September 25 2007, No.313
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「Footballの旅」
 ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▼「利物浦日記2007」
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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今週は、先週の予告通り、下村えりさんの「フットボールの旅」を掲載し
ています。
マンチェスター・ユナイテッドのサポーターであるえりさんですが、1つの
チームだけを偏愛するわけではなく、いちフットボール・ファンとして、
他のチームの試合を観戦するのも大好きなんだそうです。特に、地元
であるエヴァトンはごひいきのひとつのようです。
今回のマッチ・レポートはそのエヴァトンとマンチェスター・ユナイテッド
の対戦。自然と気合も入ったことでしょう。
ひさしぶりのえりさんのエッセイと写真を、ぜひお楽しみください。

今週の「ゴールドフィッシュだより」でもミナコさんが触れてくれています
が、6月に新潮社よりコンタクトがあり、月刊誌『旅』の取材のお手伝い
をしました。
といっても僕はほぼノータッチで、リヴァプールでの現地コーディネー
ションを全面的にミナコさんにお願いしたのですが、ミナコさんによると
取材はうまく行って、編集の方もリリー・フランキーさんも福岡耕造さん
も、みなさん満足されていたとのことでした。
いよいよ『旅』今月号より、ロンドン&リヴァプールの旅の連載が始まり
ました。ぜひご覧になってみてください。僕もすごく楽しみです。
http://www.shinchosha.co.jp/tabi/new/cont.html

                        ― Kaz(25/09/2007)


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▼寄稿:「Footballの旅」
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「Footballの旅」 / 下村 えり(Eri Shimomura)

 〜 Vol.10 Premiership
       - Everton VS Manchester United, 15 September 2007 〜

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo313.html ≫

【Introduction:はじめに】
2007年“Football の旅”開幕です。
ここの所、お家で大人しくBBCの“Match of the Day(マッチ・オブ・ザ・
デイ)”を観るか、パブでスカイマッチを観戦するかで、スタジアム巡り
からはちょっとご無沙汰しておりました。
…が、フットボール好きの虫がむずむず、やはりナマ観戦に勝るもの
はありません。
シーズンもリニューアルされたことだし、また新たな気分でイングランド
のフットボールマッチをお伝えしていきたいと思います。Football Fanの
皆様、どうぞお付き合いください。

【Premier League 07-08】
まず、いくつかの注目チームの展望をまとめてみたい。

<Arsenal>
プレミアリーグ07-08も、開幕からはや1ヶ月が経ってしまった。今シー
ズンのスタートに当たって、私にとって1番のBig Newsと言えば、
Arsenalのセンターストライカーであり、キャプテンでもあったThierry
Henryが、まさかの移籍でバルセロナに飛び立ったこと。

昨年から噂はあったものの、実際に彼がプレミアリーグから去っていく
なんて、多くのファンは想像したくなかったことだ。どんなアンチArsenal
でも、Football Fanであれば彼のプレイに魅了されないはずはない。
バルセロナFCへの移籍は彼の残されたフットボール人生の中で最後
の大仕事になるに違いない。バルセではすでに彼のネーム入りユニ
フォームが7万枚も売れているそうだ。彼のファンの一人として、彼が
素晴らしい成績を残し、彼のエレガントなプレイが目の肥えたバルサ・
ファンを魅了することを期待したい。

さてArsenalだが、Henryの代わりとなるストライカーを育てること、そし
てヤングチームを1つのフットボールチームとしてまとめていくことが、
Arsene Wenger監督の今シーズンの大きな課題であろう。
4試合を終えて、リーグテーブルでは2位。相変わらすのWenger Style、
素晴らしいパスワークで昨シーズンから絶好調のオランダ代表Rovin
van Persieやスペイン代表Francesc Fabregasなど中心にして、好調な
出だしをみせている(今日の試合を終えてトップに躍り出た)。

