October 06 2009, No.394
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」6
 ▽ゴールドフィッシュだより <No.164>
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

こんにちは。
今週は通常どおりのNLWをお届けします。
緊急メッセージのみとなった先週号の発行後は、たくさんの方からお見舞いのご
連絡をいただきました。とてもうれしく、励みになりました。ありがとうござい
ました。

故障したコンピューターは、修理に出して3日後に戻ってきました。
修理店からは「データはすべて消えてます。まっさらの状態にしてお返しします
ね」と言われてがっかりしていたのですが、開けてみるとあら不思議!? 
以前使っていた2つのドライブのうちの1つに入っていたデータが、まるまる生
き残っていたのです。
地獄に仏というか九死に一生というか、七転び八起きというか悪運が強いという
か…なんだかわかりませんけど、信じられないようなミラクルです。タイムアッ
プ寸前の劇的同点ゴール、といった感じでしょうか。
とにかくほんとうに助かりました。おかげですぐに元どおりの業務を開始するこ
とができました。

それにしても、コンピューターが故障してしまうと、なんにもできないものです
ね。修理に出している間は、まったく仕事になりませんでした。
でも、「仕事にならないんじゃあしょうがないよなー」と開き直って、ゆっくり
過ごすことができて、それはそれでよかったです…。

● ● ●

来年8月にリヴァプールで行われる<International Beatle Week 2010>に出場す
るビートルズ・バンドの募集をスタートしました。
出場を希望されるバンドは、 info@scousehouse.net までお問い合わせくださ
い。折り返し詳細をご案内いたします。
(件名は「Beatle Weekエントリー希望」とし、メール本文には、バンド名と簡
単なプロフィール、代表者のお名前・住所・電話番号をご記入ください)

                          ― Kaz(06/10/2009)


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▼寄稿:「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」(6)
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「夢をかなえて ― Anfield再訪の旅」 / ステラ

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo394.html ≫ 

【アートな時間とMelwood訪問…Liverpoolを満喫♪】

23日土曜日。Liverpool滞在2日目。
今日は、12時に現地スタッフのミナコ・ジャクソンさんとWilliamson Squareで
待ち合わせ。試合のチケットを受け取る手筈になっています。その後、出来れば
Melwoodの練習場に行ければいいかな…と考えていました。

出掛ける前にまずは腹ごしらえ!
朝食ルームに行くと、出窓にトースター、ホワイトとブラウンの2種類のパン、
ミルクとジュースが並んでいました。
James に遅くなってゴメン、と声をかけると、まだ上で寝てる人もいるから大丈
夫との返事。彼が紅茶とゆで卵を用意してくれている間、自分でパンを袋から出
してトースターで焼きます。このトースターがなかなかクセもので、あっという
間に焦げてしまうので油断大敵。

焼き上がったパンを食べているとJames がゆで卵を持ってきてくれました。キレ
イにゆであがっていたけど持てないくらいアツアツ! ハフハフしながらいただ
きました。何だかフツーのお宅の朝ごはんみたいです。

Jamesに『チケットは手に入れたの?』と聞かれたので、スカウスハウスという
エージェントに頼んでいて、今日受け取る予定だと伝えました。
『スカウスハウス? どこのエージェント?』
というので、日本人が運営していて、チケットの手配やリバプールへの旅行をア
レンジしていることを話しました。
『日本人なのにスカウスハウスっていうの? ヘェ〜』
と不思議そうでした。

そのうち、お寝坊さんの4人グループが降りてきました。どうやら彼らもリバ
プールファンのようです。
ここには他に、カナダから来たという親子と、ちょっと年の離れたカップル(?)
のファンも泊まっていました。

