May 12 2009, No.383
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「リヴァプールへ行きたい人! 集まれ!!!」(9)
 ▽ゴールドフィッシュだより <No.155>
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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Anneさんの旅行記「リヴァプールへ行きたい人! 集まれ!!!」が、早いもの
でもう第9回となりました。
毎回楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
今週はいよいよ、いよいよ、アンフィールドでのチャンピオンズ・リーグ観戦
体験です。

観戦記といえば、試合の展開や両チームの攻防を縦軸にして、そのうえで自分の
感じたことを書いて行くのが、まあ一般的かと思います。
しかしさすがはAnneさん、試合がああなったとかこうなったとか、そういう客
観的な情報は一切書かずに、ご自身の見たまま感じたまま、それだけを表現され
ていてます。

楽しい絵文字も絶好調。とにかく目の前で起こっていることを一生懸命、できる
限りクローズアップして全身で受け止めているのがAnneさんらしいですね。読
んでいるこちらも思わず引き込まれてしまう迫力があります。

そうそう、「魂は細部に宿る」ということですよね。ちょっと使い方が違うか
な…。

僕もまたアンフィールドに行きたくなりました。そしてAnneさんみたいに、森
を見ないで木ばっかり見るような、そんな贅沢な観戦をしてみたくなりました。

● ● ●

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おなじみのLFCマガジン&マッチ・プログラムの新入荷分を掲載しています。
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                          ― Kaz(12/05/2009)


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▼寄稿:「リヴァプールへ行きたい人! 集まれ!!!」(9)
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「リヴァプールへ行きたい人! 集まれ!!!」 / Anne

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo383.html ≫ 

■第31話《ホッとしてやっとアンフィールドへ》■

警察署の建物を出たものの、
これから向かう方向が分からずにオロオロ(T.T )( T.T)
その時後ろで、パトカーのトランクを開ける音!
「あっ、お巡りさん」
「カッコイイー(^O^)!!!」

オーストリア旅行の時も感じたけど、ヨーロッパの制服のお巡りさんってすご~
くかっこいいんだよね。

「ヨシ! 道を聞こう!」
「あの~、クイーンスクエアーってどっち?」
一応シティセンターに戻らなきゃ。「慣れたよ!」って言ってもここは外国。
直接、この場所からアンフィールドを目指すなんて無理だもの!

お巡りさんたら、ちょっと怪訝な顔で私を見てる。
「何で外国人が警察署にいるんだ?」って思っても不思議じゃないよね。
「やばいo(><)O!」
職務質問とかされたって、私、会話出来ないからね。無駄だよ<(゜。゜)

突然、お巡りさんの視線が私のマフラーへ・・・( '_')
そして私のマフラーに手を添え
「君はリヴァプールファンかい?」だって!!!
「イエス!!!(^-^)」
「君は今夜の試合に行くの?」
「イエス!!!<(`^´)>」
「Great!!!」
お巡りさんたら力強く頷いて、いきなりアンフィールドへの行き方の説明開
始・・・
「えっ(>。≪)???」
「ノー、ノー、バス乗り場に行きた~い!」

やっとお巡りさんたら、私のお願いに気がついてくれて、シティセンター方面へ
の行き方の説明を始めてくれた。
相変わらずよく意味は分からないけど、
指さす方にまっすぐ進んで、信号があって右に曲がるらしい。

「ふぅ~(゜゜;)」
お巡りさん、きっとリヴァプールFCのサポーターだったんだねえ。
「あっ! そうかあ。私は今リヴァプールにいるんだった(^。^;)」

20分程歩くともうかなり見慣れたシティセンター付近だ。
クイーンスクエアへ行ってバスに乗らなきゃ。
「バスは来てるかな?」
キョロキョロすると赤いマフラーやユニフォームの人たちが並んでる。
「ちょうどバスが来たんだ!」

