April 03 2007, No.292
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼リヴァプール・ニュース <2007年4月1日> ▽寄稿:「 LFC vs Barcelona 観戦レポート」 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ▽フロム・リーダー ▼スカウスハウス・ニュース ▽今週のフォト ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽フロム・エディター ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ このメールマガジンは、ご存知のように毎週火曜日に発行しています。 編集作業は、だいたいは火曜日をまるまる1日使ってやってます。朝 から始めて、出来上がるのはいつも夜です。11時ごろになることも珍し くありません。写真ページも作っているので、結構時間がかかるんです よね。 でもまあそんなに根をつめてがんばってやってるわけじゃなくて、どち らかというとのんびりモードで、音楽を聴きながら楽しくやっています。 しかし今日はちょっと勝手が違いました。 朝から、メジャーリーグの中継を2試合観てしまったのです。 待ちに待った開幕で、朝のマリナーズvsアスレチックスを観て、そのま まBS放送をつけっぱなしにしていたら、ヤンキースvsデヴィルレイズが 始まってしまいました。2試合も観るつもりはなかったのですが、始まっ てしまったものは仕方ありません。覚悟を決めて、しっかり観戦しまし た。2試合とも、ヒジョーに見ごたえのあるゲームでした。 そういうわけで結局、今日は朝からTVの前でおよそ6時間。NLWの編 集作業は…ほとんど手付かずのまま…。 「こりゃまずいィ〜!」と夕方からスパートをかけて取り掛かったのです が、そこでまたアクシデント発生です。 にゃんと、キーボードの上にお茶をこぼしてしまったのです。すぐに拭 き取ったらだいじょうぶかなと思ったんですけど、ぜんぜんだいじょう ぶじゃなかったです。ちゃんとタイプできるキーが半分以下になってし まいました。あとのキーは、無反応か、「プー」という信号音が鳴るかで す。これではどうしようもありません。 仕方がないので、急遽キーボードを買いに走りました。まだ家電ショッ プが開いている時間だったのは不幸中の幸いでした。 なんとか編集作業にも目処がつき、ネコの世話と晩ご飯を済ませて、 今これを書いています。23時40分を回っています。 24時までの配信はまず無理でしょうけど、なんとか25時までにはと思っ ています。 今「25時」と書きました。はいそうです、あくまでも火曜日、「4月3日の 発行」と言い張っているわけですね。我ながら往生際が悪い…。 そうそう、うちの奥さんが、仕事から帰って新しいキーボードを見るな り、「どないしたん?」と訊いてきました。 「ダメになったけえ買うてきたんよ」と答えると、「ダメになった? どぉ せビールでもひっくりかえしたんちゃうん」とスルドイ一言! さすが我 が妻です。 …と感心したのもつかの間、「ビールちゃうもんねー、お茶だもんねー」 と言い返した途端に、「どっちでも一緒っ! まぁた無駄遣いして!!」 と大目玉を喰らうことになってしまいました…はい、しゅみません。 それにしてもコンピューターというものは、キーボードがないとなんにも できなくなっちゃうんですね。大発見でした。 …いや、「そんなのあたり前じゃん」と言われれば、まあそうかもしれま せんけどね。 ● ● ● 今週は、hideomiさんからの寄稿「 LFC vs Barcelona 観戦レポート」を 掲載しています。 hideomiさんには、去年秋に同じチャンピオンズ・リーグのガラタサライ 戦のレポートも書いていただきました。 前回と同じく、とてもリアリティのある原稿で、編集しながらじ〜んと来 る場面もありました。hideomiさんにいただいた貴重な写真も「NLWフォ ト・アルバム」ページに掲載しています。ぜひご覧になってみてください。 ( http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo292.htm ) hideomiさん、ありがとうございました! ― Kaz (03/04/2007) ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼リヴァプール・ニュース <2007年4月1日> ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ *** 4月1日(日) ******************************* 【クイーンで新オープン】 新オーナーを迎えた「ウールトン・シネマ」が、3月29日の夜に新装 オープンしました。 