お腹も一杯になったところで、出発です。
今日もヒルズボロ記念碑の前で立ち止まり、供えられた花やメモリアルの灯を眺
めていると、いかついお兄ちゃんに声をかけられました。
『キレイな花だろ?』
『キレイだけど悲しいね〜』と答えたら、
『僕はいつもここの前を通るたびに祈りを捧げているよ』と言うのです。
『僕はアイルランドから来たキーロン、ここリバプールに住んで11年になるよ。
明日の試合は行くの?』
『モチロン!勝ちたいね〜』
などと言葉を交わして別れました。リバプールを愛するもの同士なら、言葉や国
籍の壁はグッと低くなりますね。

バス通りまで来ると、角にあるパン屋さんが目に入ってしまいました。むむっ、
これは素通りできない…! 
パン屋とお菓子屋が大好きな私は、ついフラフラと引き寄せられてしまいました。
とりたててオシャレというわけではなく、ご近所のパン屋さんです。オバチャン
2人で切り盛りしてて、出来立てのパンやサンドイッチ、パイなどを顔なじみの
お客さんが買っています。
私も一口大のアップルパイとアーモンドのタルトを買ってみました。エネルギー
が切れたときの補給用です。

スタジアムの前からシティーセンターに向かう17番のバスに乗りこみます。
なんだか、ここに住んでいるみたいな感覚です。バスは昨日のタクシーとは違う
ルートを辿り、途中やや寂れた雰囲気のエリアも通りました。閉まっているパブ
もちらほら…。英国のパブが経営難で閉店に追い込まれているという記事を最近
見かけたばかり。その影響はリバプールにも波及しているのかも知れません。

そうこうするうち、バスはシティーセンターに到着。待ち合わせまでに時間が
あったので、The WalkerArt Gallery に行くことにしました。
前回来たときはクローズしている部屋もあったのですが、今回また回ってみて、
思いの他多くの展示室があることが分かりました。
ルネッサンス期から17世紀オランダ絵画、18世紀のゲインズボロやレイノル
ズ、ラファエル前派にロマン派、印象派、現代アートに至るまで充実していて、
1時間くらいで回るのは勿体ないくらいでした。

まず一番見たかったRossettiの『Dante’s Dream』のある展示室に直行、さらに
その周辺の作品をゆっくり見て回りました。
Rossettiは、詩人ダンテと彼の永遠の女性ベアトリーチェの関係をテーマした作
品を幾つか描いています。この絵は、ダンテが、最愛の人ベアトリーチェが永遠
の眠りにつく姿を夢に見ている場面を描いています。参列者の緑の装束は希望を、
春の花には清純さを、赤いハトには愛を、ケシは眠りと死を象徴するといわれて
います。
そして、ここで永遠の女性像として描かれているのはMorrisの妻Janeyなので
した。眼を瞑ったJaneyは、夢見るような表情と謎めいた美しさをたたえていまし
た。

以前はよく美術館に足を運んでいたのに、最近はそんなゆとりも全然なし。ここ
に来てやっと絵を眺める時間が持てたのは、ホント〜にありがたいと思いました。

お土産の絵ハガキを物色しているうちに時間になってしまい、慌ててオフィシャ
ル・ショップに向かいます。
ミナコさんとはこの時初対面でしたが、一度会ったら忘れられない、ユニークで
元気が弾けているような方でした!

まずは試合のチケットを受け取って確認します。何があってもこれだけは死守し
なくては(大げさ)。ミナコさんは気さくな方で、日本語で喋れる安心感もあり、
このときの私には神様のように思えました。
何でも聞いてください! というお言葉に甘えて、色んなコトをお願いしてし
まったのですが、この日の最大の収穫は、Melwoodトレーニング・グラウンドへ
の行き方をインフォメーションの人に聞いてもらえたことでした。
事前にtamaさんから地図を借りて、大体の位置は把握していたのですが、バス
の路線(12・13番)とバス・スタンド(6番)を確認してもらえたのは大助かりでし
た(インフォメーションには、バスの各路線のルートと時刻表を載せたリーフ
レットがあり、とっても参考になります)。