近くに寄って確認すると17番の表示。
インフォメーションセンターのおじさんが教えてくれた番号だね。
さすが試合当日! 大勢の人達が乗車しようと並んでる。みんなのんびりドライ
バーさんに料金を払ってるよ。
私は自信がなかったから「セイブアウェイティケット」を購入してあったけど、
スペインのサポーター達もみんなのんびり料金を支払ってる。

こんなにのんびり乗車する風景って日本では見ないかも・・・
乗車までにかなり時間が掛かったけれど、
なんだかいいよねえ。この感じヽ(´-`)/

乗客で一杯のバスはいよいよアンフィールドへ。
クレジットカードがお財布になかった時には「どうなっちゃうの?」って泣きそ
うだったけど、キックオフの時刻にも余裕で到着できましたよ~!
「神様、ありがとう(*^_^*)」
なんだかリヴァプールの街に入って神様に守られてるような気がしてきちゃった。

バスを降りると、すでにそこはたくさんのサポーターで一杯。
赤、赤、赤w(゜o゜)w、アトレチコも赤いからマフラーもユニフォームも赤い人
達。
あっ、私もそうだった(;^_^A

「どっちなんだ~?」ティケットを出して確認してみる・・・
「そうだ! 試合のプログラム、プログラム・・・」もちろんシルバ君の分も
一緒に購入!
人が多くてどうしていいかわからな~いo(^^o) (o^^o) (o^^)o ♪♪♪

スタンフォードブリッジみたいに手荷物を調べられるのかなあ。
キョロキョロしてると笑顔のおじさんが近づいてくる。
「ほら! 来たよ。きっと手荷物チェックだ(。 。 ;)!」
おじさんは私が握ってるティケットを覗きこんで、何か言いながら指で入口を示
してくれた。
何て言われたのか解らなかったけれど「優しい!!!」
「なあ~んだ、手荷物のチェックじゃないんだ~!」
スタンフォードブリッジじゃあ3回も調べられたもんね。
それも、結構厳しい顔した男性に!
誰も調べられてないじゃん! 雰囲気が全然違うよ。
さあ、もう選手たちは到着してる時間だし、
「そろそろ中へ入ってみようかな~(o^^)o」

教えていただいた入口に近づいてみると、さっきのおじさんがニコニコして誘導
してくれる。
狭い入口でティケットを渡して中へ・・・
印象は「狭い」でも「古いのにとてもきれい」
「大切にされてる」って感じかな・・・
売店の通路も狭い。トイレもなんだかレトロな洗面。
でもとってもきれいに清掃が行き届いてて気持ちがいい。
土曜日にスタンフォードブリッジで観戦してるから、
私の印象ってスタンフォードブリッジと比べての感想になってしまうんですけど
ね(^_-)-☆
都会にあるスタジアムとの違いかもしれないね。

いよいよシートの方へ!
スカウスハウスさんに用意していただいたシートはパドック4のB列。
わぁ! ピッチだ~! それも、こんなにすぐ近くo(^o^)o!!!
スタンフォードブリッジでも3列目だったよ!
だけど、ピッチと客席との間のカメラマンエリアが広くって、近く感じられな
かった。
テレビで観戦してると、イングランドのスタジアムってピッチにすごく近そう
だったもの。
「これだよね~、この近さ!!!」
イングランドのスタジアムでこれを味わいたかったんだよね~!!!

それにパドック4ってセンターラインの辺りだからすご~い!!!
「信じられな~いρ(°o°)ゝ」
左側のすぐ近くは控え選手席???
「わあっ、選手だ!!!」
アップが始まった('-'*)きゃーきゃー!!!
パドック4ってホーム側だからリヴァプールの選手が目の前でアップを始めた
よ~!
カメラ、カメラ、カメラ(。_。 ) ( 。_。)
ここでは撮影だって自由だもんね~。
スタンフォードブリッジはカメラの持ち込み禁止。
「みなさん! スタジアムごとに違いますからね~( ^o^)/注意しましょうね」

あ~あ(@_@;)
近すぎてカメラのシャッターが間に合わな~い!
こんなに速く動いている選手を撮影するなんて、想像してなかった・・・
なんて贅沢な悩み・・・
アッガー! キャラガー! マスチェラーノ! アルベロア!
ジェラードやシャビアロンソばかりじゃなくて、こんなに近くで見るとみんな
カッコイイ!

