September 15 2009, No.392
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」5
 ▽ゴールドフィッシュだより <No.163>
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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眠いです。
リヴァプールから戻って10日以上が過ぎたというのに、まだ時差ボケです。
一日中寝ぼけまなこなのに、なぜだか、夜寝る時間になると目がぱっちり冴えて
くるんですよね。それに、ヘンな時間にお腹が空いたりします。ちゃんとご飯は
食べてるのに。

…なんてことを書くと、毎日ぼぉ〜〜っと過ごしているように思われるかもしれ
ませんね。でも実際はそんなことはなくて、仕事に追われっぱなしです。
ありがたいことに、この10数日間、普段のスカウス・ハウスからは考えられな
いくらいの問い合わせが入ってきているんです。ゆっくり新聞を読む時間もない
し、せっかくリマスターされたビートルズのCDも聴く時間がありません…いや、
まだ買ってないんですけど…。
とにかく、すっごく嬉しいけれど、目が回りそうなくらい忙しい毎日です。

その問い合わせの中には、ビートルズ・バンドをやっている方からのものがいく
つかあります。
そうです、来年の<International Beatle Week>へのエントリーについての問い
合わせなのです。
このところ毎年トリビュート・バンドのエントリーをやっていますが、複数のバ
ンドからこんなに早い段階でコンタクトを受けたことはありません。
不思議です…もしかしてアスプレイズやブルーマーガレッツの大成功が評判を
呼んでるんでしょうか…いや、それにしてはちょっと早すぎるような気が…。

というわけで、この場を借りて告知しておきます。
<International Beatle Week 2010>出場ビートルズ・バンドの募集は、来月上旬
にスタートします。
募集開始のお知らせは、スカウス・ハウスのウェブサイトのトップ・ページに
掲載します。エントリーを希望するバンドは、募集開始後に必要事項をお知らせ
ください。折り返し、詳細をご案内いたします。
また、希望するバンドすべてがエントリーできるわけではないことを、あらかじ
めご了承ください。

2009年の<ビートル・ウィーク>が終わったばかりだというのに、もう来年が楽
しみになってきました。
バンドだけではなくて、もちろん一般の参加者も募集します。
みなさん、ぜひリヴァプールでお会いしましょう!(気の早いこと…)

                          ― Kaz(15/09/2009)


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▼寄稿:「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」(5)
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「夢をかなえて ― Anfield再訪の旅」 / ステラ

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo392.html ≫ 

【タクシーのカン違い事件】

22日金曜日。England滞在4日目。
この日はVirgin TrainでLiverpoolに向かい、駅からAnfield B&Bにタクシー
で直行、チェックイン後にスタジアムツアーに参加するという予定になっていま
した。
そろそろ連日の移動の疲れが微妙に影響していたのですが、Liverpoolに向けて
発ったときには気がつかず、まだまだ元気と思い込んでいました。

朝の9時過ぎにホテルを出発、地下鉄を乗り継いで、Euston駅に着きました。
真正面にDepartureの電光掲示板があり、出発ホームのナンバーが表示されます。
予約した電車は10時7分発。
なかなか表示が出ないので、構内のお店を見たり、焼きたてのクッキーを買った
りして時間をつぶしました。このクッキーのお値段や、トイレの使用料などは、
4年前よりもちょっとずつ値上がりしているのでした。

発車15分前くらいに表示が出たので、ホームに移動します。
私は、National Railのサイトから予約をして、プリントアウトしたチケット
(ただの紙切れです!)を持っていたのですが、乗車前に駅員さんの検札があ
り、パスポートを一緒に見せるように言われました。
電車に乗り込み、荷物を置いてホッと一息。定刻どおりの発車です。
前回は隣り合わせたリバプールファンの人とお喋りが弾んだのですが、今回のお
隣さんは、クロスワードパズルを必死に解いていて、ほとんどお話は出来ません
でした。ちょっと残念…。

スタジアム・ツアーの予約が14:00と決まっているので、時間通りにリバプール
に着けるのかは気がかりでした。電車が遅れでもしたら…B&Bにチェックインす
るのが遅れたら…などと一抹の不安はありましたが、特に支障もなく電車は快調
に進み、無事Liverpool Lime Street駅に着きました。

やっと、ここまで辿り着きました!
4年前、この駅を後にしてから随分時間がかかってしまいましたが、ついに夢は
叶って、またここに来ることが出来たのです!
何度も挫けそうになり、豚インフルにも邪魔されそうになりましたが、諦めなく
て良かった…! 心から思いました。

