October 17 2006, No.269
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2006年10月13日>
 ▽寄稿:「 LFC vs Galatasaray 観戦レポート」
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▽フロム・リーダー
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


――――――――――――――――――――――――――――――
▽フロム・エディター
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

こないだの日曜日、近所の公園に、どんぐりを拾いに行きました。
もちろん料理して食べようと思ったわけではないですし、特にどんぐりを
コレクションしているわけでもありません。
山に住む熊さんのご飯にしてもらおうと思ったのです。
妻と2人で、だいたい1時間ほどかけて、2kgちょっとのドングリを集め
ました。

今年2006年は、山のブナが凶作なのだそうです。
主食であるブナが凶作だと、熊としては当然、代りになる食べ物を探す
わけですが、その結果として人里に下りて来るケースがどうしても増え
ます。
熊は本来臆病で、しかも基本的にヴェジタリアンです。決して人間を襲
おうとしているわけではなくて、人間は怖いけれども、ただただ食べ物
が欲しい一心で、ドングリや果物を求めて山を下りて来るのです。

そうやって人里に下りて来た熊は…ほとんどが捕まえられて鉄砲で
撃って殺されてしまう。それが現在の日本です。ものすごく残酷です。
昔の日本人は熊とうまく共存できていたようですが、今はまったくダメ
です。熊を目撃しただけで大騒ぎです。
熊をはじめとする野生動物がいるおかげで日本の素晴らしい自然が
守られているはずです。それにそもそも、熊の生息地を奪い、山の実
りを奪っている原因は、我々人間にあるといっていいはずなのに…。

日本熊森協会さん( http://hb6.seikyou.ne.jp/home/kumamori/ )の調
査によると、今年は9月末の時点で、すでに少なくとも1230頭以上の
熊が人間に殺されています。
多くの県で絶滅が心配され、日本全体でも1万5000〜2万頭くらいし
か生息していないといわれているというのに、まだこの時期でこの数字
です。
一昨年の大量殺戮を憶えているかたも多いと思いますが、あの明らか
に異常な大量殺戮がまた繰り返されるのではないかと、個人的にとて
も心配になりました。
北海道のヒグマは、去年575頭以上も殺されたのに、今年もすでに
200頭近くが射殺されています。

日本熊森協会さんは、現在、熊の生息地への「どんぐり運び」を実施
中です。
一昨年、あまりにも大量の熊が山を下りて来て次から次へと殺されて
いく状況を見かねて、熊が山から下りて来ないようにと、始められた運
動です。
もちろんあくまでも窮余の策で、根本的な解決にはならないことは誰も
が分かってましたが、それでも、毎日毎日熊たちが殺されるのを黙っ
て見ていられない、とにかくできることをやろう、という気持ちからス
タートされたそうです。
そして、この「どんぐり運び」がメディアで報じられた途端、全国から文
字通り山のようにどんぐりが届きました。本部事務所では入りきらない
くらいで、急遽保管先を募集したほどでした。ほんとうにほんとうに多く
の人が、熊の惨状に心を痛めていたのです。まだまだこの日本も捨て
たものじゃないですよね。

日本熊森協会さんの今年のどんぐりの送り先は、こちらをご参照くださ
い。
http://hb6.seikyou.ne.jp/home/kumamori/kuma-taisyohou.htm

今週末も、またどんぐりを集めに行こうと思っています。
枝についているどんぐりがポロンととれる瞬間の感触って、結構気持ち
いいです。落ちているどんぐりを拾う時には、熊さんになった気持ちで、
できるだけ美味しそうなものを選びます。なかなか楽しいですよ。
みなさんもぜひ!

 ● ● ●

さて今週は、先月末に行われた、チャンピオンズ・リーグ「LFC vs ガラ
タサライ」の観戦レポートをお届けします。
3点も取って楽勝かと思いきや、立て続けに2点を返されるというスリリ
ングな展開になったこの試合、レポートを書いていただいたhideomi さ
んには、迫力満点の写真も提供していただきました
( http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo269.htm )。
hideomi さん、ありがとうございました!

