October 02 2007, No.314
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▽「利物浦日記2007」
 ▼フロム・リーダー
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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今週の「ゴールドフィッシュだより」でミナコさんが詳しく伝えてくれてい
ますが、来年の<ヨーロピアン・キャピタル・オブ・カルチャー>の公式イ
ヴェントが発表されました。
いちばんの目玉は、何と言ってもサー・ポール・マッカートニーをヘッド
ラインに迎えての<リヴァプール・サウンド>コンサートです。サー・ポー
ル以外の出演者はまだ発表されていませんが、おそらく大物がずらり
と並ぶことになるのでしょう。
会場はなんと、フットボール・ファンの聖地ともいえる、リヴァプールFC
のホーム<アンフィールド・スタジアム>、2008年6月1日の開催です。

ミナコさんから僕のところにこのコンサートのプレス・リリースが送られ
て来たのは、先週の木曜日のことでした。
チケットは抽選での発売で、そのエントリーはすでに始まっていました。
「うわあ、こりゃあ行きたい人いっぱいいるよねー、できるだけ確保しと
いたほうがいいよねー。どうしよー」
…なあんて言っているうちに、早くも、このチケットについての問い合わ
せが入りだしました。びっくりです。しかも、8ヶ月も先のコンサートなの
に、もう行くと決めてるかたも多いようです。
う〜ん、さすがですねぇ…って、僕ももちろん行くつもりですけどね!

それにしても来年のリヴァプールはイヴェントだらけですね。プログラ
ムのラインナップを見ると、なんだかとんでもないことになってるなーと
いう気がします。

● ● ●

何度か投稿してくださっているS.H.さんから、久しぶりにメールをいただ
きました。
ミナコさんがコーディネートを担当した新潮社の雑誌「旅」についてのご
感想です。「フロム・リーダー」のコーナーで紹介します。
S.H.さん、いつもありがとうございます!

                          ― Kaz(02/10/2007)


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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第103号 / 「今週の告知:“Liverpool European Capital of  
                        Culture 2008”プログラム 」 ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish103_photo.html ≫

こんにちは。
今回は題目からいきなり今週の告知です。
木曜日にTate Liverpoolにて、2008年の“European Capital of Culture”
公式イベントのプレス発表がありました。
昨年11月のゴールド・フィッシュだより69号で一部お伝えしましたが、あ
のときはSt Georges Hallでの派手なプレゼンテーションの割に、言葉
通り「お味見程度」の情報しか得られなかったのですが、2008年まで
100日をきった今、Liverpool 08の企画運営を行う団体Liverpool  
Culture Companyから、具体化したプランが明かされました。

この日のプレス発表では、数週間前に小さく再編成されたCulture  
Companyの副チェアマン/クリエイティブ・ディレクション担当に就任した
ばかりのPhil Redmondが司会を務めました。
まずは、Sir Paul McCartneyとRingo Starrのビデオ・コメント。
(こちらのBBCウェブサイトからご覧になれます。
http://www.bbc.co.uk/liverpool/content/articles/2007/09/27/capital_culture_08_feature.shtml ) 

その後リヴァプール市City CouncilのリーダーWarren Bradley、続いて
Culture Company CEOのJason Harborow 挨拶、そしてCulture  
Companyのアーティスティック・チームを代表するFiona GasperとClaire  
McColganが公式プログラムを発表しました。肝心なその内容は、こち
らからご覧になれます。
http://www.liverpool08.com/Events/2008EventsProgramme/index.asp

。。。が、おそらく非常に分かりにくいPDFフォーマットなので、350以上
ある公式イベントからかいつまんで、ハイライトを以下にお伝えします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【1月】
 ☆2008 オープニング・ウィークエンド☆

 <11日(金)>
 08イベントの公式オープニング・セレモニーとして、St George's Hall 
 前の広場にて "People's Opening"。オープン・エア・ショーが行われ
 ます(無料)。St George's Hall、Lime Street駅の屋上に、Ringo  
 Starrをはじめとするスペシャルゲストが登場します。

