2000
年の夏でした。
そのときは、「ビートルズ色100%」といった感じでしたが、今回は、リ
ヴァプールの新しいインディバンド用にステージが設置されていたのが
印象的でした。個人的に好きな、747's や Pop Levi も出演してました。
このフェスティバル期間は、年間を通じて一番国内外から多くの人々
が観光に訪れる時期。こうした場で、今ふつふつと沸きあがっている
今のリヴァプールの音楽シーンが伝えられたことは、とっても希望のも
てる動きだと思います。
今後、過去から現在に至るまでの、すべての世代レベルのリヴァプー
ルの音楽をセレブレートするような、そんなミュージック・フェスティバル
になってほしいものです。

他に何があったかいろいろ思い返しています。。。
「スカウスハウス・ツアー」には、レストラン&パブ専門要員として参加
させていただいたのですが、忘れてはならないのが、スカウス・ラン
チョン! 28日のお昼に、すっかり私の行きつけのパブと化している、
Ye Cracke にて、スカウスハウス・ツアーの参加者のみなさんと一緒
に、スカウスを食してきました。
2時間煮込んで、24時間寝かせた特製スカウスはもったりしていて、
野菜の旨味が実にしっかりでてて、付け合せのパンも赤キャベツと
ビートルートともに本当に美味しかった! (私とKazさんは肉抜きの
「ブラインド・スカウス」でしたが、きっと他のみなさんのは、お肉の旨味
もたっぷりだったのでしょう!)
スカウスは、やっぱりリヴァプールに来たら外せないメニューです。是
非是非お試しあれ!

その他にもメキシカン・パーティーとか Cain's ツアーとかプリンセス・
パークでの反レイシズムのチャリティーコンサートやいろいろイベント
があったのですが、どうにもこうにも書ききれないので、とりあえずおま
けとして、街で見かけた有名人! ということで、2枚ほど写真を送りま
す! (今書いた内容とは全然関係ないんですけど。。。)

1.家の近くのマートル・ストリートのニュースエージェントで、テレビ番
組 Big Brother に出演していたイタリア人、Roberto とお店のおじちゃ
んが記念撮影しているところをキャッチ!

2.以前紹介した、Polished T にて、9月8日に行われた新しいギャラ
リーオープニングでDJとして登場したリヴァプール発のエレポップ・グ
ループ Ladytron の Ruben と Danny (10月に新譜 “Witching Hour”
がリリース予定)と、Polished T スタッフの Regina をパシャッ!

それではまた来週!

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/goldfish25_photo.htm )


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▼「利物浦日記(2005年夏)」2
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「利物浦日記(2005年夏)」 / Kaz

第2話 <ポールの家のジョン>

毎年リヴァプールで会うのが楽しみな人が、何人かいる。
ポールの家「 20 Forthlin Road 」の管理人、ジョン・ハリデイさんもその
ひとりだ。

「ポールの家の管理人は、ポールのそっくりさん。でも名前はジョン」
と、いろんなところで紹介されているので、今では結構有名人だ。本人
もそれが嬉しいようで、イヴェント会場などで、ビートルズ・ファンに自
分から寄って行って自己紹介したりする。
まあ屈託がないというか、愛嬌があるというか、とにかく憎めない性格
なのだ。誰とでも打ち解けてすぐに友だちになってしまうのが、この人
のいいところだ。

8月26日、今年も「ナショナルトラスト・ツアー」でポールの家を訪問し
た。
その時にジョンと交わした会話をいくつかここで紹介しよう。ジョンの人
柄を感じてもらえればと思う。

僕:「声の調子、悪そうだね」
ジョン:「うん、もう嗄れてるもんな。今年は日曜も月曜も開けることに
なったからたいへんなんだよ」
僕:「日曜も月曜も? そりゃあキツイね。ということはジョン、コンヴェ
ンションに行けないじゃん」
ジョン:「そうなんだよ、カズ。ギグとかもあんまり観れないんだよね。楽
しみにしてたんだけど」

僕:「ところでジョン、サー・ポールにはもう会えた?」
ジョン:「いいや、まだなんだよ」
僕:「でも何度も来てるんだよね、ポールさん」
ジョン:「3回来てる。でもぜ〜んぶ僕が留守の時なんだ。鍵がかかっ
てるからもちろんポールは家の中に入れないし、僕はポールに会えな
い」
僕:「やれやれ。『ナショナル・トラストのツアーを予約しなさい』ってポー
ルさんに言っとけば?」
ジョン:「ははは。でも今度はだいじょうぶだよ。こないだマイク(ポール
の弟のマイク・マッカートニー)が来た時に、僕の携帯電話番号を教え
といたんだ。次来る時に直接連絡してもらえるようにね」
僕:「へえ〜、すごいな。かかってくるかな」
ジョン:「そのうちきっとね。もうポールのケイタイには僕の番号が入っ
てるかもね!」

ジョン:「カズ、ポールの新しいアルバムのカヴァーはもう見た?」
僕:「えーと、どっかで見たはずだけど…どんなんだったっけ?」
ジョン:「この家のバックヤードでポールが歌ってる写真。マイクが撮っ
た…」
僕:「ああそうだそうだ、思い出した。そっかあ、この家の裏庭だよね」
ジョン:「そうなんだよ。で、きっとあのガーデンチェアーに座ろうとする
やつが出てくるだろうなーと思ってさ。壊されでもしたら…」
僕:「なるほどねー、もう心配してるんだ。じゃ、誰かに壊される前に僕
が座ってもいいかな」
ジョン:「いいわけないだろ!」

ここで、アメリカから来たグループのひとりが、
「ねえジョン、そもそもなぜあなたがここの管理人に選ばれたの?」
と質問。ジョンが茶目っ気たっぷりに答える。

「んー、そりゃあ僕のセックスアピールのせいだろう」

これにはみんな大爆笑。場を和ませた後で、ジョンはこう続けた。

「まあ公募で選ばれたんだけどね。で、あっちのメンディップスをナショ
ナル・トラストが管理することになった時も、最初に住み込みで管理し
たのは僕だ。つまり僕は、ポールの家とジョンの家、その両方で暮らし
た唯一の人間なんだよ。これってさ、小さい頃からずうっとビートルズ
を追いかけて来た人間にとっては、悪くないよね」

なるほど、悪くないよ、ジョン。
いや、悪くないどころか、世界中のビートルズ・ファンが君のことをうら
やましがってるぞ〜!

(利物浦日記2・おわり)


(この原稿に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW フォト・アルバム」
ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo218.htm )


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▽スカウスハウス・ニュース
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▼今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/goldfish25_photo.htm


*** 今週のフォト・アルバム ******

「ゴールドフィッシュ」以外の原稿にちなんだ写真は、「NLW フォト・アル
バム」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo218.htm 


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□■ 第218号 ■□

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