 ● ● ●

さらに、前回LIPAの卒業式に出席するポールを写真に収め、レポート
も送ってくださったS.H.さんから、ハンブルグのビートルズ展の情報が
届きました。「フロム・リーダー」コーナーで紹介します。
S.H.さん、ありがとうございました!

                           ― Kaz (17/10/2006)


――――――――――――――――――――――――――――――
▼リヴァプール・ニュース <2006年10月13日〜月日>
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** 10月13日(金) *******************************

【観光トロフィー】
リヴァプールFC(LFC)が、新たなトロフィーを獲得しました。
ただし今回はフットボールの優勝トロフィーではなく、LFCが2005年の
マージーサイド・ツーリズムに果たした多大な貢献に対して、The
Mersey Partnership(TMP)から贈られたものです。
トロフィーは、ラファエル・ベニテス監督とキャプテンのスティーヴン・
ジェラードに手渡されました。

LFCが地域にもたらす経済効果は、ホテルやレストラン、バー、観光ア
トラクションなどを含めて、年間数百万ポンド(百万ポンド=約225億
円)と言われています。
また、昨年1年間にアンフィールド・スタジアムの「LFCミュージアム&
スタジアム・ツアー」に参加したヴィジターは、過去最高の11万6225
人を記録しました。今年2006年も順調で、8月末現在で9万1709人
と、昨年をさらに上回りそうなペースです。

LFCのチーフ・エグゼクティヴ、リック・パリーはこう話しています。
「私たちのマージーサイド・エリアでの貢献が評価され、このような賞を
いただけることを、たいへん嬉しく思います」
「リヴァプールはファンタスティックな街ですからね、これからもずっと、
多くの人にこの街を楽しんでいただきたいですね」

チェアマンに賞を手渡したのは、Merseyside Tourist Board のチェアマ
ン、デイヴィッド・ウェイド=スミスと、TMPのツーリズム・ダイレクター、
マーティン・キングでした。

デイヴィッド・ウェイド=スミスはこう話しています。
「ビートルズ同様、リヴァプールFCの歴史やサクセスは、ポジティヴな
インパクトでもって観光客を惹き寄せ続けていますね」
「これだけの貢献に対して、私たちは何らかの形で表彰したいと考えて
いました。それでこの特別賞を贈ることになったわけですが、これはつ
まり、この地域の経済発展の継続性において、LFCがどれほど重要な
存在であるかの証明でもあります」

マーティン・キングはこう話しています。
「現在の我々の観光業界は、地域経済の中で1億ポンド以上の規模
になっています。このうちのかなりの部分はLFCのおかげでしょう」
「フットボール・ファンを惹きつけることで、我々は世界中からやって来
るヴィジターのみなさんに、このマージーサイドのユニークさをアピール
することができる。他にもたくさんのアトラクションがあるんですよって
ね」

ガラス製のトロフィーは、近いうちにアンフィールド・スタジアムのLFC
ミュージアムに飾られるそうです。


――――――――――――――――――――――――――――――
▽寄稿:「 LFC vs Galatasaray 観戦レポート」
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

「 LFC vs Galatasaray 観戦レポート」 / hideomi

< LIVERPOOL 3 - 2 GALATASARAY SK
    Wed 27 Sep 2006 19:45, Champions League Group Phase >

試合のある日の3週間前に、リバプールVSガラタササライを見ると決
める。
しかし、決心してから試合のチケットを日本の旅行代理店経由で探す
も、どこの代理店も席の場所が不明とのこと。行くなら選手との距離が
近いサイドラインがいい。
そんな中スカウスハウスのHPにたどり着き、パドック席が1枚余ってい
るとの記載を発見。もう間に会わないかなと思っていたが、幸運なこと
に購入できた。それに加えて、ロンドンとリバプールの鉄道の往復の
切符も手配していただいた。

9月26日の夕方に成田からロンドンに入り、翌日、ロンドンユーストン
9時17分発の鉄道でリバプールに向かう。
12時にライムストリートの駅に着くと、スカウスハウスのスタッフが待っ
ていてくれる。チケットを受け取り、リバプールのショップに連れて行っ
てもらう。ここで、スタッフさんとはお別れです。そこで、リバプールのブ
レーカーやグラスやピンバッチを購入。ブレーカーを買うつもりはな
かったが、それを着て応援している姿を想像してしまいついつい購入。