ロンドンを発ったときは晴れていたのですが、途中から降りだした雨は次第にひ
どくなって、リバプールに着く頃には傘がないと辛いくらいでした。
『あ〜あ、4年ぶりなのに、こんなお迎えはないよな〜』とボヤキながらタク
シー乗り場へ移動します。
そうそう、Lime Street駅は改装工事の最中で、正面の階段の前には、無粋な土
の山が幾つも出来ていました。

タクシーを捕まえて、『Anfield Road33番地のAnfield B&Bまでお願いします』
と伝えました。
50代くらいの運ちゃんはどうやらビートルズ好きらしく、カーステからは懐かし
い『Eight Days A Week』や『Ticket To Ride』などが流れてきます。
『ビートルズファンなんですか?』
『モチロン! 彼らは最高だね!』
『私も好きですよ!』
思わず一緒にハミングしてしまいました。これがカン違いのもとだったかも知れ
ません。

車はバスのルートと違う道を進み、カーブした坂道を上って、とある家の前で止
まりました。ゆったりしたお庭のあるゲストハウスで、なかなかよさそうな雰囲
気です。
運ちゃんにお代とチップを払い、中に入ると、女性のスタッフが迎え入れてくれ
ました。
名前と日本から予約を入れたことを伝えると、『主人はいま出掛けているので、
確認するから待ってて』と言われ、落ち着いた雰囲気のロビーで待つことにしま
した。

四方の壁にはビートルズの写真やサイン、記念の品々が沢山飾られています。
ん〜? 何かホームページに出ていた写真と違うかも…? こんなロビーだっ
たっけ…?

と、そこへ先ほどの女性が戻ってきて、予約の中に名前がないというのです! 
え〜!? そんなバカな。確かに予約確認の返事は貰ったし、tamaさんからもヨ
ロシクとメールしてもらった筈なのに。
その時、彼女の言葉のなかにエプスタイン・ハウスという名前が聞き取れました。
もしかして…?
『あの〜ここは33番ですか?』
『ここはAnfield Road 27番のエプスタインハウスよ!』
やられた! さっきの運ちゃんがカン違いしていたんだ。

私が連れて行かれたのは、ビートルズのマネージャーだったブライアン・エプス
タインゆかりのゲストハウスで、目指す33番地の手前だったのです!
沢山のお宝グッズが飾られているのもうなずけました。
どうやらこのゲストハウスのほうが有名らしく、口ぐちに『なんでウチを予約し
なかったの〜?』なんて言われて、シドロモドロになってしまいました。
それでも、ここのスタッフはとっても親切で、雨のなかを目指す33番地まで付
き添ってくれたうえ、スーツケースも運んでくれたのです! いいヒトだ〜! 
恐縮して何度もアタマをさげました!

リバプールファンで、ビートルズも好きという方は、ぜひエプスタイン・ハウス
を利用してみてください! Anfield のすぐ裏側ですから。私も、この次はプラ
ンに入れたいと思います。


【スカウス訛りはキツかった…スタジアムツアー初体験】

さて、やっとこさAnfield B&Bに到着です。
オーナーのJames のお母さんが出迎えてくれました。改装されたばかりのようで
すが、何となく素人仕事っぽくて、壁材の一部が落ちていたりします。
案内されたお部屋は2階のツインルームで、真紅のベッドカバーがステキでした。
ウォークイン・クローゼットが付いているのですが、このクローゼットの仕上げ
も、素人っぽさ全開でした。デスクはなかったけど、新しいチェストの上に、
ポットとお茶を入れるセットが用意されていました。

窓の外にはStanley Parkの芝生が見えています。雨は少し小降りになったよう
でした。
スタジアムに行くために階下に降りると、お母さんが朝食ルームを見せてくれま
した。イスタンブールの決勝戦のポスターや、ビッグイヤーを掲げるジェラード
とキャラガーの写真が飾られていました。
そうだよね〜やっぱりAnfield B&Bはこうでなきゃ。そしてお母さんがちょっと
自慢げに指し示したのが、2006年FAカップ決勝の記念写真。
『彼がJamesよ』
え〜! ピッチ上で優勝を喜びあう選手に混じって、フツーのオジサンの姿が。
彼がこのB&Bの主James だそうです。すごーい! あの死闘を征して優勝した
FA カップの記念撮影にちゃっかり混じっているなんて!

