March 16 2010, No.410
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「アロンソに会いたくて」(8)
 ▽寄稿:「Footballの旅」 <Vol.20>
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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ボブ・ディランのコンサートに行ってきました。
5回行われた大阪公演のうちの3日め、会場はZepp Osakaでした。ライヴハウス
としては大きいんでしょうが、2000人以上のオーディエンスがまさにぎゅうぎゅ
う詰めでした。
ほとんどの人はステージがよく見えず、息苦しさを我慢しながらのディラン体験
だったはずです。
それに加えて、開場前から整理番号順に並ばなければいけないので、トータルで
は3時間くらい立ちっぱなしです。決して若者とはいえない世代が大半を占めて
いることを考えると、よく病人が出なかったものだという気がします。

今までどおりホールでやるとか、ライヴハウスでやるにしても入場者数を少なめ
にするとか、主催者にはもっとお客さんのことを考えてほしいなあと思ってしま
いました。
ええと、でも、ラッキーなことに僕自身はほぼ問題ないポジションで観ることが
できたので、あんまりエラそうなことは言えないんですけど…すみません。

しかしディラン&バンドの演奏は、そうしたマイナス条件を忘れてしまいそうな
くらいに、良かったです。

ご存知かもしれませんが、ディランのライヴでは、披露される曲のすべては、レ
コードやCDとは違ったアレンジで演奏されます。原形をとどめていないことも珍
しくありません。
イントロでは何の曲かわからず、ディランが歌い始めてもまだわからず、サビの
部分でようやく、「もしかしてあの曲?」と気がつくなんてことはしょっちゅう
です。知ってるはずなのに最後までわからなかった、なんてこともあります。
有名なナンバーでもまったくの新曲のように新鮮な気持ちで聴くことができると
いう意味では、なかなかユニークです。1曲たりとも油断できません。

僕が個人的に印象に残ったのは、最新オリジナル・アルバムからの<Jolene>、そ
してその1つ前のアルバムからの<Thunder On The Mountain>でした。
この2曲は、特別にドライヴしていたように感じます。50年近いキャリアのある
ディランが、新しいナンバーをイキイキと演奏し、それが聴く者のハートにビリ
ビリと響いてくる。なんと素晴らしいことでしょうか。
ボブ・ディランは伝説なんかではなく、現役のミュージシャンなのです。これか
らもずっと。

そうそう、<Like A Rolling Stone>もちゃんと歌ってくれましたよ。

 どんな気がする?
 どんな気がする?
 ただの自分であることは
 帰る道もわからず、
 誰にも知られず、
 転がる石になるってことは

このサビの部分を聞きながら、18歳のころの自分を思い出しました。
親元を離れ、自分ひとりで生きていこうと一歩を踏み出したころです。まるで俺
のテーマソングだな、なんて思ったものです。
この歌が何十年も変わらずに支持されているのは、やはり同じように「これは自
分の歌だ」と感じる人が多いということなんでしょうね。
18の自分が立っていた場所からはずっとずっと遠くまで来てしまったけれども、
やっぱり今でも、転がらない石よりは転がる石でいたい、と思います。

もうすぐ70歳になろうとしているディランですが、体調も機嫌も良さそうでした。
1985年のトム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズを伴っての来日以来、来るたび
にコンサートに足を運んでいますが、ディラン本人がしゃべるのを今回初めて見
た気がします。
いや、しゃべったといっても、アンコールの途中でバンドのメンバーを紹介した
だけなんですけどね。それでもすっごくびっくりしました。一瞬、何が起こった
のかわからなかったほどです。
次は僕らに「サンキュー」って言ってほしいなあ。

                          ― Kaz(16/03/2010)


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▼寄稿:「アロンソに会いたくて」(8)
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「アロンソに会いたくて」 / Anne

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■第21話《充実のバレンシアも3日目》■

さあ、朝は市場からスタートです。たくさんの果物に迷いますねえ( ¨)( ‥)
「決めました!」今朝はイチゴを1パック。
そして近くのカフェでカフェオレもテイクアウト。

