September 19 2006, No.265
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2006年9月17日>
 ▽寄稿:W杯観戦記「ドイツに行ってきました!」
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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ウールトン・シネマが閉館してしまいました。
いきなり「ウールトン・シネマ」といわれても、ほとんどの人には「なんの
こっちゃ?」かもしれませんね。
えーと、ウールトン・ヴィレッジというとても小さな町というか村にある、と
ても小さな映画館です。
ウールトン・ヴィレッジは、ジョンの家(育ての親ミミおばさんの家)から
歩いて12〜3分ほどのところにあって、ジョン少年の遊び場でもありま
した。ポール・マッカートニーと出会った教会や、行きつけのミルク・
バー(ストロベリー・ミルク・シェーキがお気に入りだったそうです)や、
通っていたスイミング・プールなどが、今も残っています。映画好きだっ
たジョン・レノンのことですから、このウールトン・シネマも彼のテリト
リーのひとつだったことは、まず間違いないと思います。

ウールトン・シネマの閉館が発表されたのは、9月2日の地元紙「デイ
リー・ポスト」紙上でした。
その日は、僕にとって今夏のリヴァプール滞在最後の日でした。
朝食後に定宿の「ブランデルサンズ・ゲストハウス」を出て、雨の中を
最寄りのブランデルサンズ&クロスビー駅まで走り、いつものように売
店で「デイリー・ポスト」を買って、いつものようにシティ・センターに向か
う列車の中で目を通しました。そして、この記事を発見したのです。

「やれやれ」
というのが、最初に僕の口から出た言葉です。
(リヴァプール最後の日というのに、なんでこんな悲しいニュースを目に
しなくちゃいけないんだ?)
そう思ったのです。

でも次の瞬間には、思い直しました。
今日なら、このシネマに、お別れを言いに行くことができる。行けば、
記念の写真を撮ることもできる。これが明日やあさってだったら、そう
いうわけには行かない。ということは、これは「お告げ」のようなものな
のかもしれない…。オーケー、お別れを言いに行こう!

いくつかの用事を済ませた後の夕方、78番のバスに乗って、ウールト
ン・ヴィレッジに向かいました。朝から降っていた雨は、もうすっかり上
がっています。天気予報は確か「一日中ヘヴィー・レイン」だったんです
けどね。

閉館の一日前のウールトン・シネマは、いつもと変わりのない、静かな
佇まいでそこにありました。
受付には、若い金髪のお嬢さんがいました。頼んでみると、上映中の
ために客席には入れなかったものの、ロビーには快く入れてくれまし
た。ほんの10畳ほどの、ほんとうにこじんまりとした作りでした。
(古き良き時代の香りが隅々にまで沁みこんでいるんだろうなあ)
としみじみ感じながら、写真を撮りました。

このシネマがオープンしたのは、1927年の12月26日。78年と8ヶ月
前のことです。エントランスの横の壁には、「ブリティッシュ・フィルム・イ
ンスティテュート」による記念プラークが設置されています。曰く、「現存
するリヴァプール最古のシネマ」。

その歴史の故に、クローズした後も、シネマの存続を願うキャンペーン
が続けられています。
この運動がうまく行って、再び映画館としてオープンするといいです
ね…いや、きっとそうなるはずです。
「ウールトン・シネマ復活!」の記事が地元紙に掲載される日が来るの
も、そう遠くないと信じています。

このウールトン・シネマ閉館の話を、今週の「ニュース」でお伝えしています。
僕が行って撮影してきた写真は、今週の「NLWフォト・アルバム」
( http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo265.htm )に掲載してい
ます。

● ● ●

2年に一度のアートの祭典、「リヴァプール・バイエニアル」が開幕しま
した。
リヴァプールのアートシーンのど真ん中にいるミナコさんが、今週から
レポートしてくれていますが、いやはや、しょっぱなからえらい盛り上が
りになっているようですね。
詳しくは、今週の「ゴールドフィッシュだより」やウェブページ
( http://scousehouse.net/goldfish/goldfish61_photo.htm )をご覧くださ
い。

実は僕も、今回のミナコさんのレポートと写真で初めて実感したのです
が、このフェスティヴァルって無茶苦茶面白そうですね!
こんなに大規模で楽しいアート・フェスティヴァルが、2年に一度のイン
ターヴァルで開催されるなんて、リヴァプールという街はほんとうにたい
したものです。

「再来年、2008年のバイエニアルには絶対に行くぞー」
と、今日、決めました!

