December 28 2010, No.443
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 <No.188>
 ▽「利物浦日記2009」17
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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今年最後のNLWです!
1年間でどれくらい発行したんだろうと気になって、確認してみました。今年最
初が401号で今号が443号ですから、43本ですね。1年を52週とすると、えー
と、1.2週間に1本発行、という感じでしょうか。
多いんだか少ないんだかよくわかりませんが、自分の予想よりはずっと多かった
です。もっとサボってたような実感があったので…。

一瞬、「がんばったなあ、おれ」という気になりかけてしまいました。
でもよく考えると、僕自身は「利物浦日記」以外にはほとんど原稿を書いてない
んですよね。やっぱりサボってたのかもしれません。すみません。

あらためて書くまでもないことですが、NLWが成り立っているのは、ミナコさん
の特派員レポート「ゴールドフィッシュだより」と、下村えりさんの2本のシ
リーズ「Footballの旅」と「リアルエールのすすめ」、そして、読者のみなさん
からの寄稿があってこそなのです。

今年は特に、ステラさんの「夢をかなえて ― Anfield再訪の旅」と、Anneさん
の「アロンソに会いたくて」を長期にわたって連載させていただきました。どち
らもフットボールがらみの旅行記ですが、フットボールそのものよりも、ひとり
旅ならではの面白さやたいへんさがリアルに伝わってくる作品だったと思います。
毎回、文章を読み、送っていただいた写真をアップする作業がとても楽しかった
のを思い出します。
ステラさん、Anneさん、ありがとうございました。

そしてもちろん、ミナコさん、えりさんにも、ありがとうございました。

そしてそして、読者のみなさんにも、ありがとうございました。
発行を続ける一番のモチベーションは、やはり、「読んでくれている人がいるん
だ」という実感です。
みなさんのおかげで、NLWは続いています。
2011年もどうぞよろしくお願いします。

…と書いたばかりでちょっと言いにくいのですが、次週はお休みにして、新年最
初のNLW(第444号)は1月11日の発行とさせていただきます。すみません!

あ、今気がついたんですけど、11年の1月11日って、1が5つも並んでますね。
NLWの通しナンバーも444で4が3つ並んでます。なんだかハッピーな気分で発
行できそうです。

よい年の瀬&お正月を!

● ● ●

*** 年末年始の「リヴァプール・ビートルズ・ツアー」について ******

大寒波による路面の凍結のため、スカウス・ハウスの現地ツアー「リヴァプー
ル・ビートルズ・ツアー」が実施できない状況となっております。1月中のご予
約の受け付けは、当面のところストップさせていただきます。すでにご予約をい
ただいているみなさんには、直接ご連絡させていただきます。どうかご理解くだ
さいますよう、お願いいたします。
「ロンドン・ビートルズ・ツアー」につきましては、通常通り実施しております。

                          ― Kaz(28/12/2010)


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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第188号 / Lennon Remembered ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish188_photo.html ≫

こんにちは。
良いクリスマスを過ごされましたでしょうか?
私のところでは、ファミリーでのんびりとしたクリスマスを送り、余韻を楽しん
でいるところです。

今回号では、少し前になりますが、ジョン・レノン30回忌について少し触れて
おきます。

12月8日から9日、リヴァプールではジョン・レノンを偲び、讃えるイベントが
行われました。
8日にはビートルズ博物館「ビートルズ・ストーリー」が中心となって、前夜祭
の祈りが行われました。Liverpool ONEのシャヴァス・パークに設置されたピー
ス・モニュメントには、大勢の人々が詰めかけていました。
私は残念ながら急ぎ足でその場を通り過ぎただけで、実際に体験したわけではな
いのですが、厳かにしめやに行われている様子が伺われました。

地元のフォトグラファー、ピート・カーのブログからその様子がご覧になれます。
John Lennon Vigil in Liverpool One - Pete Carr Photo blog:
 http://blog.petecarr.net/2010/12/09/lennon-vigil-in-liverpool-one/

♪ ♪ ♪

12月9日の日中のブルーコートでは、10月から日替わりで一般参加の「ベッド・
イン」の最終回が行われました。
私が行ったときは、ジョンとヨーコのそっくりさん(?!)が登場したり、ギャ
リーとレナ夫妻とそのお子さんが、1960年代にオノ・ヨーコが披露したパ
フォーマンス「カット・ピース」にちなんで、現代版の「カット・ピース」を
行っていました。

今年の政権交代で、イギリス政府は戦後最大とも言われる著しい歳出削減
(=Cuts)に乗り出しており、自治体、医療、教育、警察、芸術、公共プログラ
ムなどの予算に大きな影響が出ています。そうした事例を挙げながら、政府の動
きにプロテストしていました。

