October 13 2009, No.395
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「Match Review - Liverpool v Debreceni」
 ▽寄稿:「Footballの旅」Vol.17
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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今週は2つのフットボールマッチ・レポートをお届けします。

まずはリヴァプール生まれで生粋のレッズ・サポーター、トム・カルダーバンクさ
んによるリヴァプールFCのマッチ・レポートです。
試合は、ホームで行われたチャンピオンズ・リーグの緒戦。相手はハンガリーの
デブレツェニ。UEFAチャンピオンズリーグ初出場のチームです。
格下にホームでまさかの大苦戦となったこの試合、トミーはどう観たのでしょう
か。いつものようにあまりにも名文なので(ほんっとうにスバラシイです!)、翻
訳せずに原文のままお届けします。ぜひ読んでみてください。

もう1本は、下村えりさんによるエヴァトンVSアーセナル。今季のプレミアシップ
開幕戦のひとつです。「Footballの旅」第17号としてお届けします。
今回もえりさんらしい、詳しいレポートとなっています。こちらは写真と一緒にお
楽しみください。

2本とも試合のすぐ後に執筆していただいた原稿なのですが、僕のほうの都合
で掲載がずいぶん遅くなってしまいました。すみません…。

                             ― Kaz(13/10/2009)


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▼寄稿:「Match Review - Liverpool v Debreceni」
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「Match Review - Liverpool v Debreceni」 / Tom Calderbank

  〜 Champions League Group Stage at Anfield,
                    Wednesday September 16th 2009 〜

Ahhh, Autumn 2009 in Liverpool. The bins are overflowing while workers
and management argue, The Beatles are topping the charts AGAIN (oh you
loveable moptops, will other bands ever come out of your shadow?), and the
mighty Reds begin another Champions League campaign. Turns out this was
an historic game: our 100th win in the European Cup, and Rafa's 300th in
charge. I have to say, though, that the stats will live on long after the
memory of this turgid, ground-out affair. Thank god for Dirk Kuyt for netting
us the winner. Got to love that dynamo of a man.

Not much to report on, really, that's how bad a game it was. Notable for me
as it was only the second time me and my brother were able to go the
match together. The last time was when we saw us play against Marseille,
when our kid warned me to watch out for their fast, predator of a forward by
the name of Didier Drogba....shows you how long ago that was. Normally,
we're too skint, and we only get 1 ticket, so only one of us gets to go; this
time, we both hitched a ride on the Yamamoto Express straight to the Kop
end! There's millions of Kopites around the world who would give their left
testicle to be where we were, so we're nothing if not grateful. Nice one
again, Kaz! Truly, this city has a friend in you and all who support Scouse
House (that means YOU, gentle reader)!

The best players on the pitch for us were Kuyt, Benayoun (my man of the
match for his fantastic work rate, dribbling and accuracy of his passes) and
Lucas. We should have had 4 or 5 goals in the first half, but we just didn't
have our shooting boots on. Torres seemed tired, almost like his heart
wasn't in it; he seemed to lack that spark we know and love. That day, I'd
heard he wants to do some celebrity chef thing. Hmmm. Now I'm not
denying his right to do an episode of 'Nando's Nachos', and I'm not about to
go all misty eyed over the bygone days of old, but can you really imagine
Shanks sanctioning any of his players doing shit like this? Harry Kewell doing
MTV's 'Cribs' was a clear indication of where the game's going. He should
have been shot as a warning to the others. Just my opinion, like.

Anyway. Back to the game.

It really seemed like it was a training match, and someone next to me was
saying 'get back to Melwood'. The Kop were strangely muted (for them), a
sure sign that all is not well on the park. The ref wasn't very good, one of
their players should have been sent off, and Stevie getting booked for taking
a quick free kick was a crap decision. That said, I reckon he got it right not
granting penalties.

Set pieces were as bad as ever; corners and free kicks need to be sorted
out before we get found out. It was as if they expected the other team to
lay down and die, which to give them credit, they certainly did not. As their
debut in the competition, Hungarian champions Debrecan gave a great
account of themselves. They came to Anfield and gave us a game, and could
easily have equalized towards the death. Their fans were excellent: we
stayed to applaud their players off at the end, and they applauded us as well.
Top fans, top club! Lyon and Fiorentina should watch out.

Our kid's verdict overall? It was shite and the way they played, they couldn't
score in a brothel. Come back Xabi, all is forgiven!

Still, the points are in the bag, as ugly as it was.

And that's the main thing in the beautiful game, eh?

