June 12 2007, No.301
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2007年6月11日>
 ▽寄稿:「〜夢のつづき〜 チャンピオンズリーグ観戦記」
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▽「利物浦日記2006」
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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久しぶりに、「利物浦日記2006」の続きを書きました。
前回の「8」を掲載したのはいつだったかと思ってチェックしてみると…
「NLW No.294」でした。4月17日の発行です。
ということは、およそ2か月もほったらかしにしていたことになります
ね…ごめんなさい!

気がつけば、あと2か月とちょっとで今年の「ビートル・ウィーク」です。
それまでには、この2006年のレポートを終わらせなければいけません
ね。
なんとかがんばって、数週間のうちに終わりりまでたどり着きたいと
思っています。
誰も待ってないかもしれませんけど…。

さて、今年のビートル・ウィークですが、先週ちらっとお伝えしましたと
おり、「スカウス・ハウス」は今年もバンドをブッキングしています。
バンドの名前は「ジョニー黒田&水割り」。えーと、つまりジョニ黒の水
割りですね。冗談みたいなバンド名ですが、実力は保証付きです。
フェスティヴァルにはMizuwariの名前でエントリーし、計5本のギグが決
定しています。
きっと世界中から集まるビートルズ・ファンたちを喜ばせてくれることで
しょう!

今年も楽しい「スカウスハウス・ツアー」になりそうです。
募集締め切りまであと1か月ほど。多くのみなさんのご参加をお待ちし
ています。
ぜひリヴァプールでお会いしましょう!!
http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2007.htm

                      ― Kaz(12/06/2007)


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▼リヴァプール・ニュース <2007年6月11日>
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*** 6月11日(月) *******************************

【リンゴのスポーツセンター】
リンゴ・スターが、今年じゅうにディングルの母校を訪ねることを約束し
ました。
リンゴの母校「ディングル・ヴェイル・セカンダリー・モダン」は、現在
「ショアフィールズ・テクノロジー・カレッジ」になっています。
そして先週土曜日、この学校に、80万ポンド(約2億円)をかけたス
ポーツセンターがオープンしました。
このスポーツセンターは、プロジェクトの協力者であるリンゴにちなん
で、「スター・フィールズ・コミュニティ・スポーツ」と名付けられました。

カレッジの校長、ジョン・チャーノックはこう話しています。
「私たちは、このファンタスティックな施設の完成をたいへん喜んでいま
す。うちの生徒だけではなく、コミュニティ全体にとって大きなベネフィッ
トになるでしょう。このディングル地区の再開発にも、重要な役割を果
たすと思います」
「うちの生徒たちを誇りに思いますよ。この地域にとって何が必要なの
か、何をしたらいいのか、みんな真剣に考えて協力してくれたんです。
もちろん、リンゴが近いうちにここを訪問したいと言ってくれていること
には、全員が大喜びしていますよ」

「スター・フィールズ」には、フルサイズのフットボール・ピッチや、全天
候型のテニス、ネットボール、そしてバスケットボールのコートが整備さ
れています。

10歳の生徒、ジョーダン・ヒューイット君はこう言っています。
「このスター・フィールドのプロジェクトは生徒たちが主導して進めたも
のなんだよ。すごく自慢に思ってる。僕らがやってることにリンゴ・ス
ターが興味を持ってくれて、問したいって言ってくれてることも、僕らの
誇りだよね、ほんとうに」
「僕ら、この地域の人たちにもここを利用してほしいんだ。できるだけた
くさん来てほしいなあ。だってコミュニティ全体のためにつくったものな
んだから」

「スター・フィールズ」は、学期中は毎日オープンします。
平日は午後5時から9時まで、週末は午前10時から午後6時のオープ
ンとなります。

リヴァプール・シティ・カウンシルのコリン・エルドリッジ議員はこう話して
います。
「スター・フィールズのファシリティは何もかもファンタスティックですね。
学校だけじゃなくて地域のコミュニティにとって、計り知れない財産にな
るでしょう。すべての年代の人々が、ここでスポーツを楽しんだり、体を
鍛えたりして、アクティヴな生活を送ることができるんですからね」


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▽寄稿:「〜夢のつづき〜 チャンピオンズリーグ観戦記」
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「〜夢のつづき〜 チャンピオンズリーグ観戦記」(後編) / josha

< LIVERPOOL FC 1 - 0 CHELSEA FC
Tue 1 May 2007 19:45, Champions League Semi Final (2) >

 ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo301.htm ≫

(つづき)
チャンピオンズリーグのアンセムが流れます。いよいよ試合のスタート
です。
私達の周りは、結構コアなサポータ集団で、その迫力には参りました。
友達によると、少し離れたところでは結構おとなしく座っている様子で
したが、とにかく右横も左横の人も興奮しまくっていて、マフラーを振り
回し、大声で歌い、つばを飛ばし、叫びくるっていました(笑)。
私達はかなり圧倒されていたように思います。最初は試合に全く入っ
ていけませんでした。
何かあると立ち上がるサポータを、警備員の人はその都度抑えてくれ
ています(これでずいぶん助かりました)。

一番可笑しかったのは、私の右隣の人。
試合のほうは何故かつまらなそうに見てるのですが、チェルシーサ
ポータがなにか言い出すと途端に元気になり、彼らに向かってお返し
のチャントを歌いだします。試合そっちのけでそっちばかり気にしてい
るその様子はとても不可思議で。何度も笑ってしまいました。いろんな
楽しみ方があるのでしょうか。

そして、アッガーのスーパーゴール!
このフリーキックの前、ゼンデンがジェラードに耳打ちしている様子が
私の写真に写っています(ボケてますが…)。練習してきたパーツだっ
たのでしょうね。
決まった瞬間、私の視界からピッチが消えました。
みんな狂気乱舞で前に飛び出してくるものですから、ちびっ子の私に
は全く見えない状況となってしまいました。
でもなんでも嬉しい! アッガーはお気に入りの選手なだけに、なおさ
ら嬉しい。
ビデオで何度も見返しましたが、本当に素晴らしいゴールでしたね!

これで合計スコア1−1のイーブンです。期待は高まります。
ますます大きくなっていく歌声と歓声。
その歓声たるや凄いもので、私は何度も目を閉じ、その声に酔ってい
ました。

その時私はなんとも不思議な感覚を味わっていました。
すぐそこに、テレビでいつも見ている選手達がいて、でも、感動や感激
と言うよりはそれはごく当たり前のような…。
それでいて、そこでまさに試合は行われているのだけれど、自分はエ
アポケットの中にいて違う次元から眺めているような。

あの感覚はなんだったのでしょうか。
こうやって書いてはいますが、実はずっとそんな不思議な感覚の中で
試合を見ていたように思います。。
本当の記憶に残っているのは、皮膚感覚のように染み付いた私の周
りの状況のだけかも知れません。

それでも、マスチェラーノの頑張りと相変わらずのジェラードの獅子奮
迅のディフェンスは素晴らしかったです。これには友達も驚嘆の声を
上げていました。
マスチェラーノはとにかく凄かったように思います! いままで馴染ん
でいるとはお世辞にも言いがたかったのに。ここぞと言う時に力を発
揮してくれて本当に頼もしい選手ですね。
ラファの選択は正しかったのでしょう。

時はどんどんと進んでいきます。
ドログバへ向かって放り込まれるハイボールはとても怖かったです。
でも、Liverpoolは守り続けます。

カラガーは本当に凄い、凄いとしか言いようがないです。
この何年か、ほとんど休みなく、大量点を取って楽にしてもらえる時間
も少ない中、ここまで守り続けてくれていることには、頭が下がります。

ついに延長戦。
その時、Liverpoolの選手達のほうが疲れてへたり込んでいるように私
には見えました。
その前から、ジェラードも他の選手も足を気にしていました。
嫌な予感が走りました。
しかし、カイトの(幻の)ゴール。
その瞬間も私の視界からピッチは消えていました。

観客の盛り上がりはもう最高潮で、それはきっとかつてどんな試合を
見た時にも味わったことのないものだったと思います。
後半の最後のチャンスでカイトのシュートがツェフにはじかれた時、カ
ラガーが「なんでだー」(たぶん)と叫んで、悔しそうに腕を振り下ろして
いたのが、印象に残っています。
決めてほしかったのでしょうね…。

延長が終了した時、私は、馬鹿になってました。
「もしかして再試合」「また延長?」だなんて。真剣にそう思っていまし
た。
もちろん、PK戦です。

後半途中からやっと試合に入っていけていた私は、その頃から、奇声
を上げていたように思います(笑)
そしてPK戦は4-1でLiverpoolの勝利!!
選手達は落ち着いていましたね。頼もしかったです。