買い物を終えて、しばらく1人で観光。ショップ→アルバートドック→リバ
プール大聖堂→メトロポリタン大聖堂→駅、と歩き続ける。時計を見る
と4時過ぎなのでホテルに行くことにする。歩き疲れバスを待つ気分に
なれず、駅からホテルまではタクシーで行く。
タクシーの運ちゃんに、試合を見に行く話しをすると、タクシーを降りる
時、アンフィールドまでの道順を教えてくれる。「ホテルの前の通りを歩
いて10分だ!」との事。

キックオフの2時間30分前にホテルを出発。先ほどのアドバイスと道
路標識を頼りに歩いていくが、10分たっても着かず心配になる。しか
し、途中で道を聞くとこのまままっすぐ歩けば大丈夫と教えてくれる。す
ると、2,3分もしないうちにスタジアムが見えてくる。しだいに周囲にサ
ポーターも増え始める。
ホテルから20分ぐらい歩いて、ついにスタジアムに到着。初めは、ガ
ラタサライのサポーターばかりが目に入る、なんでこんなにいるの?て
感じがする。
まだキックオフ2時間前なので、スタジアムの周囲で待機。スタジアム
と道路を挟んで向かいの屋台でホットドッグを3ポンドで購入。腹ごしら
えをしながら雰囲気を楽しんでいると、目の前の通りを走行中の車の
助手席から若い男が、ガラタサライのサポーターに中指を立てながら
なにやら叫んでいる。人種差別を感じつつも、これが自分のチームを
応援するエネルギーになるのだろうか?と1人で考える。

栄養補給の後、スタジアムに近づくと何やら人だかりを発見。近づいて
みると、選手のバスが来るのを待っていることがわかる。私も、一緒に
待つ事に。
まずは、ガラタサライのバスが到着、サポーターのおたけびが響きわ
たる。それからしばらくして、リバプールのバスが到着しますとのアナウ
ンスが入り、サポーターから拍手が沸き起こる。
そしてバスが到着。降りてくる選手を、拍手とフランッシュと歓声が包
む。もみくちゃにされてあまり選手をよく見えなかったがテンションは
アップ。
待っている最中に上半身裸の1人のリバプールサポーターの若者が
現れて、ガラタサライのサポーターに何やら叫んでいたが、3,4人の
警察が彼を取り囲み、連れて行く。おー怖い。

1時間くらい前になったのでスタジアムに入る。通路を進み、視界にグ
ランドが入ってくる。これだよ!来ちゃったよ!スッゲー!など1人で呟
く。ガラタサライのサポーターがすでに熱気の入った応援を始めてい
る。野太い声が、自分達を強烈にアピールしている。

興奮が落ち着いたところで、スタジアムの案内係りに席を聞くと、コー
ナーフラッグの目の前で、前から3番目だとの事。
そこに座ってスタジアムを見渡す。ガラタサライのサポーターのすぐ近
くで、少し恐怖。また、コーナーキックの時にテレビに映ったらどうしよ
う?とバカな心配も。

自分の席に座ってしばらくすると、ガラタサライのキーパーのモンドラゴ
ンが登場、練習開始。サポーターは歓声を上げる。柔軟・ランニングを
終えると、サポーターの下に走っていき、右手でガッツポーズを3回行
う。サポーターもそれに合わせて、ウ・ウ・ウと重低音のおたけびを上
げる。男臭さが、プンプンしてくる。
続いて、フィールドプレイヤー登場!しかし、やはり稲本がいない。日
本を出発する前日に稲本が、感染症か何かで遠征メンバーから外れ
るというショッキングなニュースを知る。もしかしたら間に合うかも?と
勝手に思いリバプールに来たが、無理だったようである。残念でならな
い。
目の前で彼らのアップを堪能したので、リバプールのベンチ側に移動
し登場を待つことにする。