もちろん、オリジナルの「カット・ピース」のように、時折、ハサミを渡された
観客が、ベッドのシーツを切っていました。。。

ブルーコートでの「ベッドイン」の様子は、こちらからご覧になれます。
Bed-in at the Bluecoat:
 http://www.thebluecoat.org.uk/events/view/events/828

♪ ♪ ♪

同じく9日、10月から始まった『ジョン・レノン・トリビュート・シーズン』の
締めくくりとなったメモリアル・コンサート《Lennon Remembered》がEchoア
リーナで行われました。
会場は満席。前半はジョンとかつて一緒にプレイしていたミュージシャンやトリ
ビュートバンドが思い出のナンバーを演奏しました。

ジョンの最初に結成したバンド、ザ・クオリーメンがスキッフルを披露し、ハン
ブルグ時代のメンバーだったトニー・シェリダンが意気揚々に「マイ・ボニー」
を歌い上げました。

その後ビートルズのプレスオフィサーで、アップル社の元CEOトニー・ブラム
ウェルによるスピーチ。
「ジョンは没後、『セント・ジョン』になっちゃったけど、彼にはダークな部分
もあったし、僕から言わせれば聖人なんかじゃない。『イマジン』を書いたとき
も、別に彼は聖人になろうとして書いたわけでもはなく、ジョンにとっては他の
曲と変わらないものだったんだと思う」
と、親しみと愛情をこめて語っていました。

ジョン・レノンと親交のあった生き証人やミュージシャンやのほかには、来年の
5月に米国ロサンゼルスのパラマウント・スタジオで行われる「ザ・ビートル
ズ・セッションズ」(ミュージカル・プロデューサーにジェフ・エメリックを迎
え、アビーロード・スタジオのレコーディングセッションを再現するミュージカ
ル)のキャスティングに抜擢されたトリビュートミュージシャンによるプレ
ヴューがお披露目となり、初期から後期のナンバーが演奏されました。

このミュージカルですが、今年の4月にリヴァプール、ロンドン、ロス、ニュー
ヨークでオーディションが行われ、メンバーのうちの4人がリヴァプール出身。
司会の人が、「来年の5月から、キャヴァーンのレジデント・ミュージシャンが
ロスに行っていなくなってしまうので、来年以降キャヴァーンで仕事したい人は
今がチャンスですよ」などと冗談を言って会場が沸きました。

ベテランのメンバーに交じって話題に上がったのが、最年少のジョッシュ・フェ
リガン。
キャヴァーンの前でバスキング(街頭演奏)をしていたところ、オーディション
に引きずり込まれて、数曲を演奏したら、ハリウッド行きが決まってしまったと
いうサクセスストーリーが生まれました。

ロンドンのアビーロード前の横断歩道が英国の歴史的文化遺産の指定を受けたば
かりですが、まだまだビートルズにちなんだ話題は続きそうです。

幕間をはさんで、後半はリヴァプール生まれの俳優マーク・マクガンによる舞台
が繰り広げられました。
マーク・マクガンは、マクガン・ブラザーズの一人で、8月の「ビートル・
ウィーク」期間中にフィルハーモニック・ホールで上演した『ジョン・レノン:
イン・マイ・ライフ』のカムバック公演です。

音楽を交えながら一人称で語るモノローグは、このコンサートのハイライトと
言っても過言ではありませんでした。
その証拠に彼のパフォーマンスが終わると、スタンディング・オべーションでし
た。とりわけジョン・レノンに外見が似てるわけでも、似せようと着飾ったり役
を作りこんだりしてるわけではないにもかかわらずが、セリフにも歌にも、まる
で魂にジョンが宿ったように、観る側がすーっとその世界に入っていけるような
自然さとパワーがあり、心を揺さぶるものがありました。

選曲もよかったです。
ビートルズ時代からソロにかけての曲そのものが、ジョン・レノンのライフスト
リーを物語っていました。

途中、舞台ミュージシャンに交じって、プラスティック・オノ・バンドのドラ
マーのアラン・ホワイトが登場してパワフルにドラムを披露し、バッドフィン
ガーのメンバーでジョン・レノンの「イマジン」のレコーディングに参加した
ジョーイ・モーランドがギターで加わり、ニューヨーク時代のジョン・レノンの
ソロアルバムを数々手掛けたエンジニアのデニス・フェランテが舞台の袖で渋
くミキシングデッキをいじっていました。

そしてジョン・レノンの母校だったダヴデイル小学校の子供達が合唱団として加
わり、すべての出演者がステージに上がって、ラストはお約束の「ギヴ・ピー
ス・ア・チャンス」で締めくくられました。

