March 09 2010, No.412
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「アロンソに会いたくて」(10)
 ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 <No.174>
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

Anneさんの旅行記「アロンソに会いたくて」が、ついに今号で最終回となりまし
た。

ご存知のように、Anneさんには昨年、初めてのアンフィールド観戦旅行の顛末を
綴った「リヴァプールへ行きたい人! 集まれ!!!」を寄稿していただいてい
て、今回はそのパート2のような旅行記になりました。

前回の行き先はイギリスで、初めてのひとり旅&個人旅行でした。その旅で得た
自信とノウハウを生かしての今回のスペイン旅行だったわけですが、英語が通じ
ない、つまり言葉が通じない国にたったひとりで旅立つには、やはり相当な勇気
が必要だったのではないでしょうか。

…と、ここまで書いて、「アロンソに会いたくて」の第1回の原稿を読み直して
みました。第2話にスペイン旅行を思い立ったときのことが書いてあります。

 > リヴァプール・・・アロンソ・・・(゜゜)(。。)
 > アロンソはレアル・マドリー・・・
 > スペイン・・・バレンシア・・・(゜゜)(。。)
 > 私の頭の中は(。_゜) (。_゜) (。_゜)
 >
 > ヒラメキましたヽ(∇⌒ヽ)(/⌒∇)/
 > リヴァプール→バルセロナ→バレンシア!!!
 > えっ? アロンソはレアル・マドリーだよ!!!
 > 「大丈夫(^^)」「エル・クラシコがあるじゃない!」

 (中略)

 > 「アロンソが移籍」の悲しいニュースがきっかけで、またまた素晴らしい経
 > 験へと一歩踏み出すことが出来ました(^-^)V

な、なんちゅう軽いノリ…。
やっぱりこれがAnneさんですよね。楽しいなあ。
もちろんこのまま軽いノリですい〜っとスペインに飛び立ったわけではなくて、
ここから必死のリサーチが始まります。
効率を求めるのはもちろんですが、それよりも安心や安全を優先させてのプラン
ニング。その過程で幸運な出会いも引き寄せて、結局旅行のぜんぶを自分でプロ
デュースしてしまいました。
バツグンの行動力もAnneさんらしさだと思います。

さて、今回の最終回、編集作業をしながら、なんだかじ〜んときてきまいました。
特にこの部分がいいです。

 > きっと叶えたいって思った時から不思議なことに私を応援してくれる人、サ
 > イト、情報に出会える。
 > そう信じています<(`^´)>

 > コミュニケーションで大切なことは、「言葉」より「自分の思い」!
 > 一つ乗り越えてみると、何だか次のハードルも越えられる勇気が湧いてき
 > ちゃうゞ(^o^ゝ)

これ、僕がいつも思ってることなんです。やっぱり気持ちがいちばん大事ですよ
ね。気持ちが強ければ道は自然と(自力なんですけど自然なんです)開けるし、
言葉以上のコミュニケーション・ツールになります。そしてそれを後押ししてく
れるのが勇気なんですよね。
ぜひ本文を読んでください。Anneさんのメッセージはすごく説得力があります。
これを読んで1人でも多くの人が勇気を持ち、一歩を踏み出してもらえたらうれ
しいです。

今週の「NLWフォト・アルバム」ページには、Anneさんにいただいたたくさんの写
真の中から、これまで未掲載のものをいくつか選んで掲載しています。ぜひご覧
ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo412.html 

Anneさん、素晴らしい旅行記と写真をありがとうございました。
これからもよろしくお願いしますね。

● ● ●

長らくお待たせしてすみません、ウェブサイトの「LFCグッズ通販」ページは、
明日水曜日に更新します。オーダーをいただけるとうれしいです!
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● ● ●


4月8日にアンフィールドで行われるUEFAヨーロッパ・リーグ準々決勝戦<LFC
vs ベンフィカ>の観戦チケットが2枚あります。すごくいい席です。
詳細はウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。ご希望
の方はお早めに!
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                          ― Kaz(30/03/2010)


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▽寄稿:「アロンソに会いたくて」(10)
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「アロンソに会いたくて」 / Anne

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo412.html ≫ 


■第25話《スペイン旅行のお話なのに!!!》■

スカウスハウスさんのメルマガなのにどうしてスペイン旅行のお話???
旅先がリヴァプールではなくても、
アンフィールドを訪ねたい方にお伝え出来ることがあるd=(^o^)=b
「リヴァプールに行きたい人、集まれ!!!」でも書かせて戴いたことですが、
読んで頂いてる方に「勇気が提供出来たら・・・」