なんていい雰囲気だろう。ピッチの警備のおじさんもニコニコしてる。
サポーターが大勢集まって、ピッチの選手に声をかけたり、撮影してるのに、
止めようともしないよ! 「嬉しいなあ!」
選手たちはアップに集中。
「なんてカッコイイ!!!」

さっきから私って「カッコイイ!!!」ばかりだ。情けない私(~_~;)
もうちょっと他に言えないの・・・?
「だってカッコイイんだものヾ(´▽`;)」

「そうだ!!!」
シルバ君も日本でLIVE放送を観てるはず。
携帯電話で撮影だ! メールしよう! きっと驚くよ。こんなに近いピッチに!
自慢、自慢・・・きっと彼だってアンフィールドに来たくなっちゃうよ~!
彼がたくさんの魅力を私に伝えてくれたように、こんどは私が伝えちゃおう。
アンフィールドの魅力を・・・いっぱ~い(^_^)(^_^)(^_^)

時間がたつのってなんて速いの?
もうキックオフの時間に近づいちゃったんだ。
通路もアップの選手を見学してるサポーターで溢れそう。
警備のおじさんもそろそろ席に着くようにって誘導を始めてる感じ。
「あ~あ(゜o゜)」選手のアップも終わっちゃったし、席に落ち着こうかな。
KOPも赤く染まってきて何だかサポーターの声にも迫力が出てきたよ。
私だって、マフラーをはずして準備しなきゃ(⌒^⌒)b


■第32話《この瞬間のために!》■

長~い長~い観戦記にお付き合いしていただいた皆さん。こんなに色々と書いて
きましたが、この瞬間のための旅だったんですよね。
大切な旅の目的を忘れてしまいそうなお話ばかりでごめんなさいm(__)m
やっと思いを叶えられる瞬間で~す!

ついに始まりました~(°◇°)~
チャンピオンズリーグの光景! テレビではもう見慣れてる光景!!
だけど、今、私が観てるのはリヴァプール! アンフィールド!!!
「You'll Never Walk Alone」の歌声がスタジアムを覆ってま~す♪―(^O^ )
すでに私は胸が一杯。
次々時間は過ぎて、
「あっ! もうチャンピオンズリーグアンセム!」
「あっ! キャプテン同士の握手・・・」
「あ~(☆。☆)! 試合開始のホイッスル・・・」
「時間よ、止まれ( ^^)σ ‥----------」
この時の私の正直な気持ちです。
だって、まるで早送りしてる画面を観てるみたい・・・

前半は、アウレリオとリエラが・・・ドリブル、パス、ヘディング!!!
目の前をアウレリオはピッチを駆けてく! 速いへ(;^^)/!!!
アウレリオのヘディング! あんなに強いの? 痛そう!
試合を楽しむって言うより、ボールを蹴る足元まで見えるから、目を奪われてし
まってる。

「あ~w(☆o◎)w!!!」マスチェラーノのタックル!!!
足がボールをさらってく瞬間を目撃(゜O゜;
試合の内容が面白いとか、つまらないとか、
「そんなの関係ないよ!!!」
だってテレビ観戦してるときと視点が全く違うんだもの。
o(^^o) (o^^o) (o^^)o
「あれ? 45分ってこんなに短いの・・・?」

「ふう(^。^;)」これから後半はアルベロアとカイト側だね。
カイトは走る! 走る! 走る・・・
キャラガーのハードワークもテレビではこんなに観えない!
アルベロアって、いつもこんなに高い位置にいるんだ~!
「きゃあ......\( ><)/」マキシが速~い!!!
「まず~い!」
でも、知らなかった! アルベロア! 彼も速~い!!!

