October 12 2010, No.433
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 <No.183>
 ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 <No.184>
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

2週間ぶりのNLWです。
先週はお休みするつもりではなかったのですが、コンピュータのトラブルのため、
配信することができませんでした。
申し訳ありません。

ヘロヘロ状態のコンピュータをムチ打って「セーフモード」で起動、メールマガ
ジン本文と写真の編集を含むウェブページの製作まではなんとかこぎつけたので
すが、その先が駄目でした。
どうしてもインターネットに接続することができなかったのです。
せっかく完成していても、配信の設定ができず、ウェブサーバーにアップするこ
ともできないのでは、どうしようもありません。バックアップのPCは持っている
のですが、その日の午前中に妻が入院している病院に持って行ってしまっており
ました。もう深夜だったので、病院に取りに行くことも、ほかの誰かにPCを借り
に行くこともできません。

もはやこれまで。万策尽きて、涙をのんで発行を断念しました(ほんとは涙じゃ
なくてビールを呑んでましたが)。
配信を待っていらっしゃったみなさん、ごめんなさい。

そういうわけで、今週号<NLW No.433>では、ミナコさんの「ゴールドフィッシュ
だより」を、2本掲載することになりました。
新しいほうの<No.184>は、先週末に行われたジョン・レノンのトリビュート・イ
ヴェントのレポートです。たいへんにタイムリーなので、無理を言って急いで原
稿を書いてもらいました。ミナコさん、どうもありがとう!
いつもながらのスバラシイ写真とともにご覧ください。
 http://scousehouse.net/goldfish/goldfish184_photo.html

BS朝日も取材に来ていたそうなので、このセレモニーの様子はいずれ日本でも放
送されるはずです(我が家ではBS朝日は観られませんが…。ちなみにレポーター
は木村佳乃さんだったそうです)。

先ほど、「妻が入院している病院」と書いてしまいました。そうなんです。実は
今、入院しているのです。
先週配信できなかったNLWのこの欄に、そのことを書いていたんですけど、せっ
かくなのでここに掲載してみます。

● ● ●

今日、うちの奥さんが入院しました。明日は手術です。

急に具合が悪くなったわけではなく、何年もの検査や経過観察を経てのことなの
で、予定通りというか、計画的な手術です。
なので当然心の準備はできているつもりだったのですが、やっぱりいざとなると
落ち着かないものですね。気持ちがどんよりしています。
妻もかなりナーヴァスになっておりました。手術を受ける本人なんだから当たり
前ですが。

僕ら親よりも、2歳になったばかりの息子のほうがひょっとしたらしっかりして
いるかもしれません。
いつもべったりなのに、病院で別れるときは明るくバイバイするし、家に帰って
からも少しも泣き言を言わず、普段よりもわがまま度が低めで、いつも以上に陽
気にふるまっているんですよね。

けなげでちょっと泣けてきそうになりますが、子供ってすごいなあとあらためて
感じました。僕らもがんばらないと。

けっこう大きな手術です。
退院まで2週間から3週間かかるそうですが、妻が元気になって戻ってくるまで、
親子2人&ネコ1匹でしっかり家を守っていこうと思います。
…といいながら晩ごはんを親の家で食べさせてもらったりしているんですが。

● ● ●

あれから1週間、手術は無事に成功して、妻は順調に回復しています。
往復2時間かけて病院に通う生活はもうしばらく続くことになりますが、日に日
に元気になっていく顔を見るのは、僕にとって楽しみであり、励みにもなってい
ます。
絶食が続いているので、それだけがちょっと可哀想なんですけどね。家に帰って
きたら、美味しいものを作ってあげようと思います。
…と思って今日、「退院したら何が食べたい?」って訊いたら、「パエリアと、
モツァレラチーズとトマトとバジリコのサラダ」と即答されてしまいました。
もうちょっと簡単なのを言えよなあ…。

                          ― Kaz(12/10/2010)


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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第183号 / Liverpool Biennial 'Touched' ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish183_photo.html ≫
 
こんにちは。
10月に入りました。日照時間もグッと短くなり、落ち葉も見られる季節となりま
した。比較的過ごしやすい天候で、しかも8月や9月よりも温かく感じるのが不
思議です。