今回のバルセロナとバレンシアへの旅は、リヴァプールへのひとり旅があったか
ら実現出来たもの!
2008年の初めての経験がこんなに私を成長させてくれたんです(* ̄0 ̄*)

「成長って(°o°)???」

リヴァプールの旅と大きく違うのは、直行便がないことですね。
「直行便がない!」それは「ロストバッゲージのリスクが高い!」

言葉の出来ない私は、現地で必要なものを手に入れるのは困難だもの。
それを考えると、手荷物の準備は前回より慎重でした!
2〜3日は手荷物で過ごせることを目標にしました(^_^)
「化粧品や薬類はもちろん、携帯電話やデジタルカメラの充電器も手荷物だね」
「衣類も少し、ヘアドライヤーやガイドブックetc・・・〆(。。)」

治安も大きく違うみたいヽ(。_゜)/!
ネットで情報を収集すると、スリ、偽警官、置き引き・・・(。。;)
観光をする時には「バッグを持たないこと!」「パスポートも持ち歩かないこ
と!」
「現金、カードも小分けして持つこと!」って注意書きがあるよ(;°°)
つまり「狙われるものは持たない!」って意味だよね。
そこで、100円ショップで小銭入れやチェーンを求めて工夫してみました。

第10話《バルセロナの夜は・・・》で書いたことを思い出してみてください!
地下鉄の駅で「女の子達のスリ」に遭遇!!!
シチュエーションも手口も、ネットで得た情報通り。
ほんのちょっとした隙に、デジタルカメラのバッグのファスナーが開けられてま
した!
でも、
「心配しないで!」
スリは想定済みだったのでこのバッグの中は元々空っぽo(^-^)o
ネットでの事前の情報が私を助けてくれましたね〜!( ^_^)/

想定外だったのは・・・英語標記が街にはありません(゜゜;
公共の交通機関もスーパーも・・・
街の人々も英語は通じないと思った方がよいです。

いくら私が英語は出来ないっていっても、流石に「exit」って表示があったら分
るんですけど・・・
「salida」って書いてあるんですよね(.. )m

道を訪ねても・・・バルに入っても・・・お店での買い物も「基本はスペイン語
だけ!」
と言っても観光地のお土産屋さんなら英語が通じるよd(゜ο゜)

まあ、英語も出来ないのですから、私にとってはあまり変わらないかも(^_^;)
でも、「数字くらいは英語だったら〜」って思いました。
支払いの時は、紙に書いていただいたり、電卓のディスプレイで見せて頂いた
り・・・
「ご迷惑をおかけしちゃいました(^_^;)\」
現地の皆さんのお陰なんですけど、工夫したら何とかなるもんです<(`^´)>


■第26話《でも、そんな地域だから・・・!》■

この旅で、タクシードライバーの方で一人だけ英語が話せる方に出会えたのは嬉
しかったです!
グエル公園から乗車したタクシーのドライバーさん!!!
「グエル公園は楽しみましたか?」って英語で尋ねてくれたんですよ(*^.^*)
その時は「やっと英語で話してくれる人に出会えてた〜!!!」って喜びで、
勢いよく「ハイ! とても楽しかったです」ってヾ(^^*)!

答えた後は話が弾んで、
私「英語が上手ですねえ、スペインの方ですか?」
ドライバー「僕の父はスペイン人、母はイタリア人、僕はパリで生まれたよ」
私「じゃあ、スペイン語もイタリア語もフランス語も話すの?」
ドライバー「まあね。でもパリの人はあんまり好きじゃないんだ。都会の人達だ
からね。君は東京から来たの?」
私「ウン、東京から・・・東京に来たことあるの?」
ドライバー「行ったことないよ。東京って物価が高いよね。今1ユーロっていく
ら?」

そのまま到着まで、
「クラシコの観戦に来たこと」
「彼はテニスが好きなこと。」
「バルセロナの後はバレンシアに友人に会いにいくこと」
英語でたっぷりお話しました(*^o^)(^O^)!!!
内容は中学生程度ですけど・・・ヾ(^^ ;)