およそ80年の歴史を持ち、リヴァプール最古のインディペンデント・シ ネマであった「ジ・ウールトン」は、経営者の死去により昨年9月に閉館 しました。 このシネマを救おうと有志によるキャンペーンが展開されましたが、買 い取りに必要な資金を集めるまでには至らず、シネマは昨年11月に オークションにかけられました。 新オーナーになったのは、リヴァプール南部のビジネスマンたちの共 同体でした。彼らは地元住民たちの希望に応え、シネマを存続させる とを約束していました。そして、予定よりも4週間も前倒しして、再オー プンにこぎつけました。 新オープンのセレモニーでは、赤いカーペットが敷かれ、国歌が演奏 されました。そして、「クイーン」が出席しました。女王はエリザベスでは なく、ウールトン・ヴィレッジに住む84歳のベアトリス・マッケンジーさん でした。ベアトリスさんは、このシネマを誕生以来ずっと見守って来て いる唯一の人物です。 新マネージャーのポール・プライスはこう話しています。 「クイーンがリオープンしますって宣伝していましたからね。私たち自前 のクイーン、ウールトンのクイーンであるベアトリスに来ていただいた わけです。彼女は1927年の最初のオープンのときも、去年9月の閉館 のときも、ここにいたんですよ」 「そういうわけで、私たちはベアトリスのためにレッド・カーペットをひい て、セレモニーを行ったんです。ビショップ・マーティン・スクールから何 人か女の子に来てもらって、最後はきちんと国歌の演奏で締めくくりま した」 復活して最初に上映された映画も、「クイーン」でした。主演のヘレン・ ミレンが今年のオスカーを受賞した映画です。 再オープンが大きな注目を集めたことで、シネマ側は当初の予定を変 更し、ローカルの映画ファンのために前売りチケットを発売しました。 もちろんすぐにソールド・アウトになりました。 ポールは続けます。 「これでこのシネマは、リヴァプールが800歳になる今年に80歳の誕生 日を祝うことができますね」 「この場所は我々に残されたヘリテイジのひとつですよ。それに来年の 『キャピタル・オブ・カルチャー』にちなんで言えば、カルチャーの一部を 担っているんです。私たちが失ってはならないものなんですよ」 「常連客のみなさんやローカルの著名人のみなさん、協力してくださっ たみなさんに、心から感謝しています」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽寄稿:「 LFC vs Barcelona 観戦レポート」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「 LFC vs Barcelona 観戦レポート」 / hideomi < LIVERPOOL FC 0 - 1 FC BARCELONA Tue 6 Mar 2007 19:45, Champions League Last 16 (2) > ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo292.htm ≫ 3月6日のCL・リバプール対バルセロナを、私・姉・弟の3人で見に行 きました。 当然ながら、3人ともバカがつくほどのサッカー好きです。 今回のサッカー観戦旅行は、「バルセロナの試合をどうしても見たい」 という姉の希望で、11月頃に企画されました。 3月3日からの1週間が、3人共通でとれる休みなのでそこに照準を 絞って予定を立てていきました。しかし、バルセロナのグループリーグ 1位通過が無くなり、3月6日か7日に行われる試合はアウエーゲーム となりました。どこで試合をするか判らないのですから、予定を立てる のに苦労しました。 運命の抽選の日、私はネットで抽選の模様を見ていました。 「3月6日リバプール対バルセロナ」が決まると、すぐにスカウスハウス さんに連絡をとってチケットの確保に入りました。 リバプール対バルセロナの試合は、ビックマッチだとは私も理解して いました。 しかし、実際は私の想像を超えるビックマッチだったのでした。 年末に、試合日のリバプールのホテルをH○Sに頼みに行ったら、彼 らが抑えられるリバプールのホテルは全て満室との回答でした。宿無 しの恐怖から、すぐにスカウスハウスさんに連絡を取り、ホテルとロン ドンからリバプールへの鉄道切符を予約してもらいました。 3月3日にロンドンに入り、アーセナルとチェルシーのスタジアムツアー やウエストハム対トットナムを観戦し、サッカー三昧の日々を過ごして リバプールへの移動の日を迎えました。 