今号では9月の後半に行われたイベントをお知らせします。
まずは、9月18日に一般公開となった《リヴァプール・バイエニアル(Liverpool
Biennial)》。
この英国最大のコンテンポラリーアートの祭典は、今年で第6回を迎えます。

「触れる、感動する」といった複数の意味をもつ言葉<Touched>が今年のテーマ
です。
またもう一つのモチーフとしては、オオカミ。街じゅうに赤と黒のオオカミが出
没しているのが見られます。

前回・2008年のバイエニアルは、リヴァプールの欧州文化首都を祝う特別版で、
大掛かりなパブリックアートが数多く見られました。
しかし不幸にも、開始して間もなく世界同時不況に見舞われ、運営に少なからず
影を落とすことになりました。
今年は前回ほどの派手さはありませんが、より内面的な、心に残る作品が数多く
見られたような印象があります。

今年のバイエニアルは、メインの<International 10>と恒例の<John Moores
Painting Prize>、<New Contemporaries>に加え、新たに世界6都市が参加する
<City States>、廃墟を占拠したプロジェクト<S.Q.U.A.T.>、そして地元の若い
アーティスト集団やアトリエグループが一同に集まってプロジェクトを展開する
<The Cooperative>の6部門で構成されています。

このほか、フリンジ的存在の<Independents Liverpool Biennial>がリヴァプー
ルだけでなく、川向こうのバーケンヘッドやウィラル各地で、アーティストが自
主的に展覧会を企画し開催しています。

今号では、<International10>に焦点を絞ってお伝えします。

リヴァプール・バイエニアルの<International10>は、Tate Liverpool、
Bluecoat、A Foundation、FACT、Open Eye Galleryの会場でそれぞれのキュー
レーターが選りすぐりのアーティストの作品を発表しています。
加えて、メインのキューレーターLorenzo Fusiが、パブリックスペースや、ホー
ムセンターのRapidがかつて軒を連ねていて今は空き店舗となっているRenshaw
Streetの巨大なスペースをアートギャラリーに変身させました。

今年は、パフォーマンス性の強い作品が多く発表されています。
しかも、耐久性を要するものが不思議と多く、作家によっては会期中を通じてパ
フォーマンスが見られるものもあります。

【Tate Liverpool】
Tate Liverpoolではなんと、ニューヨークを拠点とするJamie Isensteinという
アーティスト自身の「手」がオブジェの一部となって壁に展示されています。
作り物の手かと見流してしまう人もいたようですが、よく見ていると、時々指が
ピキピキっと動き、見ているほうがドッキリさせられます。彼女のパフォーマン
スは会期中通じて行われています。

ベルギー出身のWannes Goetschalckxは、一つのアクションをひたすら繰り返し、
体力と精神力の限界にチャレンジするアーティスト。
過去のパフォーマンスのビデオ作品が映されている傍らで、木箱に囲まれてアー
ティスト本人が延々と箱を移動し続けるパフォーマンスが繰り広げられています。

【FACT】
FACTでは、台湾出身のTehching Hsieh(謝コ慶)が5年間にわたって敢行したプ
ロジェクトのひとつ、<One Year Performance 1980?1981>のドキュメンテーショ
ンが展示されています。
彼は24時間、1時間ごとにタイムカードを押し、タイムレコーダーの隣に立ち、
自分の顔を撮影することを1年間毎日続けました。
展示会場には、タイムレコーダーと顔を映したビデオを中央に、顔写真が壁じゅ
うを埋め尽くしています。1時間ごとにタイムカードを押すということは、1時
間以上眠ることもできませんし、出かけることもできない、ということですよね。
まさに究極の域といえます。

【A Foundation】
A Foundationでは、2人のパフォーマンスアーティストをフィーチャーしていま
す。
フィンランド出身のAntti Laitinenが新作<The Bark>を発表。
フィンランドの森からかき集めた松の樹皮を使って、リヴァプール滞在中にギャ
ラリーで船を作り、対岸のニューブライトンからリヴァプールのピアヘッドまで
のマージー川横断するという野心的なプロジェクトを行い、無事果たし、生還し
ました。
この様子を収録したビデオ作品はこちらです!
http://www.youtube.com/watch?v=Tf_nOz-6lGA