何かあったら連絡くださいね〜との心強い言葉を胸に、ミナコさんと別れ、いよ
いよMelwoodに向かいます。試合の前日なので多分午前中は練習があるだろうし、
お昼を過ぎても誰かしら居残っているだろうと踏んでいたのです。
ルートマップを見るとMelwoodまでは結構な距離。バスの運ちゃんに『Melwood
に行くよね?』と尋ねると、『教えてあげるから』とのお返事。安心して乗り込み、
買ってきたタルトを試食してみました。ちょっと甘さがくどかったかな〜。

車窓の風景は様々に移り変わり、買い物客で賑わっている通りもあれば、この辺
りはちょっと寂れているかも…というエリアもあれば、この辺はミドルクラスっ
ぼいかな? みたいなエリアもありました。途中West Derbyだったと思います
が、なかなか壮麗なゴシック風の建物が見えて、時間があれば降りたいくらいでし
た。

20分ほどバスに揺られて、Melwood Driveを過ぎると、右手に高い塀に囲まれた
一角がみえてきました。もしかして運ちゃんたら、声をかけるのを忘れてたので
は…? 慌てて一つ先のバス停で降りました。
道なりに戻っていくと、赤ユニ姿のサポーターとおぼしき数人が、シティーセン
ターに向かうバスに乗り込むのが見えました。もしかして、もう選手は帰っちゃっ
て、出待ちはお開きになったのかも…。

挫けそうになりましたが、はるばるこんな所まで来たからには、この目で確かめ
なきゃ帰れません。ダメもとで行くだけ行ってみようと思い直しました。
トレーニング・グラウンドを囲む塀は延々と続いていて、なかなか入り口が見え
てきません。思わず『まだかよ〜』とぼやいてしまいました。と、その時、かな
りのスピードで走り去るBMW とすれ違いました。
あっ、もしかして選手では…?
でも一瞬のことで顔は確認できませんでした。さらに塀に沿って進むと、わずか
な扉のすき間から中を覗き込むファンの姿が。まだ誰かが残って練習しているの
かも知れません。そして、やっと、見覚えのある建物の入り口が見えてきました。
やった〜っ!
門の所には沢山のファンの姿!

地元っ子らしき少年少女から、お父さん世代まで、はたまたヨーロッパからの
ツーリストやアジア系まで、人種も年齢もさまざまなファンが集まって、それぞ
れ確保した場所でシャッターチャンスを待っているようでした。思い切って来て
みて良かった! 期待にムネがドキドキです!

ほどなくして、1台の黒い車が出てきて止まりました。たちまち取り囲むファンた
ち。運転席にはルーカスの姿!
ファンたちはそれぞれ持参したユニや雑誌、ポートレートカードやサイン帳を差
し出し、2ショット撮影を試みようと必死です。余りの熱気に圧倒されて、ボー
ゼンと眺めてしまいました。
けっこう時間をさいて、根気よくサインに応じていたルーカスでしたが、ほどほ
どのところで切り上げて帰って行きました。

続いて出てきたインスーアとマスチェラーノは、一旦停止して軽く一瞥しただけ
で去って行きました。
しかし!
何と次に止まってくれたのは、密かに○―さんと共に熱く応援しているファビ
オ・アウレリオでした!
ケガで戦列を離れることが多く、地味な存在だったアウレリオ。でも、バレンシ
ア時代に光るプレーを見せていた彼のこと、いつか開花するだろうと、地道に応
援していたのです。そして今シーズン、彼は重要な試合でキッチリ仕事をしてく
れました。ここで彼に会えるなんて、今年1年分の幸運が巡ってきたのかも知れ
ません!

この時運転席の反対側にいた私は出遅れてしまい、サインを求めるファンの姿を
撮ったりしていました。でも、せっかく時間をヤリクリして来たことを思うと、
やっぱり手ぶらで帰るわけにはいきません!
思い切って鈴なりになったファンをかき分けて近づき、サインをお願いしました。
彼のサインは物腰同様とても丁寧で、はっきり読み取ることができます。堅実な
プレーを見せている彼らしいサインでした。そして、かなり時間をさいて、ほぼ
全員のサインや写真撮影に応じてくれたのです! 