30分くらい前になってやっとリバプールの選手が登場。写真を撮ろうと
スタンバイしていたが、選手は目の前を走って駆け抜けてしまう。撮っ
てもブレてる。リバプールの選手は、バックスタンドの前で練習している
ので良く見えない。メインの方でやってよ!と心から思う。
しかたないので、ガラタサライ側に移動し、目の前で練習の様子を撮っ
ていたら、少し怖い体験をする。私の隣に立っている40歳くらいのおじ
さんが、真顔でカメラを下ろせと、左手でジェスチャーしてきました。そ
して、お前はどこの応援をするつもりだ?と一喝。ここで、改めてリバ
プールのみを応援すると決意。

再び、リバプール側に移動し、アップを遠くから観察。そこで、改めてリ
バプールの選手はオフェンスが、デイフェンスより充実しているなと実
感。また、ヨーロッパの強豪に比べたらDFが弱すぎじゃない?と勝手
に心配。

キックオフ10分前に、両チームとも練習を終えロッカーに引き上げる。
それを見て、私もトイレに行き準備完了。その頃にはほぼスタジアム
は満員。
まずは、「You'll Never Walk Alone」の合唱。隣の3人家族の4〜5歳の
少女も熱唱。身震いしてくるのと同時に、こんなにもすばらしいチーム
があるリバプール市民をうらやましく思う。
続いて選手入場があり、あの有名なCLのアンセムが流れる。生で聞く
アンセムに武者震いがおこる。

さーキックオフ。
まずは、リバプールが攻めまくる。そして、先制ゴール!
スタジアムが歓声に包まれると同時に得点したクラウチが、目の前に
やって来る。慌ててデジカメを取り出す。すると次々に選手が集まり歓
喜の輪ができる。感動で泣きそうである。
その後もリバプールの攻勢が続き、ガルシアの追加点。すると、リバ
プールのサポーターから静まりかえるガラタサライサポーターに野次の
ような歌が飛ぶ。
「今日のスコアは、5−0だ!イスタンブールに帰れ!」
試合再開の笛が鳴っているにもかかわらず、試合も見ずに真剣に野
次っている。隣の少女も野次っている。この子の将来が恐ろしい。それ
に対し、ガラタサライのサポーターが中指を立てて何かを叫んでいる。
みんな顔が怖い。イギリスにおけるトルコ移民の立場をついつい考え
てしまう。だからこそ、トルコ人はガラタサライに勝って欲しいのであっ
て、あんなにも真剣に熱く応援できるのだと自分で納得。

前半は、このままタイムアップ。
ハーフタイムに両チームのサブ組がアップしているが、リバプールのメ
ンバーが圧倒的に豪華である。
サポーターの多くは、ハーフタイムに席を離れている。私も、トイレに
行って後半に備える。

後半キックオフ。あと45分しかないと思うと寂しい。
最初からガラタサライが2人選手の交代してくる。入ってきた選手のう
ち1人は、人気選手でサポーターが湧き上がる。彼のドリブルのおか
げで、ガラタサライに流れが傾き始める。
しかし、ここでクラウチのスーパーボレーが炸裂。スタジアム中が興奮
に包まれる。3−0。素晴らしいスコアである。

先ほどの野次がまたガラタサライのサポーターに飛ばされる。彼らは、
さっきよりも怖い顔で中指を立てて何か言い返している。すると、ガラタ
サライのサポーター2,3人が警官に連れて行かれる。それに抗議す
る格好で、また彼らは騒ぎだす。騒動が気になって試合の観戦に集中
できない。

ざわざわした雰囲気の中、リバプールの油断からか、ガラタサライサ
ポーターの目の前でガラタサライの連続ゴール。これでスコアは3−2。
完全に流れは、ガラタサライにいってしまう。
さっきまでの楽勝モードから、リバプールのサポーターにも焦りの色が
見える。私の目の前の右SBのフィナンの焦ったプレーにサポーターか
ら罵声が飛ぶ。
その後、リバプールは何度も危ないシーンをむかえるが、なんとか逃
げ切りに成功。終了のホイッスルと同時にスタジアムの全員から拍手
が湧き上がる。そして、ガラタサライのサポーターも負けはしたが、満
足げに「イスタンブール!」を連呼。それに呼応して、リバプールサ
ポーターからも「イスタンブール!」の連呼。
最高の雰囲気で、このまま余韻に浸っていたかったが、後ろ髪を引か
れる思いでスタジアムから外に出る。

