November 30 2010, No.439
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽フロム・エディター
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今週は、連載「利物浦日記2009」の続きをお届けします。
<インターナショナル・ビートル・ウィーク>のビートルズ・コンヴェンションの
日、キャヴァーン・クラブでのブルーマーガレッツのギグのレポートです。
こがまたとんでもなく素晴らしい感動的なライヴで、1年以上が経った今振り
返っても胸がじ〜んとしてしまうほど…なのですが…しかしそれを文章で伝える
となると、ほんとうに難しい。特に僕の表現力では…。
一生懸命がんばって書いてはみたものの、実際の100分の1もあのアトマスフィ
アを再現できていないように思います。悔しいなあ。

そこで考えました。
1曲だけですが、このギグのヴィデオを、スカウス・ハウスのサーバーにアッ
プしました。ちょっとサイズが大きいので(164MBもあります)、開くのに時間
がかかりますけど、興味のある方はご覧になってみてください。すごいですよ。

http://scousehouse.net/beatleweek/img/bm09_gig06_04.MOV
(明後日・木曜日までの期間限定公開です。ごめんなさい!)

さて、その<ビートル・ウィーク>なのですが、先日主催者より、来年のプログ
ラムの概要が僕のところに届きました。
せっかくなので、差し障りのない程度にちょろっとここで紹介してみましょう。

まず金曜日。去年、今年に続いて来年も<アルマ・デ・キューバ>でパーティー
が開催されます。古い教会を改装した大きなパブ&レストランで、そのゴー
ジャスな内装はまるで別世界。一見の価値ありです。ステージでは選りすぐり
のビートルズ・バンドが演奏するのですが、ひとり、ビートルズとも関係の深
い大物ミュージシャンの登場が予定されています。名前は…やめておきましょ
う。ヒントとしてはえーと、2003年以来久々のカムバック、です。

土曜日は、なんとジョンの母校<クォリーバンク・スクール>でイヴェントが行
われます(映画《Nowhere Boy》でも出てきましたね。ご覧になりました?)。
ここではもちろんオリジナルの<クォリーメン>が演奏することになっていて、
そのほかにもビートルズ・バンドが多数出演します。スカウス・ハウスがブッ
キングする日本代表バンドもここで演奏できたらいいなあと思っています。

由緒ある<フィルハーモニック・ホール>では、金・土・月の3日間、スペシャ
ル・コンサートが行われます。
金曜日はすっかりおなじみの<オーヴァーチュアーズ>のコンサートが、土曜日
はベスト・バンドを集めてのソロ・ビートル・レヴュー企画が、そして月曜日
はアメリカから超大物バンドのコンサートが企画されています。

とりあえず、このくらいにしておきましょう。
正式に発表になってから、また詳しく案内しますね。
来年が楽しみになってきました。

そういえばなのですが、<ビートル・ウィーク>で知り合った海外のバンドから、
僕のところにちょくちょくコンタクトがあります。
内容はだいたい決まっていて、「日本でライヴやりたいんだけど、力になっても
らえないだろうか?」みたいな問い合わせです。
中にはすんごいメジャーなバンドからのコンタクトもあって、「なんとかしてあ
げたいなあ、日本のビートルズ・ファンにもぜひ見せてあげたいなあ」とは思
うのですが、「じゃあどうしたらいいんだろう?」というところでいつも途方に
暮れてしまいます。

というわけでこの場で告知です。
イヴェントのプロモーターやライヴハウスなどの関係者のかたで、海外のビー
トルズ・バンドの招聘に興味をお持ちのかたがいらっしゃいましたら、
info@scousehouse.net まで、ご連絡ください。
いいバンドいっぱいいますよ〜。

                          ― Kaz(30/11/2010)


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▼「利物浦日記2009」13
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「利物浦日記2009」13 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo439.html ≫

【8月30日(日)】

アスプレイズの後は1組をおいて、17時にブルーマーガレッツがキャヴァーンの
フロント・ステージに登場する。
彼女たちにとって通算で6本目のギグ。キャヴァーンのフロントは、ファース
ト・ギグに続いて2度目になるが、前回はフェスティヴァル序盤の金曜日、今回
はコンヴェンション・デイの夕方という違いがある。当然ながら、オーディエン
スの数も期待度も前回とは比べ物にならない。ブルーマーガレッツの7本のギグ
のうちでも、最も重要なステージなのである。

しかし。
4時45分を過ぎても彼女たちは現れない。アデルフィでのギグのあと少し休ん
で、4時半には到着するように宿を出ているはずなのだが…。
ステージはオンタイムで進行中。心配になってキャヴァーンの外に出てみると、
外は雨がしとしとと降っていた。マシュー・ストリートは大勢の人でごったがえ
しているが、みんな寒そうだ。
そこにブルーマーガレッツのさとみさんから電話。雨なのでタクシーに乗ってみ
たものの、今日はシティ・センター中心部の車の乗り入れ規制があったために少
し離れたところで下ろされてしまい、道がわからないので人に訊きながら急いで
こちらに向かっている、とのこと。なるほど。