ファンを大事にしているとは聞いていたのですが、まさかここまでとは思いませ
んでした。明日はぜひピッチで雄姿を見たいものです! 
初メルウッドでアウレリオと遭遇するなんて、早くもお腹いっぱい! 思わず日
本にいる○―さんに報告のメールを送ってしまいました!

ファンたちはまだまだ帰る様子はありません。日本からの2人組の女性とお話し
できたのですが、私が着く前に、ドッセーナやンゴグがサインに応じてくれたそ
うです。何とアルベロアは車から降りてきてくれたとか! 
そんな場に居合わせたヒトはホントにラッキーですね。でもこれ以上を願ったら
バチがあたりそう。あまり選手の私的な時間を割いてもらうのも悪いかなぁ〜と
思ったのですが、スルーの選手もいたので、もしかしたらサイン当番(?)のよ
うなものがあるのかも知れません。
ちなみにトーレス、アロンソ、アッガー、シュクルテルはスルーだったそうです。
ジェラードも私の前をサーッと横切って帰っていきました。

ファンの姿は少しずつ入れ替わり、近所から何かのついでに見にきたらしい親子
連れなども加わりました。こんなご近所に暮らせるなんて、ほんっとうに! う
らやましい限りです! お父さんに連れられて来ていた女の子は、ユニにサイン
をしてもらって嬉しそうにしていました。
また、中には分厚いポートレートカードのファイルを用意してきて、目当ての選
手の写真にサインを貰っているヒト、ロゴ入りの白紙のカードにサインを貰って
いるヒトもいました。2人とも年季の入ったサポーターのようでしたが、サイン
を貰うコト自体が目的みたいで、何か違うような気もしました。

ただ、私自身、次はないかも…と思うと欲が出てしまったのは事実です。その後
も4時頃まで粘って、アシスタントコーチのペジェグリーノにサミー・リーコー
チ、ラファ、そして最後リエラにサインをしてもらい、幸せ気分でメルウッドを
後にしたのでした。

結局メルウッドには3時間近くいたのですが、強い風が吹いていてかなり寒く感
じられました。港街のためか、夕方の風は特に冷たく感じられます。秋から5月
頃までは、風を通さないジャケットやパーカーを用意したほうがいいかも知れま
せん。

この後、バスでシティーセンターに戻り、アルバートドックにあるTate
Liverpoolを見に行きました。
モダン・アートの展示が私にはとっても新鮮で、特にさまざまな人間のボディ・
イメージとダンス・ミュージックとを組み合わせた企画展はとってもユニークで
した!

クイーンズ・スクエアに戻る途中、Liverpool Oneにオープンしたキャラガーの
お店の2号店(Cafe Sports Express)を見つけたので入ってみました。
開放的な感じで入りやすく、キビキビと動く店員さんたちの対応もよかったので
すが、音楽がうるさかったのは残念でした。スピナッチのラビオリは1個1個が
かなりでかくて、まるでギョーザみたいです。これだけでボリューム満点! 
シーザーサラダにはバルサミコのドレッシングがかかっていて、ちょっと微妙な
味わいでした…。

B&Bに戻ると、Jamesがカナダから来たという親子サポを紹介してくれました。
定年後とおぼしきお父さんと、30前後くらいの青年です。マイクというその青
年は、スキンヘッドだけどとっても気さくで明るく、話しやすいヒトでした。

カナダからは7時間かかるけど、東京からはどう? というので、ロンドンまで
11時間、そこからまた3時間だょ〜といったら目を丸くしていました。彼のアメ
リカ英語っぽい喋り方は、とても聞き取りやすく感じられました。学生の頃アメ
リカのチャート番組を聴きまくったのが、ちょっと役に立ったかも知れません。