英語の通じないこの国でやっと出会えた英語を話せる人。
嬉しさから、自分の可能な英語を見つけて、
コミュニケーションを取ろうとする自分がいたよ( ^‐^)_
こんな自分に驚きです!!!
英語圏じゃない人の英語は少しだけ聞き取り易いんですけどね(*^。^*)

バレンシアでも、「ホテル内なら英語で大丈夫!」って思えたから、気持ちは楽
チン。
前回の旅の不安なチェックインと違って、今回は安心な場所になってました!
市街の地図をいただいたり、セーフティボックスの鍵を頂きにフロントに行った
り。
環境が私にこんな度胸を与えてくれたみたいです(/゜ο゜)/

スペイン語が分らなくて「ガッカリ」しちゃったステキな思い出も・・・
第22話《ちょっとウロウロし過ぎちゃて!》で書かせて頂いた、海岸沿いを疲れ
きって歩いてる時のことです。
海岸沿いの公園で笑顔の男性がスペイン語で私に何か言ってる・・・<(゜。゜) 
「分らな〜い(x_x)!」
それだけじゃなくて、「私はスペイン語が分らない」ってスペイン語で言えな〜
い!!!
意思表示で出来るスペイン語は「ノ!」だけなんです。

だから「スペイン語が分らない」って言う代わりに「ノ!」って取りあえず言っ
てみます(-。-)
「伝わったかなあ・・・」
するとその男性は公園の植え込みに入って・・・咲いていた真っ赤な花を
一輪φ( ゜゜)/
「えっw(゜o゜)w?」
その真っ赤な花を折って私にプレゼントしてくれたんです_(^。^*)φ
(公園の花を折っていいのかなあ・・・)

「わあ(*^o^*)!」
スペインの男性って本当にこんなプレゼントを突然してくれるんですね。
「映画で観たシーンみたい・・・」
こんなシーンに出会えちゃったのもひとり旅だったから?
ツアーだったら出会えないですよね。
「ステキな思い出(f^^)!!! でも・・・」
彼の言っていた言葉が分らな〜い。
「残念・・・・(-_-;)」

出発前には不安が多かったスペインへの旅も、
こうして帰国してみると、「素晴らしい国」、そして「また訪ねたい国」って印
象になってます('-'*)


■第27話《ハードルは越えるために・・・》■

リヴァプールへの旅の時は航空券を旅行会社にお願いしたけれど、
今回は航空会社のホームページで手に入れてみました!
そうすると、シートも自分で選べるんですよね(^_^)
何だか嬉しくて出発日まで、時々ホームページを覗いてはシートを選びなおした
り・・・確認してみたり\('_\)(/_,)/

リヴァプールのホテルの予約はスカウスハウスさんにお願いしました。
今回はネットの予約サイトで予約してみました!
色々なサイトに日程を入力して、価格や条件を比べる。
口コミでホテルの評判をチェックする。
「予算」なのか「便利さ」なのか・・・
それとも「寛ぎや豪華さ」なのか・・・
自分自身の選択を自分でじっくり考えることが出来るよね。
それは楽しい旅のための検索で〜す(o^^o) (o^^)o

同じ私の旅と言っても、旅ごとにそのホテルに求める条件も違うはず!
その地域ごとにも求める条件は違うはず!
諦めずに検索を続けて、経験者の意見も参考にと探してると、
今回のようにプチホームスティって選択にも出会えましたよ!

もちろん、ホームスティはホテルのような快適さとは違うけれど、
バルセロナで暮らすナチャやトラちゃんとの出会いのように、
ツアーでは味わえない出会いもあったり・・・o(^^o)

そんな「出会い」も「予算」も「目的」も、是非、自分自身で選んでほしい!
もし、行ってみたいスタジアムがアンフィールドだったら、
「ジェラードに会いに・・・」「トーレスを応援しに・・・」
試合を選んで、日程を決めて、個人旅行を計画してみましょ(*^-^*)ゞ!