<Manchester City>
今シーズン注目の新監督を迎えた注目のチームといえば、やはりこの
チームが筆頭になるだろう。
Stuart Pearce監督に代わって、スウェーデン人のSeven-Goran
Erikssonが就任。彼は2006年までイングランド代表を指揮(2002-06)し
ていただけに、イギリスでは特に知名度が高い。それだけではなく、彼
はスウェーデン、イタリー、ポルトガルの3カ国でリーグ優勝とカップ優
勝をダブルで獲得した唯一の監督でもあり、大きな期待が寄せられて
いる。

プレミアシップでの彼に求められているのは、イングランド代表チーム
での戦術ではなく、彼がヨーロッパリーグで採用したスタイルだろう。
それをManchester Cityで何処まで披露してくれるか。すでに5試合を
終え、リーグチャートでは5位と、Manchester Cityとしては見事なス
タート。今後何処まで食い込めるかが楽しみなチームだ(今週末の試
合を終えて2位に上昇)。

<Sunderland>
もう1チーム、リーグでの新人監督を擁するのがSunderlandだ。
昨シーズンは2部リーグに相当する「チャンピオンシップ」に所属してい
たが、元Manchester Utdのキャプテンで新人のRoy Keaneを監督に
据えて見事に優勝、プレミアシップへの昇格を果たした。
大物新人監督の手腕が、早くもトップリーグで試されることとなった今
シーズン、“今度こそはプレミアリーグに留まること”、それが全ての
Sunderland Fanが望んでいることであろう。“ヨーヨーチーム”のレッテ
ルを剥がす事が出来るのか、どうか。新生Sunderlandにかかる期待
は大きい。

<Liverpool>
最後に、スカウスハウスでは触れておかないといけない大物チーム
“Reds”。
最高のスタートを切って現在リーグテーブルトップ。今シーズンにかけ
ての意気込みはシーズン前の選手の売り買いにも現れ、マンUやス
パーズと共に上位のハイ・スペンディング。その中でも一番のお買い
物はスペイン代表のFernando Torres。彼は2試合目で初ゴールを決
め、5試合で早くも3得点。すでにLiverpoolのスーパースターである。

縁起をかついでいるのか、今年は髭面のRafael Benitezも、インタ
ビューでは好調な出だしを笑顔なしでは語れない様子。
さて、今年こそはプレミアリーグのチャンピオンの座を勝ち取れるので
あろうか。

【Today's View:今回の見所】
いよいよ、今日の本題に入らせてもらおう。
今シーズン好調なのはLiverpool FCだけではない。同じくマージーサイ
ドを代表する歴史あるチームで、“Toffees”の愛称で知られるEverton
FCも順調な出だしを見せてくれている。
5試合終わって、現在3勝1敗1分のリーグ3位。獲得ポイントは、
Liverpool, Arsenalの上位2チームと同じく10。文句なしの素晴らしいス
タートである。

今日の勝負は、Homeでの対Manchester Utd。今シーズン始まっての
最初の大一番だ。リーグ・チャンピオンが相手であるだけに、Everton
にとってはここが実力の見せ所ともいえようか。

しかし残念なことに、Manchester Utdは現在、上記のチームと離れた
順位に位置し(試合前の時点で2勝1敗2分の8位)、昨年とは違って
不本意なスタート。負傷者続出で、DFのGarry Neville、MF Owen
HargreavesとMichel Carrick、そしてストライカーのWayne Rooneyまで
足を骨折(またもや!)するなど、とことんついてない。

まして、5試合を終えてのゲーム内容がいただけない。どのゲームも
殆どManchester Utdが支配する展開でありながら、得点に結びつか
ない。どんなに敵を崩しゴールチャンスを作っても、得点を決めなけれ
ば意味がない。サポーターの一人として強く願うことは、West Hamから
高額で獲得したアルゼンチン代表FW Carlos Tevezや、イングランド代
表MF Owen Hargreaves、同じくMFのLuis Naniらの新加入選手たちを
上手くブレンドさせて、Rooneyらの欠場を早く忘れさせて欲しいものだ。