まさにコンサート名の通り、スキッフルからソロ時代までのジョン・レノンの人
生と音楽を回顧するイベントだったと思います。

Lennon Remembered:
 http://www.echoarena.com/whats_on/lennon_remembered.asp

残念ながらこの様子の写真はあまりありませんが、地元紙のデイリー・ポストか
ら写真が見られますので、こちらのリンクからご覧下さい。
http://www.liverpooldailypost.co.uk/multimedia/arts-and-culture/images/2010/12/10/lennon-remembered-at-liverpool-s-echo-arena-pics-gareth-jones-and-david-munn-92534-27803903/

♪ ♪ ♪

2010年も終わりに近づきました。そして2011年のリヴァプールのテーマは、
'Social Justice and City of Radicals' です。
「社会公正と過激派の街」とでも訳せるでしょうか。
この街で繰り広げられてきたラディカリズムを文化的、社会的、政治的な観点で
検証する一年となります。

景気後退から抜けきれないなかで、厳しい歳出削減、ついでにVAT(付加価値税)
が1月から17.5%から20%にアップするというような、暗いニュースが多い今
日この頃ですが、リヴァプール人のラディカルなアプローチ&ユーモアでどうに
か切り抜ける糸口が見つかったら良いものです。

それでは、2011年が皆様にとって健康で素晴らしい一年となりますように。
来年もよろしくお願いいたします。

ミナコ・ジャクソン♪

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish188_photo.html ≫


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▽「利物浦日記2009」17
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「利物浦日記2009」17 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo443.html ≫

【8月31日(月)】

ダービー・スクエア・ステージでの演奏を終えたアスプレイズと僕は、アーティ
スト専用ミニバスに乗って元の場所、タウン・ホールの近くのカー・パークに
戻って来た。
すでに3時半を回っている。
アスプレイズには、もう1つだけ、6時にキャヴァーン・パブでのギグが残って
いる。あまり時間はない。
ちょうどいいタイミングで通りかかったタクシーをつかまえて4人を乗せた。こ
れから宿に帰って少し休んで、衣装を着替えて5時半に現地集合だ。

僕はひとりになった。さて、何をしよう…。
目の前には古いパブ<ピッグ&ホイッスル>。僕のお気に入りの店だ。ちょっとひ
と休みすることにして、ハーフ・パイントのビターを注文した。
リアルエールはなかったので全国ブランドの<テトリーズ>。クリーミーで美味し
かった。

店を出たのは4時。アスプレイズとの集合時間にはまだ1時間半あるので、しば
らくフェスティヴァルの野外ステージの様子を見て回ることにした。

ウォーター・ストリート・ステージ、エクスチェンジ・ストリート・ステージ、
スーパーラムバナナ・ステージ、トンネル・ステージ、そしてウィリアムソン・
スクエア・ステージ。どこもが大勢の人々でにぎわい、盛り上がっている。パブ
やレストラン、ファストフードの店も人でいっぱいだ。
家族連れが圧倒的に多い。夏休み最後の日に、ファミリーでリラックスして楽し
むのにはうってつけのお祭りなのだ。

考えてみると僕は毎年なぜか、この日のこの時間帯は、こうやってひとりで街を
歩いている。仕事で来ているんだし、ひとりで気ままに歩き回るのも悪くないん
だけど、家族や友達や恋人と連れ立って楽しそうにしている人々の姿を見ると、
やっぱりちょっとうらやましいなあと思ってしまう。

空模様がかなりあやしくなってきた。重たい雲が広がり、今にも雨が降りだしそ
うな暗さだ。

5時半。マシュー・ストリートのキャヴァーン・パブへ。
店の外には大勢の人が並んでいた。見たことのある顔が多い。やはりみんなアス
プレイズを観るために並んでいるのだ。店内はすでに満員。入場制限中だから、
今のうちに並んでおくのは正解かもしれない。

アスプレイズのメンバーは少し遅れて到着。早めに宿を出たものの、道中で次々
にファンにつかまり、サインだの写真だのをせがまれてしまったのだそうだ。も
うすっかり有名人。実を言うとこの僕でさえ、何人かの人に声を掛けられた。
さっきニールに、ステージの上で紹介されてしまったせいだ。サインや写真は誰
もほしがってくれなかったけど…。