この夜から、部屋の割り振りの都合で、隣のJamesの自宅の空いている子ども部
屋を使わせてもらうことになりました。このことが、後でとんでもないハプニン
グを起こすとは思いもよりませんでした…。

●The Walker Art Gallery
 http://www.liverpoolmuseums.org.uk/walker/
 
●『Dante’s Dream』Dante Gabriel Rossetti 1871
 http://www.liverpoolmuseums.org.uk/walker/collections/19c/rossetti.aspx
 
●詩人ダンテとその婚約者ベアトリーチェのエピソードについて 
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%AE%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA
 
●Tate Liverpool
 http://www.tate.org.uk/liverpool/
 
(つづく)

 ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo394.html ≫


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第164号 / It's Happening in Hope Street! (Part 1) ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish164_photo.html ≫

こんにちは。
あっという間に9月が過ぎ、10月がやってきました。寒い夏でしたが、10月に
入って一段と寒さが増しているリヴァプールです。

さて、9月もイベントで盛りだくさんの1ヶ月で、まるで欧州文化首都やバイエ
ニアルが戻ってきたかのような勢いでした。

9月15日から5日間に渡って行われたLiverpool Biennialの環境プロジェクト
《Urbanism 09》。
http://www.art-it.asia/u/liverpool/JcfElSgYKD1xaXtNq4Ui?lang=ja

翌週には、FACTが中心となって行われた映像&デジタルアート・フェスティバ
ル《Abandon Normal Devices (AND) Festival》、そしてANDフェスに付随して今
年も《The Long Night》イベントが行われました。
http://www.art-it.asia/u/liverpool/NC3JufasEG5k10wbmH8B/?lang=ja

また、ピア・ヘッドでは、音楽とアートに続いての《On The Waterfront》シ
リーズ第3弾、《Film On The Waterfront》が開催され、白黒の古きよき映画が
建設中のMuseum of Liverpoolの大きな窓に映し出され、寒空のした多くの人々
がクラッシック映画を楽しみました。

Walker Art Galleryでは、大御所のBridget Rileyの展覧会《Flashback》が開
催。
http://www.art-it.asia/u/liverpool/6hw3UiAL8lpozVQMN7TD/?lang=ja

などなど。他にも、ホープ・ストリートやボールド・ストリートで地域活性の
フェスティバルも開かれました。

♪ ♪ ♪

今週と来週の2回に分けて、先月にホープ・ストリート界隈で起こった、イベン
トや出来事をお伝えします。

9月20日・日曜日のホープ・ストリートでは、毎年恒例となった《Hope Street
Feast》が開催され、昨年より更にパワーアップし、大々盛況で終わりました。
《Liverpool Food & Drink Festival》の最終日ということもあり、路上には沢
山のフード・ストールや、ファーマーズ・マーケットが並び、そのほかアート&
クラフト・マーケットや音楽、パフォーマンスで溢れていました。
町内会のお祭りの域を超えた贅沢なラインアップで、私達も半日めいっぱいエン
ジョイしてきました。

Philharmonic Hallではオープン・デーが開かれ、入場無料でRLPO(ロイヤル・
リヴァプール・フィルハーモニック・オーケストラ)をはじめとした、クラッ
シック音楽のコンサートが楽しめました。
つい最近2015年まで契約を延長し、チーフ・コンダクターに昇格したばかりの
ロシア人指揮者Vasily Petrenkoによる、迫力満点のベートーベン「運命」を
鑑賞。

ストリートでは、ユース・シアターのHope Street Limitedが<Big Nosh>という
テーマで様々なパフォーマンスやインターヴェンションを展開。
ピンクのカツラをかぶって通りかかりの人々にちょっかいを出すインフォーメー
ションデスクのギャル達、Philharmonic Pubの2階バルコニーから大きな
ティーポットでお茶を注ぐ「ハイ・ティー」。ハードマン・ストリートのカフェ、
Quick Chefの前にステージを組んで、芸者風のメイクアップや出で立ちで観客
をもてなす「スロー・シェフ」など。
また、4つの仮設ステージが設けられ、そこでもパフォーマンスやライブミュー
ジックが繰り広げられました。