                           ― Kaz (19/09/2006)


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▼リヴァプール・ニュース <2006年9月17日>
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*** 9月17日(日) *******************************

【復活を願って】
ウールトン・ヴィレッジにある映画館「ウールトン・シネマ」が、78年の
歴史に幕を閉じました。
今年6月、ウールトン・シネマのオーナー、デイヴィッド・ウッドが59歳
で亡くなったことにより、未亡人のフラーはシネマの存続は困難と判断
し、閉館を決心しました。

9月3日、午後7時30分から、最後の映画が上映されました。
特別なセレモニーは何もなく、普段と変わりない、いつもどおりの上映
となりました。
古き良き時代の面影を残す客席には、およそ185人の観客と20人
のスタッフが座り、「パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン2:デッド・マンズ・
チェスト」を一緒に観ました。

マナージャーのジュディ・ボールは、映画のインターヴァルの間に、ス
ナック・トレイで、ウールトン・シネマ最後のアイスクリームを売り切りま
した。このシネマの常連たちに愛された、1950年代風の伝統的なス
タイルです。
終了後、ジョディはこう話しています。
「何か記念になることをしたいと思う反面、派手にはしたくないって気持
ちでもあったの。誰かが亡くなったからクローズするわけでしょ。だから
追悼のアトマスフィアはキープしたかったのよ」
「スタッフにとっては悲しい夜よね。常連の何人かにとっても。でもみん
な楽観的でいようとしてるわ。だってわたしたちみんな、これをファイナ
ル・エンディングにしたくないって思ってるから」

ウッド・ファミリーとシネマのスタッフたちは、ウールトン・シネマの銀幕
に再び光が灯される日が来ることを願っています。
ウッド夫人の元には、現在、映画館として興味を示す7つのバイヤー
と、再開発を希望する1つの企業からのオファーが届いているそうで
す。

ウッド・ファミリーがシネマの経営を始めたのは、およそ100年前に遡
ります。
1908年のボクシング・デイに、亡くなったデイヴィッド・ウッドの祖父
が、ウォルトンに「べドフォード・ホール」というリヴァプール初の映画専
用のホールをオープンしたのがそもそもの出発点でした。
べドフォード・ホールは大成功し、「べドフォード・シネマ」チェーンとして、
次々に新しい映画館がオープンしました。その中には、ジョン・レノンの
いちばんのお気に入りの映画館だったウェヴァトリーの「アビー・シネ
マ」も含まれていました。

しかし、デイヴィッド・ウッドの代になると、映画の配給事業の方に興味
を持っていた彼は、シネマの経営をほとんどやめてしまいました。
そのデイヴィッドが、唯一、情熱を持ってシネマの経営にあたったの
が、ウールトン・シネマだったのです。彼は1992年にこの歴史のある
シネマを買収しました。

ウールトン・シネマは、1927年のボクシング・デイに、「ザ・ピクチャー・
ハウス」の名前でオープンしました。
シングル・スクリーンでキャパシティは256席という小さな映画館です。
ジョンが通っていた教会であり、ポール・マッカートニーと出会った場所
でもあるセイント・ピーターズ教会のすぐ近くにあります。
このシネマのあるウールトン・ヴィレッジは、少年時代のジョン・レノン
が毎日のように遊びに来たところです。映画好きであったジョン・レノン
のことですから、きっとこの映画館に何度も足を運んだことでしょう。

最後の上映の後、ウールトン・シネマの電話ではこんな録音メッセージ
が流されています。
「ウールトン・シネマにお電話くださり、ありがとうございます。たいへん
残念ですが、現在このシネマは閉館中です。これまでのご愛顧に感謝
するとともに、またお会いできることを心より願っております」


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▽寄稿:W杯観戦記「ドイツに行ってきました!」
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W杯観戦記「ドイツに行ってきました!」 / マイキー

  ― 第6回 / 「炭鉱の町のメキコサポ」 ― 

ドイツに来て、旅感覚もそこそこ落ち着いてきた頃(変な表現?)です
が、、、。
昼間は太陽の光が痛いくらい暑いのに、夜はぐっと寒くなります。
移動、移動で、普段は滅多に飲まないビタミン剤とかサプリメント剤か
な? 飲めば気も休まるので(苦笑)自分で暗示にかけながら。。。元
気を保っておりました。