そのまま待つこと2〜3分。人波の中にブルーマーガレッツ一行の姿を発見。嬉
しくなって手を振ると、みんな必死の形相でこちらに向かって走って来た。雨の
中、重い楽器を抱えているというのに…。

「カズさーん、遅れてすみません〜〜!! ギグは? ギグはだいじょうぶで
しょうか?」
「あーぜんぜんだいじょうぶだいじょうぶ。遅れたってたいしたことないんだか
ら、慌てなくていいよお」

わざとのんびりした調子で答えてみたけれど、彼女たちの気持ちを落ち着かせる
ことはできなかった。なにしろ真面目で律儀だから、時間に遅れるなんて切腹も
のだと思っているのかもしれない。それなら僕はいくつおなかがあっても足りな
いでござる。

5時直前に楽屋入りし、タオルで顔の雨と汗を拭いただけでステージに上がり、
楽器のセッティングとサウンドチェック。全身びしょぬれだし、まだ息も上がっ
たままだ。
客席はすでにフルハウス状態。湿度も温度も高いが、オーディエンスの発する熱
気も尋常じゃない。ほとんどがブルーマーガレッツを目当てに集まって来た人た
ちで、みんなギグが始まるのを今か今かと待ち構えている。それが、彼女たちを
余計にアセらせてしまっている。このままではちょっとまずいなあ。

本番直前、ステージ横で円陣を組んだ彼女たちの間に、割って入ることにした。
「ええと、ひと言いいかな。思わぬハプニングでコンディションは最悪。テン
パってわけわかんない状態。だよね? でも、僕の経験から言わせてもらうと、
こういう時にこそ、とんでもないエネルギーが出るものなんだ。だいじょうぶ、
絶対に最高のギグになるよ!」

少しは落ち着いてくれたかもしれない。それに、たまたまだろうけど1曲目がよ
かった。ビートルズがデビュー前にハンブルグで録音した<クライ・フォー・
ア・シャドウ>。ヴォーカルのないインスト・ナンバーで、テンポもややゆった
りめだ。気持ちと動悸を静め、会場の空気をつかむのにぴったりではないか。
この1曲で、キャヴァーン全体がすっかりブルーマーガレッツのペースになった。

2曲目の<サム・アザー・ガイ>からは、オーディエンスと一体になって全速力で
駆け抜けた。あっという間の14曲、45分。バンドもオーディエンスも、おそろ
しいくらいのパワーと集中力を放射し、会場全体をぐらぐらとシェイクした。後
ろで見ていて、ゾクゾクと鳥肌が立ってしょうがなかった。まったくもう、とん
でもないバンドだ。心配してソンしちゃった。

ギグは6時に終了。
6時半からブルーマーガレッツはフランスとメキシコのジャーナリストから2本
のインタヴューを受けることになっているが、なにしろ雨と汗でぐしゃぐしゃ状
態。このまま直行させるわけには行かない。宿でシャワーを浴びて着替えて来る
ように指示し、僕だけ先にインタヴュー会場のアデルフィ・ホテルへ。事情を説
明すると、もちろん彼らは快く了解して待ってくれた。

7時からメキシコのドキュメンタリー・フィルム用のインタヴュー。ホテルの彼
らの部屋の中で収録した。
途中で「何か1曲歌ってもらえませんか」というリクエストがあり、彼女たちは
アカペラで<プリーズ・ミスター・ポストマン>をフルコーラス披露した。ハーモ
ニーも素晴らしかったが、彼女たちの明るさと可愛さと屈託のなさには、みんな
が参ってしまった。撮影クルーと僕は、途中で何度も顔を見合わせ、苦笑交じり
に首を振りあった。

続いて、フランスのジャーナリスト、フレデリックさんのインタヴュー。こちら
はホテル内にあるバー<Wave>を借り切って行われた。いや、例によってバーの許
可をもらったわけではなくて、たまたまドアの鍵がかかっていなくて中は無人
だったので勝手に使わせてもらったというだけなのだが。
このインタヴューもうまく行った。フレデリックさんもすっかり彼女たちのファ
ンになってしまったようだった。

2本のインタヴューを終えてロビーに出ると、ちょうどそこを歩いていたビル・
ヘックルさんに遭遇。主催者の中でもいちばんの重要人物だ。このチャンスを逃
す手はない。

「ビルさんちょっとちょっと、ほら、ブルーマーガレッツですよ」
「やあ君たちが。うまく行ってる? 楽しんでる?」
「そりゃもう。サイコーですよ。まさかビルさん観てないの?」
「それが…すまん、次はいつ?」
「明日の午前11時。キャヴァーン・パブです」
「え? 11時? 朝の? う〜ん悪いけど時間が早すぎる。勘弁してくれよ、こ
れから朝までここにいるんだから。その次は?」
「もうないですよ。それで終わり」
「なに? そうか、じゃあ…(ブルーマーガレッツの顔を見て)来年、かな?」
「(ブルーマーガレッツ一同)ら、らいねん〜!?」

ビルさんと一緒に記念撮影。ブルーマーガレッツに同行したZooさんに撮っても
らった。
あとで気がついたのだが、ちょうどいいタイミングでDJのニールが横を通りか
かり、こちらを見ながら笑っている。いい写真になった。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo439.html ≫


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