何といっても、今回の目玉はDeaf Schoolの復活ライブ。
Deaf Schoolといえば、疑いなくレジェンドと呼ぶにふさわしいバンドで、NME、
Q、Mojoなどの音楽雑誌を手掛けた音楽ジャーナリストでライターのPaul Du
Noyer氏(次号で詳しく紹介します)も著書『Liverpool: Wondrous Place』の
中で、次のように述べています。

「リヴァプールの音楽史全体において、最も重要な2つのバンド:ひとつはThe
Beatles、そしてもうひとつはDeaf School。彼らがリヴァプールにもたらした
影響は、現在も存在している」

Deaf Schoolは、John Lennonと同じアート・スクール出身で、1970年中盤に結
成されました。
マージービート衰退後の乾ききったリヴァプールの音楽シーンに新風を巻き起こ
しましたが、わずか3枚のアルバムを残して去っていった、まさに伝説のバンド
です。
その後、1988年と2007年に再結成ライブをしていますが、今年は結成35周年
を記念してEveryman Theatreで3日間の復活ライブを行い、すべてをソールド
アウトにしています。
アニヴァーサリー・ライブの会場がEveryman Theatreになったのは、彼らがバ
ンドを結成する出発点となったアート・スクールの立地するホープ・ストリート
で、というこだわりがあったようです。

パンク、ニューウェーブ、グラム、パブロック、アート・ロックと一言でジャン
ル分けしがたい独特のサウンドと、ドラマティックで華やかなライブ・パフォー
マンス。

彼らのエンブレムやロゴを目にし、凄いバンドだと耳にしていただけに、彼らの
ライブを体験できて、本当にラッキーです。
ステージ最前列でかぶりつきで観ていたのですが、息がぴったり合っていながら、
メンバー同士の間の並ならぬテンションの高さがビリビリと伝わってきます。

ステージ下では、伝説のクラブEricsでDJをやっていたNorman Killonがリズ
ムに乗りながら観ていて、一方、同じくEricsで写真を撮っていたFrancesco
Mellinaが地面に座りこんでファインダー越しにステージを捉えていました。

私の周りは、他にもEricsの常連で通っていたらしいDeaf Schoolフォロワーだ
らけだったのですが、一語一句歌詞を覚えていて大合唱している様子を見て、
ちょっと羨ましかったです。
取り巻きの1人のマダムが「今日は着くずしてるけど、本格的にライブやるとき
は、メンバーはみんなビッチリ決めこんでるのよ」と言っていて、次回のライブ
は絶対に観にいきたいと思っていたら、どうやら12月20日にクリスマス・ギグ
を行うそうです! 楽しみです。

このライブの一部を、旦那がビデオに撮ってアップしましたので、ご覧ください。
Deaf School at Hope Street Feast
 Part 1 http://www.youtube.com/watch?v=xL-6HMRGX_E
 Part 2 http://www.youtube.com/watch?v=lNzFIQgww8w

Deaf School website: http://deafschoolmusic.com/
Deaf School Myspace: http://www.myspace.com/deafschool

このライブで無料で配布されていた冊子<Deaf School Scrapbook>は、一生の宝
物にしたいと思います。

ホープ・ストリートのこれらのイベント、そしてPaul Du Noyer氏やDeaf
Schoolを通じて、この街のもつクリエイティブな底力に再び触れて、リヴァ
プールに改めて惚れ直した週末でした。

♪ ♪ ♪

こうしたイベントや、数ヶ月前にリヴァプール観光局が全国レベルで「カルチュ
ラル・デスティネーション」としてのホープ・ストリートのプロモーション展開
( http://www.visitliverpool.com/site/welcome-to-liverpool/its-happening-in-liverpool )
をしたりと順風万帆に見えるホープ・ストリートですが、8月末から9月初頭に
かけて、ちょっとした騒動がありました。