この日はゲルゼンキルヘン/GELSENKIRCHENにて『ポルトガルvsメ
キシコ』!
ケルンからもそんなに離れてなく電車で40分もかからなかったと記憶し
てるのですが(たぶんね…)。。。

試合開始は現地時間16時からの今回初のデイゲーム。
私が観戦する5試合の中でも、ちょうど真ん中で3戦目。
トーナメント戦の中でもなかなかの好カード!
それとポルトガルの監督はブラジル人のフェリペさんだし、メキシコの
方はアルゼンチン人! ライバル国同士でお互い負けは嫌だも
んね、バチバチ!(笑)

ゲルゼンキルヘンは元々炭坑の町として栄えたところですが、今では
ブンデスリーガーでシャルケ04と言うクラブチームのホームで、熱狂的
なサッカーサポーターの街として有名。
そーそー! 2001年に建設されたガラスで覆われたここのスタジアム
は、ドイツ初のドーム型スタジアムなんだけど、試合の無い日は芝生
に日光を当てる為にピッチ全体を油圧ジャッキで持ち上げてドームの
外側にスライド移動するんだって!!!

この日も、「I Need Ticket」の札を首から下げたり、Tシャツに書いたり、
直に肌にお腹や背中にマジックで書いたりした人たちを試合直前まで
見かけました。
またメキシコのサポーターさん達は派手なんよねー! それにワイル
ドだし(笑)
ポルトガルの方は案外地味。。。って言うのかメキシコ(あ! 発音的
にメキコって聞こえてた)が元気すぎたのよね(笑)
とかなんとかメキシコのサポーターに見とれていた訳でもないんだけ
ど、余裕でスタジアムに向ったはずなのにゲート前で立ち往生。。。。
たぶんサポーターさん達の荷物点検のせいだと思う。。。特にあのメキ
シカンの帽子とかも大きいでしょ? もちろん帽子ははずして点検する
し裏返したり、あんまり大きい固い物はダメらしく旗は良いけど棒がダ
メとかね。遠い所から持って来たはるのにかわいそー。。。

あ! そーそー! この列んでいる時に阪神ファンにはわかるはずな
んだけど元阪神タイガースの代打の神様(だったかな?)八木さん発
見!(笑)
私は見た事ある人だな? とチラッと見ただけなのに、師匠が「八木
だー!」と突然向って行き(大笑)記念写真をパチッ!。。。。
八木さんは大阪のテレビ番組の収録で今日の試合と明日の日本対ブ
ラジル戦をカメラと共にいらしてた模様。
でも、、、私達でも国歌斉唱の頃に席にたどり着いたくらいやのに、八
木さん達、取材になったんでしょうかね???

このゲームのチケットは、あのFIFAの公式のサイトで、直前の大売り
出しの時にゲットしたものなのでした。
大会1ヶ月前に取ったのに…一番前の席なのだ!
プレミアのように目の前がすぐ芝ってわけでは無いんだけど、前に人
がいないのは凄かったよー。迫力満点♪

でもでもポルトガルもメキシコもトーナメント戦で勝ち上がりが決まって
たのでスターティングメンバーは温存バージョン。。。(残念)
C・ロナウドなんて練習にも居なかったし。。。デコもヌーノゴメスも後半
からで主力メンバーは休ませてたの(涙)
トーナメント戦の最終週は当たり外れがあるんだね(××)
でも、試合の内容は面白かったのよ! ポルトガルも結構はじめから
飛ばしてたし、前半すぐに先制点が入りポンポンと二点目が入った後
メキシコもフォンセカがゴーーール!
あ! 大事な人忘れてた! ポルトガルと言えばフィーゴ! がんばっ
てたよ(笑)
席が近いから選手の表情がよく見えて声まで聞こえると言うおまけ付
き♪ ああやっぱりLIVEはやめられない(ははは)

メキシコのサポーターさん達はお国柄同様応援スタイルもにぎやか艶
やか、観てるだけでも楽しい!
試合結果は2-1でポルトガルが勝ちましたが応援とサポーター数は断
然メキシコの勝ちだったと思うよ。

