February 23 2010, No.407
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼寄稿:「The eeeeeeeeerrrrrrrrrrm match!」 ▽寄稿:「アロンソに会いたくて」(5) ▼寄稿:「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」(11) ▽スカウスハウス・ニュース ▼今週のフォト ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▽フロム・エディター ――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 今週は寄稿を3本お届けします。 まず、ミナコさんのお友達のアーティストJayneさんが、先日行われた<UEFA Europa League>のマッチ・レポートを寄せてくださいました。 アンフィールド育ちのJayneさんは熱狂的なレッズ・サポーターで、7歳のとき にひとりでKOPスタンドで観戦していたこともあるそうです。 タイトルの「The eeeeeeeeerrrrrrrrrrm match!」の意味を、ミナコさんに訊い てみました。以下はミナコさんの答えです。 > 「Erm....(エーーーム)」ってカズさんもこっちの人が言うのをきいたこと > があると思いますが、「えーーっと」みたいな意味です。 > なので、このタイトルはそうですねえ、「え〜。。。。という感じのマッチ」 > という感じでしょうか。それほど素晴らしいマッチでもなく、なんともいえ > ないみたいな。 ついでに、文中に登場するBovrilについてもミナコさんに訊いてみました。こん なドリンクだそうです。 > Bovrilは、ビーフエキスで、マーマイトみたいに瓶に入っているんですけど、 > こっちの人はお湯で溶かしてホットドリンクとして飲んだり、スープストッ > クとして使ったりしています。特にフットボールのマッチ前やハーフターム > に暖をとるためにポピュラーなドリンクです。 > http://en.wikipedia.org/wiki/Bovril なるほど。僕はぜんぜん知りませんでした。アンフィールドではビールしか飲ん だことがなかったですし…。 Jayneさんの文章は、年季の入ったサポーターらしく、愛情とユーモアとちょっ ぴりのアイロニーが込められた素晴らしいレポートになっています。 お友達のStevenさんが撮影した写真と一緒に、ぜひご覧ください(ちゃんと Bovrilの写真もあります!)。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ● ● ● 次に、連載第5回となるAnneさんの「アロンソに会いたくて」。今回はついに、 世界じゅうのフットボール・ファンが注目する「エル・クラシコ」のレポートで す。 カンプ・ノウ・スタジアムはおよそ10万人収容といいますから、アンフィールド の2倍から2.5倍ということになりますね。そんな恐ろしい規模で行われる年に 一度の大一番を、さすがはAnneさん、いつものチャーミングな文体でイキイキと レポートしてくださいました。こちらも写真とあわせてご覧ください。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ● ● ● 最後は、ステラさんの「夢をかなえて ― Anfield再訪の旅」です。11回目の今 回が、ついに最終話となりました。 前にも書いたことがあるかもしれませんが、僕はステラさんの文章が大好きです。 特に、ステラさんが旅をしている間ずっと自分を見つめているところには、とて も共感できます。 見聞を広めたり余暇を楽しむことももちろんですけれど、旅のいいところは、自 分自身を見つめる時間を持てることだと思います。 普段は仕事や生活で忙しくてなかなか難しいけれども、旅先では、仕事や日常生 活を離れた「素の自分の姿」と向き合うことができると思うんです。自分を知る ことって大切ですよね。日常から離れた場所だからこそ、見えてくるものもある のではないでしょうか。 でもまあ、そういう僕の場合はというと、自分を見つめている時間よりはぼ〜っ としている時間のほうがずっと長いんですけど。 ステラさん、素晴らしい旅行記とたくさんの写真をありがとうございました! http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ― Kaz(23/02/2010) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▼寄稿:「The eeeeeeeeerrrrrrrrrrm match!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「The eeeeeeeeerrrrrrrrrrm match!」 / Jayne 〜 UEFA Europa League Round of 32, 1st Leg at Anfield, Thursday February 18th 2010 〜 ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ≫ As a lifelong Liverpool fan, I'm 35 so that's quite long, born and bred in Anfield this season has been my toughest by far! I grew up a kopite, all the kids by ours went initially to be part of the excitement that was match day. If you can imagine that for