鉄道のチケットは、スカウスハウスさんに予約してもらったので、当日 の朝ユーストン駅で簡単にゲットできました。 しかし、駅構内の電光掲示板には、出発時刻の10分前になってもリバ プール行きの鉄道が入るプラットホームが掲示されません。待ってい る人の中には、リバプールやバルセロナのユニホームを着た人もいた ので多少は安心でしたが、遅延や欠便の言葉が頭をよぎりました。 3分前になって、ようやくプラットホームが掲示されました。 予約した時間の鉄道がある事のうれしさを感じると同時に、遅れては ならないという焦りから、ゆっくり移動している外人を横目に目的の車 両まで3人で走り切りました。 乗車し荷物を片付け、自分達の席に座り安心するやいなや、鉄道は 出発しました。時計に目をやると、定刻を3分ほど過ぎたぐらいでした。 出発があまり遅れてほしくはありませんが、「もう出発しちゃうの?」と いう気分になり、走って移動してよかったと3人で安堵しました。 鉄道の移動中は、問題なくあっという間にリバプールに到着しました。 駅で、12時に待ち合わせをしていたスカウスハウスの方から当日の サッカーのチケットをもらいました。 また、クイーン・スクエアからアンフィールドまでの行き帰りの方法や両 替所について詳しくアドバイスをもらい、お別れしました。 まずは、3人で旅行カバンを持ったまま、クイーン・スクエア近くのリバ プールのオフィシャルショップに突入しました。 しかし、東京の通勤ラッシュかと思うほどの人だかりで買い物を断念。 ホテルに荷物を置いて再チャレンジする事にしました。 数十分後に戻ると、さらに人が増えているような気がしましたが、とり あえず、今日の試合で必要なマフラーを3枚とマッチデイプログラムを 購入。 そして「AWAYユニホーム半額!」と大きく宣伝していたので、ついつい 1枚購入。大好きなカイトのネームを入れてもらおうとしたら、「無い」と の事でした(品切れかも)。店員がジェラードのネームを笑顔で勧めて きたので不本意ながら納得し、ジェラードを入れました。 ちなみに、私の後ろに並んでいた人はギャラガーを希望していたので すが、こちらも無いと店員に言われていました。 時計を見ると14時を過ぎていたので、両替所の入っているスーパーで 昼用の食料を買い込みホテルに戻りました。 この頃になると、街にはリバプールとバルセロナのサポーターが少し ずつ増え、なにやら叫んでいました。 ホテルでは、食事をしながら今晩の試合のチケットの分配を考えまし た。というのも、チケットは計3枚あり、1枚は日本のチケット代理店か ら買ったもので、席がバルセロナのアウエー席だったのです。 本来はバルサファンの姉が座る予定でしたが、姉は2日前に見たウエ ストハム対トットナムの試合でアウエーサポーターに対する殺気だった 雰囲気にビビり、ホーム席を希望しました。 話し合いの結果(弟が私に気を使って)、弟がアウエー席に座ることに なりました。 試合が19:45開始なので、その3時間前にホテルを出ることに決めて、 私と弟はアルバートドックまで散歩に出かけました。姉は夜に備えてそ のままホテルで休憩しました。 アルバートドックでも、ユニホームを着た両チームのサポーターをたく さん見ました。 私が上着を脱いでリバプールのユニホームで弟に写真を撮ってもらっ ていると、同じくリバプールのユニホームを着た外人が、「お前ら2人 撮ってやる」と言って撮ってくれました。別れ際にはがっちり握手して今 日の試合での健闘を誓い合いました。 試合観戦にたっぷり時間をとったので、リバプールの街の観光はアル バートドックのみとなってしまいました。 キックオフ180分前、ホテルに戻ってリバプールのマフラー・ホッカイロ・ ももひき(冬の観戦の必需品です)を装着していざ出発。 クイーン・スクエアのバス乗り場に着くと、バス停のそばでバルセロナ のサポーターが50人程集まり歌を歌っている。その光景を見て、試合 の街に来たのだとあらためて実感。 15分程待って、アンフィールド行きのバスに乗る。バスの中の雰囲気 が、またたまらない。両チームのサポーターが互いにチームの歌を 歌ったり、互いに会話し笑ったりして、微笑ましい光景であった。 キックオフ120分前、スタジアムの目の前にバスが停まった。スタジア ムを目にすると一気に胸が高鳴った。 まずは入り待ちをと、選手がバスから降りる場所に向かった。気分の 高揚のせいか、足取りが妙に軽かった。 しかし着くとそこは黒山の人だかり。選手の姿を間近で見られる場所 は全て埋まっていた。バスの中を見られる場所を何とか確保して選手 の到着を待つ。 キックオフの90分前。バルセロナ、リバプールの順にバスが到着。バ スの窓はスモークが貼ってあり中は良くは見えなかったが、テュラムと シャビアロンソは確認できた。名前を連呼したら、こちらを見て手を 振ってくれた。 