 <12日(土)>
 新Liverpool Echo Arenaにて、"Liverpool The Musical" コンサート。
 Ringo Starr、Dave Stewart(元ユーリズミックス)、Vasily Petrenko 
 (指揮者)、Royal Liverpool Philharmonic Orchestra、No Fakin DJ's 
 (ヒップホップ)、Echo and the Bunnymen, Pete Wylie, Ian Broudie,  
 Shack, The Christiansなどが出演します。
 工事現場をイメージしたユニークなステージ・セッティングで、音楽、
 映像、ライブパフォーマンスに加え、異例のコラボレーションなども繰
 り広げられる模様です。
 このイベントは現在Liverpool 08サイトにてチケット発売受付中(※)。

 <13日(日)>
 市内各地の会場、屋外でさまざまなイベントが企画されています。

 ☆the Bluecoat リ・オープニング☆
 リヴァプール最古の建築物でありイギリス最古のアート・センターとい
 われる<ブルーコート・アーツ・センター>は、2004年末からの大掛か
 りな改装工事を経て、"the Bluecoat"という名で生まれ変わります
 (the の頭文字は小文字だそうです!)。
 ブルーコートに縁のある作家、国内外の新鋭アーティストによる、
 "Now/Then"展がオープニングを飾ります。
 the Bluecoat ホームページ: http://www.thebluecoat.org.uk

【2月】
 ☆Ken Dodd &Laughter Makers☆
 2月22&23日、St George's Hall の小コンサートルームにて、リヴァ
 プールが誇るコメディ王、Ken Dodd のショーが行われます。

 ☆European Senior Boxing Championships☆
 2月21日〜3月1日、Liverpool Echo Arenaにて、ヨーロッパ各地から
 トップレベルのアマチュア・ボクサーが集結し、戦います。

【3月】
 ☆Vladimir Ashkenazy and The European Union Youth Orchestra☆
 3月30日、Philharmonic Hallにて、マエストロVladimir Ashkenazy率い
 るヨーロッパでもっとも才能ある若い音楽家が集まるユース・オーケ
 ストラによるコンサート。
 このイベントは現在Liverpool 08サイトにてチケット発売受付中(※)。

【4月】
 ☆Grand National☆
 4月3日〜5日、Aintree競馬場で毎年恒例のGrand Nationalが開催
 されます。すでにチケット発売中。
 Aintree競馬場ホームページ: http://www.aintree.co.uk  

 ☆An Audience With Shankly☆
 4月24日、West Derby RoadのLiverpool Olympiaにて、フットボール・
 レジェンドBill Shanklyをテーマに、時代、街、人々をも映し出すイン
 ターアクティブ・マルチメディア・ドキュメンタリー・シアターが上演され
 ます。

【5月】
 ☆Ecce Cor Meum☆
 5月1日、Paul McCartney作曲のクラッシック音楽 "Ecce Cor Meum" 
 の北イングランドにおけるプレミア・コンサートがリヴァプール大聖堂
 で行われます。
 演奏はRoyal Liverpool Philharmonic Orchestra & Choirで、Paul  
 McCartney本人も参加するとか。

 ☆Tate Liverpool☆
 5月3&4日は、Tate Liverpool設立20周年記念を迎える記念イベン
 トが開催されます。
 5月30日〜8月31日は、イギリス初グスタフ・クリムトの大型展が開催
 されます。
 Tate Liverpool ホームページ: http://www.tate.org.uk/liverpool/

【6月】
 ☆The Liverpool Sound☆
 6月1日 今回の2008年プログラムの超ハイライトとなっている、リ
 ヴァプールFCのアンフィールド・スタジアムで行われるライブ・イベン
 ト。メインアクトにPaul McCartney、その他国内外のリヴァプールに
 縁のあるミュージシャンが出演します。この模様はテレビ放映もされ
 るとか。
 このイベントは現在Liverpool 08サイトにてチケット発売受付中(※)。

 ☆Go Superlambbanana☆
 6月から9月初旬まで、街中に地元アーティスト、セレブリティ、コミュ
 ニティーグループなどによってデコレーションされた100頭のSuper  
 Lamb Bananaが出現します。