実は、エクスペディアで予約の時、朝食のことに気がついてませんでした( ;^^)
四つ星ホテルが安く予約出来たのでひとまず安心!
チェックインの時に初めて、朝食なしのプランだって気が付いた訳です(^◇^;)
でも、新鮮なフルーツの朝食だって魅力的でしょ(^_-)-☆

今日は、まずバレンシアCFオフィシャルショップに行ってみよう!
サッカー観戦が目的の旅なのに、まだ訪ねてなかったよね。
市街のショッピングセンター近くにもあるらしい。
こちらのショップは大きなデパートのすぐ近くだから、お買い物の人でいっぱい
かも・・・

ホテルから5〜6分位あるくと・・・
「ありました〜(^_^)/」
すぐに見つかりましたよ。
だってウィンドーはオレンジ色のグッズで一杯!
「嬉しいなあ〜o(^-^)oワクワク」
「どんなものがあるのかなあ〜」

店内に入ると、
「えっ??? お客さんがいない・・・」閑散としてます。
すぐに目につくのはバイクや自転車!
「へえ〜バイク! サポーターはバイクもオレンジなんだあ(^。^*))」
生活に使われるものもずら〜り。
「でも、お客さんがいない・・・(゜゜;)」

きっと今日が平日だからだよね。
FCバルセロナのメガストアでは買い物が出来ない位人で溢れてたんだから、
「今日はゆっくりお土産を選べるじゃん・・・(;°°)」

バレンシアCFのカラーはオレンジと白とそして黒。黒を基調にしたグッズはかな
りカッコイイですね。
「よし('◇')、シルバ君へのお土産は決めた!」
バレンシアCFの黒いグッズから選ぶことにしました。
黒いグッズならサポーターじゃなくても使いやすいデザインが多いですね。

「今日も良いお天気\(●~▽~●)! ショッピングだけじゃもったいない!」
次は昨夜なっちゃんから教えて頂いたとおりバスに乗って海へ行こう!
「だってバレンシアの海は地中海だよ! 海岸をゆっくりお散歩しよ
うへ(^^へ)(/^^)/」
それに港の方に行くとF1のバレンシア市街地コースもあるよね。
「見てみた〜い!」
シーズンオフだから入れるらしい!

シティセンターのバスターミナルから32番のバス!
1.25ユーロだって!
海が見えてきたらブザーを押して合図すればいい。日本と同じなんだね。
降りたら目の前は海岸ってことは言葉なんて必要ないよね(^o^)
「よし( ̄^ ̄)! バスに乗っちゃおう〜!」
ドキドキ・・・

無事に運転手さんにコインを渡して、席に座って落ち着いたよ。
バスの中を見渡してみる。
「ブザーってどこ???」
「見つからな〜い」
椅子の周りをキョロキョロ(。_。 ) ( 。_。)
「どこ(゜゜;)(。 。 ;)???」
急に焦っちゃいます。ブザーが見つからないなんてo(><)O

「ありました〜! 出口の手すりに黄色いブザー!!!」
「ホッ(*^。^*)」
降りたい時には立ち上がって出口まで行かないとブザーを押せないんだあ。
いつも感じるのは、日本って至れり尽くせりなんだってこと!
日本の良さも再確認出来ちゃいますね。
これで安心。あとは海が見えたら降りま〜すヽ(´-`)/

ブザーを押してバスを降りると・・・
「海だ〜!(°-° )/」「地中海だよね〜!」「海岸は広〜い!」
「12月だよ! 泳いでる人がいる(εoε)))!!」
でも、Tシャツで大丈夫なくらい日中は暖かい毎日です。
「ワンちゃんも楽しそう〜!」
海岸を走り回ってるワンちゃんやゆっくりお散歩してるワンちゃん。

海を眺めてるとカメラを手に持ってる男性に声をかけられました。
彼もひとり旅らしくて、写真を撮ってほしいらしいです。
海岸のホテルをバックに「ハイ! チーズ!」
青い海をバックに「ハイ! チーズ!」
そうしてカメラを渡すと彼が「ダンケシェン(^_^ )」