Jamesはキャラガーとお知り合いで、凄〜く熱心なリバプールファン。全ての
ゲームを見に行っているそうです。
それって、経営者として、はたまた家庭人としては大丈夫なの? と突っ込みた
くなりましたが、まあ、余計なお世話ですね。

ツアーの時間が迫っているので出かけることにしたのですが、ふと気になり、お
母さんに聞いてみました。
『名前とか住所とか書かなくていいんですか? パスポート番号とか?』
『あ〜いいわよ、気にしないで!』
だって。話には聴いていたけど、家庭的っつうか、人がいいっていうか、ゆるゆ
るですね! それだけ、リバプールサポーターへの信頼が厚いのかも知れません。

B&Bを出て、Anfield Roadを50メートルほど歩いて行くと、右手にヒルズボロの
記念碑が見えてきました。
鮮やかな赤と白のカーネーションで作られたサッカーボール、黄色い花で型どっ
たYNWAの文字、あるいはプレゼントやメッセージなど、大切な人への想いをこ
めた品々が供えられていました。
この花を手向けた人たちの心から、あの日の記憶が消えることはないのでしょう。
リバプールが背負った痛みの大きさと、その経験を未来に語りついでいく責任を、
感じないではいられませんでした。

記念碑を写真に撮った後、さらに駐車場の先まで進んで、スタジアムを迂回する
ようにして正門に出ました。
オフィシャルショップのウィンドウには、新しいアウェイユニに身を包んだジェ
ラードとアロンソ、そしてトーレスの姿が!
4年の間に選手も入れ替わり、ユニのサプライアーも代わりました。チームの選
手で残っているのはジェラードとキャラガー、アロンソにヒーピアだけ。その
ヒーピアとも今回でお別れです。
この次来るときには一体どうなっているのでしょう。個人的に、絶対アロンソに
は残留してほしかったので、来季のユニのモデルになっている姿にホッとしまし
た。
ツアーの時間までグッズを物色したのですが、以前よりもキッズやベビー用の品
が増えたような印象でした。次世代のサポーターもマーケティングのターゲット
になっているのでしょうね。

さて、スタジアムツアーの時間になり、お客さんが揃いました。
40人位はいたでしょうか。平日の昼間だというのに、結構な数です。
タイトル争いに絡んだ今シーズンは、やっぱり盛り上がっているのでしょうね。
ガイド役は、スカウス訛り全開の勢いのいいお姉ちゃんと、ナイスミドルのオジ
サンの2人組でした。

このお姉ちゃんの説明が聞き取れないんです!歯切れはいいけど、英語とは思
えないような発音の上に、かなりの早口。いや…私の理解力では土台無理でした。
マンユーのサー・アレックスとサポーターとの間にひと悶着あってから、マン
ユー戦での入り待ちをさせなくなった件とか、何故ホームチームのドレッシング
ルームが狭いのかとか(シャンクリーの考え方を受け継いでいるとか…)、アウェ
イチームとの間にどれだけ差があるか…といった話をしていたと思うのですが、
何せスカウス訛りの爆裂トークです。スミマセンが正確なところはお伝え出来ま
せん。
自信のある方は、ご自身の耳で確かめてみてください。このときはホントに英語
力のなさを痛感させられました。

ツアーは選手用の入口から始まり、いきなりドレッシングルームへ。やっぱり、
想像していたよりも狭く、余りにも簡素なんで驚きました。
tamaさんによると、ロンドンの某金満クラブのドレッシングルームはゆったりし
た作りで、バラの香りが漂っているそうです。天と地の差ですね!

説明の後、お気に入り選手のユニフォームの前で、写真撮影大会です! 私はア
ロンソのユニの前で写真を撮ってもらいました。
ユニはフォワード、中盤、ディフェンス、キーパーとポジションごとに分けられ
ています。狭い一角に、レイナやヒーピア、アッガーにシュクルテルといったガ
タイのいい選手がひしめいて、着替えている様子を想像してみてください! な
んだかおかしいですよね!