好調な出だしのToffeesが、チャンピオンを相手にどこまで戦えるのか。
先シーズンまでは、Manchester Utd戦となると守りに徹してたEverton
だが、現在の状況なら、あるいは攻撃的な展開に持ち込めるかも知
れない。
対するManchester Utdは、この試合に勝てば3連勝。今までの不調を
克服し、リカバリーしつつあることの証明となるだろう。
とにかく、後腐れなしの気持ちのいい良い試合をして欲しい。

【Goodison Park:グディソンパーク】
初秋を思わせる涼風が吹く中、今回のGoodison Parkも晴天に恵まれ
た。
Evertonにとってシーズン始まって初の大きなマッチとあってか、いつ
にも増しての群集がGoodison Roadを埋め尽くしていた。
好調なスタートを切ったEvertonだけに、尚更今日のホームゲームは
マンUに打ち勝ちたい、悪くてドローゲームに持って行きたいところだろ
う。

ここで一つ触れておきたいことがある。
私にとってもとても残念なお話なのだが、歴史あるこのGoodison Park
とも、もうすぐお別れになることが最近決まった。
Everton FCの新しいスタジアムが、リバプール郊外(北東)のKirkbyに
建設されることが決定したのだ。

Everton Fanの皆様はもうご存知だとは思うが、Goodisonに残るか
Kirkbyに移るかが、Everton FCのメンバーによる投票で決められた。
結果は、6割が移転に賛成、4割が反対。
民主主義多数決でニュースタジアムの建設が決定したわけだが、
Everton Football Clubとしての素晴らしい歴史を考えると、個人的には
やはりこのGoodisonに残って欲しかった。

確かに、Goodisonに新しいスタジアムを建設することは、観客席の増
量など無理な問題も多かったかもしれない。しかし、あんな郊外に5〜
6万人収容の大きなスタジアムを建てることに意味があるのだろうか。
このManchester Utd戦でさえ満員とはいかなかった(今回3万9千人
あまり)というのに…。
今日も賑わっているGoodison周辺の商店街も、スタジアムの移転とと
もに衰退していくのかと思うと、センチメンタルな気持ちになってくる。

今日のゲームはスカイマッチのため、12時(正午)キックオフ。中途半
端な時間なので、お昼を持ち込むことにした。
Goodison Roadに面する聖ドミンゴ教会に入ると、マッチデイだけ催さ
れるバザーカフェは大混雑。しかしサンドウィッチのお安いこと。スター
バックス・タイプのカフェでは、普通2〜3ポンドもするのに、たった1ポ
ンドとは。いつもながらの親切な笑顔の応対にも感動した。

スタジアムに入ると、すでに選手のフォーミングアップが始まっていた。
Evertonサイドでは、怪我で長く欠場しているTim Cahillの姿は未だ見ら
れないし、元Manchester UtdのGKだったアメリカ人Tim Howerdも指の
脱臼で離脱。今夏FC Cologneより加わったドイツ人GK Stefan
Wesselsが初試合に臨むようだ。Middlesbroughから移籍したばかりの
ストライカーYakubu Ayegbeniの顔もみられた。
マンUサイドで残念なのは、元EvertonのストライカーRooneyが、まだ
骨折のリカバリー中でプレイ出来ないこと。
今日の席はLower Bullens(バックスタンド下段)。すこし右ゴール寄り
だが、まずまずの眺めで満足。

【Kick Off:試合開始】
<前半>
試合は正午ちょうどに始まった。
スタート直後はEvertonサイドが勢いよく前に出ようとし、ミッドフィール
ドでのバトルが始まるが、次第に主導権がマンUに渡り、掻き回されて
いく。

マンUはCarlos Tevezの賢いパスでEvertonサイドを揺さぶるが、
Evertonの守りも硬く、ボールはゴールをそれて跳ね返えされる。

EvertonのレフトバックLeighton Bainesがインサイドボックスに向かい
ボールを走らせようとした時、後ろから追ってきたマンUのMichel Carik
とクラッシュ。
ゴール横に倒れたBainesに、Evertonサポーターから“ペナルティー!”
の声があがるが、ボックスの外での衝突としたレフリーからリジェクトさ
れる。