お〜! ドイツ語です!
「ドイツから来たのですか?」聞いてみました。ドイツ語で???
イエイエ(^_^ ) ( ^_^)、もちろん英語です(^^;ゞへへ・・・
彼は「イエス」「あなたはどちらから?」
不思議ですね。英語圏じゃないと何だか英語が使いやすい。
英語が出来ない私としては嬉しい気持ちになっちゃいます。

夢中でどんどん歩いちゃってます。
新しく購入したカメラも観戦以外に大活躍。
どこまでも続く海岸・・・
遠くに見える黒い雲がこちらに近づいてきました。
「あ〜○(゜ο゜)o、バレンシアの海岸と美しい地中海、見上げると空には虹
が\(⌒∇⌒)!」

「ヤバい(゜□゜)こんなに遠くに来ちゃった〜(゜_゜;) 戻るのが大変!!」


■第22話《ちょっとウロウロし過ぎちゃて!》■

そろそろ引き返して、
「さあF1のコースへ行ってみよう!」
あの港が見えてる方に海岸沿いを歩けばいいはずだよね。
「広くて広くて遠いなあ('◇';ゞ・・・」
あまりの景色の美しさに時の経つのも忘れて歩いちゃったんだもの。
来た時と同じ距離を戻るしかないよねo(><)O

遠くに見えている港。歩いても歩いても中々辿りつけません。
途中、観光客相手らしいレストランもあるよ。
「お腹が空いたなあ(゜o゜)」
でも、最近は観光客相手のお店だと冷凍のパエリアも多いらしい。
「冷凍なんてダメです(>_<。)」食事は諦めて港を目指します。

「お〜っ( ゜゜)/」
テレビでも見覚えのあるF1のコース!!!
またまた夢中でパチリ(^^ )( ^^)パチリ!!! 写真に夢中!
サッカーだけじゃなくてモータースポーツも大好きな私です。
「感激(..)(^^)(^。^)(*^o^)(^O^)!」
特にMoto GPはとても好き。
モータースポーツ好きなスペイン人です。
バルセロナのナチャとはサッカー以外にMoto GPのお話でも会話が弾みました!
1シーズンにスペイン国内だけで3ヶ所もレースが開催されるんですよ!
日本はF1もMoto GPも1ヶ所だけですよね。

気がつくと
「お腹が空いたよ〜(-_-)」
「そういえばまだ本場バレンシアのパエリアを食べてないで〜す!」
シティセンターへ戻らなくちゃヾ(>y<;)/
地図を確認すると港の近くに地下鉄の駅があるよ。
ここから地下鉄でシティセンターに戻ればいいよね。
地下鉄ならもう経験済み。
「な〜んだ、簡単V(^0^)」

「地下鉄の駅ってこの辺りなんだけどなあ・・・」
通りでお仕事してる男性がいます。「尋ねてみよう!」
いつもの様に地図を指して「ポルファボール」
これでOKだったはずなのに・・・何だかダメらしい・・・
だって首を横に振ってるもの?(_。)

地図でシティセンターを指してみました。
そうしたら私が歩いて来たバス停のある方を指してるよ!
「まさか!(°-° )/! 『あそこに戻れ』じゃないよね」
目の前には別のバス亭があるよ。「ここのことかも(^_^)」
私も指して「オートバス?」って確認。
彼はこんどは頷いてる。
「グラシアス!」って道路を渡ってバス亭の方へ・・・

「ええっ( ̄□ ̄;)!!」
前から来た別の男性が怒鳴るような声でさっきの男性にまくし立ててる〜!!!
「何なの〜(°°;))」
2人は私を真ん中にしたまま、話し合いを続けてる!
「何なのよ〜(T.T )( T.T)オロオロ」

暫くするとやっと結論が出たみたい。
さっきの男性がもう一度遠く私が歩いてきた方を指して何か言ってる。
数字みだいだけど「分らない〜┗(-_-;)┛」
そんな私の表情を察して携帯電話を取り出したよ!
そして彼が携帯電話のディスプレイを利用して見せてくれたのは「32!」