目の前で繰り広げられる戦いについ夢中!
興奮を抑えられない私!
試合全体を観てる余裕なんかないよ~(^。^;)
でも、これこそがテレビ観戦では観ることが出来ないピッチ上の激しい戦い。
私の周りのサポーターたちもすごーい!
叫んでる!!! 頭を抱えてる!!! 一緒に戦ってる!!!
\(^o\) (/o^)/

「えっ? もう?」
90分ってなんて短いの~?
それに負けてる(X_X)・・・神様~( ¨)( ‥)( ..)( __)お願い・・・!
「あ~っ、ジェラード!!! 何? 何? 何? どうしたの?」
「何が起きたの?」
「周りの人に聞けない・・・」
「倒されたみたいだよね~?」
「PK(゜ο゜)???」

「ほっ!」何とか負けないで試合は終了。夢の時間も終了かあ・・・
暫くこのまま座っていたい・・・
でも、みんな次々座席を立ち上がって歩きだしてる。
「仕方がないo(><)O」
私も立ち上がってピッチを背中にスタジアムを後にしようとしたとき、
スタジアムに突然流れきた曲は
「ヘイ・ジュード(゜゜;)!」
何だか急にウルウルしてきちゃった(;°°)「うっ!」

だって、まだ私が子供だった頃です。
誰かが「ヘイ・ジュード」をカバーして歌っていた。
その歌を聴いた時だった。
「この曲って本当は誰の曲?」「歌ってるのは誰?」

ビートルズを知るきっかけになった曲なんだもの。
「予想外です(;°°)」小さな頃の思い出まで蘇っちゃって、もうウルウルだよ。
「神様、ありがとう・・・(/_<。)」

この数日で、私の心に信仰心まで芽生えちゃってるみたいです。
ひとり旅、頼りになるのは神様ですね(^_-)-☆
「残りの旅もよろしくね。神様m(._.)m」


■第33話《一番心配な帰り道》■

そんなアンフィールドの感動や思い出に浸っている間もなく、さあ、停留所へ急
げ!
バスに乗らないと・・・すご~い人だよ。みんなバスに乗るの?
アンフィールドの前の道路を渡ろうとすると、すでにバスは一台行っちゃったみ
たい。
乗り切れなかった人達が並んでる。まず、とにかく並ばなきゃ!

「う~ん・・・」
10分が経過。確か17番バスは10分ごとだって言ってたよね。
私の前のおばさんもぶつぶつ言ってる。
ここが日本だったら「おかしいですよねえ」なんて会話も出来るけど、
外人のおばさんだもの。言えない・・・(-_-、)

「う~ん・・・」
15分が経過。一向にバスはこない。何にも来ない。
こんなに来ないと迷いが出てきちゃいます。
17番以外のバスが来たらどうしよう・・・乗っちゃおうか・・・
「乗りたい・・・( ;_;)」
こんな場所に置いてきぼりは不安だよね。
バスを待つ列の後ろの方を見ると、「あら?」日本人らしき人も並んでるじゃな
い。
「良かった!」ってちょっと安堵。
でも、バスは来ない・・・

もうすぐ20分以上経過しようとしてる。
辺りも静かになってきたなあ。
バスを待って並んでる人はそのまま長い列をつくってるから少しは安心だけど。
「バスはどうなっちゃってるの~?」
「あれ? 遠くに見えてるのはバス?」

「どうかあのバスが17番でありますように(^人^)!」
そう願いながら、近づくバスのフロントの番号が気になる~。
「26だ~('◇'、)/」
後ろから日本語が聞こえてくるよ。
「どうする?」「乗っちゃう?」「大丈夫?」
「私も助けてほしい!」
思わず後ろの日本人グループに声をかけてみる。
グループの一人が代表で、ドライバーさんに確かめてくれることになった。
「シティセンターに行くらしい・・・」
でも、まだ不安な空気が漂ってる。
日本人グループの方たちも17番と117番って聞いてるみたい。
迷っていても仕方がない!
スペインからのサポーター達も乗車してるよ。
「みんなで乗っちゃえば恐くな~い!」ってことで一致しちゃいました。
もちろん私もお供をさせていただくことにしました。
「(^。^;)ほっ! ひと安心」
そのせいか、バスではグループの方たちと楽しくお話。
お名前なんか知らなくてもリヴァプールFCのファン同士だもの。
楽しい会話が弾んじゃいます(*^o^)(^O^)