それにしても、である。
数万人を沸かした超ビッグ・ステージの直後に、ぎゅうぎゅうに詰めても100人
がやっとの、このタイニーなパブでのギグが組まれるなんて。
さっきは、ずっと向こうまで見渡す限り群衆で埋まっていた。今は、わずか10m
先に壁がある。このギャップはどうだろう。なんだか面白い。
これこそが<ビートル・ウィーク>なんだという気がする。どんなにメジャーなバ
ンドになっても、小さなヴェニューに普通に登場する。

さすがだなあと思ったのは、アスプレイズの全員が、いつもどおりの集中力で
もってこのステージに臨んでいたことだ。一生に一度クラスのビッグ・イヴェン
トを大成功に終わらせた後である。少しくらい緩んでしまっても無理はないと
思っていたのだが、まったく普段通りに気合いが入っていた。これがこのバンド
のいいところだ。常に最大限のパフォーマンスをする。絶対に手を抜かないのだ。

超満員のキャヴァーン・パブで行われたアスプレイズのラスト・ギグは、まるで
ホーム・パーティーのようなフレンドリーな空気に支配された。
しかし、レニーさんの、つまりジョン・レノンのロックン・ロール・ナンバーが
ずらりと並べられたために、場内の熱気はどんどん、どんどんヒートアップ。蒸
し熱いなあと思っているうちに、外では大雨が降りだしたらしく、さらにじっと
りとした湿気が流れ込んできた。それが、飛び散る汗や吐息や唾を吸収してべっ
とりと肌に張り付いてくるような、そんな気持ち悪さ。うわあいやだなあと僕は
思ったけど、ほかの誰もそんなことは気にしていない。すさまじいほどのダンス
&大合唱大会になっていた。

しかし面白かったのは、渦中にいてオーディエンスを煽りに煽っている張本人の
レニーさんは、まったく舞い上がったところがなくて、まるで人ごとのように冷
静なのだった。
ステージも終盤に差し掛かったころ、演奏中に何度か、ステージ横の僕のほうを
見る。ときどき首をかしげる。レニーさんの言いたいことは、僕にはわかってい
た。伝えなければいけないことがあった。しかしあまりに演奏の音が大きく、し
かも僕の喉はべたべたした空気でやられてしまって、うまく発声ができなくなっ
ていたのだ。

どうしようかなあと思っていると、曲の合間にレニーさんがすっと僕に近づいて
来て、訊いた。
「カズさん、ぜんぶやってだいじょうぶ?」
「いや、1曲カット!」
「やっぱり!」
レニーさんがほかの3人に伝えて、用意したセットリストから1曲を削って、無
事にステージは進んだ。
それにしてもレニーさん、時計もないのによくわかったなあ。

レニーさん必殺の<Sweet Little Sixteen>でギグが終わった。アスプレイズ2度
目の<ビートル・ウィーク>のフィナーレでもあった。
荷物をまとめて外に出ると、マシュー・ストリートは大雨だった。みんなずぶぬ
れ。これじゃあ余韻を味わっているどころではない。
アスプレイズはやはりファンたちに囲まれていたが、僕はYちゃんと一緒に先に
宿に帰った。このあとはみんなで打ち上げをすることになっている。早めに行っ
ておかなければ。

8時。<フィルハーモニック・パブ>で打ち上げパーティー。
イギリスらしい料理をずら〜っとテーブルに並べて、ビュッフェ形式で食べても
らった。ビールもデザートも美味しかったし、内容はヒミツだけどハプニング的
なセレモニーなんかもあって、思い出に残るリヴァプール最後の夜になった。

アスプレイズもブルーマーガレッツも、ほんとうにがんばったと思う。素晴らし
いパフォーマンスをして、予想を遥かに上回る評価とファンを獲得した。途中、
不本意なギグもあったけれど、それを含めて、すべてがうまく行った。大成功
だった。
この2つのバンドを、心から誇りに思う。

パーティーのあとはアデルフィ・ホテルへ。
Yちゃんと一緒に、ボールルームで<オーヴァーチュアーズ>を観た。おそろしい
ほどの迫力。やっぱりすごいバンドだ。
途中、ビールを買いにバーカウンターに行った時、見知らぬ人から声を掛けられ
た。
「おお、君きみ、見たよみたよー!」
「え? なに?」
「なにって、テレビ。今日のBBCに出てたじゃないか」
「ん? BBC? おれが?」
「うれしそうにインタヴューに答えてたじゃないか」
「インタ…えー!? あれ? あれが放送されたの?」
「なんだ、知らなかったのか。はっは〜」