そして、なぜかこの日は、アウェイチームのドレッシングルームが開けっ放しに
なっていました(日によって見られないこともあるらしい)。広々としていて、エ
アコンもあって、お姉ちゃんがいうほど悪くなかったような印象でした。

次に、プレスのインタビューを受けるボードの前を通り、あの『This is
Anfield』のサインが掲げられた通路に向かいます。
可愛らしい金髪の女の子がこの日のキャプテンに選ばれ、彼女を先頭にして階段
を降り、歓声が雰囲気を盛り上げます! サインは思いのほか高い位置にあり、
精一杯背伸びをして、やっと縁にタッチすることが出来ました(階段でジャンプ
はしないでね!と言われます)。

通路を抜けると目の前には真っ青なピッチ! 近い! ホントに至近距離です! 
ラファやサミー・リーはこの目線でピッチを見ているのですね。観客のいないス
タジアムは、だだっぴろくて、ちょっと無機質な感じに見えます。芝生のお手入
れをする機械の音がしていました。
やっとこのスタジアムに戻って来れたのに、日曜日の試合が終わればまた暫くの
お別れかと思うと、切なくなってしまいました。

まずはおなじみの監督・控え選手の席の説明があり、その後方には、チームOB
やケガでお休み中の選手が座るエリアがあると説明していました。2シーズン前
のキューウェルはよく座っていたわね〜なんて、ネタにされていました。
さらに上段には、プレスやメディアのための中継席。エレベーターがないため、
機材を担いであがらなければならないそうです。
向かい側のCentenary Standには、ボックス席が並んでいますが、ここを取るに
はキャッシュでうん千?ポンドの支払いが必要。でも先々まで予約は一杯…と
いった解説をしていたと思います(この辺もあやふや。スミマセン)。
一通り説明が終わると、監督や選手の席でまた記念撮影大会。私も、ラファに
なったつもりで写真を撮ってもらいました。

最後にコップスタンドへ移動します。かなり上のほうまで席があるスタンドは、
なかなか壮観です。このスタンドを埋め尽くしたサポーターたちが、声を揃えて
歌う場に立ち会えたなら、一生の思い出になるでしょうね…。
やっぱり、サポーターなら一度はこのスタンドで試合を観てみたい! と思いま
した。

ツアーはあっけなく終わり、その後はミュージアムで、5個めのビッグイヤーや、
キャラガーが寄付していったというメダルなどを写真に収めました。
最後に、閉店間際のショップに駆け込んで、サミが表紙を飾ったマッチ・プログ
ラム『This is Anfield』と、試合当日用のユニフォームを買いました。
ネームとナンバーはアロンソ#14にしました。また来季も絶対活躍してほしいか
ら。あ、こんなコトを書くと、私がAlonsoだけに執着してるみたいな感じです
が、チームの選手全員が大切だと思っていますよ。ただ、Alonsoは、私が
Liverpoolに注目するきっかけになった選手だし、リーグ優勝を狙うためには欠
かせない存在だと思うので、ぜひとも残留して欲しいのです!

日暮れが近づいて寒くなってきたので、とりあえずB&Bに戻りました。このとき
初めて、オーナーのJamesに会いました。
以前、サポ仲間のtamaさんがお世話になったこともあり、とても気のいいヒト
だとは聴いていたのですが、ホントに温かい雰囲気のオジサンでした。
B&Bをやっていくのは大変じゃない? と聞いたとき、
『いや〜全然。だってここに来るのはリバプールファンばっかりで、みんないい
ヒトばかりだから、ストレスはないよ〜』
と言っていました。
ファンといっても、いろんなお客が来るでしょうに。人に対する姿勢がポジティ
ブなんですね。
ちなみに、彼の家族にはエバトニアンもいるそうですが、議論はしても、ぶつか
ることはないんだそうです。

お腹がすいてきたので、Jamesにどこか食事が出来る店はない? と尋ねると、
テイクアウトの店と中華料理店ぐらいで、そこもイマイチ…。シティーセンター
に出たほうがいいと言われました。
その時、キャラガーの店に行こうかと思ったのですが、その前にカメラの充電を
することにしました。ところが、思いの外充電に時間がかかり、待っている間に
うたた寝をしてしまいました。
やっぱり疲れが溜まっていたのでしょう。ハッと気づいたらもう22時!…晩ご
はんは諦めました。

後日知ったコトですが、この日のお昼、キャラガーのお店で、サミのお別れパー
ティーが開かれていたそうです。ちょうど私がエプスタイン・ハウスに迷い込ん
でいた頃でした…。

○キャラガーのお店 Cafe Sports England
 http://www.cafesportsengland.com/

○オマケ・Liverpool FC オモシロ仮装パーティー(キャラガー、最高!)
 http://www.cafesportsengland.com/members_gallery_image.php?id=25

(つづく)

 ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo392.html ≫


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第163号 / International Beatle Week & Mathew Street Festival ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish163_photo.html ≫