おしゃべりをしている間にバスはクイーンスクエアの裏側の通りに到着!!!
みんな降りるから大丈夫だったけど、
リヴァプールのバスって案内がないし、
「目印がない場所だとちょっと難しいかも!」って思いました。
日本だって、知らない土地で定期バスに乗るのは難しいものね。

それにしても長~い一日だったなあ。
今日一日でいろんなことがあり過ぎて、緊張したり、喜びで興奮したり忙しかっ
た。
窓の外側に冷やしてあるビールだ~!
「ホラ(^o^)! 準備しておいて良かったでしょ?」
ついにアンフィールドでの観戦が実現!
こんな幸せな夜の冷えたビールの味は格別!
「カンパイ(^O^)/C□☆□D\(^_^ )」

腰のストレッチもしなきゃ。
カードの紛失やアンフィールドでの観戦で忘れてた腰。
思い出しちゃった~('_`) やっぱり疲れてる~。

明日はまた予定が一杯。
ピアヘッド、メルウッド、そしてキャラガーのお店で食事してスタジアムツアー。
そして夜にはロンドンに戻るという日程。
一番過密な日程の一日かもしれない。

「(*^¬^*)うぃ~っ! 酔っちゃったみた~い!」
「神様、今日もありがとう。おやすみなさい(-_-).。oOO」

(つづく)

 ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo383.html ≫


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          ~ Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson ~

 ― 第155号 /
     Sound and Vision - This is Sculpture (Silent Disco?!) ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish155_photo.html ≫

こんにちは。
今年もブリティッシュ・アスパラガスの季節がやってきました。
先日ウィラルのClaremont Farmにて、旬のアスパラガスを産地買いをし、軽く
蒸したあと冷やして、サラダにしました。
クリスピーで甘みがあって最高に美味です。一年間、輸入物を買わずに待ってい
た甲斐がありました。
シーズンが終わる前に、フォーンビー・アスパラガスも味わっておかければ!

英国気象庁から、この夏は例年より暖かく、なんと「バーベキュー・サマー」と
なる確率が高く、時には30度を超すことも?! という予想が。
ただ過去2年間も予想では調子の良いことを言っていながら、夏が来ませんでし
たので、手放しでは喜べなそうですが、3度目の正直だと信じたいところです。

♪ ♪ ♪

4月30日(木)。
まず、午前中にNational Conservation Centreで始まったばかりの写真展
<Sound and Vision>のスニーク・ヴューに行ってきました。
フォトグラファーFrancesco Mellinaによる1978-1982までのパンク・ニュー
ウェーブ、ニューロマンティクス真っ只中のリヴァプールを捉えた未発表の写真
の数々です。

「イタリア人写真家」と聞いていましたが、スカウス訛りに微妙にイタリア語ア
クセントが混じった独特の話しぶり。
それもそのはず、リヴァプールを愛してやまず、1970年中頃から現在まで居つい
てしまった名誉スカウサーです。

Francescoは、イタリアはカラブリア出身、ティーンエイジャーの頃からイギリ
スに関するもの全てに魅力を感じ、独学で英語を学んでいましたが、ビートルズ
の音楽に出会ってしまったのが決め手で、「自分の居場所はリヴァプールに違い
ない」と悟ったそうです。
16歳にヨーロッパ各地へ旅に出て、22歳でリヴァプールに落ち着きました。
リヴァプールに着いたその瞬間から、「ここだ!」と感じたそうです。

リヴァプールで音楽シーンが盛り上がっているということは知っていましたが、
Francesco自身は歌えるわけでも楽器が弾けるわけでもありません。
でも、そのシーンに関わるにはどうしたらいいかと考えたときに、カメラで何か
できるかもしれないと思い、Liverpool Art School(現John Moores University)
にてフォトグラフィー・コースに通い始めます。