外は、当然ながら人で溢れている。当初の予定では、すぐにタクシー
が拾えて帰れるはずだったが、スタジアムのそばにはタクシーがまった
くいない。近くの警官にタクシーがいる場所を聞いて、行ってみるもい
ない。
仕方がないので歩いて帰る事を決意。人の流れに任せて行けば自分
の行きたい通りに行けると思い歩き続けたが、10分たっても通りに着
かない。ここで、やっと道を間違えた事に気づく。最寄りの駅は、ライム
ストリートのみだと思い、人の流れは全てそこに向かうと勘違い。近くに
も別の駅があったのだ。
焦っていると、1台のタクシーが来るのを発見。止めるよりも助けてに
近い感じで、手を上げる。幸いタクシーは空車で乗る事ができ、無事ホ
テルまでたどり着く。タクシーの途中にエバートンのスタジアムを見た
ので、全く反対を歩き続けた事に気づく。
ホテルに帰りテレビで今日の試合をチェックする。3点目のクラウチの
スーパーゴールを何度も取り上げている。このまま疲れて睡眠です。

リバプールとガラタサライの試合は本当に面白かった。スタジアムに来
なくては、感じられない物がそこにはあった。プレーや歓声や歌や野次
など挙げればきりがない。皆さんにも、この感動を味わって欲しいと思
います。

試合のチケットの手配から、ロンドン〜リバプールの鉄道の手配まで
スカウスハウスさんにやっていただき感謝しています。全てがスムーズ
に進みました。また、リバプールに行くときは、よろしくお願いします。

(おわり)

< LIVERPOOL 3 - 2 GALATASARAY SK
    Wed 27 Sep 2006 19:45, Champions League Group Phase >


( hideomi さんに撮って来ていただいた写真を、ウェブサイトの「NLW
フォト・アルバム」ページに掲載しています。どうぞご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo269.htm 


――――――――――――――――――――――――――――――
▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
―――――――――――――――――――――――――─  NLW □

「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第65号 / 「John Peel Day 2006」 ― 

こんにちは。
今週は、10月12日(木)の John Peel Day (ジョン・ピール・デー)。
2004年にペルーでのホリデー中に65歳で亡くなった、BBC Radio One
の伝説 DJ、ジョン・ピールのトリビュート・イベントがイギリス中そして世
界各国で行われました。

"I just wanted to hear something I haven't heard before (今まで聞
いたことのないものを聞きたかっただけさ)"
40年間、自分の耳と感性に忠実に、有名無名に関係なく、ジャンルに
こだわらず本当に多くのバンドを紹介し、世に輩出してきたジョン・ピー
ル。

The Undertones の "Teenage Kicks" はあまりにも有名なジョン・ピー
ル・マジックのかかったサクセス・ストーリーですが、そのほかにも誰よ
りも先にジョンの耳にとまり、彼がラジオで放送することでキャリアを切
り開いてきたバンドは数知れず。Joy Division 、The Smiths 、The Fall 、
New Order 、Jimi Hendrix 、The Clash 、The Sex Pistols 、Nirvana 、
Public Enemy 、Pulp 、PJ Harvey 、White Stripe 。。。
もちろんリヴァプールのバンドも例外ではありません。
Frankie goes to Hollywood 、Echo and the Bunnymen 、Pete Wylie
and the Mighty Wah 、The Lotus Eaters 、Teardrop Explodes 、 Half
Man/Half Biscuit 、Dead or Alive 、China Crisis 、The Farm 、
Ooberman 、The Ladytron などなど。

私のピール体験は、学生の頃、放送研究会のDJサークルに所属して、
授業をサボっては部室にこもって友達とレコードを聴いたり、都内のレ
コード屋さんをくまなくチェックをしたりしていたときにはじまります。
Strange Fruit レーベルから出ている "The Peel Sessions" は、彼のラ
ジオ番組のなかで収録された様々なバンドのライブ音源です。当時私
は日本にいて BBC Radio 1 のことは知らなかったので、いまひとつジョ
ン・ピールという人物像はつかめていませんでしたが、98年にイギリス
にきたとき週中後半の夜やることのないときはジョン・ピールの番組を
聞きながら、いつ新しくてグッとくる音源が飛び出すかワクワクしていた
ものです。
ジャンルも、ニューウェーブ、パンク、レゲエ、ヒップホップ、エレクトロ
ニカ、実験音楽系まで実に幅広くて、私も60歳のバアさんになっても新
しい音楽を掘り続けたい! と憧れていたものです。