もう1人は日本人アーティスト、Sachiko Abe(阿部幸子)。
<Cut Papers>と題した作品で、会場に入ると、厳ついインダストリアルな巨大ス
ペースの中には、はっとするように真っ白なオブジェが床からすーっと円錐状に
上方に延びています。
ハサミの音に誘われて会場の奥へと歩いていくと、2階の屋根に座って白いドレ
ス姿で紙を切り続ける幸子さんの姿が見えます。

表情ひとつ変えず紙を続ける彼女は、パフォーマンスのために切るだけでなく、
日常的に毎日10時間切っています。瞑想的だと思われがちですが、無心になるの
ではなく、むしろ日ごろの出来事を回想しながら切っているうちに気持ちが整理
されていくのだそうです。
展示されているオブジェも、過去7年間切り溜めた紙でできています。驚くほど
繊細に切られた紙の一片一片には、目には見えないアーティストの日々の想いが
刻まれているのですね。

阿部幸子さんのパフォーマンスも、バイエニアル会期中行われています。
<Cut Papers>のほかにも、今回のロンドンおよびリヴァプールでのレジデンシー
の間に描かれた、緻密で美しいドローイングが展示されています。

【Bluecoat】
Bluecoatでのハイライトは、ブルガリア出身でニューヨークを拠点とするDaniel
Bozhkovの<Music Not Good for Pigeons>。
ギャラリースペースにリヴァプールFCの更衣室を再現し、ベンチの隅には入れ歯
付きのパンダのぬいぐるみが置かれ、小さなテレビモニターからはパンダの赤
ちゃんがクシャミする映像がループ状で繰り返されている中、ビデオ作品が大き
なスクリーンに映し出されるというシュールなセッティング。

ビデオの内容もランダムで、80年代に過酷なサッチャー政権と戦ったリヴァプー
ルの労働党内のミリタント・グループの元メンバーとのインタビューを交え、
アーティスト本人がボイストレーニングを受けてジョン・レノンの「イマジン」
をはじめとし、地元のバンドやラッパーとコラボで数曲を披露しています。

【パブリックスペース】
パブリックスペースでの展示としては、Renshaw Streetの空き店舗にバイエニア
ルのヴィジターセンターが置かれました。
地上2階&地下1階で、何軒分にもわたってぶち抜きで続く巨大な元DIYショッ
プのスペースには、合計23名のアーティストの作品が展示されています。

経済学者カール・マルクスに関する書籍がずらっと展示されたAlfredo Jaarの
<The Marx Lounge>。

Rosa Barbaによる<Free Post Mersey Tunnels>では、地下から延びるパイプで大
型のオブジェが作られ、そこからはリヴァプールの街の地下の音がパイプを伝っ
て聞こえてきます。

NS Harshaの<Sky Gazers>では、床に描かれた数多の顔が天井に張られた鏡に映
し出されていて、天井を見上げると自分もまるで大勢の一人のように見えます。

他のパブリックスペースの会場としては、リヴァプール大聖堂のお隣のThe
Oratoryにて、Laura Belemによる<The Temple of a Thousand Bells>という隣に
ある1000個のガラス製のベルとサウンドアートのインスタレーションで心が洗わ
れます。

大聖堂にも作品が見られます。螺旋階段を上がったところにある隠れ部屋では、
Danica Dakicの<Grand Organ>というセント・ジョージズ・ホールのパイプオル
ガンにまつわるビデオ作品があります。

Duke Streetを下ると、チャイナタウンの門付近にも複数の作品が見られます。
Black-Eの入口には、Kris Martinによる<Mandi XV>という長さ7mの剣が天井か
ら吊るされています。

門をはさんですぐ隣の白い廃墟のビルScandinavian Hotel正面の外壁には、Will
Kwanによる<Flame Test>という燃える万国旗が。

そしてDuke Street側のEuropleasureには、ガラスが部分的に割られていて、目
を凝らして見てみると、“TOUCH AND GO”という文字が綴られているのが見えま
す。これはCristina Lucasの<Touch and Go>という作品で、建物の中では、地元
の50歳以上のおじさま、おばさま達が目を輝かせながら建物のガラスに石を投げ
込む姿を撮影したビデオ作品が見られます。