入り待ちを終え、スタジアム周辺の屋台で腹ごしらえをした。温かい コーヒーが本当に助かる。 スタジアムに入る前に、3人で試合が終わった後の集合場所と時間に ついて打ち合わせ。アウエーサポーターは試合後に残されるパターン が多いので、アウエー席に座る弟には、携帯が繋がらず1時間待って も来ない時は先に帰る事を確認。 キックオフ75分前、怪しい人が周りにいないか確認して、プラチナチ ケットをカバンから取り出しゲートに向かう。 係員にチケットをちぎってもらいスタジアムに突入。小走りで構内を移 動し、グランドが見える階段を駆け上がる。上がりきると、まばゆいラ イトの光とグランドの緑が、僕の視界に飛びこんできた。アンフィールド に来たのだと改めて実感。 興奮しながら席を探すと、スカウスハウスさんに取っていただいた席か らの眺めは最高だった。幸い姉とも席は近く、終了時にはぐれそうも 無いようだ。 まだスタジアムの中の観衆はまばらなので、我が物顔で歩き回りお互 いに記念写真を撮りあう。 キックオフ60分前、練習をより近くで見るために、メインスタンド最前列 へ。 わくわくしながら待っていると、まずバルセロナGKのV・バルデスが登 場。歓声とブーイングが鳴り響く。続いてバルセロナのフィールド選手 たちが登場。 キックオフ45分前、リバプールGKのレイナが、しばらくしてフィールドの 選手が、大きな歓声に包まれながら続々と登場。 私達の目の前では、バルセロナの練習が行われている。バルサファン の姉は大興奮である。「信じられない」「信じられない」と連呼。 私はリバプールファンであるが、ロナウジーニョを目の前にしたら、 ミーハーとなってしまい、彼の写真を撮りまくってしまった。 残念ながら、リバプールの練習は、かなり離れていてよく見えなかっ た。 キックオフ15分前、そろそろ自分の席に戻ろうと思い、後ろを振り返っ たら、スタジアムはかなりの観客で埋まっていた。急いでトイレを済ま し、自分の席に戻る。 キックオフ10分前。 待ちに待った“You'll Never Walk Alone”の合唱である。 アンフィールドで試合を見るのは2回目なので、全てではないが部分 部分歌うことができた。また、携帯のムービーモードでバッチリこの男 らしい雰囲気を録画。これからはいつでも、アンフィールドの“You'll Never Walk Alone”を聞くことが出来る。 合唱が終わると、選手の入場である。両チームが、自分のチームのエ ンブレムの旗の前に整列すると、CLのアンセムが流れ出す。センター サークルでは、CLの大きなロゴが揺れている。このメロディーを聴き終 えると、観客も大声を上げたり拍手をしたりして、高揚する気分を表現 しているようだ。 19:45。運命のホイッスルが吹かれた。 前半は、バルセロナがボールを持たされ、リバプールが決定的なチャ ンスを何度もつかんだ。 V・バルデスの信じられないミスからのシソッコのダイレクトシュートの 場面では、ボールの弾道がコマ送りのように見え、息が詰まる感じが した。 私は、リバプールに勝って欲しかったが、あまりにもバルセロナがだら しなくて悲しかった。戦前には、エトーのスタメン復帰により、攻撃面も 守備面も改善されると言われていた。しかし、現実はそうではなかっ た。私は、強いバルセロナをぶっ飛ばすリバプールが見たいのだ。 後半に入るもメンバーの交代は無い。相変わらずリバプールのペース で試合は進むが、ロナウジーニョのポスト直撃シュートあたりから試合 が動き出した。 ライカールトが、テュラムを下げてグジョンセンを投入。バルセロナの DFラインが3バックから2バックのような4バックに変更した。これが功 を奏したのか、0−1とバルセロナが勝ち越し。 ここから試合は激しさを増した。バルセロナの捨て身の攻撃を、リバ プールが体を投げ出して懸命に守備をし、そこからの鋭いカウンター と、男臭い攻防が続いた。 そして、試合はこのまま終了のホイッスルを迎えた。 リバプールの守備の堅さと激しさ、カウンターの鋭さが私には印象深 かった。逆に、バルセロナのピークは去ったのだと確信した。そして、 再び“You'll Never Walk Alone”を合唱し、試合の勝利に浸った。 歌い終えると、観客がゾロゾロと帰り始めだした。すると、バルセロナ のサポーター席から「リバプール」「リバプール」と歓声が上がり、手拍 子でエールを送っていた。それを聞き終えると、今度はリバプールの サポーターが、「バルサ」「バルサ」と歓声を上げ、手拍手をして応えて いた。このような素晴らしい光景が2・3回続いた。 やがてそれも終わり、リバプールのサポーターもほとんど帰り、スタジ アムはガラーンとした雰囲気になった。 スタジアムのBGMが、ビートルズの“Hey Jude”を流し始めた。