April 06 2010, No.413
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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 ▽フロム・エディター
 ▼「利物浦日記2009」1
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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今週は寄稿がなく、ミナコさんの「ゴールドフィッシュだより」もお休みの週な
ので、掲載する原稿がひとつもありませんでした。
「じゃあ久しぶりにNLWはお休みにしようかな〜」とも考えたのですが、年明け
から続けている毎週発行をここでストップさせるのももったいないような気がし
て、先ほど急遽、自分で原稿を書きました。

昨年の<International Beatle Week>をレポートする連載の「利物浦日記2009」
です。
今週は本番前のイントロダクションみたいになってしまいましたが、来週から
(再来週かもしれませんが)、フェスティヴァルの様子を詳しくお伝えして行き
たいと思っています。どうぞお付き合いください。

スカウス・ハウスでは今年も《ビートル・ウィーク》の鑑賞ツアーを企画してい
ます( http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2010.html )。

以前にも書きましたが、今年は3つのバンドをブッキングしています。
そのうちの1つ、関西で活動している<ビートライブス>のライヴを、先日大阪ま
で観に行ってきました。
会場は<Fairy>というこじんまりとしたおしゃれなライヴハウスでしたが、関西
らしくステージと客席で頻繁にボケとツッコミの応酬があり、とても楽しめまし
た。
もちろん、<ビートライブス>の演奏は素晴らしかったです。<Penny Lane>や<I
Am The Warlus>など、ビートルズ中〜後期のナンバーが特に印象に残りました。
メンバーのみなさんのキャラクターも味があっていいです。
リヴァプール行きまであと4ヵ月半。もっともっとパフォーマンスに磨きをかけ
てくださいね。期待しています。

考えてみると、日本のライヴハウスでビートルズ・バンドの演奏を観るのはすん
ごく久しぶりのことでした。もしかしたら10年ぶりぐらいかもしれません。
《ビートル・ウィーク》のギグというのはある意味特殊な空間です。観に来る
オーディエンスがものすごくワイルドに気合いが入っているので、演るほうもと
にかくひたすら全力投球。慣れていないバンドは煽られてどこまでものぼって
行ってしまい、終わるころにはまさしく昇天寸前、という悲惨な結末を迎えるこ
とがあります。おそろしいですね。

そういうのと比べると、先日のライヴは実に平和で、安心して楽しめる空間でし
た。美味しいビールを味わいながら、「うん、たまにはこういうのもいいなあ」
と、ちょっとなごんでしまいました。また行ってみたいです。

<ビートライブス>は毎週のように関西のどこかでライヴを行っています。お近く
のかたはぜひ!
 http://beatribes.digi2.jp/ 

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                          ― Kaz(06/04/2010)


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▼「利物浦日記2009」1
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「利物浦日記2009」1 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo413.html ≫

【8月26日(水)】

2009年の<インターナショナル・ビートル・ウィーク>が開幕した!
…といっても、今日はキャヴァーン・クラブとキャヴァーン・パブでビートルズ・
バンドが演奏するだけで、それ以外のイヴェントはない。リヴァプールの街は
まったく平常どおりだ。
国内外からやって来るビートルズ・ファンの大部分もまだ到着していない。今日
キャヴァーンに現れるオーディエンスは地元の人々がほとんどのはずだ。それ以
外はよっぽど気が早い少数の常連ファンか、たまたまリヴァプールを訪れた観光
客だけだ。
しかし明日からは人々が続々と集まりはじめ、あさっての金曜日からいよいよ本
格的なお祭りがスタートすることになる。

僕自身は、5日前からリヴァプールに来ている。
アンフィールドでリヴァプールを応援したり(僕にとって初めてのアンフィール
ド敗戦となった。これほどやることなすことすべてがうまく行かないゲームも珍
しいのではないだろうか)、友人と会ったり、レコードショップで指が真っ黒に
なるまで物色したり、ミュージアムを巡ったり、パブで呑んだくれたりして、
ゆったりと今日まで過ごしてきた。
しかし明日からは、洗濯機の中に放り込まれたような、ぐるぐる目が回りっぱな
しの日々が始まる。
もちろんそれは、僕にとって1年に1度の楽しみでもあるのだ。

今年の<ビートル・ウィーク>は、コンヴェンションや<マシュー・ストリート・
フェスティヴァル>などおなじみのビッグ・イヴェントのほかに、フェスティヴァ
ル史上初めて<ブルー・エンジェル>がライヴ会場として使われたり、由緒ある
フィルハーモニック・ホールでジョン・レノンの生涯を辿るミュージカル《In
My Life》が再演されるなど、マニアックなプログラムが予定されている。

スカウス・ハウスでは、今年も「日本代表」のビートルズ・バンドをフェスティ
ヴァルにエントリーしている。しかも2バンドだ。

まずは、珍しい女性だけのビートルズ・バンド<ブルーマーガレッツ>。
結成は2008年というできたてほやほやではあるものの、メンバー4人はそれぞれ
別のバンドで実績を積んでいる。
通常のレヴェルでは満足できない、より高い目標を持つミュージシャン同士で結
成されたスーパー・バンドといえるだろう。