【7月】
 ☆Chinese Dub☆
 7月5日(土)、Mountford Hallにて、元Public Image LtdのJah Wobble 
 とリヴァプール・チャイナタウンで活動するPagoda Chinese Youth  
 Orchestraが、中×欧のハイブリッドな音楽を展開。

 ☆The Beat Goes On☆
 7月12日〜11月1日、World Museum Liverpool にて、キャヴァーンか
 らクリーム、Billy FuryからZutonsまで、過去40年間のリヴァプールの
 音楽の歴史をテーマにした展示が行われます。

 ☆John Lennon Songbook with the RLPO☆
 7月18日、Philharmonic Hallにて、Royal Liverpool Philharmonic  
 Orchestra、指揮John Wilson、ゲストボーカリストを迎え、John  
 Lennonの楽曲が演奏されます。

【8月】
 ☆World Firefighters Games☆
 8月26日〜9月3日、Liverpool Echo Arenaに世界の消防士が集ま
 り、様々なスポーツ種目を競います。
 公式ホームページ: http://www.wfg08.com/

 ☆Mathew Street Festival☆
 8月22日〜25日。恒例のフリー・ミュージック・フェスティヴァル。2008 
 年こそはストリートに戻ってきてほしいですね。

【9月】
 ☆Street Theatre at Hope Street Festival☆
 9月8日〜14日。Hope Streetにて1週間に渡って行われるパフォー
 マンスで、最終日にはなにやらサプライズが待っているそうです。。。

 ☆Will you find it?☆
 9月26日〜28日。昨年ロンドンで巨大なSultan's Elephantが現れて
 街中を驚かせた仕掛け人、Artichokeが来年のリヴァプールで何かを
 企んでいるようです。。。
  http://www.artichoke.uk.com

 ☆Liverpool Biennial International☆
 9月から11月までの10週間、2年に一度のコンテンポラリー・アートの
 祭典、バイエニアルがパワーアップして帰ってきます。

【10月】
 ☆Le Corbusier☆
 10月2日〜1月17日、メトロポリタン大聖堂The Crypt(クリプト)にて、
 日本でも有名な建築家、ル・コルビジェ展が開かれます。11月にはシ
 ンポジウムも行われます。

 ☆Halloween Lantern Parade☆
 10月31日、Sefton Parkにてハロウィーン・ランタン・パレードが行わ
 れます。
 Liverpool Lantern Companyサイト: http://www.liverpoollanterncompany.co.uk

 ☆Eric's - The Musical☆
 日程未定。Liverpool Everyman Theatreにて。70年代後半にパンク・
 ニューウェイブを巻き起こした伝説のクラブ、Eric'sをテーマにした
 ミュージカルです。

 ☆BBC Electric Proms☆
 日程・会場未定。通常はBBCがロンドンにて開催するミュージック・
 フェスティヴァルが、2008年はリヴァプールにやってきます。
  http://www.bbc.co.uk/electricproms/

【11月】
 ☆Made in Liverpool☆
 日程未定。Liverpool Biennial 主催、公募で寄せられたリヴァプール
 の若手およびアマチュア映画作家の作品のコンテスト。優秀作品は、
 FACT、BBC Big Screen(Clayton Square)、その他コミュニティー施
 設で上映されます。

 ☆Shipping Lines Literary Festival☆
 11月8&9日。リヴァプール大学School of English主催、Melvyn  
 Bragg、Roger McGough、Phillip Pullmanなど著名な文学者や詩人を
 迎えてディスカッション、朗読会、ディベートなどで構成される文学
 フェスティヴァル。

【12月】
 ☆The Rightful Owners of Song☆
 日程、会場未定。パブ・シンガー、カラオケ・ホストから、リヴァプール
 における特定の音楽ジャンルに根ざしたさまざまなプロ、セミプロの
 ミュージシャンを一同に集め、Royal Philharmonic Orchestraの演奏
 に合わせて一晩限りのコンサートを開催するという、全くもって予想
 不能なイベント。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