さらにDuke Streetを下っていくと左手には、建物と建物の間に斜めにねじ込ま
れたような東洋的な建物が出現しました。これは韓国人アーティスト、Do Ho
Suhの手掛けた<Bridging Home>という作品で、通行人を驚かせています。

ピアヘッドへ向う途中に建設中のMann Island Plazaという建物のアトリウムに
あるガラスの天井には、Hector Zamoraの<Synclastic-Anticlastic>という、200
個ものコンクリート製のオニイトマキエイをイメージしたオブジェが設置されて
います。

もう一つ、Lime Street沿いの今は使われなくなった映画館の外壁には、Emese
Benczurによるこの作品のタイトルでもある<Think About Your Future>という
メッセージがスローガンのように掲げられています。

<International10>のメインの展覧会のハイライトだけでもこれだけ見どころが
ある上に、他の6部門+インディペンツを合わせたら気が遠くなるほどの作品数
になります。

ここ数週間、バイエニアルの地図を手に街を散策している人が見られます。
市外もしくは海外からやってきた人々はもちろん、地元の人たちにとっても、
アートをきっかけに今まで特に気に留めなかった場所や普段立ち入ることのでき
ない場所に足を運んで新たな発見のできる絶好のチャンスです。
リヴァプールへお越しの際は、是非歩きやすい運動靴を履いてアートスポッティ
ングをしてみてください!

リヴァプール・バイエニアルはすべての会場で入場無料です。11月28日まで続き
ます。

Liverpool Biennial: http://www.biennial.com

バイエニアルおよびその他の展覧会情報はこちらから。
Artinliverpool: http://www.artinliverpool.com/

【今週の告知】
リヴァプールでは10月から12月にかけて、ジョン・レノンの生誕70周年を祝い、
40回忌を悼む《John Lennon Tribute Season》と題した一連のイベントが市内各
地で開催されます。音楽、アート、文学など様々な角度からジョン・レノンをト
リビュートします。

Lennon Tribute Season:
http://www.visitliverpool.com/site/whats-on/john-lennon-tribute-season

それではまた!

ミナコ・ジャクソン♪

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish183_photo.html ≫


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第184号 / ジョン・レノン・トリビュート・シーズンの始まり ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish184_photo.html ≫
 
こんにちは。
10月9日のジョン・レノン生誕70周年と12月8日の30回忌を記念して、リヴァ
プール市と博物館<ビートルズ・ストーリー>が中心となって企画した「ジョン・
レノン・トリビュート・シーズン」がスタートしました。

その幕開けとなるメインイベントとして、ショッピングセンターLiverpool ONE
のシャヴァス・パーク(Chavasse Park)で、ジョン・レノンと平和
のために捧げられたヨーロピアン・ピース・モニュメントが、ジョンの長男ジュ
リアン・レノンと前妻のシンシア・レノンによって披露されました。

この記念碑は、米国カリフォルニアに本拠地を置く<The Global Peace
Initiative>の製作によるものです。
この団体では、世界七大陸に一つずつ若い芸術家によって制作された記念碑を贈
呈することで、「芸術を通じて平和のメッセージを発信し、人々がその記念碑に
集まり、平和について考える場を創る」という活動をしています。
すでにアジアではシンガポールで記念碑が発表されており、今回のリヴァプール
ではその第二段階で、ヨーロッパにおけるピース・モニュメントとして設置され
ました。

当初はベルリンに置かれる話があったそうなのですが、ビートルズ・ストーリー
が積極的に誘致し、今回のリヴァプールでの除幕式に至りました。

この式典では、<BBCラジオ・マージーサイド>のロジャー・フィリップスが司会
進行を務め、市長のヘーゼル・ウィリアムズによる歓迎の挨拶の後、<The
Liverpool Signing Choir>という耳の不自由な子供達による合唱団が、手話で
ジョン・レノンおよびビートルズのナンバー「イマジン」、「イン・マイ・ライ
フ」、「リアル・ラヴ」を披露しました。それまでどんよりとしていた空から、
太陽の光りが差し込みました。