アンフィールドの雰囲気はとにかく凄まじかったです。会場は割れんば
かりのブーイングの嵐。チェルシーの選手が可哀想になるくらいでし
た。テレビでも感じられたとは思いますが、実際はあの数倍もの音響
で響き渡っていました。私は耳をふさいだほどです(特に後ろのおじさんの
口笛がすごくて)。

その中で、一人決めたランパードは改めて気持ちの強い選手だったん
だと思いましたし、チェルシーはもちろん敵ですから、好きになりようが
ありませんが、少ないながらもファンの応援はとても揃っていて力強く
気持ちも伝わってきて、素晴らしいものでしたよ。
これだからプレミアの試合は素晴らしい!
ある意味それは感動でもありました。

何度も書きますが(笑)決勝進出の瞬間ももちろん、私の視界からピッ
チは消えました。
正確に言うと、もうその前から、観客が前になだれ込んできていて、悲
しい状況になっていました。

それでも、中には、私達にも「ほら、立ち上がって一緒に応援しよう」と
いってくれる人。
決定後は興奮して、手をとってキスをしてくれる人、握手を求めてくれ
る人。
イスに登っていてひっくりかえりそうな私を支えてくれた人。

とにかくもうしっちゃかめっちゃか。狂喜乱舞、興奮の坩堝でした。
選手達の喜びの瞬間を観ることはできませんでしたが、十分に勝利の
喜びを味わいました。
本当にもうこれ以上望めないくらいの幸せに酔っていました。

しばらくは席を離れることができませんでした...
喜びを全身にたぎらせ、大声で歌いながら通路を歩く人たちを呆然と
見ていました。

選手達が出てくるのを待ちたい気持ちもありましたが、なにぶんにも時
間が遅い。
バスがなくなると困るので、泣く泣くアンフィールドを後にします。
もう正面ゲートはしまっていました。
もみくちゃのままバスに乗り込み、渋滞するあたりでは、パブの前で気
勢を上げる人々を大勢目にしました。
そして、バスの中からもそれに呼応してる姿が素敵でした。

ライムストリート駅に帰り着いたのはもう遥かに11時を過ぎたころ。
人はまばらだったように思います。
ビールで祝杯を上げたかった! この時に飲まずしていつ飲む
の!(笑)
どこかに売っている店がないかとうろつきましたが、残念ながら空いて
いる店がありません。
ホテルに冷蔵庫でもあれば買い置きもできたでしょうが、アデルフィに
はありませんでした…そういえばロンドンのホテルにもなかったですね
(日本のホテルでは当たり前のようにありますが、ここは大きな違いか
も知れません)。

仕方なくホテルに帰り、お茶を飲みながら友達と話していました。
今日の勝利は間違いなく、アンフィールドのサポータ達の力だと。
あの大声援があったればこそ。

眠れないまま、窓の外を眺めていました。
大勢ではありませんでしたが、遅くまで、いつまでも、何処からか、歌う
声と、歓声が途絶えることはありませんでした。

翌日、私は心を残しながら、次の目的地へ向けて、ライムストリート駅
から列車に乗り込みました。
新聞を買う時間がなかったのが残念。ストラトフォードアボンエイボン
で見つけた時は思わず声をあげてしまいました。
イングランドの新聞は写真が充実してて素晴らしいです。
もちろん、これは私の一生の宝物です!

振り返ると、2度目のLiverpoolも慌しい訪問でした。
なにせ、日程が短いので、訪れたい場所が多くて、こちらも念願である
スタジアムツアーもできぬまま。
でも、Liverpoolは本当に素敵な街です。ロンドンの華やかさとは比べ
るべくもないかもしれませんが、その静けさがまた心地よくもあります。
前回はアルバートドックも訪れました。世界遺産にも登録されたという
かつての繁栄の面影を残す建物はとても美しく、また、マージー川に落
ちる夕日は忘れえぬ美しさです。


アンフィールドスタジアムでの試合も残りわずかとなります。
とてつもなく寂しい。私でもこうですから、地元の方は本当に寂しいで
しょうね。
それでも、Liverpool はますます盛り上がり、更に高みへと上っていくの
でしょう。

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5月23日決勝。
Liverpoolは負けました。試合を支配しましたが、ミランの老獪さに敗れ
去りました。
そのショックは相当のものでしたが、私は落ち込んではいません。
キャプテン・ジェラードのコメントがすべてをものがったっていたように
思います。
彼らは何も恥じることはないのです。すべての力を出し尽くしましたか
ら。
そして、自分達に足りないものも十分に理解し、この悔しさを糧に、来
季に向かう決意を固めてくれたと思います。