「32???」
海岸に来る時に乗ったバスの番号です。ってことは・・・?
「戻るしかない(;´д`) トホホ!」
「グラシアス(=_=)」
ちょっとがっかり。だけど、優しい2人の男性に心から感謝です。
後でなっちゃんに話したところ、港からの地下鉄は地図では簡単そうだけれど、
地上に出て、別の車両に乗り換える必要があるので難しいらしいです。

思い通りにいかないことも旅の思い出ですよね``r(^^;)
32番を伝えるためにあんなに苦労してくれた2人にもう一度「グラシアス!」


■第23話《本場のパエリアだよ!》■

往路で降りたバス亭を目指して歩いてます(o。o;)
海の美しさにずいぶん遠くまで歩いちゃった。疲れた足には余計に遠い・・・
お腹も空いてるし、「パエリアが食べたい(`へ’)」
早速なっちゃんにメールして相談。
「本物・・・本物・・・」バレンシアだよ! 本物のパエリア(^O^)g
「本場のパエリアが食べた〜い(`へ´)」

そしてなっちゃんの保証付き。
カテドラル近くの「タベルナ」を教えて頂きました!
「何? タベルナ???」
「スペイン語で食堂のことだよ・・・『タベルナ!』」

なっちゃんが電話でお薦めメニューを予約してくれるそうです!
「ありがとう(^0^)」
「本場のパエリアを食べるぞう!」
バス亭に向かう足取りも少し軽くなって来ました。

32番のバスにも無事に乗車。
「ホッ(~。~;)」としたのも束の間!!!
バスは折り返し地点に到着したらしいです。
突然、男性がバスの中へ・・・「○×□△(x_x) ☆???」
乗客全員に質問してるみたい・・・
私の番です。「○×□△(x_x) ☆???」
「もうダメ(>_< )( >_<)」っとその時・・・
隣の女性が私に「where?」
行き先のこと???
「Central」って答えてみる・・・
すると彼女が男性に通訳してくれました。

「グラシアス!」女性は優しく微笑んでくれてます。
折り返しで降りない乗客の行き先を確認してたんですね・
それにしても外人の私に「where」くらい英語で言ってくれたって(`へ´)!
スペインって相手が外人でも容赦なくスペイン語で対応です。

さあ、色々とあったけど何とかお薦めのレストランに到着(^◇^)/
お店を覗くとオーナーは電話中。
でもすぐに私のことを理解してくれて、
なっちゃんのお友達らしい女性に案内されました!
「ホッ(^。^;) だってスペイン語出来ないんだもん!」
でも挨拶しなきゃ!!!
だって遠いスペインで一人で暮らすなっちゃんがお世話になってるかも知れない!
「エンカンターダ(*^_^*)」
英語では「nice to meet you」って感じかな・・・
海から戻るバスの中で練習してきたよ。

「オー! 赤ワインと生ハムとチーズだ(^^)」
「美味しそう(*^_^)」
でも、海ではあんなにたくさん歩いたし「ビールが飲みたい(""0"")」
よし! 勇気だして「ぺルドン(^_^)」
これは「excuse me」と同じはず!
振り向いてくれたよ。
「ウン セルベッサ ポルファボール」
「ビールが来た〜(^□^)ヤッター!!!」

こんどは大きな鉄のお鍋から、パエリアをお皿に盛ってくれたあ。
「これだね(^_-)v本場のパエリア!!!」
なっちゃんが頼んでくれたのは大好きなシーフード!
「美味しい〜!」
スタッフがやってきて「ブレッド?」って・・・
「No, thank you!」
スペイン語が出来ないのを知っているから、英語で聞いてくれたんだね。
会話は出来ないけれど、お店のスタッフはニコニコしてくれる。
近くを通る度に微笑みかけてくれるよ(^-^*)
「優しいスタッフの皆さん(´-`) ありがとう!」