30分過ぎにはManchester Utdに絶好のチャンスが。Ryan Giggsの
コーナーキックを狙ったNemanja Vidicが、バランスを崩して惜しくも外
す。

ハーフタイムわずか5分前には、今日はMFで結構良い動きをしていた
(いつもはDF)Mikel SilvestreがEvertonゴール前で横倒れになる。
すぐに駆け寄ったチームメイトのRio Ferdinandが、かなり深刻と見た
様子で監督エリアに交代のシグナルを送った。ボールを避けるために
スライドした瞬間に膝をツイストさせたようだ。Silvestreの代わりに、今
シーズン新サインのLuis Naniが入る。

ハーフタイムに入る直前には、Evertonサイドに渡すべきボールを、機
嫌を損ねたPaul Scholesがボールを無造作に放ったために、イエロー
カードをもらう羽目に。
前半のScholesには、EvertonのMikel Artetaへの不用意なファールも
あった為に、ここでの警告につながったのだろう。

<後半>
後半に入るやいなや、Evertonサイドが活発に動き出し、迷うことなく
攻めにでた。
ArtetaのコーナーキックをAndrew Johnsonがヘダーで上手く合せる。
しかしScholesの横割りにより、ボールはゴールを僅かにそれる。

53分にはマンUのチャンス。Tevezから受けたフリックパスを、今回見
せ場の多いScholesがディフェンス陣を抑えて10ヤードボレーシュートを
打つが、ボールはゴールの僅か頭上に飛び込む。


ここまでEvertonのディフェンス陣にしっかりマークされて辛抱が切れた
のか、マンUのエースCristiano Ronaldoは、インサイドボックス目前ま
でドリブルで持ち込み、3人のディフェンダーに囲まれた途端、ボックス
内に倒れ込んだ。
しかしそれはダイビングとみなされ、レフリーはRonaldoにイエローカー
ドを掲げる。Goodison Parkは一斉にブーイングの渦に包まれた。

後半72分、EvertonはLeon Osmanに代えてVictor Anichebe、Yakubu
に代えてSteven Pienaarのダブルメンバーチェンジを行い、攻勢を仕
掛ける。

しかし82分、マンUはNaniからのコーナーキックを、後方からEvertonの
ディフェンス陣に食い込む様にボールを上手く合わせたVidicが、素晴
らしいヘダーでゴールを決める。
Goodisonの観客席から大きなため息が漏れた。
終了8分前に1−0とマンUのリード。

ドローに持っていこうとEvertonも全力でゴールを目指す。
84分、キャプテンPhil Nevilleに代わり、James McFaddenが起用され
た。スコットランド代表のMcFaddenは、先週行われたEuro 2008予選、
アウェイでのフランス戦に出場。見事決勝ゴールを挙げる活躍を見せ
ている。
McFaddenはこの試合でも素晴らしいシュートを放つが、マンUディフェ
ンス陣とGKのVan der Sarによって妨げられた。

【Ending:試合終了】
試合はマンU Vidicのへダー1点で決着がついた。ホームでの試合だ
けにEvertonが上手く守りきり、ドローゲームでかたが着くのではと思っ
ていたが、今回はManchester Utdに神様が味方した。
マンUにとっては、今シーズンの典型的なゲーム展開だったといえるか
もしれない(良い戦いをすればゲームを落とし、あまり出来の良くない
試合では終了直前にゴールが決まり勝利する…)。

試合を終えての両監督のコメントを、以下に紹介しておこう。

David Moyes (Everton):
良いゲーム展開を見せていたにもかかわらず、最後の最後で、しかも
またしてもコーナーキックで点を入れられてしまって、本当に残念でな
らない。しかし、早く気持ちを切り替えて、次に控える大きなマッチ、
UEFA CUPに向けて万全を尽くすつもりだ。

Sir Alex Ferguson (Manchester United):
出だし好調でチームとして凄く成長をみせているEvertonに、彼らの
ホームで勝つことは難しいと思っていたので、本当に嬉しい。うちの
ディフェンス陣は守りだけでなく、ゴールも決められる。幅広く勝利に貢
献してくれる。