辛い別れもきっと待っていることでしょう。
それでも、前に向かうしかありません。
嬉しい時も悲しい時も、その思いを同じくして。
歴史はそうして作られていくものだと…そう思います。

更なる飛躍をめざせLiverpool!!
何の力にもならないかもしれないけれど、極東の小さな国日本から、
いつもいつも願っています。

できることなら、アンフィールドがなくなる前に、“是非もう一度訪れた
い”。

夢は何処までも続きます。

(おわり)

< LIVERPOOL FC 1 - 0 CHELSEA FC
Tue 1 May 2007 19:45, Champions League Semi Final (2) >

 ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo301.htm ≫


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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第93号 / 「暑い夏がやってきた!?」 ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish93_photo.html ≫

こんにちは!
今週は毎日晴天が続き、暑いくらいです。夏至に向かって日もどんど
ん長くなっていて、午後10時くらいにようやく夕暮れといった今日この
頃のリヴァプールです。
週の前半は、スカウス・ハウス留学担当のMarikoさんがリヴァプール
入りしていたので、一緒に回りました。

今週の火曜日は、Liverpool Community CollegeのHNDファイン・アート
の学生によるショーが、The Bridewellにて行われました。HNDとは、
Higher National Diplomaといって、イギリスの職業専門分野での国家
資格です。専門学校卒業とほぼ同格と考えれば分かりやすいと思いま
す。
小さなギャラリースペースではありましたが、ペインティング、デジタル、
粘土、サウンドボックスなど様々で、今後が楽しみです。

このコースは今年度で最後になってしまいましたが、来年度からは、
The Foundation Degree in Fine Artを取得するコースに生まれ変わりま
す。
ファウンデーション・コース は、デッサン、絵画、彫刻、、版画、デジタ
ルなどひととおりの異なる手法の基礎を学ぶいわゆる一般教養で、こ
れが修了すると、大学の学士課程の2年生か3年生に編入することも
できます。
http://www.liv-coll.ac.uk/esp/resultlist.asp?section_id=11

この日の目玉は、なんといってもギャラリーオープニングスピーチに登
場したBill Drummond氏。
70年代にはリヴァプールにて伝説のパンク・バンド Big in Japanで活躍
し(このバンドには、その後のLightning Seeds, Frankie Goes To
Hollywood, Siouxsie & The Bansheesの主要メンバーが所属)、90年代
前半には ロンドンにてJames CautyとともにThe KLFを結成し、
'Justified and Ancient' や 'Last Train to Trancentral' や 'What Time
is Love' などのヒットで大ブレイクをしました。

The KLFはダンスミュージックの歴史の中で、アンビエント・テクノという
新しいジャンルを作り出した、という話で有名ですが、その傍ら当時、
無断で他のミュージシャンの楽曲のサンプリングして自分達の曲の中
で駆使したことで物議をかもしたことでも知られていて、精神は完全に
アナーキーでパンクです(ちなみにKLF=著作権解放前線とのこと)。

92年には突然音楽業界からの引退宣言をして嵐のように解散し、その
後K Foundationとしてアートの世界に殴りこみをかけます。
ゴールドフィッシュ53号でも少し触れました、100万ポンドを燃やすなど
ラディカルなプロジェクトを敢行したと思えば、'Soupline' といって、ベル
ファストからノッティンガムまでの直線距離上に住む人々に、Bill
Drummond自らスープを作ってあげるといったランダムでクレージーな
企画を行っては世を騒がせている人物です。
Bill Drummondプロジェクト・ホームページ: http://www.penkiln-burn.com  

彼は、スコットランドに住んでいたティーンエージャーの頃、将来何をし
たらいいのかが分からず考えていると、お母さんに「ロンドンまで行っ
て進路相談を受けてきなさい、お金は出してあげるから」、といわれる
ままにロンドンでアドバイスを受けて適正検査の結果が送られて見て
みると、「楽器職人になるといい」とのこと。
理由は、1)音楽が好き 2)ものづくりが好き という単純な理由らしい。