その後、グローバル・ピース・イニシアチブ代表のベン・ヴァレンティーとアー
ティストのローレン・ヴォイアーズが、リヴァプール市およびビートルズ・ス
トーリーに記念碑を贈呈します。

そしてジュリアンとシンシアによるスピーチが行われました。
当初はスピーチをするつもりがなかったというジュリアンも、
「私達は、心から父を讃え、平和のために祈るためにここへやってきました。今
日という日を祝うひとりひとりに感謝したいと思います。心をこめて、リアル・
ラヴ。ありがとう」
と述べた後、手話で「愛」を表しました。

シンシアのスピーチです。
「愛と平和については、他にあまり言うことはありませんが、一つ言える事実と
して、ジョンは生涯の中で多くの種を植えました。私にとって最も大切な種は大
きく育って美しい木となりました。それが私の息子です。ジュリアンだけでなく、
ショーンもそうです」

ここでジュリアンが、
「ショーン、誕生日おめでとう」
と付け加え、拍手喝采がありました。シンシアが続けます。
「ショーンが誕生し、ジョンが去っていきました。ジョンのために哀悼するのは
もうやめにしましょう。彼を祝うときがやってきたのです。私達はそのためにこ
こにいるのです。彼の人生を思い起こせば、ポジティブで良いことばかりでした。
ですから、それを満喫してほしいのです。辛気臭くなるのはやめて、彼や彼の曲
から感じられる喜びをかみしめるのです。ありがとうございました」
と温かく語りました。

それまでやや厳粛に行われていたこの式典も、シンシアのスピーチによって、雰
囲気が和らいで祝賀ムードが高まっていった気がします。

いよいよシンシアとジュリアンが記念碑を披露すべく、リボンにハサミを入れま
す。すると白い風船が空に放たれ、彫刻が姿を現しました。

そしてThe Liverpool Signing Choirによる「ギヴ・ピース・ア・チャンス」で
締めくくられました。

このヨーロピアン・ピース・モニュメントは、19歳の女性アーティスト、ローレ
ン・ヴォイアーズ(Lauren Voiers)によるもので、その名も「ピース&ハーモ
ニー」。
地球を表した球体には、空を仰ぐような二つの手から放たれる鳩、ピースマーク
といった平和のシンボルと、偉大なミュージシャンへのトリビュートとして、
ギター、サックス、キーボード、音符、五線譜が飾られていて、この彫刻の天辺
には、ジュリアン・レノンからの要望による白い羽根が添えられています。

このモニュメントは、Liverpool ONEのシャヴァス・パークに常設されています。

Liverpool ONE: http://www.liverpool-one.com/website/liverpool-life.aspx

Beatles Story: http://www.beatlesstory.com/our-attraction/john-lennon-monument.html

Global Peace Initiative: http://www.theglobalpeaceinitiative.com/index.html

♪ ♪ ♪

「ジョン・レノン・トリビュート・シーズン」期間中の62日間、ギャラリー<The
Bluecoat>のロビーにはベッドが設置され、《Bed-in at the Bluecoat》という
イベントが行われます。
非暴力活動を通じて世の中をより良くするというテーマのもとで一般から募った
様々なベッド・イン活動が日替わりで繰り広げられています。

初日の10月9日には、Hayley Newman and the vacuum cleanerが11時間ベッドで
ひたすら踊り続けて平和を想像するというパフォーマンスが行われていたのです
が、始まって数分以内に跳ねすぎてベッドが壊れるというアクシデントに見舞わ
れました。
スタッフが修理をしているあいだもめげずに元気に踊り続ける彼女たちは天晴れ
でした!