a lot of us the build up began when the police horses would appear at the bottom of our street, horses! That was quite a thing for us inner city dwellers and was one of my favourite parts, legging it down to get a closer look, marvelling at their size and stature, they were like giant horses to us. The game was accessible then, as long as you didn't mind the jostling and queueing for up to three hours before to get in, We loved it. Now is a different story as we know and due to living out of the city for the past ten years and ultimately being priced out of going the trip to the game is no longer available every week. Getting these tickets was a real treat. The game itself was approached with a feeling of mixed emotions as none of us have really come to terms with being knocked out of the Champions League. But this season, beggars cant be choosers and there is slow coming to terms with the fact that this year...we're just not very good! We now know how it feels to be a blue!! As the game unfolded, the crowd, which swelled above expectation proved the love is still there and at the end of the day we all just want to see our team win and the singing began. After a decent start at a high tempo we soon began noticing things like, the fact that it was cold, the hat on the fella in front and the varying styles of warm up techniques by Liverpool and Unirea subs! Hence, our minds were wandering! For the final ten minutes of the first half I thought about hot Bovril at half time and would we chance queueing for one and missing the first five minutes of the second half! Think that's says it all really. Attacking the kop end in the second half we hoped for the best...oh well, we have to dream! The game grew more and more frustrating and certain members of the crowd became occupied in amusing themselves with derogatory shouts aimed at Dirk Kuyt who was playing on the right side and unfortunately for him was an easy target as he was having a particularly bad game. Him and Rierra had a shocker! The ray of hope came when Babel came on and put a spark into the game with a couple of good runs but that soon faded although I still think he did well when he came on. Another lift was the introduction of Pacheco, a firm favourite with the crowd already (he even had a chant!) and he set up the goal for Ngog. There was a frustration to the game, we lacked that punch and creativity that has been missing all season and apart from Carra and Mascherano we were all huff and puff. A frustrating game in a frustrating season, but we still follow