そういえば、一度だけ肉眼で生ピールを見たことがあるのを思いだし
ました、、、リヴァプール・ロイヤルコートで、The Pavement 、Stereo
Lab 、Salako の豪華3本立てのライブがあったときにジョンがプレゼン
ターとして登場して、私はステージ前でかじりついて、手を振ったら手を
振りかえしてくれました!(とかいって、私のうしろの人に振ってたのか
もしれませんが。。。) 

ジョン・ピール・デーがイギリス全国ときいて、ロンドン中心なのかなあ、
と思っていましたが、結果的に私はこの日にリヴァプールにいて本当
によかった、と思ってます。

ジョン・ピールにとってリヴァプールは、スピリチュアルな故郷であった
ようです。彼自身は川向こうのヘズウォール生まれ、育ちもウィラルで
すし、リヴァプール・フットボール・クラブを愛し、子供達にも Alexandra
Mary Anfield, William Robert Anfield, Thomas James Dalglish, Florence
Victoria Shankly というような名づけをするほどの熱狂ぶりです。
何よりこの日サッカー会場である、リヴァプール・FC・アカデミーに行っ
て嬉しかったのは、ジョン・ピールの奥様のシーラさんや、子供達がい
たことです、、、というか、息子さんたちが中心となって結成されたチー
ム、Ravencroft Stanley もトーナメントに参加していたくらいなので、リ
ヴァプールがジョン・ピール・デーの中心であったことは間違いありませ
ん!

前日は一日ひどい雨模様で、木曜日の天候がどうなるかとっても気が
かりだったのですが、そんな心配はどこへやら、割と温暖で快い天気
に恵まれ、ジョンもこの日ここにいたんじゃないか、という錯覚におちい
るような不思議な雰囲気でした。
観客席付近には、マイク・マッカートニー氏が、シーラさんと「アンフィー
ルドの声」(「エクストラタイムは何分です!」のアナウンス
の張本人です)である George Sephton さんを撮影している姿も見られ
ました。
もう一枚の写真は、George Sephton と、今回のイベントのオーガナイ
ザーの一人である The Picket の Phil Hayes のツーショットです。
もう一人のオーガナイザーは、バンド The Farm の Peter Hooton 。
The Farm といえば、"All Together Now" がユーロ2004のアンセムに
なってましたね。試合前に念入りな作戦会議をしているようでした。
http://www.thefa.com/Euro2004/EnglandCamp/Alltogethernow/Postings/2004/06/PeterHooton_TheFarm.htm

そして今回で第2回目の John Peel Memorial Trophy は誰の手へ?!

試合のスタイルは、6サイドトーナメントで、グループAとBに分かれてそ
れぞれの勝者が準決勝に進みます。
リヴァプールの音楽業界から以下のチームのラインアップが参戦しま
した。
The Farm 、The Friday Foundry 、Groundpig(リヴァプール出身バン
ド)、Deltasonic 、Robot Records(レコードレーベル)、Cream 、
Medication(クラブ)、Elevator Recording Studios(レコーディングスタジ
オ:昨年のジョン・ピール杯の勝者)、The Picket(ライブハウス)&
Africa Oye(アフリカンフェスティバル)、The Dry Bar(若いバンドを支
援するプロモーター)、LIPA(言わずと知れたポールマッカートニー氏の
設立したパフォーミング・アーツ大学)、そして Ravencroft Stanley(ジョ
ン・ピールとシーラの息子とその従兄弟のチーム)。