この試合を終えて、Evertonは6位に下がり、Manchester Utdは8位か
ら一気に3位へと上昇した。
クリスマス時期(中間期)にはこのリーグテーブルがどの様な変化をみ
せるのだろうか、益々楽しみである。

(Fin)

<マッチ・データ>

 EVERTON 0 - 1 MANCHESTER UNITED
  Goodison Park, Saturday 15 September 2007 12:00,
  Barclays Premiership

            エバトン     マンチェスター Utd
 ゴール         0          1(Vidic 83)
 ターゲットショット   2          3
 コーナーキック    3          6
 ファール        20          13
 オフサイド       1          3
 イエローカード  2(Neville, Pienaar)  2(Scholes, Ronaldo)
 レッドカード      0          0
 ポゼッション    38.3%        61.7%


 Team Line-ups
 Everton: Wessels, Hibbert, Yobo, Lescott, Baines, Arteta, Jagielka,
       Neville (McFadden 85), Osman (Pienaar 73), Johnson,
       Yakubu (Anichebe 74).
 Subs Not Used: Turner, Carsley.

 Man Utd: Van der Sar, Brown, Ferdinand, Vidic, Silvestre (Nani 41),
       Ronaldo, Carrick, Scholes, Evra, Giggs (Saha 63), Tevez,
       Nani (Pique 85).
 Subs Not Used: Kuszczak, Gibson.

 Attendance(観客数): 39,364.

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo313.html ≫


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第102号 / 「キスとホープとクイーンと」 ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish102_photo.html ≫

こんにちは。
今週は、催し物だらけで浮ついた8月が終わり、落ち着きを取り戻した
9月のリヴァプールでの出来事をお伝えします。

9月8日、Tate Liverpoolに、「考える人」で有名な彫刻家ロダンの作品
「キス」(The Kiss 1901-4)がやってきました。
入り口を入って左手に座して、来客者などには目もくれずラブラブです。
これは、"The Twentieth Century: How it looked & how it felt" という、
20世紀の具象、抽象作品200点のコレクションの中の目玉で、通常は
撮影禁止のTateにしては珍しく、このロダンの「キス」に限っては、一般
客でも写真撮影OKだそうです。
この展示は、2009年4月1日まで続きます。

 < Tate Liverpool >
  住所: Albert Dock, Liverpool L3 4BB
  電話: 0151 702 7400
  オープン: 火〜日曜日 10:00〜17:50 
  入場料: この展覧会は無料です。
  http://www.tate.org.uk/liverpool/exhibitions/the-twentieth-century/default.shtm
  ※毎月最終木曜日は"Late at Tate" で、午後9時までオープンして
   います( http://www.tate.org.uk/liverpool/late/ )。

♪ ♪ ♪

9月16日(日)は、Hope Street Feast。去年好評だったフェスティヴァ
ルの第二弾です。
月イチですっかり定着したファーマーズ・マーケットと、去年も同様に行
われたクラフトマーケットに加え、"Liverpool Food Lovers' Festival" と
"The CAMRA Real Ale Pubs Festival" までが開催中ということもあり、
今年は1万8000人近くの人々が詰めかけ、大盛況でした。
Hope Street近辺のレストランが自慢の料理のサンプリングを並べた
ストールを出し、CAMRA(リアルエールのプロモーター)のリヴァプール
支部がご当地エールを振舞っていました。
また、Hope Streetの端に位置するEveryman Bistroではアイリッシュ・
ミュージックが心地よく流れ、日曜の昼下がりに一杯飲みながらノンビ
リと過ごす人たちが見られました。

Philharmonic Hallは新シーズンの開幕に合わせてオープン・デーを開
催。アニメ映画の上映からはじまり、リヴァプール・フィルをはじめとし
たクラッシック・コンサートを無料で一般公開。2階のバー・エリアでも
ローキーな演奏が行われていました。