and we still believe because that's our job! Call us crazy, but a life of a fan can't be all good (apparently!). We'll hang in there and support until the end. We are Liverpool and we have to turn this around. We have a chance for a trophy and we really want this so hopefully it will be a better game next week when they (Unirea) have to play. So, on a rainy cold night in Liverpool we shivered and shouted and in the end we got the win and we must keep telling ourselves we'll be alright. Those American owners have a lot to answer for and are hated here as much, maybe even more than our blue neighbours! And that's saying something! On a positive note, we got the half time Bovril and it was good!!!! Text by; Jayne ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ≫ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▽寄稿:「アロンソに会いたくて」(5) ――――――――――――――――――――――――――――――――― NLW □ 「アロンソに会いたくて」 / Anne ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ≫ ■第12話《今夜はエル・クラシコ》■ いよいよ今夜はエル・クラシコヽ(^○^) 私が観光をしている間に、ナチャの手元にはチケットが届いてました。 (?_?)・・・ チケットに書かれた数字の意味が分らな〜い! エッサウィラさんの説明書と睨めっこです(¨ ) 英語じゃないってこんなに簡単なことさえも苦労しちゃうんですね。 外は大雨(;¬_¬)! 雷だ〜ヽ(。_゜)/ レインコートやタオルを用意しなきゃ! 全く雨は止む気配なし。 ちょっと悲しい・・・止んでくれないかなあ・・・(+。+;) スペインのスタジアムって屋根がないんだよね。 これじゃあずぶ濡れになっちゃうよ。 雷雨の中をカンプノウに出発です(⊃_⊂。) でも皆さん、心配無用!!! 「そこは晴れ女です(⌒^⌒)b」 カンプノウに到着するころには雨もやんでくれました〜! 通り雨だったんだね。 「こうなるはずよねヾ(´▽`;)ゝ」 「神様、ありがとm(._.)m」 10万人近い観客が入れるスタジアムだよ〜! すご〜い人! 人! 人! 「入口? 入口? 入口?(゜゜;)(。 。 ;)」 「何階まで上がって行ったらいいの?」 間違えたらたいへん。 スタッフにチケットを見せて「ポルファボール!」 またまた「ポルファボール!」確認作業を続けましょ( ^‐^)_ やっと座席に到着!!! 「わあっ(☆o☆)! 高〜い!」バックスタンド側。 「ここって何階(/゜ο゜)/?」 「2階なのかなあ・・・」急な勾配で見やすいスタジアム!!! 「あっ! モザイク用の紙だ!!!」 私が掲げるのは赤い紙だね。 選手がアップを始めた〜(ё_ё) 「アロンソだ〜ヽ(∇⌒ヽ)(/⌒∇)/ きゃーきゃー!」 他にもレアルマドリー、Cロナウドが間に合ったんだね。カカもいるよ! バルセロナはもちろん、メッシ、シャビ、イニエスタ! イブラヒモビッチ(^o^)/ プジョルだ〜! Dアウベスだ〜! まだアップなのに写真撮りまくりな私(*^o^)(^O^) 実は春に、次回のフットボール観戦のためにと新型のカメラを購入。 リヴァプールのアロンソを撮りたかったんだけど・・・(´▽`;) そしてアップも終了。 あんなに雨が降ったのに、ピッチには水がまかれてる。 パスサッカーには重要なんだよね。 ついに歓声と聞きなれたイムノ(応援歌)と共に選手入場( ^o^)/ 小さな子供達が並んで撮影。 WOWOWで見る光景が続いてる。 イブラヒモビッチはベンチスタートなんだあ。 ベンゼマとラウールもベンチスタートだね。 耳を劈く歓声! 試合開始のホィッスル(^з^)ピー! となりのお兄さんはひまわりの種をパクパク! あっ! Cロナウドがプジョルをブッチギリ〜!!! バルセロニスタ達はビールを飲みながら何だか大きな声で 「○×△□・・・○×△□・・・\(+_<)/」 食べていたひまわりの種の皮は足元にポロポロ('〇';) ビールの紙コップも・・・あれ!!! 捨てちゃった〜(^v^")/ バルセロナの選手がファウルを受ける度に手を振り上げて怒鳴るお兄さん! 「リーガエスパニョーラの風景だ〜o(^^o) (o^^o) (o^^)o」 またまたSラモスからカカへ! 「レアルマドリー、何だか凄くいいよ!(^。^)b」って感心してると、 メッシがドリブルで抜けてアンリへ! そしてシャビ 「シュート!!!」 イニエスタがファウルを受けると立ち上がって大きな声で抗議するおじさん!! これもWOWOWで見てきた光景だ〜(゜□゜) レアルマドリーが調子を上げてきて、試合は緊迫の試合に!!! 点数が入らなくても試合は面白い(^_^ ) ( ^_^) レアルマドリーを応援してるわけではないけど、 そっと心の中で呟く私。 「アロンソ頑張れ〜p(^^)g」 Cロナウドがファウルを受けてフリーキックだ(。