カメラを片手にあちこちのクラブを撮ってまわっているうちに、「マシュー・ス
トリートにあるEricsっていうクラブが面白いらしいよ」と耳にして行ってみた
ら、その場のエネルギーに圧倒され、「これこそ僕の求めていた場所だ」と確信
します。

撮りためた写真をどうしたらいいかと考えていると、周りの知り合いから、「NME、
メロディーメイカー、スマッシュ・ヒッツみたいな音楽誌に送ったら?」と勧め
られ、売り込みはじめてまもなく、Echo & The BunnymenやTeardrops Explode
といったリヴァプールのバンドがブレイク。ロンドンのメディアから撮影の依頼
が舞い込んできます。

当時、リヴァプールの音楽シーンでFrancescoのような写真を撮っている人は誰
もいませんでしたので、まさにその時、その場所にいたことで、リヴァプールに
おける「元祖ロック・フォトグラファー」としてのキャリアが本格的に始まりま
す。
音楽雑誌に写真と氏名が掲載され、全国的にも名が知られ始め、Face誌の正式カ
メラマンとして、VIP待遇を受けた時期もあったそうです。

そうしたFrancescoの業界との人脈の広さに目をつけたPete Burnsから「マネー
ジャーになってほしい」と頼まれ、Dead or Aliveの前身バンドNightmares in
Waxのマネージメントを担当し、シングルを数枚リリース。バンドのプラット
フォームを築きます。しかし、ありがちなことですが、次第にバンドとマネージ
メントの間で方向性の違い生じ、Francescoはマネージャーを辞退。その後は音
楽業界での活動からフェードアウトします。
それとともに、何千枚もの写真のネガは箱に入ったままお蔵入りとなりました。

25年経った後、Ericsに通っていた元常連からFrancescoに声がかかり、写真を
見せたところ、その膨大なコレクションに驚き、それがきっかけとなって
National Museum Liverpoolのキューレーターを紹介されて、展覧会の開催へと
発展したそうです。

今回、National Conservation Centreで展示されている60枚の写真は、1978-82
の間に撮影されたものです。
当時のリヴァプールのバンドに加え、Roxy Music、Clash、Ramones、New Order、
The Smiths、そしてまだ前座レベルだったU2のBonoなども被写体になっていま
す。
ライブハウスやクラブで楽しむファンたちの表情、そして独自のメークや手作り
のファッションで着飾るクラバー達の姿が、生き生きと捉えられています。

70年代、80年代のリヴァプールは、経済的にどん底を経験していましたが、
Francescoはこの展覧会を通じて、暗い時代の傍らで、このようにエネルギーに
満ち溢れ、明るい社会的側面が存在していたことを表現したかったと語っていま
した。

この写真展は、8月31日まで続きます。

"Sound and Vision: Music and Fashion" 展
 <National Conservation Centre>
 Whitechapel, Liverpool, L1 6HZ
 電話: 0151 478 4999
 開館時間:10:00am - 5:00pm(毎日) 入場無料
 http://www.liverpoolmuseums.org.uk/conservation/exhibitions/mellina/ 

♪ ♪ ♪

Sound and Visionの後は、Tate Liverpoolでサイレント・ディスコ!?

Tate Liverpool の1階と2階にて、近代の巨匠から若手のコンテンポラリー作
家の作品までを展示している《DLA Piper Series》。
以前は、時代やアート・ムーブメントごとにまとめた学術的なレイアウトでした
が、今シリーズの<This is Sculpture>では、スペースごと大胆に変身しました!