ストリートに戻り、人混みの中を歩いていると、'Shiverpool Tour' のメン
バー達が向かってきました! 
Shiverpool Tourは、平たく言うとリヴァプール・ゴースト・ツアー。私は
怖がりなのでまだ参加したことはありませんが、単なるウォークツアー
ではなく、パフォーマンス性もたっぷりとのこと。Hope Streetとシティー
センターの2つのツアーを行っています。Hope Streetツアーは
Philharmonic Pub、シティーセンターのツアーはFenwick Streetのパブ
The Slaughter Houseにて集合。午後7時、8時半、10時の回があり、
料金は大人8.5ポンド、子供7.0ポンド、10名以上の団体は1人7.0ポン
ドです(要予約)。
Shiverpool Tour公式ホームページ: http://www.shiverpool.co.uk/

そろそろ家に帰ろうかなあと思っていると、突然、巨大なビートルズの
パペットがHope Streetに登場。若い人々に演劇やダンスなどパフォー
マンスや、映画、パペット、山車などの制作のトレーニングを提供する
団体 'Hope Street Limited' によるパフォーマンスでした。
このパぺットは、2004年のマシュー・ストリート・フェスティヴァル用に作
られ、2006年にはバルセロナのイベントにも遠征したそうです。
Sgt. Peppersに扮したパペットがAbbey RoadならぬHope Streetを渡る
図がなんとなく面白かったので写真に収めました。
Hope Street Ltd. ホームページ: http://www.hope-street.org/ 

一年に一度といわず、毎月あってもいいのに! と思える楽しい日曜
日でした!
Hope Street Feastホームページ: http://www.hopestreetfestival.com/ 

♪ ♪ ♪

今年もヨットレース 'Clipper Race' のシーズンがやってきました。
去年はリヴァプールでファイナルを迎えましたが、今年はリヴァプール
でスタート。
Hope Street Feastと同じ日だったので残念ながら見に行きませんでし
たが、数日前、11ヶ月にわたる大航海に臨むヨットの姿を撮りましたの
で、ご覧下さい。
現時点で、総合は2位、Race2のランクは7位ということですが、どうに
か挽回するといいですね。
Clipper Raceホームページ: http://www.clipperroundtheworld.com/

♪ ♪ ♪

9月21日(金)、'QE2' の愛称で親しまれている Queen Elizabeth 2号が
リヴァプールに寄港しました。
この日はQE2の生誕40周年という記念日でもあり、新しいクルーズ・ラ
イナー用のターミナルがエドワード王子によってオープンされるというト
リプル・セレブレーション。
QE2はCunard Line社が誇る豪華客船です。Cunard社は1839年にリ
ヴァプールで設立された会社で、以後130年間、リヴァプールに本社が
ありました(ピア・ヘッドの3つの建築物 'The Three Graces' のうちの1
つが 'The Cunard Building' です)。
40年前に誕生したということは、その当時は本部はまだリヴァプール。
QE2はリヴァプール生まれの客船なのです。地元の人々にとっては
「QE2が帰郷した!」という特別な思いがあったようです。

この日の午前中、私はアルバート・ドックのMaritime Museumにいたの
ですが、そこからも、その船の大きさが伺われました。雨のしぶきのつ
いたガラス越しに写真を撮りましたが、川沿いの茶色いCrown Plaza  
Hotelの建物が小さく見えるほどです。
せっかくなので、新しいターミナルのあるPrinces Dockまで歩いていき
ました。
大雨の降る中、多くの人々が訪れていました。船のことはよくわからな
いのですが、QE2の姿には、どこかエレガントさを感じます。

その晩、リヴァプールがQE2への別れを惜しむかのように、マージー
川で花火が打ち上げられました。
私は行きませんでしたが、自宅からも船の汽笛と花火の音が聞こえ、
ここは海洋都市なんだという実感しました。

この新しいターミナルができたことで、リヴァプールには再び、様々な
国の大型客船が訪れるようになるのでしょう。そう考えると、何だかワ
クワクしてきます。

残念ながら、Queen Elizabeth 2号は2009年には航海を終え、デュバイ
の埠頭で常設の水上ホテルとして生まれ変わるとのことです。
できればその前に、もう一度リヴァプールに戻ってきてほしいものです。