さてどうやったら楽器職人になればいいかと調べてみると、まずはアー
トスクールに通いなさい、とのこと。カレッジに問い合わせてみると、
「それじゃあポートフォリオを持ってきてください」と言われ、ポートフォリ
オって何?! というところから始まり、絵を描くことは好きだったので、
いくつか絵を描いてフォルダーに入れて面接に行くと、合格(後になっ
て、誰でも入れるコースだったときいてガッカリしたそうです!)。

ファウンデーションコースを修了後、Liverpool Art School(ホープ・スト
リートのジョン・レノンが通った学校と同じです)に入学。
「あまり学校には行かなかったけど、一つだけチューターから学んだこ
とがある。見る(look)ことは誰にでもできるけど、見える(see)ようにな
ることの重要性」
ほほ〜、なるほど。メモメモ。私も勉強になりました。

そして最近のプロジェクトに話は移って、テート・リヴァプールで行われ
ている、"Centre of The Creative Universe: Liverpool and The
Avan-Garde Scene" 展の企画への出展依頼があったときの話。
当初お呼びがかかったときは、「ボクはリヴァプールという場所に対し
て酷い愛憎関係にあって、どうしようか、と躊躇した」そうなのですが、
たまたま時を同じくして、急ぎでパスポートの切り替えをする用事が
あって調べてみると、リヴァプールのパスポート・オフィスにいかなけれ
ばならないが分かり、「これも何かの運命だ」と理解し、テート・リヴァ
プールと会って話をすることを決めたそうです。

その結果できあがったのが、こちらもゴールドフィッシュ 80号で紹介し
た、" I Challenge You (2006 (C)Penkiln Burn 2007)" 。
このポスターは100枚印刷され、テート・リヴァプールに展示されただけ
でなく、街中のあちこちにも貼られ、50枚は折り紙の船にしてマージー
川に放しました(途中で水上警察に止められたそうですが)。

最後に、ボロボロになったポスターを広げて、その宣言文を読み上げ
て締めくくり。
これがBill Drummond氏から巣立っていく学生さんたちへの熱いメッ
セージとなりました。強烈に面白かったです!

♪ ♪ ♪

スピーチの後は、シティーセンターまで戻り、写真専門ギャラリーOpen
Eye Galleryへ。
この日から、"Shoot Liverpool" がスタート。
これは、ロンドンを拠点として活動する、Shoot Experienceがロンドン
各地、カナダのトロントと巡回した後にリヴァプールで開催したもので
す。

5月26日に、一般から募った100名以上がテート・リヴァプールで集合
し、1組最大4名のチームを組んで参加。
午後12時にヒントを渡されて、街中を駆けずり回ってヒントに託された
場所やテーマを探し出してデジタル・カメラで写真撮影をし、午後5時
にメモリースティックを提出して、審査員によって賞が授与されました。
私の旦那も審査員の一人だったのですが、面白い作品が多かったの
と、テーマが被るものがあったりして、選ぶのがとても大変だったとの
ことです。

ヒントは、特定の場所を探し出す 'Fixed Clues' と、言葉の解釈次第で
何でもOKの 'Open Clues' の2種類。
特定された場所は、Mersey Ferry, Albert Dock, テートのチャイニー
ズ・アート展のひとつであるGu Dexin's Funnel, マリタイム・ミュージア
ム、Water Street, 船がシアターになっているWalk The Plank。
オープン・ヒントは、「スカウスの方言で水とは何?」、「イエロー・サブ
マリン」、「Holy Water (聖水)」。

5時間という制限時間の中で、参加者それぞれアイディアをひねり出
し、小道具なども用意して楽しい作品が集まりました。
そこから選ばれた写真が、Open Eye Galleryにて展示されました。

どれも本当にユーモアたっぷりで素晴らしいのですが、中でもファスト
フードのSubwayの前で、黄色いベストを着てMarine(海軍)の格好をし
たお兄さんの写真が笑えました(言うまでもなくイエロー・サブ・マリン)。
モデル本人もその場に来ていたので、記念撮影。

アルバート・ドックで水にひれ伏して拝む 'Holy Water' やSeel Streetに
あるバーAlma de Cubaでお客さんを巻き込んで撮られた版の 'Holy
Water' も素晴らしいチームワーク。

「スカウスの方言で水とは?」のテーマでスカウス方言のフレーズ・ブッ
クを片手にアタマを捻る女の子の写真もクリエイティブで可笑しかった
です。

この展覧会は残念ながら終わってしまいましたが、展示作品はホーム
ページからご覧になれます。
http://www.shootexperience.com/photos_new/thumbnails/8