3つのセクションに区切られ、アーティストMichael Craig-Martin、デザイナー
Wayne Hemingwayと息子のJack、そしてシアター・カンパニーForced
Entertainmentのアーティスティック・ダイレクターTim Etchellが選ばれ、
Tateのコレクションから作品をセレクトし、それぞれのスペースを演出していま
す。

ファースト・フロアの"Sculpture: The Physical World"のセクションから。
キューレーターはコンセプチュアル・アーティストのMichael Craig-Martin。
ロンドンのゴールドスミス・カレッジで教鞭をとっていた時期に後に1990年代
のヤング・ブリティッシュ・アーティスツとなる作家たちに多大な影響を与えた
ことでも知られています。

ヴィヴィッドなピンクと黄色とブルーに塗り分けられたスペースに、作品単体の
もつテーマごとに配置されていて、様々な素材・既存の日用品・色・サイズ・並
列・レファレンスなどが交錯して、作品が観る人々にどのように視覚的かつ物理
的に語りかけるかを追求しています。

Marcel Duchampの'Fountain'のレプリカ、Pablo Picassoの彫刻'Cock'、Amedeo
Modiglianiの'Head'、Salvador Daliの'Lobster Telephone'、Jeff Koons
'Three Ball Total Equilibrium Tank'などのほか、Sarah Lucas、Julian Opie、
草間弥生の作品なども展示されています。
また、Michael Craig-Martin 本人作、日用品のドローイングに埋もれた
'SCULPTURE'の大きな文字も印象的です。

階段を上がって2階の片側には、シアター畑のTim Etchellsのキューレーショ
ンによる"Performing Sculpture"のセクション。
彫刻のもつパフォーマンス性がテーマで、作品自体がパフォーマンスを表現して
いる彫刻から、アーティスト自身のパフォーマンスをもとにした作品、観る人々
にパフォーマンスを呼びかける作品などがまとめられています。

Jim Lambieの紫のラメが輝くターンテーブル'Ska's Not Dead'、Gilbert &
George 'Happy'、Man Ray 'Indesctuctible Object'などの他、Jeppe Heinの
'Invisible Moving Wall'(本当に壁が動いてます!)などの他、床のあちこち
に貼られた丸いシールがヒントとなるTim Etchells自身の作品'In Many Ways'
など、気をつけてみていないと見過ごしてしまう、隠れたパフォーマンスもひそ
んでいます。

向かいの部屋には、Wayne Hemingwayと息子のJackプロデュースによるセクショ
ン"Sculpture Remixed"。
Wayne Hemingwayは、80年代にゼロの状態からファッションブランドRed Or
Deadを立ち上げた仕掛け人。
現在はHemingway Designを設立し、ファッションからインテリア、住宅までア
フォーダブルなデザインを提案しているデザイン・グルです。

入り口手前の壁に掛けられたワイアレスのヘッドフォンを拝借して、カーテンを
くぐった先には、シックなディスコという、あっと驚くセッティング。
もちろんミラーボールもダンスフロアもばっちり設置されていて('Dance Here'
とのメッセージつき)、ヘッドフォンからは、この展覧会のために特別にセレク
トされたダンスチューンが聞こえ、観客は踊りながら作品を鑑賞できます。
ヘッドフォンをはずすと、静けさの中で人々が踊っている、というシュールな
「サイレント・ディスコ」。作品もそれぞれムードたっぷりにライトアップされ
ていて、彫刻の表情までが不思議とリアルに見えてきます。

WayneとJack Hemingway親子ご本人たちからダンスフロアの上でお話を伺いまし
た。
構想段階で、普通のギャラリースペースを改めて視察し、良いと思う点、好まし
くない点を洗い出したそうです。その際に、Jackが開口一番「美術館にいると
さー、よく退屈するんだよねー」と22歳の若い男の子らしい正直なコメントを
漏らしたそうです。
そこで、「ギャラリーをディスコにしちゃおうよ!」と冗談半分で言ってみた発
言が、「それ、いいんじゃない?」と話が進み、実現したといういきさつがあり
ます。

美術館といえば、「喋っちゃダメ、触っちゃだめで窮屈」というイメージが強く、
それに加えて他のお客さんの年齢層も高く、「居心地が悪い」。
20代のJackだけでなく、40代後半のWayneでもギャラリーにいると自分が若く
感じることがあるそうです。