「英会話???」
「少しずつ頑張ってはいるんですけど(゜゜)(。 。 )・・・」
「そんなに簡単に話せるわけありません・・・」
「そんなに簡単に聞き取れるようになれません・・・」
ただ、「コミュニケーションを取ろうとする思いと勇気」は旅を重ねることで大
きく変わりました。

それに加えて大切なことは、自分の力を見極め「危機管理を怠らないこと」だっ
て思ってます。
その為の英語で書かれた日程表、個人情報、連絡先etc・・・
出発前の準備は多分ちょっと多めに必要だと思ってくださいね(☆_^)

ちょっぴり面倒で大変な作業なんですけれど、
次回の旅の時には変更をちょっとするだけで使いまわし出来ちゃう。
だから頑張ってみてくださいねp(^^)g!!!
素敵な思い出のために安全な旅にして欲しいです。


■第28話《アロンソに感謝です》■

リヴァプールへの一人旅を実現させてくれた勇気のきっかけはアロンソへの思
い(*^。^*)
今回のスペインへの旅のきっかけもアロンソの移籍。
アロンソのお陰ですね。そして今はまた成長出来た自分がいます。

きっと叶えたいって思った時から不思議なことに私を応援してくれる人、サイト、
情報に出会える。
そう信じています<(`^´)>

ただ「勇気をだして!」って叫ぶのではなく、前回、今回を通して私の変化、成
長を感じて頂きたい!
コミュニケーションで大切なことは、「言葉」より「自分の思い」!
一つ乗り越えてみると、何だか次のハードルも越えられる勇気が湧いてきちゃ
うゞ(^o^ゝ)

リヴァプールの街は、人々が優しくて安心の街でしたよ。
もちろん、日本とは違うので情報を手に入れましょ!

英語圏なら言葉も少し安心ですね!
同じ日本人のリヴァプールファンとの出会いもありましたよ!
訪ねてみるとその街や人々との出会いで心が熱くなって、
その熱い心が次のあなたの願いも叶えてくれるはず!

私はもうこの春はアンフィールドでチェルシー戦を観戦して、
オランダのキューケンホフで世界一のチューリップを楽しむ計画を進行中!
以前の私だったらこんなに自由な旅を計画出来てないです!
今はこんなに動ける自分がいるp(^^)g

「アンフィールドに行ってみたいけど・・・(-'-;)」って悩んでた自分を思い出
すと、あの頃の自分が懐かしく思えてきちゃいます。
あの時思い切ってチャレンジしたことを心から「良かった(^。^*))」って振り
返ってる自分がいるよ!
もちろんこうして観戦を楽しめるのもたくさんの方の助けがあるから・・・
感謝の気持ちを伝えたい人も一杯(^^))((^^)v

「リヴァプールの街に行ってみたいな・・・」
「アンフィールドで観戦をしてみたいな・・・」
この旅行記を読んで、そんな気持ちが少し湧いてきて頂けたらとても嬉しいです。
そうしたら、その気持ちを心に抱きながら、
まずネットの予約サイトに日程を入力して、地図を眺めて、口コミを読んで、
経験した方のお話も読んで・・・
あなたの思いを育ててくださいね。
あなたが一所懸命になると助けてくれる色々な方に出会えるはずです。
そしたら、きっとその思いは実現する日は近いかも・・・~(^◇^)/

今はもうリヴァプールの選手じゃないけれど・・・
そして私は変わらずリヴァプールサポーターだけど・・・
バスクの星、シャビアロンソに感謝です(/⌒∇)/

今回も前回同様、私の旅を支えてくれた方々に感謝の気持ちで一杯!
「ありがとうございます(o ̄∇ ̄o)/・・・」

『アンフィールドでリヴァプールを応援してみたい!(^。^)b 』
さあ、すぐに観戦したい試合を決めましょ(^_-)-☆
ここからすでにあなたの旅が始まってるよ!!!

(おわり)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo412.html ≫ 


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第174号 / The Old Dock Experience
                & In Conversation with... Janice Long ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish174_photo.html ≫

こんにちは。
3月の前半はこれまでになく晴れの日が続き、後半は少しグズつきがちでしたが、
春も本格的になってきました。
3月28日にはブリティッシュ・サマータイムもスタート。時計の針も一時間早ま
り、ラッパ水仙が満開になるのを待ち遠しくしています。

今号では、5月にオープンする新しいアトラクションを先取りしてお知らせしま
す。

今やユネスコ世界遺産として登録されているリヴァプールですが、「海商都市と
しての繁栄はすべてはここから始まった」といっても過言ではない、歴史的に重
要な遺跡がなんと、ショッピングセンターのLiverpool ONEの地下隠されていました!