帰り道もだらだらと時間をかけながらスタジアムを後にするんだけど、
終わっても明るく時間も夕方の18時とか19時。
あわててホテルに帰る必要も無いし体も楽だったなぁー。

あと、ドイツ人さんなのかポルトガル人さんなのか定かではないんだけ
ど、、、ボディランゲージだけの会話(?)で自分の持っているTシャツ
を、あのとんがった帽子と交換したいと言ってメキシコのサポーターさ
んと交渉していて、、、駅のホームで、誰もがそれに注目している間の
出来事でした。
なんとかそれが成立したら、周りから笑いと拍手が起ったのが面白
かったです。
実はその帽子ボロボロになっててとんがった部分がほとんどはずれか
かってたんだけど、交換してもらったお兄ちゃんは嬉しそうに帽子をカ
パカパさせながら(笑)戻って行きました。。。
こういうのも、ワールドカップの醍醐味なんよねー♪♪♪

(つづく)


(この連載に関連する写真を、ウェブサイトの今週の「NLW フォト・アル
バム」ページに掲載しています。どうぞご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo265.htm 


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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第61回 / 「アーティーパーティー♪ Liverpool Biennial 開幕」― 

こんにちは!
2年に一度のアートの祭典、リヴァプール・バイエニアル( The
Liverpool Biennial of Contemporary Art )がスタートしました。ビエン
ナーレではなく、「バイエニアル」と発音します。

1999年から始まったバイエニアルも今回が4回目で、今や現代アート
のビエンナーレとしては英国最大とも言われています(しかもほとんど
が入場無料♪)。
バイエニアル本体は、International 06 、International + 、John
Moores 24 、Bloomsberg New Contemporaries 2006 の4本柱で構成
されています。
 公式ホームページ: http://www.biennial.com

また、周辺イベントとして、リヴァプールのアート団体、アーティストを中
心に展開している、Independents Biennial
( http://www.independentsbiennial.co.uk )があります。

そして、Biennial 本体とも Independents とも呼びがたい、A Foundation
( http://www.afoundation.org.uk )というアート団体が主催する
Greenland Street があります。
Greenland Street は、2004年のバイエニアルでは Independents
District と呼ばれていたエリアですが、今回はより中心的な位置づけを
占めています。

今回は、Independents 部門を含めると、とてつもない数のイベントに
膨れ上がっています。
14日(木)の朝、プレス向けのオープニングが大雨の中、アデルフィ・ホ
テルにて行われたのですが、リヴァプール・バイエニアルCEOの Lewis
Biggs も、
「常にさまざまな催し物がオーガニックに枝分かれしているので、とに
かくご自分で探して観てください」
と言っていたように、誰も把握しきれない状態です。

今年は、「xxxx it」が合言葉のようで、プログラムは「follow it」、「find
it」、インフォメーション・ハブの看板には「know it」、街に掲げられたバ
ナーには「make it」、「break it」、「catch it」、「miss it」、「love it」、
「hate it」 などなど。
前回のオノ・ヨーコさんのバナーやピアヘッドの ABBA House のような
インパクトさに比べると、今回は少々薄いかもしれませんが、今回はと
にかく数とバラエティーに富んでいるので、オリエンテーリングのノリで
リヴァプールの街を探索しながら発見する楽しめるのではないかと思
います。

14日(木)は、プレス向けのオープニングの記者会見のあと、ウォー
カー美術館では、John Moore 24 の受賞者の発表が行われました(審
査の様子は、ゴールドフィッシュ第51回でお知らせしましたね)。
この栄誉ある絵画のコンペは、1954年からここウォーカー美術館で行
われていて、今回の審査員である Sir Peter Blake も受賞者の一人で
す。
午前中のプレス発表では Peter Blake がアナウンスをし、午後の授賞
式は Tracy Emin がプレゼンターでした(午後の部は、会場がすし詰め
で、とてもじゃないけどステージに近づくことはできませんでした!)。

今年は、Martin Greenland の "Before Vermeer's Clouds"が大賞を受
賞。
「抽象絵画の流行は去った?!」と囁かれるほど、今回は、写実主義、
フィギュラティブな作品やランドスケープの傾向にあることは間違いな
いようです。
入賞作品のひとつである、James White の "In the Basement (Kit II)"
などは、テクニックが凄すぎる。近づいて観ても写真みたいです。