<ブルーマーガレッツ>には、合計7本のギグがブッキングされている。
中でも注目は、伝説のクラブ<ブルー・エンジェル>でのギグだ。1960年にアラン・
ウィリアムズがオープンし、ピート・ベストがビートルズの、ビートルズがラ
リー・パーンズのオーディションを受けた伝説のナイトクラブ。60年代はリヴァ
プールきってのヒップなスポットで、ローリング・ストーンズやボブ・ディラン
など多くのビッグ・スターたちが訪れたという。

今年のフェスティヴァルでは、主催者の計らいで、この<ブルー・エンジェル>と
<ジャカランダ>でのライヴが企画された。
ビートルズがこの街を出てから半世紀が経とうとしている今、実際にビートルズ
が演奏したことのある場所で、今もバンドが演奏することができるのは、シティ・
センターではわずか3ヶ所しかない。アラン関係の上記2ヶ所と、伝統と格式の
ある<エンパイア・シアター>だけだ。
<キャヴァーン>のフロント・ステージは80年代に再建されたレプリカだし、バッ
ク・ステージでは1999年にポール・マッカートニーが演奏したけれども、当然の
ことながらビートルズとしてではない。

ビートルズが演奏したまさにその場所で演奏する。ビートルズ・バンドにとって、
これ以上の栄誉はあるだろうか。
しかも<ブルー・エンジェル>は<ジャカランダ>と違い、通常はバンドを呼んでの
ライヴは開催していない。現在はビートルズとはまったく無縁の、学生が集まる
今風のナイトクラブだ。
ここでビートルズ・バンドが演奏するのは、もしかすると今回が初めてのことか
もしれない。

<ブルー・エンジェル>のステージで演奏するのは、合計8バンド。その1つに<ブ
ルーマーガレッツ>が選ばれたことは、ブッキングを担当した僕にとっても驚き
だった。
緊張するといけないので、本人たちにはあまり詳しい説明はしていない。とにか
くのびのび、ハッピーに演奏してもらえたらと思う。

そしてもうひとつのバンドは、2年連続での出場となる<アスプレイズ>。
去年は初出場ながら一大旋風を巻き起こした。並みいるメジャー・バンドを差し
置いての大活躍。2008年最大のインパクトだったと思う。

その実績を主催者に評価され、今年は彼らのために、<マシュー・ストリート・
フェスティヴァル>の<ビートルズ・ステージ>でのギグがセッティングされた。
30万人が集まる月曜日、このステージに立つことができるのは、選びに選び抜か
れた世界を代表するビートルズ・バンドのみ。その数わずか8バンド。ビートル
ズ・バンドにとって最大であり、最高に名誉なステージといっていいだろう。
わずか2年目にして、<アスプレイズ>はビートル・ウィークのトップ・バンドの
仲間入りをすることになった。
プレッシャーはあるだろうけど、がんばってほしい。もちろん僕もステージに同
行する。

アスプレイズはまた、日曜日に行われる<ビートルズ・コンヴェンション>でも重
要なステージを担当することになっている。
“ビートルズの全13枚のアルバムをフル演奏する”という企画があり、フェス
ティヴァルを代表する13のバンドが、それぞれ1枚のアルバムを全曲、最初から
最後まで通しで演奏するのだ。
<アスプレイズ>は、ビートルズ5枚目のアルバム《Help!》を演奏する。完全コ
ピーが信条の彼らは、このワン・ステージのためだけにキーボードのサポート・
メンバーを連れて行くという。もちろんキーボードもキーボード・スタンドもイ
スも持参だ。念のためだが、主催者から経費が出るわけではないし、がんばった
からといってご褒美がもらえるわけでもない。すべては彼らのプライドがそうさ
せるのだ。

数万人のオーディエンスと対峙することになる<ビートルズ・ステージ>と、世界
的なバンドとマニアックなファンが集結する<コンヴェンション>。
この2つの超メジャー・ステージを含めて、アスプレイズには6本のギグが予定
されている。実はフェスティヴァルとは別にもうひとつシークレット・ギグがあ
り、それをあわせると<ブルーマーガレッツ>と同じ7本ということになる。

<ブルーマーガレッツ>と<アスプレイズ>は明日、マンチェスター空港からリヴァ
プール入りする。
彼女ら、彼らがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、個人的にもほんとう
に楽しみだ。
金曜日からの4日間で2バンドあわせて合計14本のギグ。そのすべてに立会い、
サポートするのが僕の仕事だ。責任は重大で、例年にないハードなスケジュール
であるのは確かだけれど、ワクワクする気持ちのほうがはるかに強い。

さあ、今年はどんなフェスティヴァルになるんだろう?

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo413.html ≫


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