何度も 聞いたことのあるこの曲が、今この場所で聞くことで何倍も心に響いて きた。曲が終わる頃、警備員がそろそろ帰りなさいと言ってきたので、 後ろ髪を引かれる思いであったが、スタジアムを後にした。 スタジアムの外の集合場所で10分ほど待っていたら弟がやってきたの で、3人でホテルへの帰路についた。 ホテルへの帰り道、バルセロナのファンであった姉が、「今年の夏休 みもリバプールで試合を見る」と言った。 アンフィールドは、魔法をかける雰囲気を持っている。私も、前回訪れ た時に魔法をかけられた1人である。 まだアンフィールドに来たことのない方は、ぜひ魔法をかけられにアン フィールドに来てみてください。 (おわり) < LIVERPOOL FC 0 - 1 FC BARCELONA Tue 6 Mar 2007 19:45, Champions League Last 16 (2) > ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo292.htm ≫ ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン 〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜 ― 第85号 / 「アジアン・アート・リヴァプール」 ― ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish85_photo.htm ≫ 気がついたらイースターはもう今週末。特に予定らしい予定もなく、お そらくリヴァプールでおとなしくしていると思います。天気予報によると 向こう1週間は天気がよさそうなので、思いつきでどこかへ行くかもし れませんが。。。 今週はまたアートの話題をいくつか。 水曜日に、また一足先に Tate Liverpool の新しい特別展を見に行き ました。 "The Real Thing: Contemporary Art from China" 展。 今世紀に入って、いろんな意味で世界から注目を浴びている中国です が、ビジネスの世界だけではなくアートにも高い関心が寄せられていま す。 俄かチャイニーズ・ブームに乗っかっている地域とは異なり、ヨーロッ パ最古のチャイニーズ・コミュニティーが生まれ、上海とのツイン・シ ティーという歴史的にも深い関連があるリヴァプールは、まさに英国初 の大規模な中国のコンテンポラリーアートをショーケースするのに相応 しい場所と言えます。 18人のアーティストによる26作品。すべてが2000年以降に作られ、そ のうち12作品は今回コミッションされた新作です。 まずはアルバート・ドックに浮かべられた、巨大なシャンデリア。これは アーティスト Ai Weiwei と Fake Studio による "Working Progress (Fountain of Lights) "。 これは100,000ポンドを投入し、中国で制作された部品をリヴァプール で組み立てたとのことです。前日に別件でアルバート・ドックに来たとき に浮かべる前の状態を見たのですが、高さ8m 、重さ2トン以上と巨 大! 水に浮かぶシャンデリアは、日没後に思わず長いこと眺めてし まうほど素敵です。 展覧会を見る前に地下のトイレに行ったのですが、階段の脇にナゾの 標識が。 「START CLIMBING エベレストの頂上まであと118段 LEVEL 4」 …??? 結局 階段は使わず横着してエレベーターに乗って4階に 行ったのですが、なんと本当にガラスケースに入ったエベレストの頂上 が! 上海出身の若手アーティスト、Xu Zhen による "8848-1.86" というイン スタレーションで、「エベレストに登っててっぺんの1.86mの部分を切り 取って持ってきました」というクレージーなアイディア。ちなみに1.86m は、アーティスト本人の身長だそうです。 ガラスケースの周りには、テントや飯盒などの登山道具、コート、中国 の旗などのキャンプサイト、壁には登山の様子をドキュメントした写真 や映像など抜かりがありません。 偶然か、狙ってか、この作品が作られた2005年に、これまで標高 8848m と信じられてきたエベレストが、中国国家測量局の調査で、 8844.43m と発表されたという話も興味深いです。 Zhou Xiaohu のアニメーションはよく出来ていました。上半身に直接描 いた絵をコマ撮りしたものでコミカルです。撮影に3ヶ月かかったとのこ と! Zhuang Hui によるインスタレーション "Factory Floor" (2003) と Cao Fei のビデオ作品 "Who's Utopia? What Are You Doing Here?" (2007) には、懐かしさを感じました。 