今回の展示作品は、ナショナル・ミュージアム・リヴァプールのホーム
ページでも見れます。
 http://www.liverpoolmuseums.org.uk/walker/johnmoores/24/exhibitors.asp
ひとつだけ、Andrew Griffith の "Welcome to My Garden" が絶対入
賞すると思ってたのになあ。。。
でも一般からの投票もできるみたいなので、次行ったときにしてこよう
と思います。
とにかく見ごたえのあるコレクションで、大おススメです。すでに私の中
ではトップ3入り確実です。

同じくウォーカー美術館で、Lemon Jelly というエレクトロニカ・グルー
プの片割れの Fred Deakin のやってるデザイン集団、Airside による
『Insyde』展。これは前から目をつけていたのですが、その期待を裏切
りませんでした。音楽もこのために書き下ろされたそうです。最高にか
わいくて和めて、しかもインタラクティブで参加型だから楽しい。バイエ
ニアルの Lewis Biggs 氏もピョンピョン飛び跳ねていました。
この作品のショートビデオが見れますので、チェック!
 Airsideホームページ: http://www.airside.co.uk/press/insyde/

場所を移して、St. George's Hall の小コンサートホールで Silent Sound
という奇妙なパフォーマンス。Iain Forsyth & Jane Polland の二人が、
ステージの上の防音のきいた銀色のボックスに入って、ある同じ言葉
を繰り返し発し、そのメッセージをキャッチしたミニオーケストラがその
演奏を通じて、観客に潜在意識に語りかけるというもの。
1865年に同じ場所で、The Davenport Brothers によるこのようなパ
フォーマンスが過去に行われていたそうで、そのスタイルを再現したも
のだそうです。
音楽は、Spiritualized の Jason Pierce が作曲。私は特に何も感じませ
んでしたが(無意識に感じてるのかもしれませんが)不思議な空間でし
た。ここでレコーディングされたサウンドピースは、Greenland Street
の Blade Factory にて聴くことができます。

その晩は、ロンドン在住の美術ジャーナリスト、伊東豊子さんと合流し
て、Greenland Street でのオープニングパーティーに行きました。伊東
さんは、「フォグレス」という非常に充実して分かりやすいロンドン発
アート情報サイトを運営しています。イギリスのアートシーン&ギャラリ
ー情報を日本語で得られる、とっても貴重なホームページです。必読! 
 フォグレス: www.fogless.net

倉庫街ということもあって、音出し放題のストリートパーティーで驚きま
した。シンプルなセッティングだったにもかかわらず、どこかシュールで
華やかで、誰もがハッピーな雰囲気で包まれていました。
テントの中で踊るひとたち、ソーシャライズしている人混みの間をドラッ
グクイーンが通り過ぎたかと思うと、Jump Ship Rat の Ben Parry とフ
ランス人アーティスト Jacques Chauchat によるメカニカル・ミュージッ
ク・トーイ、The Milk Float が光を放ちながらドッタンガッチャンいってい
たりして(これは牛乳配達の車をジャンクで組み立てたもので、実際動
くんですよ。バイエニアル期間中、街中を巡回するそうです!)。
会場には、Peter Blake と元 Frankie Goes To Hollywood の Holly
Johnson の姿も見かけられました。

15日(金)は一般公開前のプライベートビューの日。
「Fuse Box」という名前のバイエニアル・インフォメーション・ハブへ行き
ました。
場所は、Polished T。Parr Street の坂を下りて、くねくねした丸いラン
プのオブジェ "Penelope" の近くです。
とにかくいろんなイベントが起こっているので、まずはここからスタート
することをお勧めします。Fuse Box では、Ros Hynd さんその他フレン
ドリーなスタッフがアドバイスしてくれる上に、インターネットが無料で使
えて、パソコンを持ち込んでワイアレス・コネクションもOK。近日中にカ
フェもオープンするそうです。
そして、Fuse Box の奥には、 International 06 のアーティスト、オースト
ラリア出身の The Kingping によるビデオインスタレーション。これが最
高に笑えます。マージー川の向こうの Port Sunlight Village(ユニリ
バー社の前身の石鹸工場が工員のために建てた社宅。チューダー様
式で白黒のパターンが特徴)の閑静な住宅街を、Little Britain の
ヴィッキーみたいにトラックスーツを着た4人が跳ね回り、 しまいには
牛乳配達の車を乗り回して大暴れ。