駐車場の入口を通って進んでいくと、その先には世界初の係船ドック、The Old
Dock遺跡があります。
1709年から1715年にかけてThomas Steersによって設計、建設されました。
これまでもLiverpool ONE内のデパートJohn Lewisの入口付近には、地下を覗き
込む穴があって、この遺跡の壁の煉瓦がかろうじて見えていましたが、いまひと
つ分かりにくいものがありました。

今回公開されたこの《The Old Dock Experience》は、21世紀の新しいショッピ
ングセンターの真下で300年前の本物の遺跡の中がそのまま博物館になるという、
ユニークなセッティングの新しいアトラクションです。

《The Old Dock Experience》は、9年間にわたる調査・研究の末に甦ったもの
です。
ドックが使われなくなり、埋め立てられてから200年。リヴァプールの街の中心
として開発を繰り返した結果、こうした歴史のかけらは跡形もなくなってしまっ
たのではないか、と考えられていました。
しかし2000年に調査が開始されると、想像以上のスケールで残っている事実が明
るみになり、このショッピングエリアの設計も、遺跡を保存する方向にプランを
変更されたそうです。

このドックの建設が開始された1709年当時でも、リヴァプールはすでに、西イン
ド諸島やアメリカ、アイルランドへの貿易港として成長の一途をたどっていまし
た。
高まる需要に応えるべく河口の入り江(Pool)に建設されたThe Old Dockは1715
年に完成。当時は最先端で世界初の係船ドック(wet dock)でした。

係船ドックとは、水門を閉じて水位を一定に保ったドックで、潮の満ち干きによ
る影響を受けず安定して船が停泊できるという利点があります。
The Old Dockが完成してから40年の間に貿易は倍増、リヴァプールの人口は3倍
にまで膨れ上がり、同時期には奴隷貿易も盛んとなります。
このドックは、リヴァプールの世界貿易におけるキープレイヤーとしてのステー
タスを確立した重要なカギとなった建造物なのです。
その後ドックは向こう150年にわたって拡大を続けます。

しかしThe Old Dockは、建設から111年後の1826年に幕を閉じます。
波止場が狭すぎて新しい大型船の対応が困難になってきたこと、また貿易港とし
て繁栄を極めていたリヴァプールに税関の建設計画があがった際に、そのロケー
ションとして最適と判断されます。
ドックは埋め立てられ、その上にはウォーターフロントの象徴的な存在となる立
派な税関が建てられたそうです。
ちなみにその税関の建物も第二次世界大戦の爆撃を受け、1948年には新しい都市
計画のために取り壊されました。

今回公開された遺跡では、ドックの構造をはっきりと見ることができるのですが、
中でも興味深いのは、ドックの底付近の砂岩でできた壁に見える、楕円形にくり
ぬかれた跡です。そこはその昔に存在したリヴァプール城に続くトンネルの入口
だったようです。
考古学者がここを発掘した際に思いがけなく発見したもので、トンネルは人が歩
けるほどの高さだったそうです!

公開されているこの場所は発掘された遺跡のほんの一部で、ドック跡だけでなく、
ドックの周辺に建っていた倉庫や道路、家の跡なども発見され、中
世のリヴァプールの人々の生活の様子を知る手がかりとなりそうです。

《The Old Dock Experience》は、マージーサイド・マリタイム・ミュージアム
を管理する、国立博物館リヴァプールが運営しています。
正式オープンは5月4日で、一般客の入場は毎週水曜日のみ、ガイドツアーに参
加して見学することができます。
ツアーはマリタイム・ミュージアムで待ち合わせをしてスタートし、Liverpool
ONEへと移動、所要時間は50分程度とのこと。
参加は無料ですが要予約です(電話:0151 478 4296)。

The Old Dock Experience:
 http://www.liverpoolmuseums.org.uk/maritime/visit/old_dock_tours.aspx

♪ ♪ ♪

3月25日(木)の晩は、リヴァプール大聖堂へ。
Club Geek Chic主催の対談イベント《In Conversation with...》シリーズの第
2弾で、今回のゲストはリヴァプール出身の女性ラジオDJ、Janice Long。聞き
手は、BBC Radio Merseysideの若手プレゼンターDavid Monksが担当しました。

Janice Longはリヴァプールはブートル生れ。地元紙Echoの求人欄を見てBBC
Radio Merseysideのジュニア・レポーターに応募し、入社。そこから波乱に満ち
たラジオ業界でのキャリアがスタートします。
1982年にはBBC Radio 1のラジオ・プレゼンターとして抜擢され、マンチェス
ター勤務の後、ロンドンへベースを移します。
彼女の番組で紹介されて恩恵を受けたリヴァプールのバンドは数多く、また彼女
自身も地元のバンドを世に伝えることを何より誇りに感じてきたといいます。