こんにちは。
9月に入り、暖かな秋晴れの日々が続いているリヴァプールです。
しかし、この8月はひどかったですね。後発の予想どおり、雨が多く肌寒い一ヶ
月でした。

そんな悪天候にも負けない勢いで、今年も世界最大のビートルズ・フェスティ
ヴァル&コンヴェンションである《International Beatle Week》とヨーロッパ
最大の無料ミュージック・フェスティヴァルである《Mathew Street Festival》
が、8月最終週の3連休の週末に開催されました。

今年は、レコード会社EMIがフェスティヴァルを強力バックアップ。
Mathew Street Festivalのパンフレットやステージのバックドロップにも宣伝が
打たれていました。

2009年9月9日に<The Beatles Remasters>(全アルバムのデジタル・リマスタ
ー盤)およびゲームソフト<The Beatles Rock Band>
( http://www.thebeatlesrockband.com/ )の販売を控え、大プロモーションを
展開するのに、世界中からビートルマニアやトリビュート・バンドが集まるこの
イベントはタイミング的にも打ってつけのチャンスだったようです。

International Beatle Weekのメイン会場であるAdelphi Hotelでは、8月30日、
定期的に新しいリマスター盤の試聴会が行われ、私達も行ってみました。
曲によっては、過去のバージョンの音のバランスに慣れているからか、違和感を
感じるものも一部ありましたが、全体的に靄が消えて、はっとさせられるくらい
際立ったヴィヴィッドな音質です。
忠実な耳コピをする方には、新たな音の発見があるかもしれません。アナログと
このリマスター盤の両方揃えられれば理想ですね。

試聴を終えて、その足でMathew Street Festivalのステージをいくつか回りま
した。
まずはWilliamson Squareに設置された、80'sモノのトリビュート・バンドを
フィーチャーしたステージ。
大勢の観客で賑わい、ビーチボールがポンポン飛んでいる中、Madonnaのコピー
バンド<Vogue>が演奏していました。
見る角度によっては、結構見た目もよく似ています。歌も本格的です。ホンモノ
に近づくために、きっとこのシンガーも相当鍛えているんだろうな、と感心して
しまいました。

次は、博物館の隣に設置されたTunnel Stage。
ここは、ロック系のトリビュート・バンドのステージで、私達が行ったときには、
Guns N' Rosesのコピー<Guns 2 Roses>がプレイしていました。
圧倒するほどの観客の数で、とてもステージに近づける状況ではなかったので、
遠目で楽しみました。Axl RoseやSlash役も、よく雰囲気がでています。
まもなく大粒の雨が降り出しましたが、多くの人々はその場に残り、パフォーマ
ンスを楽しんでいました。

その後、The Cavern Clubへ。
お目当ては、International Beatle Weekで今年リヴァプール・ライブ・デ
ビューを果たした、日本のオール・ガールズ・バンド<The BlueMargarets)。
ライブの前に、リヴァプール公演用に作られたポスターのリンクを友人や知り合
いに見せると、「これは面白そう、見に行きたい!」と話題性と前評判も上々。

足を怪我して歩けない状況だった知り合いの某ロック・フォトグラファーは、
「撮りに行けるものなら行きたい〜!」
と言いながら泣く泣く断念。非常に残念。

前日にBlue Angelでの演奏を見た友人たちは、
「ファンタスティックだったよー。彼女達がステージに上がると、他のバンドの
ときとは比にならないくらいの凄い歓声で、観客はすっかり彼女たちの虜だった
よ!」
とエキサイトしていました。
(ちなみにこの友人達は、メンバー個々の名前まで覚えてました!)

会場は満員で高密度、温度と湿度でむわっと高い中、なんとか擦り抜けてステー
ジ前にたどり着きました。
私のとなりには、アスプレイズのバッジをつけた地元のオジサンとそのお友達が
陣取っていて、
「ブルーマーガレッツはね、すでに数回見てるんだよ。ちなみにアスプレイズは
ね、去年からチェックしてるよ」
と自慢げに語っていましたが、どうやら他にもリピーターが結構いたみたいです。

ビシッときまったスーツ姿の4人がステージに上がると、割れるような歓声が湧
きました。
何がすごいって、元気いっぱいでキュートなルックスに負けない、しっかりとし
た演奏力。観客も大喜びで、大合唱していました。
フルセットが終わった後も圧倒的なリクエストで、アンコールを3曲披露。

彼女達がリヴァプールで、着々とファンベースを固めているのが分かります。
日本出身/ニュージェネレーション/ガールズ/しかもファブなBlueMargarets
が、Beatle Weekに爽やかな旋風を巻き起こしたことは間違いありません!