_。) 凄〜いブーイング<('o')> 壁に当たる〜! こんどはイニエスタからシャビへ・・・わぁ〜! 「シュート!!!」 カシージャス押さえる! さすが「聖カシージャス(^。^;)」 メッシのドリブルに白いユニが5人も集まってる〜。 アロンソはシャビを押さえてるね。パスだけじゃないよ(*^o^*) カカ! カカ! カカがCロナウドへパス! Cロナウドはシュート!!! 「バルデス止めた( ^_^)/」 何だかレアルマドリーが押してるよ〜(°o°) アルベロアもDアウベスにプレッシャー! Lディアッラのメッシへのプレッシャーも半端ない! アンリがオフサイド。スタジアムにため息が響いてる 「(^。^;)ふう」 アルベロア、メッシを止めて「イエローカード!」 レアルマドリーでこんなに活躍してるアルベロア。 「ちょっぴり複雑ヾ(´へ`)」 シャビからアンリ! そしてイニエスタ 「シュート。。。。。。●」 カシージャス、また止めた〜(゜〇゜;)」 ■第13話《試合はいよいよ後半へ》■ 0対0のままハーフタイム。 心を落ち着けて「セルビシオ」に行きましょ! 英語でrestroomです(∩_∩;) ここでカンプノウを訪ねてみたい皆さんに大切な情報です! カンプノウのトイレ。ペーパーがそれぞれの個室にないです(>。≪) 忘れて駆け込まないでくださいね。 洗面の横に大きなロールペーパーがあるよ。ここでペーパーをカットしてくださ いね。 まあ、他の場所では日本と同じセルビシオでしたけれど・・・ クラシコ記念には? 外で面白いマフラーが売られてました。 「アンチマドリニスタ100%」だって( ^o)ρ! エル・クラシコならではだよね!!! みんな熱〜い(;゜〇゜) さあ、後半ですよ〜\(⌒∇⌒) イブラヒモビッチがアップを始めたよ。 白いユニでアップを始めたのは・・・ ベンゼマ? ラウール? ゴール裏の熱狂は半端じゃないね〜! 10万人近いバルセロニスタの声援にはアッカン(; ゜゜) そしてついに「ズラタ〜〜〜ン~(^◇^)/」 スタジアムの叫び! 叫び! 叫び! アンリと交代しました。 「見たかった〜! だって彼がアヤックス時代・・・ そう、あのヤングアヤックスって呼ばれて強かったアヤックスのイブラヒモビッ チが好きだったんですf^^*)」 イブラヒモビッチとディフェンスラインの駆け引き! 面白くなってきたよ。 バルセロナが攻め込んでる。 「ヤバいよ〜! レアルマドリー!」 わあ(◎o◎)! ヤバいのはバルセロナ!!! レアルマドリーのカウンター攻撃! Cロナウド→→→カカ→→→イグアイン!!! シュート☆○(゜ο゜)o プジョルが身体張った〜o(”>_<) Dアウベスがフリーだよ! って思ったら彼からのボールにイブラヒモビッチがディフェンスの前に飛び出 す〜゜O゜). 左足でダイレクトに 「ゴ〜〜〜ルヽ(∇⌒ヽ)(/⌒∇)/」 「イブラヒモビッチ-( ^_^)/-------◎」 スタジアムは歌声が響くよo(^^o) (o^^o) (o^^)o でも、ブスケスがハンドでイエロー2枚目 「退場―――!」 バルセロナ10人でレアルマドリーが攻め始めた。 さあ、ベンゼマ登場! Cロナウドに代わってだあ。 バルセロナはケイタに代えてトゥーレヤヤ。 メッシがドリブルで抜く抜く抜く!!! ぺぺがメッシを止めてイエロー!!! バルセロナ、フリーキック! ピケがヘディング! 「ウォー(;゜〇゜)」一斉に聞こえるため息! ベンゼマもやっと「シュート!」 こんどはラウールだ! アルベロアと交代だね。 「メッシやDアウベスとのマッチは大変だったよね。お疲れ様(*^-^*)ゞ」 「先発メンバーだったのは嬉しかった(^0^)」 レアルマドリーは攻め続けてる。バルセロニスタは気が気じゃないよね。 コーナーキック! ラウールからベンゼマへ! ベンゼマはシュート! また、コーナーキック! ラウールがシュート! 久々にボールはバルセロナ。 メッシ、シャビ、イニエスタ!!! メッシ!!! 抜けてシュート!!! カシージャス、足で止める〜(°◇、°) 「聖カシージャス(;^_^A)」 Lディアッラがシャビを止めて「ファウル!」 2枚目のイエローで「退場!!!」 時間が経つのが早いね(°σ °) 残りはロスタイムの3分・・・ スタジアムはもうバルセロナの勝利を後押し。 レアルマドリーがボールを持つと「ブーイング」 ファウルがあると「わぁー!!(;`O´)o/」 マフラーも振り回されてる\(^_\)(/_^)/ 「終了!!!」 スタジアム中に響く歓声(*^o^)/\(^-^*) イムノが流れて、大きなお人形たちも踊ってるへ(^^へ)(/^^)/ 「ついに終わっちゃったね〜<(゜。゜) 」 少しの間茫然・・・ ズラタンのゴールでバルセロナが勝利したエル・クラシコ! バルセロニスタは満足そうにスタジアムを後に地下鉄の駅の方へ・・・ スタジアム前の広い道路も人! 人! 人! なかなか進むことが出来ません。 バイクのエンジンの爆音(°o°)ゝ 通りのバルもバルセロニスタで一杯!!! 男性だけじゃない! 女性も、子供も、おじいちゃん、おばあちゃんも・・・ 「アロンソ・・・ありがと・・・(*^-^*)」 「ここまで来ちゃったよ! あなたの活躍を観たくて・・・」 「ついに観戦したよ(^-^)g 世界中が注目するエル・クラシコ!」 帰るとナチャは当然結果を知っていて、 ビールを飲みながら試合の話で盛り上がりました〜!!! もちろんナチャだってバルセロニスタで〜す! そして、ナチャは自分の夕食の「肉だんごと野菜のスペイン風煮込み」、 ナチャが日本で覚えた白いご飯。 スペインのお米で炊いて、焼き鮭まで私に分けてくれました〜! 