March 22 2011, No.452
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <3月20日>
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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東日本の大震災から11日が経ちました。
遅ればせながら、被災されたみなさんには、心よりお見舞いを申し上げます。ま
た、少しでも早く、みなさんの苦痛や不便や不安が癒される日が来るように願っ
ています。
遠く安全な兵庫から、こんなありふれた言葉を送っても何の役にも立たないかも
しれません。まったくもって何もできず、ほんとうに申し訳ない気持ちです。

圧倒的な絶望感、無力感からなかなか抜け出せなくて、このNLWを発行するにあ
たって、何を書いたらいいのか、途方に暮れています。

個人的なことを書いてみます。書くべきかどうか迷いつつ…。

宮城県に親戚が3人います。
今日まで、まだ連絡が取れていません。安否もわかっていません。
住所は仙台空港の近くなので、家は確実にあの恐ろしい津波に呑まれてしまって
いることでしょう。もちろん電話はまったくつながりません。
災害伝言ダイヤルに録音して、その返事を待ちながら、インターネットで避難所
のリストをあたってため息をつき、そして新聞に掲載される前日判明分の死亡者
名簿に目を通して、少しほっとする。そういう毎日を送っています。
どうか、生きていてほしいです。

今、この国で、いや世界じゅうで、僕と同じように家族や親せきや友人知人の安
否を気遣っている人が、何十万人、いやもしかしたら百万人単位でいるはずです
よね。
その愛と祈りが、運命というものを超えて、少しでもたくさん報われるよう、願
うばかりです。

ブルーにこんがらがったとき、どうしていいのかわからないとき、僕は、とりあ
えず本を読みます。
特に何かを得ようとするのではなく、たまたまそこにあったものを。
すると不思議なことに、自分にとって大切な意味を持つ言葉に出会うことがあり
ます。啓示、というとちょっと大げさですが。

今回は、佐藤優さんが著書のなかで引用した、ドイツの神学者(だと思います)
ハインツ・ツァールントの言葉でした。
あくまでも個人的に心に響いた言葉なので、誰にでも共感してもらえるとは思い
ませんが、記しておきます(念のために断っておきますが、信仰と宗教がイコー
ルであるとは僕は考えていません)。

「すなわち、絶望を直視する勇気は、すでに信仰であり、無意味性を引き受ける
行為は、意味に満ちた行為である」

● ● ●

ミナコさんが夫のイアンさんとともに、リヴァプールでアクションを起こしてい
ます。このカップルの発想力と行動力はほんとうに素晴らしいです。

 http://www.liverpoolforjapan.com/ 

僕宛のメールに添えられていたミナコさんのコメントを紹介します。

「『言葉にならない』ってこういうことを言うんですね。考えれば考えるほど、
訳が分からなくなります。何が正しいのか、何をしたらいいのか、やるべきこと
はしてるのか、やって何になるのか、それとこんなことしたり言ったりしたら人
を傷つけたり不快にさせないかとか、そっからまた非力に感じてダウナーになっ
たりする状態が今日もあったんですけど、イアンが準備を進めてくれてた新しい
シンプルなブログがとりあえずフレームだけできて、ポイッと私に投げられて、
じゃあ入力ヨロシク〜と言われて、没頭して入力しているうちに、ちょっと元気
が湧いてきました。

これは、リバプールで日本の状況を我が身のように思って素早く行動に移して頑
張っている人たちへのささやかな感謝の気持ちを込めて、できるだけこうした活
動が多くの人に伝わるように、そしてバラバラに行動している人たちがオンライ
ン上でネットワークの場ができたらいいなっていうのと、私らもそれを記録とし
て残したいという気持ちなどがあって、やることにしました。これ見て自分には
何ができるのか考えてもらえる場となればいいな、とも思います」