音楽、アート、建築、文学、シアター、ヘリテージ、スポーツ、コミュニ
ティー、野外イベントなどなど、訪れる人々すべてに何かしら接点のあ
りそうな、まさに、Something for everyoneなプログラムとなっています。
これらのメインストリームのイベントに加えて、周辺イベントが独自に企
画し2008年に乱入するのもリヴァプールならではの面白いところで、そ
ちらも楽しみです。

この日のプレス発表の最後は、リヴァプール出身バンドFarmの
"All Together Now"が流れ、ポジティブなムードで締めくくられました。

ここ数ヶ月、本当にいろいろありました。
今年のMathew Street Festivalの急遽中止の発表のあとに結果的に
縮小して決行することになった一件で、市とCulture Companyのトップ
の不仲説や内部のコミュニケーションの欠落が浮き彫りにされたり、
助成金も精力もすでに使い果たしてすべてが縮小傾向に見えたり、市
民から市民による市民のためのイベントづくりになってないと非難ごう
ごうだったり、呆れた役員や職員が辞退したり、とどめで2週間ほど前
にBBCでリヴァプールのEuropean Capital of Cultureについて特集した
テレビ番組では、こうしたドタバタ劇ばかりに焦点が当てられてリヴァプ
ールが全国放送で赤っ恥をかいたとか。

市民も08をオーガナイズする側も明らかに意気消沈で、市のお偉いさ
んがどんなに強がったスピーチをしても焼け石に水のような雰囲気が
ありましたが、今回のプレス発表をきっかけに、潮の流れがいい方向
に変わっていくんじゃないか、という希望が生まれてきた気がします。

特に司会のPhil Redmondの起用は大当たりだったと思います。いたっ
てカジュアルで、茶目っ気たっぷりにこれまであったトラブルまでもネタ
にして笑いとばし、「いろいろあってこそのリヴァプール」といわんとば
かりの開き直りと逆境に強いスカウス・メンタリティーを見せつけ、どこ
かふっきれて清清しく、妙な説得力がありました。

Phil Redmondは、リヴァプールに生まれ、テレビ制作会社Mersey
Televisionを設立し、Brookside、Grange Hill、Hollyoaksなどのテレビドラ
マを立ち上げたプロデューサーで、脚本家や地元紙のコラムニストとし
ても知られています。リヴァプールの2008を動かす役員のなかで唯一、
リヴァプールを拠点に地元を舞台にした文化事業に従事しています。

リヴァプールをキレイに格好よく見せて世界クラスの文化都市を目指
すのも結構ですが、それと同時にリヴァプールの持ち味を十二分に引
き出して、世界中に広めていってくれることを期待したいと思います。

リヴァプール08公式ウェブサイト: http://www.liverpool08.com

(※)印のついたチケット発売受付中のイベントについては、バロット制
(抽選)で、当選してはじめてチケットが購入できるシステムだそうです。
バロット申し込みは公式08サイトの以下のページから。締め切りは10
月7日ですのでお早めに。
http://www.liverpool08.com/Events/RegisterforTickets/index.asp

♪ ♪ ♪

先週お伝えした、新潮社の「旅」マガジン11月号が私の手元に届き、
何度も読み返しました。
著者リリー・フランキーさんにとってのリヴァプールは心の旅だったん
だなあと感じます。私自身同行してたのに忘れかけていた出来事や、
日常のなかで気に留めなくなった風景が鮮やかに綴られていて、私に
とってもいい思い出になります。

掲載誌が届いた翌日、Ye CrackeのスタッフZaidiaさんに見せたら、と
ても喜んでました。ページを左から右へと逆にめくりながら! 
日本の雑誌は右から左なんだよ、と教えてあげたら、「あら、アラビック
と同じなのね!」と右から左へページを逆戻りしていて微笑ましかった
です。
リリーさんと同じ座席で「旅」マガジンを読むZaidiaさんの写真撮りまし
た。
連載はまだまだ続くそうですので来月号も楽しみですね。
新潮社「旅」: http://www.shinchosha.co.jp/tabi/top_fl.html