The BlueMargarets: http://www.bluemargarets.co.uk

♪ ♪ ♪

8月31日、Hard Days Night Hotelへ。
The Beatlesの名盤『リヴォルヴァー』のアルバム・ジャケットを手掛けたアー
ティスト、そして腕利きのベーシスト(John LennonのソロやPlastic Ono Band
にも参加)としても知られるKlaus Voormannの新作の除幕式が行われました。
アーティスト紹介は《Merseybeat》紙の創始者であるBill Harryが。
そして、写真家であり故Stuart Sutcliffeの恋人でもあったAstrid Kirchherr
も出席していました。

作品の名前は、<The Liverpool Rascals>(=リヴァプールのいたずら小僧た
ち?)。
名前の通り、メインのファブフォーのナチュラルな表情の傍らに、ふざけたメン
バーの面々が描かれています。これも、メンバーを良く知るKlausならではだと
思います。
また、中央には、古い写真やメモが見えますが、一瞬コラージュかと思いきや、
これらもすべて手描きです。ぺろっと貼られたセロテープまでリアルに見えま
す!

この作品は、ホテルのラウンジの壁に設置されています。ラウンジも、まったり
とお茶をしたり一杯飲みたいときにはおススメのスポットです。

Hard Days Night Hotel: http://www.harddaysnighthotel.com/

♪ ♪ ♪

その後、急ぎ足でDerby Squareへ。
Mathew Street Festivalの野外ステージのひとつ、Derby Square Beatles Stage。
現在はヴィクトリア女王の銅像が建っているこの広場ですが、1230年代から
1700年代までLiverpool Castleという名のお城があった場所です。
その昔、ジョン王によって小さな村だったリヴァプールに自由都市のステータス
が与えられ、交易拠点およびアイルランドやウェールズへの侵略をにらんだ軍事
拠点として建てられたこのお城は、マージー川を見下ろす小高い丘の上に位置し
ていたといいます。今は、丘は切り崩されて平地になっています。

そんな歴史のある場所に設置されたBeatles Stageの上から、大勢の観客を前に
演奏するというのは、どんな気分なんでしょうか。
そこに日本を代表するビートルズ・トリビュート・バンド<The Aspreys>が登場
しました。

ここでも観客の間を掻き分けて、ステージ前へと向かっていく途中、Aspreysの
Tシャツを着たフォロワーも見られました。
さすが、International Beatle Week、2度目の出演。

ビッグステージで、物凄い数のオーディエンスを前にして、堂々と貫禄のあるパ
フォーマンスを披露。
観客も一体となって盛り上がっていました。アンコールでは、異例の「ドーモ、
ドーモ、ドーモ、ドーモ!」コールが湧き、メンバーはステージ中央に集まって
「緊急ミーティング」(笑)。
最後まで素晴らしいステージでした。

緻密でソリッドな演奏の合間のMCが、とても人間味あふれていて、チャーミン
グで、リヴァプールの観客にとってThe Aspreysは、すっかり「メイト」になっ
たことと思います。

The Aspreys: http://music.geocities.jp/theaspreys/

「ゲイシャ・ビートルズ」&「サムライ・ビートルズ」の強力なコンビネーショ
ン。またのリヴァプールでのパフォーマンスを心から楽しみにしています!

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
Hope Street FEAST 2009
9月20日(日)午前11時から午後5時まで。Hope Streetは今年も、フード・
ドリンク・音楽・パフォーマンス・マーケットストールでいっぱいのストリー
ト・パーティーとなります。
また、Philharmonic Hallでは、オープン・デーが開催され、さまざまなコン
サートが無料で観られます。目玉は、若く才能溢れるロシア人指揮者、Vasily
Petrenkoの率いるRoyal Liverpool Philharmonic Orchestraのコンサート。
詳細はこちらから。
http://hopestreet.co.uk/2009/09/hope-street-feast-2009-full-details/

それではまた再来週。

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish163_photo.html ≫


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▼スカウスハウス・ニュース
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リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください!
フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。 
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium.htm


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スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
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スクールLILAとも提携しています。
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を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
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*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週は、《International Beatle Week》と《Mathew Street Festival》の写真を掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish163_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」に関連した写真を掲載しています。著者
のステラさんに提供していただきました。ぜひご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo392.html 


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