すっかり忘れていたが、朝にマシュー・ストリートでBBCの取材を受けていたん
だった。あの、しどろもどろでみっともない姿が放送されたのか…。

その場にいた別の人も加わってきた。
「おれも見た見た! なかなかよかったよ。すっかり有名人だな」
「いやだー、やめてくれぇ〜」

ついでに書くと、次の日は知り合いのレコード・ディーラーからも、「カズ、見
たぞ〜」と、わざわざ電話がかかって来た。
あんなボロボロのインタヴューが放送されるなんて…。
不幸中の幸いだったのは、ミナコさんが見ていなかったことだ。
「ええ〜っ、そんなことが! それは見たかった〜。ネットに映像がアップされ
てるかもしれないから探してみますね」
「いや、だめだめ! 探しちゃいかぁ〜ん!!」

まったく、BBCとはおそろしいところである。

● ● ●

翌日の火曜日は、朝に帰国するアスプレイズ&ブルーマーガレッツのグループを
見送って、午後はキャヴァーンで<The Searchers>を観た。
サーチャーズはずいぶん前に2つのグループに分かれ、それぞれが精力的に活動
している。創始者のジョン・マクナリー率いるオリジナルのサーチャーズと、
リード・シンガーのマイク・ペンダー率いる<Mike Pender's Searchers>だ。2
年前にマイク・ペンダーのほうを<エンパイア>で観てぶっ飛んでしまったのだが、
今回のサーチャーズはもっと素晴らしかった。
フロントマンのフランク・アレンがむちゃくちゃカッコいい。ショウマンシップ
に溢れていて、でもクールで粋で、でもアツくて。

曲も、<Sweets for My Sweet><Sugar and Spice><Don't Throw Your Love Away>
<When You Walk in the Room><Love Potion No. 9>などなど、大ヒット・ナン
バーが目白押し。終盤は大ロックン・ロール大会になって、<7 Nights To Rock>
<Twist And Shout><Rockin' All Over The World>では僕も大合唱に参加した。
今回の<ビートル・ウィーク>でいちばん楽しい瞬間だった。もちろんそれは、ア
スプレイズとブルーマーガレッツのギグや<スカウスハウス・ツアー>が無事に終
わったという開放感があったからこそ、なのだが。

ぐいぐいぐいぐい引き込まれる、ものすごいライヴだった。さすがである。伊達
に40年以上もやっていない。これこそがプロなんだ、という気がした。夜の部
も観ようかと真剣に悩んでしまったほどだ。やめといたけど。

というわけで、2009年の「利物浦日記」はこれで終わり。
自分でもあきれるほど長いレポートになってしまった。
ぜんぶ読んでくれた人っているのだろうか。もしいたら、肩のひとつも揉んであ
げたい気持ちだ。僕も誰かに揉んでほしいけれど。

では、「利物浦日記2010」でまた会いましょう。
お楽しみに!

(おわり)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo443.html ≫


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*** 年末年始の「リヴァプール・ビートルズ・ツアー」について ******

大寒波による路面の凍結のため、スカウス・ハウスの現地ツアー「リヴァプー
ル・ビートルズ・ツアー」が実施できない状況となっております。1月中のご予
約の受け付けは、当面のところストップさせていただきます。すでにご予約をい
ただいているみなさんには、直接ご連絡させていただきます。どうかご理解くだ
さいますよう、お願いいたします。
「ロンドン・ビートルズ・ツアー」につきましては、通常通り実施しております。


*** タンペレ・ビートルズ・ハプニング ******

2011年1月28&29日、フィンランド第2の都市タンペレで<Tampere Beatles
Happening>が開催されます。この大きなフェスティヴァルに、関東で活躍する女
性ビートルズ・バンドThe BlueMargaretsが出場します。スカウス・ハウスでは
この演奏ツアーをサポートするとともに、一緒に応援に行っていただける方を募
集しています。ご興味のあるかたは、info@scousehouse.net まで、どうぞお気
軽にお問い合わせください。


*** スタジアムへ行こう! ******

リヴァプールでのフットボール観戦をご希望の方は、ぜひお任せください!
フットボール・ファンのためのプライヴェート・ツアーもご用意しています。
詳細は、ウェブサイトの「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium2010-11.html 


*** 新ガイドツアー「ロンドン特別編」スタート ******

好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、
新しくスタートさせました。シャーロック・ホームズゆかりのスポットを案内す
る「ホームズ・ツアー」と、ちょっと怖い「ロンドン・パブ・ツアー」です。
ディープなロンドン体験をぜひ!
http://scousehouse.net/beatles/guidetour_london2.html 


*** リヴァプール語学留学 ******

スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
のサポートについても安心してお任せください。
http://scousehouse.net/study/index3.htm 


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧
ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

ミナコさん撮影による写真を掲載しています。ぜひご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish188_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

「利物浦日記2009」に関連した写真を掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo443.html 


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