パブリックスクール出身の男性優位だった放送業界においては、「女性」「ワー
キングクラス」という二つの要素が障壁となることもあったそうですが、着々と
人気プレゼンターとしてのポジションを確立していきます。
テレビ出演も増え始め、人気番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』のプレゼン
ターなども務めました。

同じくマージーサイド出身の名物DJであるJohn Peelとともに日本へも取材に行っ
たそうですが、「イギリスの美人ラジオパーソナリティー来日」と期待されてい
たところに、ダンガリーシャツとドクターマーチン姿で現れて周囲が愕然とした、
という自爆コメントも。

1985年の『ライヴ・エイド』ではパーソナリティーの一人として活躍。バックス
テージで様々なミュージシャンにインタビューを行いました。YoutubeにStatus
Quoとのインタビューがありました。
http://www.youtube.com/watch?v=Ocd7eGM6tAc

87年に危機が訪れます。
未婚の母となったことでBBC Radio 1から解雇通告を受けたのです。
今や結婚という法的な決め事に束縛されずに家庭をもつカップルが多いイギリス
ですが、当時はまだまだお堅い体質だったBBCでは風当たりが強かったようです。

そんな逆境にも負けずにラジオでのキャリアを続けます。
その後BBC Greater London Radioを経て、1995年にはリヴァプールに戻り、イン
ディーラジオ局Crash FMを創設します。
設立当初は純粋に優れたインディーミュージックを紹介するラジオ局としてス
タートしましたが、数年後に他のマネージメントチームに裏切られ、運営から外
されてしまいます。現在はJuice FMというありきたりの商業的なラジオ局となっ
ていまいました。

1999年からはBBC Radio 2でDJを担当し、現在に至り、DJのほかにも栄誉ある
「マーキュリー・プライズ」の審査員も務めています。

元同僚で、現在『Xファクター』のセレブ審査員Simon Cowellなどのマネージメ
ントやクリスタル・パレスFCのチェアマンを務め、何億ものお金を動かしてヨッ
トを乗り回しているDavid 'Kid' Jensenからは、「成功を手にするために、友達
を捨てるくらいしなきゃいけないんだよ」とアドバイスされたこともあるそうで
すが、Janice Longにとっては大きなお世話で、彼女は自分の信じる道を彼女な
りに進んでいます。

彼女の音楽業界への貢献度は高く、ミュージシャンたちからも厚い信頼を得てい
ます。
かのMorrisseyからはバイオグラフィーを書いて欲しいと依頼されるほど。放送
業界での仕事は彼女にとって天職で、ホリデーに出掛けても数日で仕事に戻りた
くなるほどクセになると言っていました。

また、「ラジオの仕事の素晴らしいところは?」と訊かれて、
「レコードがただでもらえて、ただでライブに行けて、アイドルに会えること! 
そして、エキサイティングなニュースを人々に伝えること。サッチャー元首相の
辞任も誰よりも先に私がアナウンスしたのよ」
と言うと拍手喝采が沸きました。
(注:サッチャー政権当時、リヴァプールは英国でも最も社会的・経済的に打撃
を被った都市であったことから、市民のあいだではアンチ・サッチャーが多いの
です)

「次のエキサイティングなプロジェクトは?」という質問には、
「ある日家でジャガイモを?きながら、庭で息子がトランポリンで飛んでいるの
を眺めていると電話が入って、『フィラデルフィアまでRolling Stonesに同行し
ないか?』とお誘いがあって、その場でYESと返事したわ」とのこと。

対談の合間のライブパフォーマンスも一段と豪華になっていました。
イベントの合間のBGMもそうですけど、この大聖堂で賛美歌やクラッシックでは
なく、インディーの音楽がこんなにもプレイされているのを聞いたのは初めてか
もしれません。
ライブのラインアップは、ほぼ常連となっている暴れん坊シンガーIan McNabbと
若手ノルウェイ人女性シンガーRagzに加え、今回はなんとChina Crisiそしてバ
ンドAmsterdamのIan ProwseがJanice Longのフェイバリット・ソングを披露。最
後はAmsterdamの <Does This Train Stop on Merseyside?>で締めくくりました。

次回の《In Conversation with...》では、Mike McCartney氏が登場します。
こちらも楽しみです!