私も5〜6年前は中国の華南地方の工業地帯で働いていて、オフィス は工場の敷地内にあり、工場が周りに日常としてあったので、不思議 な感じです。 "Factory Floor" のインスタレーションはあまりにもリアルすぎて、一瞬 コンテンポラリーさはどこにあるんだろう? と疑問に思ってしまいまし たが、その制作プロセスをきいて驚きました。 機械や鋼鉄のプレートはすべて発泡スチロールでできているとのこと。 これはアーティスト自身が16歳の頃に工員として働いていた、The East is Red Tractor Factory という工場がモデルで、実際に起きたア クシデントの様子を間接的に物語っています。 お昼の休憩時に、フォークリフトから落ちてきた鋼鉄に工員の一人が 下敷きになり、他の工員たちが食べかけのお弁当箱を残して現場に 駆けつけた後の静まり返ったシーンです。 Cao Fei のビデオは、華南の珠江デルタ地域の電球工場を舞台に、 普段は工場でプロダクションラインの一部として働く工員のもつ個人の 素顔を撮ったものです。 倉庫の間でバレリーナになることを夢見てつま先立ちで踊る女の子、 バンドを組んでギターを掻き鳴らす若者、かつては格闘家をめざしたこ ともある中年の男性のシャドーボクシングなど。 私のいた会社の工場でも、中秋節や旧正月の休みに入る前になると、 野外にステージが組まれて、ワーカーによる大カラオケ大会やダンス のパフォーマンスなどがあり、ユーモアにあふれ気合が入っていまし た。 中国各地から電車で数日間かかる故郷を後にして出稼ぎにきている 人たちがほとんどで、過酷な労働条件と生活環境に置かれても、不思 議と悲愴感がないんです。むしろポジティブでたくましさを感じたのを覚 えています。前述の工場のインスタレーションを手掛けた、働きながら アーティストになりたいと希望を秘めていた Zhuang Hui もその一人 だったんでしょうね。 中国で起こっている社会的なリアリティーと、文化革命を知らない新し い世代の中国人アーティストのダイナミックなクリエイティビティーを通 じて今後中国はどこへ行くのか考えさせられました。 "The Real Thing: Contemporary Art from China" 展は、6月10日まで。 < Tate Liverpool > 住所: Albert Dock, Liverpool L3 4BB 電話: 0151 702 7400 Email: visiting.liverpool@tate.org.uk オープン: 火〜日曜日 10:00〜17:50 入場料: この特別展のみ一般£5、学生&シニア割引£4、ファミ リーチケット£10。 ※メンバーは無料です。 ホームページ: http://www.tate.org.uk/liverpool/exhibitions/contemporaryartfromchina/default.shtm この Tate Liverpool の主催で、29日に花火がマージー川に打ち上げ られました。こちらもチャイニーズアートの一環です。 タイトルは "If I Knew the Danger Ahead, I'd Have Stayed Well Clear"。 2艘のボートから火花を散らす戦闘ものです。クライマックスは、手が 届くんじゃないかというくらいの至近距離で圧倒されました。 ショートビデオはこちらから。↓ http://www.artinliverpool.com/blog/blogarch/2007/03/fireworks_at_tate_liverpool.php ♪ ♪ ♪ 今週の土曜日は、またまた天気が素晴らしく、お出かけ日和。数日前 にリヴァプール在住の方から、Speke Hall で日本人アーティストの展覧 会と墨絵のワークショップがあるときいて、行ってきました。オフシーズ ンや休館日に立ち寄ったことはあったのですが、今回が実質初めての Speke Hall の訪問で、とてもいい機会となりました。 ザ・ナショナル・トラストは、ヴィクトリア朝末期の1895年に、歴史的名 勝と自然的景勝地の保全を目的に設立されました。リヴァプールでは、 Speke Hall のほかにも、ジョン・レノンの住んでいた Mendips やポー ル・マッカートニーの住んでいた 20 Fothlin Road 、Rodney Street に ある Mr Hardman's Photographic Studio などの建造物や、Formby ビーチが指定されています。 秘境と呼ばれるような、ひっそりと奥まった地域にたたずむ保全地が 多い中、街からそれほど遠くないところにこのような名所があることは ラッキーなことのようです。 