 < Fuse Box at Polished T >
  電話:0151 707 6719
  住所:85-89 Duke Street, Liverpool, L1 5AP
      (入り口は、Parr Street 側から。クラブ Cream 跡地、Nation
      の向かい側。カラフルな丸いオブジェPenelope 近く)
  オープン:毎日午前10時〜午後6時
 

Greenland Street に入る前に、そのはす向かいに、The Caravan
Gallery を発見。「Welcome to Britain」という本も出版している
Teasdale 夫妻は、イギリス中を旅して、可笑しな風景を写真で記録し
ています。

そして Greenland Street 。
ここは、もともとパン用のナイフを作る工場だったところです。The
Coach Shed 、The Furnace 、The Blade Factory の3つのエリアに分
かれています。とにかく巨大なスペースなので、余裕をもって見に行く
べしです。

The Coach Shed エリアでは、Bloomsberg New Contemporaries 2006
という、毎年行われる、イギリスの美大の学生または新卒アーティスト
の展覧会。
Chiho Kato さん、Akiko Takizawa さんなど日本人アーティストの作品も
展示されています(お二人にその晩のパーティーで会って写真を撮ら
せてもらいました)。
The Furnace では、Goshka Macuga による立体迷路のようなインスタ
レーション。ギャラリーのスタッフがツアーもしてくれるそうです。
The Blade Factory では、下の階では Grizedale Arts (越後妻有アー
トトリエンナーレでは「7人の侍」プロジェクトを展開)、上の階には、
Silent Sound のサウンドインスタレーション、そして、Office for
Subversive Architecture による屋上スペースは不思議な色合いで、
眺めもいいのでマストです!

 < Greenland Street >
  住所:67 Greenland Street, Liverpool L1 0BY
      (Cains ビール工場近く。"a"と書いてある煙突が目印です)
  オープン:水曜日〜日曜日。午前10時〜午後6時(木曜のみ8時)。
  入場無料

その晩は、Carling Academy でまたパーティー。
Lemon Jelly の Fred Deakin のDJ、リヴァプールの Hive Collective 、
そしてバンドがいくつか出ていましたが、食べる暇もなくまわっていたた
め空腹と疲労に負けて退散。帰りがけに演奏していたのは The
Wombats かな? 多分。。。

一般公開のスタートした16日(土)。アルバートドックでのウェルカミング
イベントには沢山の人が詰めかけ、ごったがえしていました。
Tate Gallery をザーッとみて、ゆっくりお昼を食べて、午後は Arena や
新生 Museum MAN などのインディペンデンツ部門の会場にいくつか
足を運びましたが、コレを書き始めると収集がつかなくなるので、今週
はメジャーどころのみでやめておきます。

バイエニアルはこれから10週間続きますので、ゆっくり紹介していきま
す。
「アートはイマイチ解らないし。。。」
と私も昔は思ってましたが、そんなこと関係なく楽しめるお祭りですの
でこれを機会にアートにどっぷり漬かってみてはいかがでしょうか。

日曜日は、トドメの Hope Street Festival 。
今回は、Philharmonic Hall のオープンデー、Heritage Week も重なっ
て、ホープ・ストリートは、マーケットストールやクラフトフェア、パフォー
マンスなどで、和やかな午後となりました。
フィルハーモニックホールで10周年を迎えたHOPESの HOTFOOT コ
ンサートを観て(今回は観客として鑑賞!)、おもてで地元の農家から
の野菜をたんまり買い込んで帰りました。

楽しむのも体力がいりますね。来週も忙しくなりそうです。

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish61_photo.htm )


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*** フットボール・チケット手配 ******

リヴァプールFCおよびエヴァトンFCの、ホームゲーム観戦チケットの
手配を承っています。
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium.htm


*** 語学留学生募集中 ******

リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
詳細については、ウェブサイトの「語学留学案内」ページをご覧くださ
い。
http://scousehouse.net/study/index.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアー
をアレンジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/info.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して
います。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish61_photo.htm


*** 今週のフォト・アルバム ******

「ゴールドフィッシュ」以外の原稿にちなんだ写真は、「NLW フォト・アル
バム」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo265.htm 


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