2人で勝利を祝って乾杯(^O^)/C□☆□D\(^_^ ) でも、ナチャは知っているんです・・・ 私が本当はリヴァプールサポーターだってこともね(^_-)-☆ (つづく) ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ≫ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▼寄稿:「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」(11) ――――――――――――――――――――――――――――――――― NLW □ 「夢をかなえて ― Anfield再訪の旅」 / ステラ ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ≫ 【旅の終わりに】 26日火曜日。 とうとう帰る日が来てしまいました。長いようであっという間の一週間。 来たときにはずっと続くように思えたお休みも、残すところあと半日です。 今日ここを離れてしまったら、またいつ戻って来られるか分からないし、東京に 帰ればやらなきゃいけないコトが山積み…そう思うと、動くのもかったるいし、 荷物の整理もつい滞りがちになってしまうのでした。 でも、正直なところ、連日の移動や英語でのやり取り、安全の管理などでかなり 疲れも溜まっていました。やっぱり1週間くらいで切り上げるのがちょうどいい のでしょう。名残惜しいぐらいがいいって言いますもんね。 チェックアウトを済ませた後、ホテルに荷物を預けて出かけました。 出発まで時間があったので、午前中にWallace Collection、午後にはVictoria and Albert Museumを回ってみようと考えていました。どちらもこれまで訪ねる チャンスがなくて、今回こそはと思っていたのです。特にVictoria and Albert Museumでは、Morris関連の展示をぜひ見たいと思っていました。 ところが、この頃から、移動の疲れと一昨日の冷えがジワシワときき始めていまし た。いつも地下鉄では座らなくても平気なのに、今日は席を見つけて座り込むと、 立ち上がれないくらいの疲労感に襲われました。 やっぱり最終日だからどっと疲れがきたかなぁ〜? この時点ではノンキに構えていたのですが、地下鉄Bond Street駅から7分程度 の距離が、ひどく遠く感じられました。そしてやっとの思いでManchester Squareの向かい側に立つWallace Collectionに着きました。 ここは、元はHertford侯爵の舘でしたが、遺言によって国に寄贈され、いまは国 立の美術館として一般公開されています。展示されているのは17〜19世紀の フランスやオランダ、スペインの絵画、彫刻、陶器類や装飾品がメインです。 意外だったのは結構たくさんの西洋・東洋の武器が展示されていたこと。外観や 内部の上品な設えからすると、ちょっと意外でした。 建物自体や中庭のカフェ、それぞれの展示室のインテリアまで、すべてが高貴な 美しさにみちていて、観ごたえあるものばかり。とても午前中だけで回りきれる ものではありませんでした。 写真撮影はNGとのことだったので、なるべく印象的な絵画だけでも目に焼き付け て帰ろうと思ったのですが…。 だんだん体がダルく、熱っぽくなってきて、見学者用の椅子に座りこんでしまい ました。そのまま見事な細工を施した鏡や置時計、肖像画などを眺めるフリをし て、ひと休み。ヤバいコトになってきました。。。 せっかくここまで来たからには、せめてFragonardの『ぶらんこ』と、Frans Halsの作品だけでも見て帰りたい。でも、だんだんお腹もヘンな具合になって きてる…やっぱり深夜のロックアウト事件が響いたのかも知れません(汗)。 何とか気合いを入れて、大好きなHalsの絵がある上のフロアを見て回りました。 初めてイギリスに来たとき、 National Galleryで『ドクロを持つ青年』を見て から、彼のざっくりしたタッチと風刺の効いたテーマに惹かれました。 オランダ絵画のなかではさほど有名ではありませんが、力強くストレートな作風 には観る人を惹き付けるものがあります。去年のナショナルギャラリーの企画展 を見に行けなかったことが心残りで、せめてここにある作品は見て帰りたかった のです。 展示されていたのは『笑う騎士』という作品。人がよさそうでありながら、プラ イドの高さも感じられる肖像画でした。やっぱり私はこういうキャラクターがに じみ出ている絵が好きなんだと実感しました。 この美術館のもうひとつの見所は、展示室ごとに装いを変えるみごとなインテリ アです。 多分、来客を迎える部屋とか、催しを開く部屋といった本来の目的に合わせて、 それぞれの部屋のインテリアもしつらえてあるのでしょう。 ある部屋は、深いグリーンで落ち着いたイメージであったり、また別の部屋では 深いレッド、淡いピンクやゴールドが使われて、華やいだ雰囲気になっていまし た。そうしたトーンとカーテンや調度品がみごとに調和しているのです。 こんなステキなお屋敷を、気前よく一般公開にしてしまうその懐の深さは、大し たものだと思いました。 さて、この後も気力を振り絞ってVictoria and Albert Museumに回ったのですが、 倦怠感が限界にきていて、もう展示を見るどころではありませんでした。 せめてミュージアム・カフェだけでも拝んで帰ろうと思い、やっとの思いで身体 を運びました。 美しいステンドグラスやレリーフを施した円柱、シャンデリアが飾られたカフェ は、観るだけでも価値があるもので、たくさんのお客さんで賑わっていました。 荷物を席に置いて、紅茶とスコーンを買いにいったのですが、相当疲れて口も回 らなかったみたいで、ダージリンを頼んだハズが、ジャスミンティーが出てきま した。 席に戻ると、確保したつもりだったのに、ちゃっかり年配のご夫婦が座っている ではありませんか。でも、私も疲れて他を探す気力もなかったので、相席で座ら せてもらいました。 このご夫婦の喋るアクセントがなまってるかな? と思ったら、ドイツから来ら れているそうでした。奥さんの身体があまり丈夫でないため、なかなか遠出がで きなくて、初めてのイギリス旅行だそうです。 