日替わりパフォーマンスの様子は、ライヴ・ストリーミングにてご覧になれます。
http://www.livestream.com/thebluecoat

The Bluecoat: http://www.thebluecoat.org.uk/

♪ ♪ ♪

その日の夕方、ジョン・レノンの出生時間が午後6時半と聞いていたので、ちょ
うど我が家からすぐそばにあるジョンの生まれた<リヴァプール・マタニティー・
ホスピタル>跡地へ立ち寄ってみました。
きっとレノン・マニアが集まっているのだろうと思って行ってみると、日中に
ファンが残していったらしい花やハッピーバースデーのバナーがあっただけで、
意外にも誰ひとりいませんでした。
私と旦那だけでひっそりと、バースデーを祝って、その場を後にしました。

70年前にジョンが生まれたときも、こんなふうに薄暗く静けさに包まれた夕暮れ
時だったのかな、と過去に思いを馳せました。
(と書いたら、カズさんから「ジョンが生まれたときはドイツ軍の空襲の真っ最
中だったそうだよ。病院に爆弾が落ちなくてよかったね」とのコメントが。なる
ほど)

♪ ♪ ♪

10月9日から12月9日までのあいだ市を挙げて行われる「ジョン・レノン・トリ
ビュート・シーズン」では、音楽、アート、文学、舞台、ツアー、講演などさま
ざまな角度からジョン・レノンの人生および功績を讃え、そのレガシーを受け継
ぐイベントの数々が用意されています。

音楽では、キャヴァーン・クラブでは連日トリビュートショーが行われるほか、
12月9日には、エコー・アリーナにて《Lennon Remembered》 と題した特別コン
サートがで開催されます。
http://www.echoarena.com/whats_on/lennon_remembered.asp

アルバート・ドックでは、10月23日まで、ビートルズを撮影した写真家ビル・ジ
グマントによる写真が、アルバート・ドックの建物に投影されます。
http://www.albertdock.com/pages/?page_id=1950

ビートルズ・ストーリーでは、インターナショナル・ポエトリー・コンテストを
開催。
http://www.beatlesstory.com/our-attraction/john-lennon-tribute-season-2010/167/169/liverpool-lennon-poet-competition.html
 
Royal Court Theatreでは、10月15日から11月13日まで《Lennon by Bob Eaton》
というミュージカルが連日行われます。
https://royalcourtliverpool.ticketsolve.com/shows/23498569/events

ジョン・レノン・トリビュート・シーズンのイベント情報はこちらからご覧下さ
い。
http://www.visitliverpool.com/site/whats-on/john-lennon-tribute-season

【今週の告知】
10月15日から、毎年恒例の《Liverpool Irish Festival》が開催されます。
http://www.liverpoolirishfestival.com

それでは!

ミナコ・ジャクソン♪

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish184_photo.html ≫


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** Beatle Week 2011:出場バンド募集中! ******

スカウス・ハウスでは、2011年の<インターナショナル・ビートル・ウィーク>に、
日本代表として出場するビートルズ・トリビュート・バンドを募集しています。
プロ・アマは問いません。出場を希望されるバンドは、info@scousehouse.net
までお問い合わせください(件名は「Beatle Weekバンドエントリー希望」とし、
メール本文には、バンド名と簡単なプロフィール、代表者のお名前・住所・電話
番号をご記入ください)。
お問い合わせをいただいてから2日以内に、Eメールで詳細をご案内いたします。


*** スタジアムへ行こう! ******

リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください!
フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。 
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium2010-11.html 


*** 新ガイドツアー「ロンドン特別編」スタート ******

好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、
新しくスタートさせました。シャーロック・ホームズゆかりのスポットを案内す
る「ホームズ・ツアー」と、ちょっと怖い「ロンドン・パブ・ツアー」です。
ディープなロンドン体験をぜひ!
http://scousehouse.net/beatles/guidetour_london2.html 


*** リヴァプール語学留学 ******

スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
のサポートについても安心してお任せください。
http://scousehouse.net/study/index3.htm 


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧
ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm 
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

ミナコさん撮影による素敵な写真をたくさんたくさん掲載しています。ぜひご覧
ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish183_photo.html
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish184_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

今年8月に撮影したリヴァプールの街の写真をいくつか紹介します。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo433.html 


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 ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
 ◇編集 山本 和雄&ミナコ・ジャクソン
 ◆Eメール info@scousehouse.net
 ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/
 ◆お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html

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