Cunard Line社ホームページ: http://www.cunard.com/ourships/default.asp?ship=QE2

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
新潮社の月刊誌『旅』11月号(9月20日発売)より、リリー・フランキーさ
んのリヴァプール&ロンドン旅行記の連載がはじまりました。
私もまだ読んでいないのですが、6月にリヴァプールにいらっしゃった
ときにコーディネーターとして取材に同行させていただいたご縁もあっ
て、どんな内容か興味津々です。ビートルズゆかりの地を撮りつづけ
ているフォトグラファー、福岡耕造さんによる素敵な写真も見ものです
よ。是非是非読んでみてください!
http://www.shinchosha.co.jp/tabi/new/cont.html

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish102_photo.html ≫


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▼「利物浦日記2007」
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「利物浦日記2007」 3 / Kaz
≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo313.html ≫

【8月25日(土)】

土曜日。今日から3日間がフェスティヴァルの本番だ。「スカウスハウ
ス・ツアー」も、ここから本格的に忙しくなる。
今日到着のお客さんは2グループ、7名。バンドのライヴもあるし、イヴ
ェントも本格的になる。僕が案内するウォークツアーも今日からスター
トするし、夜には晩ごはんのアレンジをすることになっている。
スケジュールは隙間のないほどにキッチキチ。よほどうまくやらないと、
お客さんたちの期待を台無しにしてしまうことになる。ちょっとスリリン
グだけれど、我々の腕の見せ所でもある。

9時にミナコさん&イアンさんとアデルフィで打ち合わせ。僕とミナコさ
んではとても手が足りないので、イアンさんにも手伝ってもらうことに
なったのだ。<アート・イン・リヴァプール>の仕事が忙しいイアンさんだ
けど、「面白そうだからいいよー」と、スカウスハウス・チームへの加入
を快く引き受けてくださった。イアンさん、ありがとう。でもこき使われる
ことになるかもしれないよ、ごめんね!

9時半。イアンさん&ミナコさんは、ロンドンから到着するHさん御一行
(4名)を迎えにライム・ストリート駅へ。
僕は、アデルフィに揃った水割りさんたちとKさん&Tさんを連れて、コ
ンサヴェーション・センターへ。ジョンの家&ポールの家を体験する<メ
ンディップス&20フォースリン・ロード・ツアー>のバスの発車ポイントだ。
このツアーにはHさん御一行も参加することになっているのだが、ロン
ドンからの列車の到着予定は9時48分で、ツアーは10時スタート。距
離的には遠くないのだが、大きな荷物もあるので、間に合わない可能
性の方が高い…。

そこで我々スカウスハウス・チームは、何度もミーティングを重ねて、ス
ペシャルな作戦を考えた。
まず、列車から降りたHさんたちをイアン&ミナコでキャッチし、荷物は
その場でイアンがキープ。ミナコは4人を先導してコンサヴェーション・
センターへダッシュ。カズはコンサヴェーション・センターでバスのドライ
ヴァーに事情を話し、一行の到着が遅れる場合は無理矢理にでも引
き留める…。

この作戦がばっちり当たった。結局ミナコさんに連れられたHさんたち
が集合場所へ到着したのは10時8分ごろ。普通なら完璧においてきぼ
りのケースだったが、ドライヴァーがなじみのコリンさんだったのが幸
いした。「次のツアーもあるから1分でも遅れるとマズイことになるんだ
けどなぁ…」とボヤきながらも、我々が揃うまでコリンさんはちゃんと
待ってくれた。
本来なら僕もバスに乗る予定だったが、Hさんたちの荷物のことがある
ので、断念。あぁ、2年連続でチケットを無駄にしてしまった…。

バスの出発を見送った後、ミナコさんと一緒にライム・ストリート駅に戻
る。イアンさんはじっと4つのトランクの面倒をみてくれていた。
トランクを僕の宿に運んで、いつもの<キモス>で一息つきながら、その
後の計画を練った。綱渡りのスケジュールはまだまだ続く…。