ダンナさんはSONY製のカメラを持っていて、私が持っていたカメラ(RICOH製)に も興味津々でした。 お2人の記念写真を撮ってあげて、代わりに私も写真を撮ってもらいました。 数少ない自分の写真なのに、体調が最悪なときのショットだったのは残念です。 この期に及んで食い気だけは残っていた私は、しっかりスコーンを平らげました。 外側はサックリ、中側はやわらかで、クロッテド・クリームとオレンジ・ママ レードとの相性もピッタリ。ひさびさに美味しいスコーンに出会えた感じでした。 日本で売っているスコーンは堅すぎるものばかりで、なかなか本来の食感が味わ えないのです。旅の最終日はかなりツラかったけど、締めくくりにこのステキな カフェでティータイムを過ごせたのは幸いでした。 さて、楽しかった1週間のお休みも終わりに近づいてきました。そろそろ帰らな くては。重い腰を上げて、出口に向かいました。 せっかくここまで来たのにVictoria and Albert Museumはまたしてもお預け。 その他にも行けなかったスポット、果たせなかったことが色々浮かんできました。 次に来るときの宿題がまた出来てしまいました。それに何より、次こそは Liverpoolの優勝に立ち会うという悲願を叶えなくちゃ。 早くも思いは先へと向かって行きます。今はまだ、タワゴトでしかないこのプラ ンも、いつかきっとカタチになる日がくる。 夢を叶える強い気持ちあればきっと…。 澄んだ空にそびえるミュージアムにしばしの別れをつげて、私は歩き始めました。 またいつかここに戻って来る日をめざして。 ここまで長い旅日記にお付き合いいたただいてありがとうございました! 旅慣れていなくても、英語がイマイチでも、自分のやりたいことを実現したいと いう強い気持ちがあれば、どこかで道は開けるもの。そんな見本のひとつにして いただければと思います。まあ、時間と資金も必要ですが、夢を叶えるためなら、 頑張る甲斐もありますよね? 私事になりますが、私は4年前病気に罹り、治療のために1年半ほどの時間を費 やしました。気力も体力も消耗する毎日のなかで、希望と励みを与えてくれたの は、いつかまたAnfield 再訪を果たそうという夢でした。 その夢を叶えるまでにはさらに様々な紆余曲折がありましたが、ついに実現でき たことは本当にありがたく、心からいま健康であることに感謝しています。 夢の実現にチカラを貸してくれたり、応援してくれた友人たち、Liverpoolのサ ポーター仲間たち、職場のF先輩と上司のNさん、お世話になっている病棟の皆さ ん、お休みを許してくれた患者さん、スカウス・ハウスのカズさんとミナコさん、 旅のアドバイスをしてくれたtamaちゃんと○―さん、そして私の我儘を聞いてく れた家族に、心からの感謝を伝えて、この旅行記を終えたいと思います。 これからAnfield に行こうかどうしようかと思っているアナタ、どうか勇気を出 して、夢を叶えてくださいね! You will never walk alone! (おわり) ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ≫ ●「夢をかなえて― Anfield再訪の旅」バックナンバー● 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 1】 http://scousehouse.net/magazine/magazine387.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 2】 http://scousehouse.net/magazine/magazine388.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo388.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 3】 http://scousehouse.net/magazine/magazine389.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo389.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 4】 http://scousehouse.net/magazine/magazine390.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo390.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 5】 http://scousehouse.net/magazine/magazine392.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo392.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 6】 http://scousehouse.net/magazine/magazine394.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo394.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 7】 http://scousehouse.net/magazine/magazine397.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo397.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 8】 http://scousehouse.net/magazine/magazine398.