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish103_photo.html ≫


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▽「利物浦日記2007」
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「利物浦日記2007」 4 / Kaz
≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo314.html ≫

【8月25日(土)】

水割りのライヴ終了。
時間はもう2時をまわっている。ペニー・レーンではもう、今年の目玉イ
ヴェントのひとつ<ペニー・レーン・フェスティヴァル>が始まっている頃
だ。

ステージ衣装を着替える必要のある水割りさんたちをミナコさんに任
せて、僕はお客さん6人と行動。まずは…そう、お昼ごはんだ!
<キモス>にみなさんを案内し、めいめい好きなものをオーダー。僕は
ワカサギ(たぶん)のフライ。なかなか美味しかった。

Kさん&Tさんとはペニー・レーンで会うことにして、Hさんたち4人の
チェックインに同行。
まず僕の部屋に来てもらってキープしていた荷物を運び出し、タクシー
2台に分乗してホテルへ。
Hさんたちのホテルは、今年ウォーターフロントにオープンしたばかりの
<マルメゾン・リヴァプール>。行ってみてビックリの超モダンな高級ホテ
ルだった。Kさん&Tさんのホテルもここだ。いいなあ、みんな!
マルメゾンの2階には、ビートルズ関連のディスプレイがたくさんあっ
た。吹き抜け部分には巨大な<イエロー・サブマリン>が浮かんでいた。

Hさんたち4人と、タクシーでペニー・レーンへ。
野外ステージで水割りさんやKさん&Tさんと合流し、のんびり30分くら
いライヴを観る。芝生に寝っころがっている人が多い。気がつくと水割
りのマサ井上さんは熟睡モードだった。

5時前にマサさんを起こし、みんなでペニー・レーンのラウンドアバウト
へ向かう。
ペニー・レーンのラウンドアバウトというのは、そう、ビートルズが<ペ
ニー・レーン>で歌った風景がほとんどそのまま残っている場所だ。ここ
がこれから僕が案内するウォークツアー<ぶらぶらウォーク〜ウールト
ン&ペニー・レーン編>の集合場所なのだ。
Iさんファミリーもタイミングよく到着し、すぐにツアー開始。
僕を入れて15人。ちょっとした団体ツアーだ。

ラウンドアバウト周辺の名所を案内した後、すぐ近くにあるジョン・レノ
ンの最初の家<ニューカッスル・ロード9番地>を訪ねた。
角を曲がって、
「みなさ〜ん、ここの住人の方々のご迷惑にならないよう、静かにしま
しょうね〜」
と言って前を向くと、その9番地の家の前に、ジュリア・ベアードさんが
立っていた。ジョン・レノンの妹さんである。なんという偶然…。
でもプライヴェートな時間かもしれないので、ツアーのみなさんにはとり
あえず黙ってたほうがいいだろうなあ…と思っていたら、ジュリアさん
がこっちに向かって歩いて来た。

「こんにちは、ジュリアさん。ここにあなたがいらっしゃるなんて」
「ええ、実はこの家に入れてもらおうと思って来たんだけど…留守なの
よ。ほんとは留守じゃないんだけど、この家の主人はそういうのが好き
じゃないのね。いつか入れてくださいってメモを残して来たところ。この
家にはもう何十年も入ってないから…」
「…そうだったんですか。それは残念でしたね…」

この家は、ジュリアにとって最初の家でもある。
元々はジュリアさんのお祖父さん、ジョージが住んでいた家だ。
ジョンと妹のジュリアは7つ違いで、ジュリアが生まれた時、ジョンはミミ
おばさんの家で暮らしていた。
ジュリアがこの家に住んでいたのは2歳の時までだ。ジョージお祖父さ
んが亡くなり、一家は新しい家に引っ越さなければならなくなったのだ。
ジュリアは今年60歳。ということは、この家を離れて58年の月日が経っ
ているということになる…。

「ところでカズ、このかたたちはあなたの…? そう、今年はずいぶん
多いわねえ。よかったらみんなで写真撮りましょうか」
「わお! いいんですか? というか、あなたのことをみんなに言ってい
いもんかどうか、考えてたとこだったんですけど」
「そんなの、ぜ〜んぜん構わないわよ。さあ、あの家の前で写真を撮り
ましょう!」