一試合10分なので、そうとう集中しないとあっという間に終わってしまい
ます。
しかもAとBグループ交互に試合が行われたのですが、ほぼ間髪いれ
ずにゲームの入れ替えがあるので、各チームとも一つ前の試合から
回復する間もなく次の試合で、時間が経つにつれてキツそうでした。
それぞれのチームとも本気モードで、いい勝負でしたが、やはりそれ
でも、特に準決勝に進んだ Cream チーム、The Picket & Africa Oye
チーム、The Farm チームは、気迫が違いました。
個人的には、Ravencroft Stanley チームも頑張ってほしかったですが、
やはりオジさんチームの貫禄にはまだまだ遠かったようです。。。

決勝は、リヴァプールのクラブカルチャーの立役者 Cream チーム 対
バンドカルチャーの縁の下の力持ち The Picket & フェスティバル
オーガナイザー Africa Oye チームの対決。
ハーフタイムをはさんで前半10分、後半10分でしたが、各チームのサ
ポーターのゲキも声高に響き、濃厚な試合で、20分以上に感じました。
最終スコアは、5−0で、Cream チームが優勝!

本当はその後の The Picket でのトリビュートライブ&トロフィーの授賞
式も見に行きたかったのですが、その夜は家でゆっくりすることにしま
した。BBC Radio 1 でも、もちろんジョン・ピール特集を組んでましたの
で、やっぱり正しいトリビュートはラジオを聞くことかなと思い、ジョンの
愛した The Undertones の Teenage Kicks や Joy Division の "Love
Will Tear Us Apart" などを聞きながら、改めてこの偉大なDJがいたお
かげで耳に届き、ライブを目にしたバンドがいくつあったんだろう、と思
い返していました。

また、音楽とサッカーカルチャーを結びつきも然り。
私はそんなにサッカーのことを熟知しているわけではありませんが、
UK音楽を追いかけていると、サッカー界とシンクロしている部分が多い
ことに気づきます。音楽からサッカーに入っていった人も多いのではな
いでしょうか。
サッカーのイングランド公式応援歌がリリースされれば、即ナンバー1
入りしますし、89年に起きたヒルズボロの悲劇などは、97年のアン
フィールドで行われたチャリティーコンサートを収録したアルバム
"You'll Never Walk Alone - The Hillsborough Justice Concert" を通じ
て知りました。そしてジョン・ピール氏もこのコンサートにプレゼンターと
して登場しています。アルバム最後の2曲は、泣けます。必聴です。そ
の場に居たかった。。。

ジョン・ピールほど音楽シーンに影響力をもたらしたDJ は今後出てこ
ないかもしれません。今はラジオだけでなくいろんなメディアが溢れる
時代です。それでも、どういうかたちであれ、彼の意思を継いで多くの
新しい才能が日の目をみるようなチャンスを与えてくれる人々が居続
けてほしいものです。

John Peel Day 情報は、BBC Radio 1 の公式ホームページから。
http://www.bbc.co.uk/radio1/johnpeel/johnpeelday/2006/

今週の告知は、音楽ネタにちなんで、第4回 Liverpool Music Week
(LMW)。
今年は去年よりちょっと早めで11月4日から13日まで。メイン会場を
Bumper (バンパー:Hardman Street)に移して行われます。
Bumper のほかにも、Barfly 、Korova 、Zanzibar 、Metropolitan といっ
たライブハウスやフィルハーモニック・ホール、Carling Academy やリ
ヴァプール大学なども巻きこんで大小のギグを展開。
11月4日は、クレイトンスクエアの BBC ビッグスクリーンで、Super
Numeri 、Philip Jeck 、Tom Q(Hive Collective) が写しだされ、Carling
Academy では、Shack のライブでキックオフです。

Liverpool Music Week 詳細は、公式ホームページとMy Spaceから。。。
http://www.liverpoolmusicweek.co.uk
http://www.myspace.com/liverpoolmusicweek

ついでに 11月4日にはLMW とは別に、Liverpool Academy で、ショー
ン・レノンのライブもあるので困りました。。。しかもリヴァプール・バイエ
ニアルの最中でその辺でもなにかあるかもしれないし。。。とにかく文
化的に元気な11月となりそうです。

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「 NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish65_photo.htm )


――――――――――――――――――――――――――――――
▽フロム・リーダー
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □
(リヴァプール在住のS.H.さんが、ハンブルグのビートルズ展の様子を
レポートしてくださいました)