Janice Long: http://www.bbc.co.uk/radio2/presenters/janice-long/
Club Geek Chic: http://www.clubgeekchic.co.uk/

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
ちょっと先になりますが、大型イベントが発表されています。
まずは、リヴァプール市の公式イベントとして、今年の10月9日から12月9日に
かけて『ジョン・レノン・トリビュート・シーズン』が市内各地で開催されます。
シーズン中は、コンサート、映画上映、詩のコンテスト、アートの展覧会、講演
などのイベントが企画されており、生きていれば70歳、また悲劇的な死から30回
忌を迎えるリヴァプールのヒーローの人生を、様々な角度から讃える構成となっ
ています。

ハイライト・イベントは以下の通りです。

- CAVERN CLUB - “Imagine” the tribute with Marcus Cahill(毎日開催)
- CAVERN CLUB -
   70th Birthday Celebration Gig including top tribute acts(10月9日)
- FILM FESTIVAL - Liverpool ONE Odeon Cinema (11月)
- LENNON POET 2010: Major International Poetry Competition (決勝:11月)
- "AN EVENING WITH":
   Weekly lecture programme with Lennon friends and family(日程未定)
- LENNON ART: Exhibitions at Liverpool John Moores University(日程未定)
- LENNON STREET ENTERTAINERS FESTIVAL: Liverpool ONE (10月)
- WALKING TOURS: View Lennon sites with VIP Guides (毎週開催)
- WHITE FEATHER: The Spirit of Lennon:
  Exhibition by Julian & Cynthia Lennon, Beatles Story(12月末まで延長)
- JOHN LENNON REMEMBERED: Memorial Concert at The Echo Arena(12月9日)
       (チケットは4月9日より発売開始 http://www.echoarena.com )

ちょっと前に、オジー&シャロン・オズボーン夫妻がリヴァプール市長からの招
待状を受け、出席を表明したというニュースがありました。
ほかにどんな大物ミュージシャンやタレントがリヴァプール入りするのかが注目
されます。

また、映画《Nowhere Boy》のリリース後、ツアーの予約が前年度比で90%アッ
プしたという、ナショナルトラストの<Mendips &Forthlin Road>ツアーは、11月
28日まで開催されます。

今後まだまだアップデートがあるかと思います。詳しくは<Beatles Story>ホー
ムページをご覧ください。
http://www.beatlesstory.com/media-room/-liverpool-to-host-major-john-lennon-tribute-season.html

♪ ♪ ♪

それでは楽しいイースターを!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish174_photo.html ≫


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** LFCグッズ通販:On Sale Soon!! ******

お待たせしてすみません、ウェブサイトの「LFCグッズ通販」ページを、明日水
曜日に更新します。
オーダーをいただけるとうれしいです!
http://scousehouse.net/shop/lfcgoods2010_01.html


*** 観戦チケット予約受付中 ******

4月8日にアンフィールドで行われるUEFAヨーロッパ・リーグ準々決勝戦<LFC
vs ベンフィカ>の観戦チケットの手配を承ります。
詳細はウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。ご希望
の方はお早めに!
http://scousehouse.net/football/stadium2009.html


*** <Beatle Week 2010> ツアー参加者募集中! ******

毎年恒例、International Beatle Week鑑賞パッケージ「スカウスハウス・ツ
アー2010」の参加者を募集しています。
この夏、ぜひぜひリヴァプールでお会いしましょう!
http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2010.html


*** 新ガイドツアー「ロンドン特別編」スタート ******

好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、
新しくスタートさせました。シャーロック・ホームズゆかりのスポットを案内す
る「ホームズ・ツアー」と、ちょっと怖い「ロンドン・パブ・ツアー」です。
ディープなロンドン体験をぜひ!
http://scousehouse.net/beatles/guidetour_london2.html 


*** スタジアムへ行こう! ******

リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください!
フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。 
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium2009.html 


*** リヴァプール語学留学 ******

スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
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リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧
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NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
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▽今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週は、なんともびっくりのOld DockとJanice Longさんイヴェントの写真を掲
載しています。
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*** 今週のフォト・アルバム ******

寄稿「アロンソに会いたくて」の写真を掲載しています。著者のAnneさんに提供
していただきました。ぜひご覧ください。
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□■ 第412号 ■□

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