END

Text by; Tom Calderbank, 20/09/2008


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▼寄稿:「Footballの旅」
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「Footballの旅」 / 下村 えり(Eri Shimomura)

 〜 Vol.17 Premiership
       - Everton VS Arsenal, 15 August 2009 〜

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo395.html ≫

【Introduction:はじめに】
日本では終戦記念日に当たるこの日、イギリスでは3ヶ月の沈黙を破って、
2009〜2010年のプレミアリーグの開幕です。
今シーズンもイギリスで行われる熱いフットボールの一戦一戦を、皆様にそのま
まお届けできるよう頑張ります。


【Premier League 09-10】
前シーズンは、マンチェスター・ユナイテッドが2位のリバプールに4ポイント
の差をつけて逃げ切り、優勝杯をものにした。しかし今シーズンはその原動力と
なったキープレイヤー、ロナルドがプレミアリーグから姿を消してしまった。そ
の他の上位チームも有名選手の入れ替えがあった。

今年もマンUが覇権を維持することが出来るのか、ロナルド抜きでどれ程の攻撃
力を見せてくれるのか、今年もまた、ファーガソンの指揮官としての手腕、マ
ジックが楽しみである。

その一方で注目されるのは、もう一つのマンチェスターのチームであるマンチェ
スター・シティー。アラブの大富豪をオーナーに迎え、プレミアリーグトップの
ファイナンシャルサポートが付いたわけだが、すぐに結果を残さない限り、2年
目のマーク・ヒューズ監督の先行きは暗そうだ。
アストン・ビラよりイングランド代表MF Garth Barry、アーセナルからはエース
のAdebayorと守りの要だったフランス代表Toureを獲得、ブラックバーンのFW
Santa Cruz、更にマンチェスターUTDからはアルゼンチン代表FW Tevezが移籍
となった。
昨シーズンとは全く違ったチームになってしまったことには異論もあるだろうが、
それはそれで面白いと思うし、どんなフットボールをするのか楽しみでもある。

【Today's View:今回の見所】
さて、本題に戻って、今日の2チームを簡単に追ってみよう。
まず、アウェイのアーセナル。
先ほどマンシティーの件でも触れたが、2008年アフリカのベストプレイヤーに
選ばれたAdebayorを25万ポンドで、守備で主将でもあったToureを14万ポンド
で手放した。
いずれもアーセナルファンにとってはショッキングな出来事だった。攻撃の起点
となるミッドフィールドの顔ぶれには変わりはないものの、アーセナルの華麗な
攻撃サッカーに異変がないのだろうか。振り返ってみると、アーセナルは先シー
ズンを含めてこの4年間、何のタイトルも取れてない。今年もタフなシーズンに
なりそうだ。

一方のホーム、エバートンだが、昨シーズンは惜しくもFAカップの座はチェル
シーに奪われてしまったものの、並みいるビックネームを押しのけ決勝までたど
り着いたのは快挙だった。
リーグでも堂々5位の成績を残すなど、ファンにとって納得の行くシーズンだっ
たに違いない。
しかし、これもまたマンチェスター・シティーがらみなのだが、ここ数シーズン
の快進撃の立役者とも言えるディフェンスの中心選手Lescottが“マンシティー
でプレイがしたい”と発言したことから、エバートンの内部が大きく揺れた。
もちろん、モイーズ監督は全否定、“今あるこのチームから一切、選手は出さな
い”と頑なに守りに入った。

エバートンの場合、金銭的にも恵まれた環境にいるとは言えず、スタープレー
ヤーやビックネームも存在しないクラブチームである。そのチームをいかにして
一つにまとめあげ、チームとして完成させるか。スタープレーヤーを揃えた上位
チームを叩くために、モイーズ監督はこの数年、情熱的とも言える闘志をグディ
ソンのプレイに掛けてきたのだ。それを思うと彼の気持ちも判らないではない。
Lescottの去就は今日の開幕戦に影響があるのか、今シーズンのエバートンは
どのようなフットボールを見せてくれるのか、じっくりと観戦したい。


【Goodison Park:グディソンパーク】
サンドヒルでサッカーバスに乗った時は最高のお天気だったのに、5分後にグ
ディソンに着いたときには、空は見事にグレー色に変わっていた。
しかし、グディソンは何時もわたしを気持ちよく迎えてくれる。スタディアムの
周りの装飾も少し変わり、新たな気持ちで今シーズンに望むエバートンの意気込
みが伝わってくるようだった。