● ● ●

今週のNLWは、すべての連載原稿をお休みとさせていただきます。
ウェブサイトの「今週のフォト・アルバム」ページには、ミナコさんから送って
もらったライヴァー・バードの写真を掲載します。希望を込めて。

 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo452.html 

同じく、僕宛のメールに添えられていたミナコさんのコメントです。

「金曜日にタウンホールに行って、追悼帳に記帳しに行ったんですけど、哀悼の
言葉のほかにも、早い復興と将来へのエールが沢山込められてましたよ。その後、
マージー川側の日差しが夕方だったんですけど、すごくまぶしくて、その足でピ
アヘッドに寄ってきました。もう何度も見てますけど、このとき見た海を見守る
ライバーバードがなんだかとっても特別に見えたので、カズさんにも写真送りま
すね。別にフツーに見えるかもしれませんが!」

ミナコさん、ほんとうにありがとう!

                          ― Kaz(22/03/2011)


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▼リヴァプール・ニュース <2011年3月20日>
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*** 3月20日(日) ***************************************************

【ルークの被災体験】

日本で震災に遭い、避難所に入っているリヴァプール出身の教師が、放射能の恐
怖にもかかわらず、帰国せずにその場所に留まると宣言した。
ルーク・ファーニヴァル、23歳。彼は、宮城県柴田郡村田町の家族的なコミュニ
ティの中で生活を送っている。被災した福島原発の北60マイルに位置する小さな
町だ。

ウエスト・ダービー出身のルークはこう語った。
「みんな、あの原発の問題を真剣に心配してる。でも毎分おきに違う情報を与え
られているように思えるね」
「最悪でも原子炉の爆発さえ避けられれば、そう恐れることはないと個人的には
思ってる。もちろん油断は禁物だけども」

村田は仙台から15マイル内陸にあるため、いくつもの町を呑みこみ瓦礫に変え
た恐ろしい津波からは逃れることができた。しかし地震は、ルークの家の屋根だ
けではなく、村田の町の多くの家を破壊した。

「あのとき僕は中学校にいた。僕が教えているところだ。子供たちが学校にいな
かったのは幸いだったよ。僕は机の下にもぐった」
「怖かった。あの揺れの力ってのは尋常じゃなかった。じっとつかまっているこ
とさえできない。最悪の乱気流を想像してみてほしい。その数百倍って感じだ」
「その間に何もかもがすごい音をたてて落ちてきて、僕のまわりに積もって行く
んだ。ほんとうに怖かった」
「でも、僕よりも酷い目に遭った人はたくさんいる」

電話回線がダウンする前に、ルークはリヴァプールの母親に連絡し、安心させる
ことができた。
ダメージが大きく、家には住むことできなくなってしまったが、見知らぬ人が
やって来て彼を連れ出してくれた。

「ここの人々は僕にほんとうによくしてくれる。この1週間で4つのファミリー
と新しく知り合いになった」
「僕は今避難所で仕事を手伝っているんだ。おにぎりを作ったり、スープをよ
そったり、子供たちの遊びの相手をしたり」
「みんなが気持ちをひとつにして助け合っているんだ。農家が野菜を持ち寄り、
炊き出し担当の女性たちがそれで料理を作る」

ルークによると、村田では現在でも水道は止まったままで、電気は昨日(17日)
ようやく復旧したということだ。
強い余震が続く中、マイナス4度という寒さや雪にも見舞われている。

「村田の人たちは明るさを失ってないよ。働きぶりも素晴らしい」
「こんなに厳しい状況の真っただ中にいるというのに、僕が感じるのは安心とか
信頼なんだ。家にいるような」
「給油のために何百台もの車が列を作っている。でもクラクションの音はただの
一度も聞こえない」
「誰かの怒鳴り声さえ僕はまだ聞いてないな」

 ― West Derby teacher tells of terror as Japan earthquake hit
   by Emily Gosden, Liverpool Echo, Mar 18 2011 ―


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□■ 第452号 ■□

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