スペインでは量が多いから食べきれないって心配だったけれど、
お腹が空いてたんですねえ。ぜ〜んぶ食べちゃいました(*^¬^*)
満足した後はコーヒーが飲みた〜い!
「ペルドン!」
「ウン カフェ ソロ ポルファボール」
「エヘン( ̄^ ̄)」 ブラックコーヒーがテーブルの上に置かれたよ。
「グラシアス(^^ゞ!」

せっかくこうして慣れてきた頃には、帰らないといけないんだね。
明日はもうバレンシアを離れる日・・・

(つづく)

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▽寄稿:「Footballの旅」
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「Footballの旅」 / 下村 えり(Eri Shimomura)

 〜 Vol.20 Premiership
          - Everton VS Manchester United, 20 February 2010 〜

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo410.html ≫

【Introduction:はじめに】
皆様こんにちは。
冬季オリンピックが始まったかと思ったらもう閉会式。イギリスとカナダでは8
時間の時差があり、なかなか全試合を集中してライブでは観戦することは出来な
かったのですが、翌日のハイライトでスキー、スノーボード、ジャンプ、スケー
ト、アイスホッケーなどなど、結構楽しめました。

イギリスは北国でありながらも山が少ない国なので、冬季オリンピックとは縁が
薄いようです。しかし期待されてたカーリングではメダルは獲得出来なかったも
のの、スケルトン女子でAmy Williamsが30年ぶり(フィギュアのロビン・カズン
ズ以来)に個人で金メダルを獲り、話題になりました。

やはり、長い間、全てを犠牲にして努力を重ねオリンピックに臨んで来た人たち
の演技は、何にしろ観る価値がありますね。

今日はオリンピックに負けない熱戦を繰り広げているプレミアリーグ、エバート
ンホームでのマンチェスターユナイテッド戦の模様をお届けします。最後までお
付き合いください。

【Everton vs Manchester Utd】
今日のエバートンの対戦相手は、先シーズンのチャンピオン、マンチェスターユ
ナイテッド。
リバプールとマンチェスターはお隣同士であり、フットボールの歴史を遡ってみ
ても長年ライバルとしてしのぎを削ってきた。
とは言っても、マンUファンの立場から言わせてもらうと、ここ数シーズン、ポ
イントとなる幾つかの場面でエバートンにピンチを救ってもらったのは事実。先
日もしかり。現在トップを走るチェルシーにエバートンが黒星をつけ、マンUと
チェルシーのポイント差は一気に2ポイントに縮まった。

モイーズ氏がエーバトンの監督の座に就いてかれこれ8シーズン目である。
その前は下のディビジョンでプレストンを4年間指揮し、ディビジョン2から1
に昇格させた。惜しまれながらプレストンを去ったあと、モイーズは、マンチェ
スターシティー、ウエストハムその他のオファーを断ってここリバプールのエ
バートンを選んだのだ。
長い年月の中で一歩一歩ではあるが、彼は確実に、エバートンをプレミアリーグ
でも一目置かれる、存在感のあるポジションに育てているのは間違いない。

前にも述べたことがあるが、エバートンは世界最古であるイングランドのフット
ボール・リーグ創設時の8チームのうちの1つである。ただし、歴史はあるがお
金はない。
リッチな他のクラブとは違って、地元の根強いファンに支えられながら地味に、
粘り強くプレミアリーグに根を下ろしている。
チェルシーやマンシティーの様に大金をはたいて即戦力を獲得できるわけではな
いので、モイーズ氏としては、無名であるが潜在能力のある選手をゲットし、使
いながら育てていくしかない。
その結果として、技術的にトップクラスとは言えないかもしれないが、時として
100%以上の能力を発揮する、そんな選手たちがエバートンの戦力として名を連ね
る。これはある種特殊ともいえ、対戦相手として考えると、展開を予想しにくく、
やりにくいチームであると思う。