スタジアム中に入るなり、横殴りの雨がピッチに襲う。まだ選手達の姿は見られ
ず、しばらく構内のキヨスク辺りをうろついていると、TVで昔のエバートンの
ビデオを放映していた。
それは2002年のアーセナルとの試合だったが、若き日のルーニーやアンリの姿
が目に入り、月日の流れの速さに改めて驚かされた。

席に着くと両選手達がウォーミングアップを初めていた。
エーバトンサイドは問題のLescottも元気な姿をみせてくれていた。怪我から復
帰したJoや人気のFellainiやSahaも見える。
アースナロの方にはやはり数週間前に怪我と発表されたWalcottや足の骨を
折ったNasriの姿はなかった。


【Kick Off:試合開始】
今日のプレミアリーグの開幕戦では、全てのピッチで、キックオフの前に先日惜
しくも癌でこの世を去ったSir Bobby Rosonを追悼した。
ついこの前までニューカッスルの監督として元気でインタビューに答えていた彼
の笑顔が思い出される。

(前半)
午後5時半、ゲームはエバートンのキックで始まった。いつもとは異なる開始時
間なのは、衛星放送の都合によるもの。このマッチのスポンサーESPNが生中
継するためだ。

最初は互いにフリーキック、オフサイドを繰り返し、安定しないまま20分が経
過する。
25分、エバートンMF Tim Cahillが両足を使ってアーセナルDF Gael Clichyへ
スライディングアタック。レフリーのホイッスルが鳴った。
アーセナルGK Manuel Almuniaがフリーキックを蹴り、ボールは連携し、美しい
アーセナルのパスワークが披露される…と思った瞬間だった、アウトサイドボッ
クスからいきなりMF Neves Denilsonがシュート。左コーナーのネットに突き刺
さった。
0−1。グディソンにため息が漏れる。

先制されたエバートンは目が覚めたのか、点を取り返そうと前に出る。しかし
ミッドフィールドでボールが流れ、ジレンマが続く。

29分から30分も安定したアースナロの攻撃は続き、再びCahillがファウルを犯
す。今度はDenilsonへの醜いチャレンジで、MF Francesc Fabregasがフリー
キックを蹴った。
MF Robin Van Persieがボールを走らせるが、エバートンDF Joseph Yoboがブ
ロック。ルーズボールをアーセナルMF Andrey Arshavinが上手く拾って、コー
ナーからネット目掛けてシュート。しかし蹴ったコースも甘く、エバートンGK
Tim Howardにセーブされた。

35分、エバートンはDF Leighton BainesがFW Nicklas Bendtnerにタックル。
またも不必要なフリーキックをアーセナルに与えてしまう。
Van Persieが蹴ったボールはインサイドボックスまで流れ、DF Thomas
Vermaelenの素晴らしいへダーが決まる。
0−2。アウェーサポーターが座るLower Bullensスタンドの一角が縦に大きく
揺れた。

アーセナルがリズムに乗り、好調な動きでピッチを支配する。
ホームのエバートンとしてはこれを打破し、彼らのリズムを崩さない限り、得点
にも結びつかない。いずれのゴールも相手への不用意なファウルからの失点だ。

どうしても前半終了までに1点を取り返したい、ホームのファンの誰もがそう
願った40分過ぎ、またもやアーセナルのゴールが決まった。
なんとこれも、DF Joseph YoboによるVan Persieに対する強引なファウルが原
因だった。Van PersieのフリーキックがFabregasへ渡ると、美しいクロスが
ゴール前へ。それをDF William Gallasが上手く頭で合わせて、3点目。0−3。

一瞬、グディソンは希望を失ったかのような大きなため息に包まれた。
ホーム・サポーターにとっては残酷なことに、アーセナルの一方的な攻撃と美し
いゴールで前半が幕を閉じた。

(後半)
3点のビハインドは大きいが、先シーズンのエバートンであれば取り戻せないこ
ともないだろう。
モイーズ監督はこのブレイクになんと選手達を励ましたのか。果たして気持ちを
上手く切り替えて後半に臨ことができるのだろうか。
不安と期待が交差するファンの息遣いの中で後半が始まった。

しかし後半開始直後から観衆の期待は見事に裏切られることになった。
アーセナルのゴールがまたしても決まった。47分、今日もアシストに徹し美しい
ロングパスを連発していたFabregasが、Van Persieからのクロスをボックス内
で上手く併せると、ボールは右下コーナーに納まった。0−4。