ホープ・ストリートのPhilharmonic Pubのすぐ隣に、巨大スーパーマーケット・
チェーンのテスコが出店する、という噂が流れ、Geekchicのイベント(次号で
お伝えします)でもインタビュアーを務めたMike Neary氏が、SNSサイトのフェ
イスブックに"There is just something plain WRONG about a Tesco on Hope
Street"(ホープ・ストリートでのテスコ出店は明らかに間違っている)という
名のグループを立ち上げ、出店反対を呼びかけました。

「カルチュラル・クオーター(文化地区)」として確立されたこのストリートに
できるということには、全くの場違いで納得がいかなかったため(ホープ・スト
リート沿いには、実はひとつもショップがありません。大きな看板を掲げた
チェーン店などもってのほかです!)、私達もこの反対キャンペーンに参加しま
した。近隣の既存の自営業のビジネスに影響が出ますし、それよりなによりテス
コは、現在シティーセンターに既に9店舗も増殖していています。

しかも、テスコの創設者でCEOはリヴァプール出身で、都市再生会社<Liverpool
Vision>の役員を兼任している人物。この地域を熟知しながら、このようなプラ
ニングするというのは、いかがなものか、と住民の怒りに油を注ぎました。

このキャンペーンの存在が地元新聞社の目に留まり、ニュースになったことも手
伝い、あれよあれよといううちに、グループは4000人以上に膨れ上がりました。
メンバーは、地域のビジネスや住民、リヴァプール市民だけでなく、英国内外の
人々にまで広がり、いかにホープ・ストリートが特別な場所であるかが分かりま
す。
ストリート沿いの建物の窓には、住民が率先して作った"No Tesco On Hope
Street"ポスターが貼られ、反対グループのメンバーの多くはテスコや市に異議
申し立てのメールを送り、最終的には、地元の政治家が本格的に動き出してテス
コの代表者と対話の場を持って説得し、結果的にテスコのホープ・ストリート出
店はめでたく白紙となりました。

テスコの代わりに、この物件は一体どうなるのだろうと思っていたら、Ladytron
のメンバーが経営しているカフェ・バー&クラブ<Korova>が引っ越してくる模様
です。
Philharmonic Hallでクラッシック、その斜向かいKorovaのステージで新鋭の
バンドがクロスし、一段と文化色の濃くなるホープ・ストリートです。楽しみで
す。

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
旦那が、ホープ・ストリート界隈のニュースをまとめたブログをスタートしまた
のでどうぞご覧ください。
Hope Street Blog: http://hopestreet.co.uk/

また、日本のアート・ウェブサイトのARTiTに、ミニArt in Liverpoolブログ
を立ち上げました。日本語と英語のバイリンガルでお届けします。
Art in Liverpool Blog at ARTiT: http://www.art-it.asia/u/liverpool/?lang=ja

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish164_photo.html ≫


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** Beatle Week 2010:出場バンド募集中! ******

スカウス・ハウスでは、2010年の<インターナショナル・ビートル・ウィー
ク>に、日本代表として出場するビートルズ・トリビュート・バンドを募集
しています。プロ・アマは問いません。
出場を希望されるバンドは、 info@scousehouse.net までお問い合わ
せください。折り返し詳細をご案内いたします。
(件名は「Beatle Weekエントリー希望」とし、メール本文には、バンド名と簡
単なプロフィール、代表者のお名前・住所・電話番号をご記入ください)


*** スタジアムへ行こう! ******

リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください!
フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。 
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium2009.html


*** リヴァプール語学留学 ******

スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
のサポートについても安心してお任せください。
http://scousehouse.net/study/index3.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週は、《Hope Street Feast》の写真を掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish164_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

寄稿「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」に関連した写真を掲載しています。
著者のステラさんに提供していただきました。ぜひご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo394.html 


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□■ 第394号 ■□

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 ◇編集 山本 和雄&ミナコ・ジャクソン
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