目だったスター選手はいないが、チームがまとまったら『あ、うん』のプレイを
見せてくれる。
フットボールは所詮チームプレイが基盤だ。1〜2人スター選手がいても、チー
ムとして1つにまとまらない限りは良い結果は決して出ない。エバートンの良い
試合を観ると何時もそのことを感じる。
ただ、残念なことにエバートンのそんなチームプレイはコンスタントには続かな
い。落とすべきではない試合も落としてしまうところが今一つ上位へ食い込めな
い弱みであろうか。

モイーズ監督のタクティクスは攻撃中心、いかなる状況であれ戦力を緩めること
はない。また、最後まで試合を諦めない。
そんな強い精神力はマンチェスターユナイテッドのファーガソン監督に似ている
ところがある。同じスコットランド出身である彼らは交友関係にあり、監督とし
ても尊敬しあっているそうだ。

一方のマンチェスターユナイテッドは、先日行われたチャンピオンズリーグで、
ベッカム属するACミランに3−2で白星を決めたばかり。グッドムードにある。
そのユナイテッドを、どこまでエバートンが揺さぶることが出来るか。それが今
日のみどころであろう。

【Goodison Park:グディソンパーク】

グディソンは今日も晴天なり...嬉しいことにまたもや素晴らしい青空に恵ま
れた。
未だに寒さは和らがず、日没は氷点下となるリバプールであるが、暖かい陽光と
グッドムードのエバートンファンに囲まれて、とても気持ちの良いグディソン日
和だ。

さて、今日のチームだが、エバートンは、先日のチェルシー戦で信じられないス
ライディングアタックを足首に受けたFellainiは残念ながら手術を要し、今期は
絶望とのニュースが入ってきた。加えてミッドフィールドのキープレイヤーTim
Cahillもふくらはぎの怪我でフィットネスの結果待ち。今日はベンチ入りできる
のだろうか。
ユナイテッドサイドは、引き続きRio FerdinandそしてNaniが累積警告でサスペン
ション。デフェンダーVidicが復帰とのことだが、さてどうだろうか。

【Kick Off:試合開始】
本日の試合は12時45分キックオフ。ほぼ満員の観客で埋まった場内に御礼のアナ
ウンスが流れてきた。

<前半>
ユナイテッドのキックでスタート。
開始後数分は両チームとも積極的にボールを走らせ、敵陣ボックス内に進入しよ
うとする。
エバートンMF Osmanがボールを受けるとタイミングよくディフェンダーをすり抜
けてドリブル、そしてFW Sahaパス。
フルハムからローン移籍したFW Donovan(アメリカ代表)のカウンターアタック
もユナイテッドにとっては油断できない。

ユナイテッドも負けじとボールを奪い、パスワークを進めるが、MF Valenciaで何
度もパスが乱れ、ボールがFW Rooneyになかなか繋がらない。

押し気味のエバートンは14分、Sahaの30ヤードロングシュートでユナイテッドGK
Van der Sarに揺さぶりを掛けるが、素早くセーブ。場内一斉にため息が漏れる。

そして16分、足音も無く、チャンピオン・ユナイテッドの見事なチームプレイで
先制点が入った。
Van der Sarからのボールを拾ったMF Fletcherから前線右を走るMF Valenciaにパ
スが渡ると、彼の完璧なクロスはゴール前で待ち構えるFW Berbatovの利き足に吸
い込まれた。
0−1。美しいチームプレイでユナイテッドがリード。

リードを許したエバートンだが、動揺はみせず、冷静に黙々とゴールを目指す。
そして数分後、前向きなエバートンに加担するかのように同点のチャンスがもた
らされた。
19分、エバートンDFからロングボールが前線右で待つSahaへ渡る。30ヤード中央
で待ち構えるMF Bilyaletdinovに頭でパスすると、彼はポジションを選びながら
いきなり鋭いシュート。ディフェンダーで視界を遮られたVan der Sarは一歩も動
けず。テリフィックな同点ゴールが右コーナーに収まった。1−1!