「それは、アートの将来にとって懸念すべきことではないでしょうか? クリエ
イティヴィティーは人々の生活や経済のあらゆる面で大切な要素ですから、アー
トには今後も繁栄してほしいと思っています。だからやはり、23歳の若者達の意
見に耳を傾けることは大切ですよ」

するとJackが、「僕まだ23じゃないよ」と突っ込みをいれ、Wayneが年齢を訂正
します。
続けて、「子供達は我々の未来ですからね、George Bensonが歌ってるみたい
に(笑)」。とのコメントには少しウケました。

このセクションには、Edgar Degasの'Little Dancer Aged Fourteen'、Ron
Mueckの'Ghost'、Antony Gormleyの'Three Ways: Mould, Hole and Passage'、
Gemaine Richierの'Shepherd of the Landes'、そしてJohn Davies の
'The Redeemers'などが展示されています。

この展覧会は、2010年4月まで続きます。入場無料なのも嬉しいです。

"DLP Piper Series: This is Sculpture" 展
 < Tate Liverpool >
 住所:Albert Dock, Liverpool L3 4BB
 電話:0151 702 7400
 Email:visiting.liverpool@tate.org.uk
 オープン:9月~5月は月曜日休館(バンクホリデーは開館)
      6月~8月は無休です。
 開館時間:10:00~17:50
 http://www.tate.org.uk/liverpool/exhibitions/thisissculpture/default.shtm 

♪ ♪ ♪

久々に今週の告知です。

5月16日(土)正午に、リヴァプール大聖堂の鐘「Great George」が、John
Lennon の名曲"Imagine"を奏でます。
これは、マンチェスターのアーバン・フェスティヴァル《Futuresonic》の一環
で、正午の後にも12時半、1時に演奏が繰り返されます。
どんなふうに街中に響き渡るかが楽しみです!
Futuresonic: http://www.futuresonic.com/evans

5月20日から23日まで、 シティ・センター・ミュージック・フェスティヴァ
ル《Liverpool Sound City》が行われます。
バンドのラインアップやチケット購入はこちらから。 
Liverpool Sound City: http://www.liverpoolsoundcity.co.uk 

22日には、Liverpool Sound Cityの一環で、日本から4つのバンドが登場しま
す。
出演バンド:80kidz, DE DE MOUSE, Riddim Saunter, Tucker
場所は、Chameleon(FACTの隣)。こちらは入場無料です。
詳細は、http://www.newmusicfromjapan.com/tour-dates/#lsc

5月23日と24日には、《HUB Festival》がWellington Dockで開催されます。
今年も、スケボー、BMX、グラフィティー、ブレイクダンス、ライブなど満載の
アーバン・ユース・フェスティヴァルです。入場無料です。
HUB Festival: http://hubfestival.co.uk

それではまた再来週。

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish155_photo.html ≫


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** Beatle Week 09:ツアー参加者募集中! ******

毎年恒例、International Beatle Week鑑賞パッケージ「スカウスハウス・ツ
アー2009」の詳細をウェブサイトにアップしました。
今年も日本代表のビートルズ・バンドをエントリーし、おなじみのオプショナ
ル・ツアーもご用意。例年以上に盛りだくさんの内容になっています。
この夏、ぜひぜひリヴァプールでお会いしましょう!
http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2009.html


*** リヴァプール語学留学 ******

スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
のサポートについても安心してお任せください。
http://scousehouse.net/study/index.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、特派員ミナコさんから素晴らしい写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish155_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

今週の「NLW フォト・アルバム」ページには、Anneさんに提供していただいた
「リヴァプールへ行きたい人! 集まれ!!!」の写真を掲載しています。ぜひご覧ください!
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo383.html 


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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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           *** 毎週火曜日発行 *** 


□■ 第383号 ■□

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 ◇編集 山本 和雄&ミナコ・ジャクソン
 ◆Eメール info@scousehouse.net
 ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/
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 ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。
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