…ということで、ここでやっと、みなさんに種明かし。え〜と、実はこの
かた、ジョン・レノンの妹さんのジュリアさんです…。
14人全員が驚いていた。いや、何人かはきょとんとした顔をしていた。
そりゃまあ突然そんなことを言われても、にわかには信じられないかも
しれない。
みんな、ジュリアさんがここにいることにまずビックリして、そしてジュリ
アさんの顔を見てさらにビックリ、という様子だ。だって、ジョンにそっく
りだから。

ジョン・レノンの最初の家の前で、ジョンの妹ジュリアさんと一緒に記念
撮影。みんな、緊張と興奮と喜びが入り混じったような表情でポーズを
取っている。
シャッターを押す僕も同じだ。こんな素晴らしいシチュエーション、2度
とないかもしれない。
撮影後もしばらくジュリアさんとお話した。ジョンの妹さんということを抜
きにしても、この人はじゅうぶんに魅力的で、カッコいいのだ。

お礼を言ってジュリアさんと別れた後も、今起きたことがなんだか信じ
られないような気がした。
ペニー・レーンのラウンドアバウトに戻る道すがら、みんなで口々に感
激を語り合った。僕も含めて、15人全員がまだ興奮している。

3年連続参加のYさんに、こんなことを言われた。
「今年はここで来ましたかぁ。毎年何か必ず<ミラクル>が起こりますね
え、<スカウスハウス・ツアー>は!」

いやほんとに、Yさんの言うとおりだ。今年もとびきりの<ミラクル>が舞
い降りて来てくれた。やってる僕だって、いったいどうなってるんだろう
と不思議な気持ちになる。

ジュリアさん、ほんとうにありがとう。近いうちにこの家の中に入れると
いいですね!

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo314.html ≫


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▽フロム・リーダー
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □
(ミナコさんがコーディネートを担当した新潮社の雑誌「旅」について、
おなじみのS.H.さんがご感想を寄せてくださいました)

元リバプール在住としましては感想を書かずには
いられなくなり新潮社の月刊誌『旅』11月号の感想文を
書きます。

リバプールはビートルズゆかりの地だらけですので
訪れる候補地は沢山あったかと思います。
そして限られた紙面の中でそれらの何処を伝えて何処を
割愛するかの作業が大変だったことが思い浮かばれますが
その中でカスバコーヒークラブを選んだのは通だなと
思わされました。
また、その他の場所もただ紹介するだけでなく取材中に
起こった内容やリリー・フランキーさんがビートルズに
思いを馳せた内容も加えられよくまとまっていると
思いました。

欲を言いますともっと沢山ページがあれば良いと思いました。
更に欲を言いますとYe Crackeのところで、スカウスハウスに
頼んでビートルウィークに参加するとYe Crackeのスカウスを
食べさせてもらえることが書いてあれば良かったです。
何かスカウスハウスの宣伝のようになってしまっていますが
メニューにないので普通では食べることができないので
非常に価値があると思います。

最後におまけですが、おそらく皆さんご存知の話しかと
思いますがポールとリンゴがそれぞれ2008年の
European Capital of Cultureのイベントに参加します。
詳細とチケットはこのサイトからできるようです。
http://www.liverpool08.com/Events/RegisterforTickets/index.asp
その他の情報は
http://www.liverpool08.com/
http://www.liverpooldailypost.co.uk/liverpool-news/regional-news/tm_method=full&objectid=19859752&siteid=50061-name_page.html
そして、このニュースの映像やその他いろいろなニュース
映像が観られるサイトです。
http://search.bbc.co.uk/cgi-bin/search/results.pl?tab=av&q=Paul%20McCartney&recipe=all&scope=all&edition=i

(S.H.さん、いつもありがとうございます!)


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、特派員ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish103_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

今週の「NLW フォト・アルバム」ページには、連載「利物浦日記2007」
にちなんだ写真を掲載しています。
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