リバプールのビートルズ情報ではありませんが
ジョンが「成長した場所」と言っているハンブルグで
ビートルズ関連の特別展示がありますので
お伝え致します。

場所からも分かりますとおりメジャーになる前の
ビートルズがハンブルグで演奏していた時期の
特別展示をHamburg Museumでしています。

写真などは本で見ることが出来ますが様々な
契約書などは直接見る機会は殆ど無いかと思い
貴重に思いました。

私の中でマニア受けすると思いましたのが
会場で流されているDVDの映像です。
これは1966年のハンブルグ公演のドキュメンタリー
映像です。
ここで予想が付いた人はかなりのマニアかと思いますが
私は映像を見るまでは思い出せませんでしたが、
ビートルズはこの直後に日本で公演しています。
ですのでこの映像の最後の部分でJALに乗り込む
ビートルズの映像を見ることが出来ます。
私の中でジグソーパズルがつながったような
感覚を覚えました。
このDVDは会場で買うことができますが言語は
ドイツ語だけですので私は買わなかったので
今になって少し後悔しています。
確か14ユーロくらいだったと思います。
もともとはビートルズの警備を扱った映像ですので
ライブシーンはほんの少しでした。

展示に関しましては下記のアドレスから
情報が得られますが日本語ではありませんので
あしからずです。
http://www.hamburgmuseum.de/index_e.html

会期は11月5日までとなってしまいあまり期間が
残っていませんがこの期間にヨーロッパへ行く
予定がある人は足を伸ばしてハンブルグに
立ち寄ることをお勧めいたします。
勿論、これだけのために日本から行くだけの
価値はあるかと思います。
特にメジャーになる前のビートルズに興味のある人はです。

写真などは本で見ることが出来ますが様々な
契約書などは直接見る機会は殆ど無いかと思い
貴重に思いました。
しかも展示品の写真を撮ることができますので
家に帰ってからも楽しめると思いました。


(S.H.さん撮影の写真を、ウェブサイトの「NLW フォト・アルバム」ページ
に掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo269.htm )


――――――――――――――――――――――――――――――
▼スカウスハウス・ニュース
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** UK盤レコード:On Sale Now!! ******

レコード・コレクターのみなさん、お待たせしました! 「UK盤レコード」
の通販ページをアップしました。いつものようにビートルズ関係が中心
ですが、今回はローリング・ストーンズのUKオリジナル盤もいくつか入
荷しています。
オーダーをいただけると嬉しいです!
http://scousehouse.net/shop/record_albums2006.htm


*** LFCグッズ通販:On Sale Now!! ******

先週アップした「LFCグッズ(& more)通販」は、いくつかはソールド・ア
ウトになっていますが、ほとんどはまだ在庫があります。
オーダーをいただけると嬉しいです!
http://scousehouse.net/shop/lfcgoods+2006_08.htm


*** フットボール・チケット手配 ******

リヴァプールFCおよびエヴァトンFCの、ホームゲーム観戦チケットの
手配を承っています。
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium.htm


*** 語学留学生募集中 ******

リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
詳細については、ウェブサイトの「語学留学案内」ページをご覧くださ
い。
http://scousehouse.net/study/index.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアー
をアレンジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/info.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して
います。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


――――――――――――――――――――――――――――――
▽今週のフォト
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish65_photo.htm


*** 今週のフォト・アルバム ******

「ゴールドフィッシュ」以外の原稿にちなんだ写真は、「NLW フォト・アル
バム」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo269.htm 


■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           *** 毎週火曜日発行 *** 


□■ 第269号 ■□

 ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
 ◇編集 山本和雄 & ミナコ・ジャクソン
 ◆ウェブサイト http://scousehouse.net/
 ◇Eメール info@scousehouse.net

 ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお寄せください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行していま
す。配信の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイト
からどうぞ。

◆まぐまぐ
 http://www.mag2.com/m/0000065878.htm
◇めろんぱん
 http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000917
◆メルマガ天国
 http://melten.com/m/5593.html
◇カプライト
 http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/3487.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
無断での転載を禁じます。  Copyright(C) 2001-2006 Scouse House