そして、このギャラリーオープニングの日の様子のなかで、私とMariko
さんが爆笑してるの図もしっかり収められていてビックリ。
http://www.shootexperience.com/photos_new/large/8/181/private_view

是非日本でも展開したい! と意気込んでいましたので、実現するとい
いですね。

展覧会の後は、Alma de Cubaで一杯飲んでから帰宅しました。。。

♪ ♪ ♪

木曜日は、Slater StreetのInternational Galleryで、Emma Simcock
Toothの個展のオープニング。
Emmaは油絵で非常に写実的なポートレートを描くアーティストで、イギ
リス全土から引っ張り凧、注目株であること間違いなしです。
顔の表情、肌の質感、透明感までが描かれ、髪の毛の一本一本まで
緻密で息を呑みます。

彼女は、映像作家をしているOwenと2年前に結婚し、ハネムーンは日
本に行ったそうです。
原宿のゴスの女の子たちと交流をしたり、京都では芸者姿に変身して
みたりと2週間の滞在を満喫したそうです!
彼女の作品とハネムーンの様子は、ホームページに掲載されています
ので、是非見てみて下さい。
この展覧会は、6月20日まで。

 < International Gallery >
  住所: 34A Slater Street, Liverpool, L1

Emma Toothホームページ: http://www.emmatooth.co.uk

♪ ♪ ♪

土曜日の午後は、世界最古の旅客用鉄道駅Edge Hillで行われた、
"Truck Stop International Festival" に行ってきました。
着いたのは午後3時くらいだったのですが、沢山の人がアートやクラフ
ト、フェイスペインティング、代替治療のコンサルテーション、各種ワー
クショップ、エスニックフードなどのストールのほかに、奥のメインのラ
イブステージとトラックの荷台がステージになってライブパフォーマンス
も行われていました。

大掛かりなフェスティバルではありませんでしたが、リヴァプール焼け
するほどにギンギンに暑いなか、ピースフルにまったりとするもあり、
ワークショップでものづくりに参加して楽しむもありで、子供も楽しめて、
大人も童心に返れるいいイベントでした!

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
6月21日午後7時から、Philharmonic Hallにて、映画 "Cunard Yanks"
がプレミア上映されます。
Cunard Yanksとは、50〜60年代にリヴァプール−ニューヨーク間の船
で給仕した船乗りのこと。誰よりも先にアメリカのスタイル、ファッショ
ン、音楽をイギリスに持ち込み、後にロックンロールを巻き起こすきっ
かけとなります。
ビートルズのジョージ・ハリスンにグレッチ・ギターを売った船乗りの
Ivan Haywoodのインタビューも見られます。
音楽や文化と海運との意外な関係が明かされる?!

予告編はこちらから: http://www.youtube.com/watch?v=X5xjcGcCkBk

チケットは、Philharmonic Hallボックスオフィスにて。普通席£5、ボック
ス席£6。詳細はこちらから。
Souled Out Filmsのホームページ: http://www.souledoutfilms.co.uk 

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish93_photo.html ≫


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▽「利物浦日記2006」
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「利物浦日記2006」 9 / Kaz

【8月27日(日)】

(つづき)
7時にアデルフィ・ホテルに集合。大勢でマシュー・ストリートへ向かう。
リッキー&ザ・ミッシェルが、いよいよキャヴァーンのステージに立つの
だ。

今晩のステージは、“Cavern Back”。
ビートルズゆかりのステージではない。再建された際に新しく奥に作ら
れた、少し大き目のステージだ。
別名「ポール・マッカートニー・ステージ」。そう、1999年の12月、Run
Devil Run Bandを従えたサー・ポールの「ミレニアム・ギグ」は、ここで
行われたのだ。

リッキー&ザ・ミッシェルのギグは、8時スタート。
15分前にバックステージに入ると、2セットあるソファは他のバンドの荷
物に占領され、テーブルは空きグラスや空き瓶でいっぱいだった。
今演奏しているバンドの荷物があるのは理解できるが、どうもこれは2
バンド分あるように見える。もしかしてスケジュールが遅れているのだ
ろうか…と一瞬心配になったが、間もなくバンドメンバーらしい数人が
荷物を引き取りにやってきた。

前のバンドの本編のステージが終わり、アンコールをうながすMCの声
が聞こえてきた。キャヴァーンのDJ、ニール・Bの声だ!
アンコールが始まると、ニールが楽屋に入って来た。
「やあ、二ール、久しぶり」と僕。
ニールは「!? えーと、えーと…??」と、困っている。僕の名前を思
い出せないのだ。