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo398.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 9】 http://scousehouse.net/magazine/magazine401.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo401.html 【夢をかなえて― Anfield再訪の旅 10】 http://scousehouse.net/magazine/magazine404.html http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo404.html ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▽スカウスハウス・ニュース ――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □ *** 新ガイドツアー「ロンドン特別編」スタート ****** 好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、 新しくスタートさせました。シャーロック・ホームズゆかりのスポットを案内す る「ホームズ・ツアー」と、ちょっと怖い「ロンドン・パブ・ツアー」です。 ディープなロンドン体験をぜひ! http://scousehouse.net/beatles/guidetour_london2.html *** スタジアムへ行こう! ****** リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください! フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。 詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。 http://scousehouse.net/football/stadium2009.html *** リヴァプール語学留学 ****** スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。 公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学 スクールLILAとも提携しています。 長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間 を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。 スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後 のサポートについても安心してお任せください。 http://scousehouse.net/study/index3.htm *** ビートルズ・ガイドツアー ****** リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン ジしています。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧 ください。 http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm *** 原稿募集中 ****** NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。 旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英 国に関するものなら何でも歓迎です。 お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▼今週のフォト ――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □ *** 今週のフォト・アルバム ****** 寄稿3本に関連する写真を掲載しています。ぜひご覧ください。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo407.html ■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *** 毎週火曜日発行 *** □■ 第407号 ■□ ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス) ◇編集 山本 和雄 ◆Eメール info@scousehouse.net ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/ ◆お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。配信 の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。 ◆まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000065878.htm ◇めろんぱん http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000917 ◆カプライト http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/3487.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2010 Scouse House |