12時。再び僕の宿でミナコさん&イアンさんと落ち合い、今度はバンド
の楽器を運ぶ。メンディップスのツアーが終わるのは12時半ごろなの
だが、水割りは1時からキャヴァーンでライヴがある。楽器を取りに
戻ってい時間はないのだ。
湖水地方からレンタカーでリヴァプール入りするIさんファミリー(3名)
が到着するころなので、楽器を持ったままアデルフィへ。Iさんファミリー
は無事に到着していたものの、なんと入国の際にロスト・バゲージに
遭ってしまっていて、まだ荷物を受け取れていないとのこと。日用品の
買い出しが必要ということで、急遽、ミナコさんに案内してもらうことに
した。

僕とイアンさんの2人で、楽器を持ってコンサヴェーション・センターへ。
僕がギター2本を持ち、イアンさんにはベース1本とスネア・ドラムを
持ってもらったのだが、これが結構重くて、かなり難儀した。
へろへろになってコンサヴェーション・センターに着いて、イアンさん
にはそのままバスが戻って来るまで楽器と一緒に待っていてもらうこと
にした。僕は一足先にキャヴァーンへ向かう。バンドの会場入り時間
はライヴの45分前。誰かが行っておかなければならない。イアンさんに
は、水割りさんや他のお客さんを連れてキャヴァーンに来てもらうよう
お願いした。

トリビュート・バンドによるキャヴァーン・クラブでのライヴは、今日が初
日となる。プログラムを見ると、午後1時が最初のギグ。つまり水割り
は、栄えあるトップバッターに指名されたわけだ。
しかもステージは大きい方の<キャヴァーン・バック>。ポール・マッカー
トニーが1999年12月にライヴを行ったのもここで、それ以来、<ポール・
マッカートニー・ステージ>とも呼ばれている。

1時少し前に、水割りさんも他のお客さんも、イアンさん&ミナコさんに
連れられて到着。ミナコさんは、Iさんの買い物案内を無事に済ませて
合流してくれていた。Iさんファミリーは夕方からの<ぶらぶらウォーク〜
ウールトン&ペニーレーン編>から参加することになり、集合場所への
アクセスも案内済みとのこと。オーケー、さすがミナコさん!

水割りのライヴは、定刻より15分くらい遅れて始まった。昨晩よりはさ
すがに調子良さそうだ。残念ながら、お客さんの入りはあんまり芳しく
ない。5割くらいの入りだろうか。初っ端のギグだから無理もないのだ
が…。それでも、ステージが進むにつれて増えて行き、終わりごろには
7割くらいは埋まっていた。まずまず成功と言えるだろう。

途中、バーカウンターにビールを買いに行くと、そばのTVではプレミア
リーグの<サンダーランド VS リヴァプール>がライヴ中継されていて、
バーの兄ちゃんがライヴそっちのけで見入っていた。きっと熱心なレッ
ズ・サポーターなんだろう。
兄ちゃんはTVから目を離さずに僕のオーダーを取り、ボールがリヴァ
プールのバックラインに渡ったところで冷蔵庫に向かった。しかしその
10秒後、シャビ・アロンソのロングパスが前線に通り、2人経由して最
後にモモ・シソコが豪快なミドル・シュートを決めた。

「うわぉ〜〜っっ!!」という僕の叫び声を聞いて、ビールを3本持った
兄ちゃんが慌てて戻ってきた。
「なに? なに? どうした??」」
「ゴールじゃゴール!!」
「おぉーーー!! 誰?」
「シソコ!!」
「シソコ!? おぉーー! やったぁーーーっ!!」

これはただの1点ではない。レッズファンなら誰もが知っていることだ
が、中盤の底でいつも献身的な働きをしてくれるシソコの、リヴァプー
ルでの記念すべき初ゴールなのだ!

急いでバックステージに戻り、イアンさんとミナコさんに報告。特にイア
ンさんは筋金入りのレッズファンだ。もちろん、これがシソコの初ゴー
ルであることもよく知っていた。
3人で<ステラ・アルトワ>の瓶ビールを持って、シソコのゴールと、水割
りのライヴに乾杯!!

(つづく)

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