「あれ? 忘れたの? カズだよ。スカウスハウスの」
「カズ!! スカウスハウス!!! いや、ちゃんと覚えてる覚えてる! 
髪型変えた? や〜、久しぶりじゃん!」

ジェームス・ディーンばりのハンサムで長身。黙ってればクールでカッコ
いいニールだが、やたらおしゃべりで、超のつくお調子者だ。みんなに
可愛がられている。
ニールと最後に会話をしたのは、サー・ポールのリヴァプール・コン
サートの時だから、もう3年前のことだ。そりゃあ忘れていても無理は
ない。
でも、ちょっといじめてみたくなった。

「な〜にが久しぶりじゃんだよ。忘れてたなら忘れてたって正直に言え
ば?」
「スマン! カズ! いや、でも忘れてたわけじゃないんだって! 信じ
てくれよお。な? な? そうだ、くらよしビートルズは元気か?」
「お、ちょっとは思い出したみたいだな。うん、みんな元気だよ。こない
だ会って来た。ジョン中本とポール住吉は違うメンバーと一緒にバンド
作って活動始めたところなんだ。いいバンドだったよ」
「おーそうか、そりゃよかった! あいつら最高だったよな」
「お、くらよしビートルズのことはよく覚えてるじゃん。俺のことは忘れて
るくせに」

「カズ! だから忘れてないって! 頼むよ〜! ところでもしかしてこ
のバンド、君んとこのバンド?」
「そうだよ、リッキー廣田&ザ・ミッシェル。ヒロタは、ヒロ〜タじゃない
ぞ。ヒのとこにアクセントだよ。はい、言ってごらん?」
「リッキー・ヒ・ロタ。こんな感じか?」
「お、うまいうまい! ニール、リッキーはスター・ミュージシャンだよ。
30年以上ビートルズを演奏している。13年じゃないぞ、30年だ。日本の
レジェンドだよ。ちゃんと紹介してくれよ」
「オッケー、レジェンドだな、任せんかい。日本語のMCもつけてやるよ。
コニチハ、Liverpoolヘヨウコソ。これであってる?」
「うひゃ〜、さすがニール。うまいうまい!」

「だからさカズ、俺は日本のことがすごい好きなんだって。家でニシキ
ゴイを飼ってるんだぜ!」
「ニシキゴイ??」
「そー、ニシキゴイ。こぉ〜んな大きいやつ」

両手を4〜50センチくらいに広げて自慢するニール。

「へぇ〜、すごいな。1匹だけか?」
「うん、1匹だけ」
「そうか、じゃ来年俺がもう1匹持って来てやるよ。同じくらい大きいや
つ。やっ、はっ、お〜っとっとっとっ、とゃぁっ、へっ…ほいっ! って、こ
んな感じで」

暴れる鯉を必死にお手玉する僕のパントマイムに、ニールはお腹を抱
えて大笑い。

「カ、カズ、たのむ! たのむからタイニーなやつにしてくれ。そんな大
きなのはいらん! (親指と人差し指で3センチくらいの隙間を作って)
これくらい。これくらいのでいいんだ。な?」
「なあに、遠慮するなって。なんならおまけに金魚もつけようか?」
「すまん、許してくれぇ〜〜!」

馬鹿な話をしているうちに、前のバンドの演奏が終わった。

(つづく)


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** スカウスハウス・ツアー2007 ******

“世界最大のビートルズまつり” International Beatle Week 観光のた
めの個人パッケージ「スカウスハウス・ツアー2007」の参加者を募集し
ています。この夏、ぜひぜひリヴァプールでお会いしましょう!
http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2007.htm


*** 語学留学生募集中 ******

リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
詳細については、ウェブサイトの「語学留学案内」ページをご覧くださ
い。
http://scousehouse.net/study/index.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアー
をアレンジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して
います。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish93_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

今週の「NLW フォト・アルバム」ページには、joshaさんにいただいたCL
準決勝・チェルシー戦の写真を掲載しています。ぜひ!
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo301.html 


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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World 
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           *** 毎週火曜日発行 *** 


□■ 第301号 ■□

 ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
 ◇編集 山本和雄 & ミナコ・ジャクソン
 ◆ウェブサイト http://scousehouse.net/
 ◇Eメール info@scousehouse.net

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