グディソンは大いに湧いた。こんなに早く同点に追いつくとは...エネルギッ
シュなエバートンの勢いを感じた。
そんなエバートンは引き続き20分台にも逆転のチャンスを掴む。

25分過ぎ、ピッチ中盤からDF Bainesが走りこみ、パスでボールを左コーナーサイ
ドまで運び込むと、鋭いクロスがゴール前インサイドボックスに渡る。Sahaが飛
び込みワンタッチを試みるが、僅かに届かず。
その直後に中央からBilyaletdinovが最高のタイミングで再度シュートを打った。
しかし、ボールは大きくゴールの頭上に舞い上がった。惜しい...場内にざわ
めきと拍手が響き渡った。

しかしユナイテッドもその直後、Van der Sarからのボールが前線のRooneyに渡る
と、スムーズなドリブルでゴール左脇までボールを運ぶ。しかし元チームメイト、
エバートンDF Phil Nevilleの力強いデフェンスでバランスを崩し、ボールはライ
ンを割ってしまった。観衆からはPhilに向けて惜しみない拍手が送られた。

ハーフタイムになる直前、再度エバートンにチャンスがやってきた。
中盤でMF Osmanが勝ち取ったボールがDF Bainesに渡ると、上手くインサイドボッ
クスへクロス。ユナイテッドDF Brownが頭で跳ね返すが、最悪にもそのボールは
敵ストライカーDonovanの前に落ちる。Donovanはすかさずゴール目掛けてシュー
トを放つが、なんとミスキック。会場内に大きなため息が充満した。

常にアップテンポの、充実した前半の攻防だった。このペースの展開だと後半も
かなりExcitingなドラマが待ち受けていそうだ。

<後半>
1−1で振り出しに戻った後半、どちらのチームもメンバーチェンジの様子はな
い。

47分、今日最初のイエローカードがユナイテッドFletcherに突きつけられた。
ペナルティーボックスのわずか外、エバートンの突破を許したBrownをカバーしよ
うとしてFletcher仕掛けた無理なスライディングタックルにジャッジが下された
のだ。ユナイテッドのディフェンスの甘さがあからさまになったプレイだった。

51分にはそのFletcherが25ヤードの距離からシュート。見事に決まるかにみえた
が、残念ながらゴール左にわずかに外れた。グディソンに安堵のため息が響く。

さらに50分台、Rooney、Berbatovの連携プレーでユナイテッドの攻めが続く。

66分、本日最初のサブ投入がユナイテッドサイドから。
BerbatovとMF Parkがピッチを降りて、MF Scholesと、MF Obertanが入る。

ユナイテッドに続き70分、エバートンも最初のメンバーチェンジ。
同点ゴールを決めたBilyaletdinovを下げて、MF Goslingが投入される。

その直後に試合は動く。75分、ホームサイド・エバートンの素晴らしいチームプ
レイだった。
中盤から左ピッチぎりぎりをMF Pienaarのスムーズなドリブルとチームメイト
Sahaとの連携でゴールの左サイドまで持ってくる。Pienaarのクロスを待ち受けて
いたのは、たった今サブで投入されたGosling。右足で放ったシュートがゴール
ネットを叩いた。2−1。エバートン逆転! グディソンは大きく揺れた。

81分には再度ユナイテッドの交代が言い渡される。Valenciaに替わってストライ
カーOwenの登場である。

ユナイテッドはフォワードを強化し前へと押してはくるが、ゴールネットはまだ
遠かった。
そんなユナイテッドに88分、チャンスが巡ってくる。
エバートンOsmanのファールで取ったフリーキックを中央ペナルティーボックス20
ヤードからエースRooneyが蹴る。しかし、蹴ったボールはインチ差でゴール右を
僅かに逸れる。惜しい!

89分、エバートンの2度目のメンバーチェンジ。
今日のマンオブザマッチをあげたいくらい素晴らしい動きをみせてくれていた中
盤のPienaarを下げてMF Rodwellを投入。

そしてまたもやそのジャッジの正しさを証明するかの様に、エバートンに美しい
追加点が入る。
90分、ピッチ中央MF Artetaからのボールを、投入されたばかりのRodwellが受け、
素晴らしいドリブルでユナイテッドのディフェンス陣を交わして右サイドに回り
こみ、シュート。ゴーリーVan der Sarも手を一杯に広げて倒れこむが、ボールは
左コーナーに綺麗に収まった。3−1!
 