57分、エバートンは選手交代に出た。
MF Leon Osmanを下げてFW Louis Sahaを投入。鋭い動きが殆ど見れなかった
FW Joao Alves Joをに代えてDF Jack Rodwellを、DF Tony Hibbertに代えてDF
Dan Goslingをピッチに送り込んだ。

61分には入ったばかりのRodwellがアウトサイドボックスからシュートを打つが、
惜しくも右に逸れる。
63分、初めてボールに触れたSahaがドリブルでゴール前に斬り込むが、アーセ
ナルのGallasにボールを奪われる。

そして試合開始69分、信じられない5点目がアーセナルに入った。
GK Almuniaからのフリーキックから、Fabregasが素晴らしいドリブルでエバー
トンのディフェンス陣を潜り抜け、見事なゴールを決めた。0−5。
ゴール後自陣に戻った彼は、先日若くして亡くなったスペイン代表のチームメイ
トJarqueの名前が入ったシャツを掲げて、このゴールを彼に捧げた。
さすがに5点もアウェイチームの得点が重なると、グディソンの客席は静かにな
るだけでは済まない。ファンたちは次々と席を立ち、およそ3分の1の群衆がグ
ディソンを去ってしまった。

試合は終盤を迎えるが、ゴールへの執念はまだまだ続く。
5点目が入るとさすがにアーセナルベンチもFabregas、Van Persieを下げ、若
手FW EduardoとMF Aaron Ramseyを投入。

そして88分、投入されたばかりのEduardoのゴールが決まる。
チームメイトArshavinのシュートがポストに当たって大きく跳ね返り、そのこ
ぼれ球を拾ったEduardoのサイドフットがジャストミート。0−6。ダメ押しの
6点目。

アーセナルの得点劇は何時まで続くのかと思った矢先だった。91分、待ちに待っ
たエバートンのゴールが、Sahaによってついに導かれた。1−6。
グディソンに歓声が沸き起こるが、アウェーサイドからもなんとお情けの拍手が
送られていた。


【Ending:試合終了】
結果、エバートンはホームでの6失点、辛いスタートで幕を閉じた。
一方のアースナロはAdebayor、Toureの存在を忘れさせるかのような素晴らしい
チームワークで得点を重ね、輝かしいスタートを切った。

以下、両監督のインタビューで締めくくらせてもらいたい。

David Moyes監督(Everton)
「今日はいいところが全く出せなかった。選手全員揃っての練習期間も短かった。
また一からやり直し」

Arsene Wenger監督(Arsenal)
「まだ初戦。1ゲームではなんとも言えないが、今日のゲームから我々のフット
ボールへの情熱やプレイの質の高さはわかってもらえたと思う」
「どのポジションからも得点でき、チームが一つになってゴールを勝ち取った素
晴らしいゲームだったと思う。チャンピオンズリーグも控えているが、とにかく
前向きに1戦1戦頑張りたい」


【おまけ】
余談ではあるが、この試合の9日後である8月24日、エバートンDF Joleon
Lescottのマンチェスター・シティーへの移籍が決まった。移籍金は24万ポンド。
エバートンは彼の大きな穴をどうやって埋めていくのだろうか。

(Fin)


≪マッチ・データ≫

 EVERTON 1 - 6 ARSENAL
  Goodison Park, Saturday 15 August 2009 17:30,
  Premiership 09-10
           
             エバートン        アーセナル
 ゴール       1(Saha90+2)   6(Denilson26, Vermaelen37,
                  Gallas41, Fabregas48, 69, Eduardo88)
 ターゲットショット    5              9
 コーナーキック      4              9
 ファール         12              14
 オフサイド       6              4
 イエローカード      0               0
 レッドカード        0              0
 ポゼッション       47.4%            52.6%
 
 Team Line-ups
 Everton: Howard, Hibbert (Gosling 58), Lescott, Yobo, Baines,
      Pienaar, Fellaini, Neville, Osman (Saha 58), Cahill,
      Jo (Rodwell 58).
 Subs Not Used: Nash, Vaughan, Baxter, Duffy.
 Goals: Saha 90.

 Arsenal: Almunia, Sagna, Vermaelen, Gallas, Gibbs,
      Fabregas (Ramsey 72), Denilson, Abou Diaby, Arshavin,
      Bendtner (Eboue 63), Van Persie (Eduardo 72).
 Subs Not Used: Silvestre, Mannone, Prez, Gibbs.
 Goals: Denilson26, Vermaelen37, Gallas41, Fabregas48 69, Eduardo88.

 Attendance(観客数): 39,309

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo395.html ≫


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