Speke Hall は1530年に建てられたテューダー朝の邸宅。黒の木造軸 材と白の漆喰の色のコントラストと幾何学的模様が特徴です。この土 地は、この建物を建てた Norris 家と、18世紀に入って Watt 家により 所有され、1944年にザ・ナショナル・トラストに渡りました。 500年にわたって増築、改装されたため、それぞれの時代を反映した デザインが混在しています。 一番最初に建てられた The Great Hall は天井が高く、奥にはおおき な暖炉があり、入り口付近には鎧が、壁には剣が飾られ、物々しさが あります。 2階には、当時イギリスがローマン・カトリック教徒迫害をしていた時代 に、カトリックの聖職者をかくまったという「司祭の隠れ家」や、侵入者 を見張る priest hall というスパイ用の覗き穴があります。 それ以外の部屋の多くは、ヴィクトリア朝時代に入ってから改装された ものが多く、部屋、廊下など細部に至るまで、21世紀にもてはやされて いるシンプル&ミニマルなスタイルと比べるとそこは180度逆の豪華絢 爛、デコラティブの極みです。書斎にはウィリアム・モリスのオリジナル の壁紙も残っています! 撮影が禁止だったので写真をお見せできな いのが残念ですが。。。 ホールの裏手には、手入れの行き届いたガーデンが広がっています。 建物の周りはかつてはお堀に囲まれていたようですが、干上がって現 在は芝生となっています。 今回訪ねた日本人アーティストは、小野琢正さん。 日本ナショナル・トラスト協会公認の画家として99年にイギリスへ渡り、 3ヶ月間ザ・ナショナル・トラストのプロパティー(保全地)57箇所を訪問 しスケッチ取材を行った後、2001年に初めての「遍路」展を開催。2002 年には活動拠点をイギリスに移し、引き続きザ・ナショナル・トラストの プロパティーを巡り、残していきたい美しい自然や歴史的建造物を描 き続け、定期的に「遍路」展を行っています。400近いプロパティーのう ち、すでに100ヶ所を制覇したそうです。 Speke Hall での展示は今回が3回目で、ナショナル・トラストの所有す る各地の水彩によるスケッチやシルクスクリーンの作品のほか、新作 として墨絵で描いたリヴァプールの建築物の数々も展示されています。 私はシルクスクリーンの作品に興味を持ったのですが、これは小野さ んが環境を配慮して試行錯誤の末にあみ出したという、水性シルクス クリーンだそうです。カラフルでありながら柔らかで透明感があります。 ホームページにも画像は載っていますが、これはオリジナルを見ない とその質感は伝わらないかもしれません。 小野さん曰く、シルクスクリーンのルーツは実は日本の友禅にあって、 それがアメリカに渡り進化して還ってきたものだそうです。展覧会は本 館ではなく Educational Room で行われているのですが、Speke Hall の本館の一番最後の部屋にも小野さんの作品と、小野さんによるデ ザインの着物が飾られています。 墨絵のワークショップを通してこちらの現地の人々に日本のトラディッ ショナルな技法を広める傍らで、日本人である小野さんが英国におけ る重要な景勝地や建築物をモチーフにして描いてこちらで展示をする ことで、新鮮な目でその場所場所の素晴らしさを再確認させられる 人々は多いのではないかと思います。まさに日本とイギリスの架け橋 的な活動といえます。 小野琢正さんの展覧会は以下のようなスケジュールで英国各地を巡 回します。 「英国ナショナル・トラストHENRO 2007」開催スケジュール 3月31日〜4月15日 スピーク・ホール(リヴァプール) ※4月7日に墨絵ワークショップ開催 5月12日〜6月4日 ライム・パーク(チェシャー) 6月9日〜6月24日 カーク・アビー(ダービシャー) 7月4日〜7月29日 ベルトン・ハウス(リンカシャー) 8月4日〜8月21日 ハンブリー・ホール(ウースターシャー) 8月24日〜9月12日 モティスフォント・アビー(ハンプシャー) 10月20日〜11月3日 ナショナル・トラスト本部(ウィルシャー) 詳しくは、遍路展ホームページ: http://www.asahi-net.or.jp/%7EHH5Y-SZK/ono/ono0.htm < Speke Hall(スピーク・ホール)> 住所: Speke Hall, The Walk, Liverpool, L24 1XD 電話番号: 0151 427 7231 オープン:【Hall & Grounds】水〜日祝 13:00〜17:00 入場料/大人£6.70 子供£3.70 ファミリー£20.50 【Grounds & Home farm のみ】毎日 11:00〜17:30 入場料/大人£4.00 子供£1.90 ファミリー£11.00 ※ザ・ナショナル・トラストのメンバーは入場無料です。 