【End:試合終了】
試合はエバートンが逆転し、しかも追加点を加えて3−1で幕を閉じた。
先週に続きエバートンの底力が発揮された素晴らしいホームでのパフォーマンス
だった。Moyes監督の的確な采配やサブの投入、そしてそれに応えることの出来る
選手達のエナジェティックで聡明な攻撃力。中盤の鍵になる主力選手Cahillや
Fellainiを欠いてのゲームにもかかわらず、素晴らしい試合だった。

【監督インタビュー】
Everton:David Moyes監督
『キープレイヤーを欠きながらも、素晴らしいパフォーマンスでトップチームを
破れたのは本当に嬉しい。しかも今日はサブが見事に期待に応えてくれた』

Manchester United:Mike Phelan監督補佐
『真にがっかりさせられる結果だ。全体的にクリエイティビティに乏しく、全く
よい所が見せられぬまま試合が終わった。エバートンが勝ってもっともな試合
だったと思う』

Fin

≪マッチ・データ≫

 Premiership 09-10
 EVERTON 3 - 1 MANCHESTER UNITED
 Goodison Park Stadium, Saturday 20 February 2010 12:45
           
            エバートン          マンUtd
 ゴール          3              1
    (Bilyaletdinov 19, Gosling 76, Rodwell 90)      
 ターゲットショット    5              2
 コーナーキック      4              12
 ファウル         12               11
 オフサイド        3              0
 イエローカード      5              1
 レッドカード       0              0
 ポゼッション       45.9%            54.1%
 
 Team Line-ups
 Everton: Howard, Baines, Heitinga, Distin, Neville,
      Bilyaletdinov(Gosling 70), Donovan, Arteta,
      Pienaar(Rodwell 88), Osman, Saha.
 Subs Not Used: Nash, Yobo, Coleman, Vaughan, Yakubu.
 Booked: Arteta, Pienaar, Saha, Osman, Rodwell.
 Goals: Bilyaletdinov, Gosling, Rodwell.

 Man Utd: Van der Sar, Neville, Evra, Brown, Evans, Park(Obertan 66),
      Carrick, Fletcher, Valencia(Owen 81), Berbatov(Scholes 66),
      Rooney.
 Subs Not Used: Foster, Vidic, Rafael Da Silva, Gibson.
 Booked: Fletcher.
 Goal: Berbatov.

 Attendance(観客数): 39,448

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▼スカウスハウス・ニュース
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*** LFCグッズ通販:On Sale Soon!! ******

LFCグッズ通販ページを近々更新します。今しばらくお待ちください!


*** 観戦チケットあります ******

3月18日にアンフィールドで行われるUEFAヨーロッパ・リーグ決勝トーナメント
2回戦<LFC vs リール>の観戦チケットが2枚あります。
詳細はウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。ご希望
の方はお早めに!
http://scousehouse.net/football/stadium2009.html


*** 新ガイドツアー「ロンドン特別編」スタート ******

好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、
新しくスタートさせました。シャーロック・ホームズゆかりのスポットを案内す
る「ホームズ・ツアー」と、ちょっと怖い「ロンドン・パブ・ツアー」です。
ディープなロンドン体験をぜひ!
http://scousehouse.net/beatles/guidetour_london2.html 


*** スタジアムへ行こう! ******

リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください!
フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。 
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium2009.html 


*** リヴァプール語学留学 ******

スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
のサポートについても安心してお任せください。
http://scousehouse.net/study/index3.htm 


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧
ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm 
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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*** 今週のフォト・アルバム ******

「アロンソに会いたくて」と「Footballの旅」に関連した写真を掲載しています。
著者のAnneさん&下村えりさんに提供していただきました。ぜひご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo410.html 


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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ 第410号 ■□

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