ホームページ: http://www.nationaltrust.org.uk/main/w-vh/w-visits/w-findaplace/w-spekehall/ ♪ ♪ ♪ 【今週の告知】 今年の秋、 Tate Liverpool に『ターナー賞』がやってきます。これは英 国のアート界でとっても重要かつ物議をかもす大イベントです。ロンド ン以外での初めての開催先がリヴァプールだというから、これは地元 の人間は黙ってはいられない! ということで、 Artinliverpool.com で は “地元のアーティストをノミネーションしよう!” キャンペーンを行うと ともに、裏ターナー賞ともいうべき "The Liverpool Turner 2007" を急 遽開催することにしました。もしよかったらご参加ください。 参加方法としては、、、 リヴァプールの出身またはリヴァプールを拠点に活動している50歳以 下、過去12ヶ月間に展覧会を行ったアーティストを選んで、Tate の ホームページのターナー賞ノミネーション・フォーム ( http://www.tate.org.uk/liverpool/exhibitions/turnerprize2007/)から 推薦してもらいます(締切り4月14日)。送信し終わったら、誰に投票を したかを Artinliverpool のフォーラムにて報告してもらい、こちらで独自 に集計して裏ターナー賞を認定し、賞を授与する、というものです。 http://www.artinliverpool.com/blog/blogarch/2007/04/the_liverpool_turner_2007.php 私は去年のバイエニアル中に行われた John Moores 展でも入賞した ペインター、Gary "Dollman" Sollars を推そうと思っています。 Gary Sollars ホームページ: http://www.garysollars.co.uk/keep4.htm それではまた来週! ミナコ・ジャクソン♪ ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish85_photo.htm ≫ ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽フロム・リーダー ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ (先週に掲載したセフトン・パーク&ラーク・レーンの話題に、katsumiさ んがご自分の体験を交えた感想を寄せてくださいました。一般的な観 光旅行でこれらのスポットを訪ねる人はなかなかいないと思いますけ ど、さすがはリヴァプールに詳しいkatsumiさんですね。こういったお便 りはほんとうに嬉しいです) NLW291を読んで、Sefton ParkとLark Laneの話題が出てきたので懐 かしくなってメールしました。 僕はLiverpoolに住んでいた訳ではありませんが、現地の友人が以前 住んでいたのがこのあたりで、遊びに行った時に泊めてもらいました。 そしてSefton ParkやLark Laneあたりが飼っている犬の散歩コースに なっていて、よく一緒に散歩したものです。 僕の記憶にあるのはミナコさんやえりさんの写真にあったような水仙 の季節ではなく、寒波が押し寄せて雪がたくさん降った冬なのですが、 広い芝生や点在する池を眺めるのは気持ちが良く、Sefton Parkは ジョンレノンの両親が結婚する前にデートしていたところ、というエピ ソードともあいまって、とても心が暖まる場所でした。水仙やガラスの 温室の写真もきれいですね。僕が行った頃はまだ温室には入れない 頃でしたので、再訪してみたくなりました。Lark Laneの雰囲気も本当 にボヘミアン的で、ミナコさんの文を読んで、訪れた時のことを思い出 しました。僕だけでなく、kazさんにとってもミナコさんにとっても、この地 域には同じような思い出があるみたいで、うれしく思いました。kazさん を通して、ミナコさんやえりさんにお礼を言いたいと思います。 (katsumiさん、掲載にご快諾いただきありがとうございました!) ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼スカウスハウス・ニュース ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ *** LFCグッズ通販:On Sale Now!! 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