September 06 2011, No.473
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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リヴァプールから帰って来ました。
恒例の<インターナショナル・ビートル・ウィーク>、毎年おんなじようなことを
書いていますが、ほんとにほんとに、信じられないくらいにハッピーに盛り上が
りました。

鑑賞ツアーとして企画した「スカウスハウス・ツアー」も、大成功でした。
目が回るほど忙しく、いつもいつも走りまわっていたし、毎度おなじみのいろん
なトラブルやハプニングに見舞われもしたけれど、それもこれもぜんぶひっくる
めて、何もかもが最高に素晴らしい1週間でした。
今年は、スカウスハウス主催で、東日本大震災のチャリティ・ライヴをあの
<ジャカランダ>で開催できたことも、個人的にうれしい出来事のひとつです。

フェスティヴァルに日本代表として出場したバンド<ビートライブス><ナウ・ヒ
ア><クローバー>のみなさん、スタッフとしてサポートしてくれたえりさん&ち
かこさん、チャリティを手伝ってくれたミナコさん&イアンさん、そしてツアー
参加者のみなさんのおかげです。心より感謝しています。ありがとうございまし
た。

● ● ●

日本代表の3バンドについて、僕の印象を書いておきます。

まず、初出場となったNow Here。
島根県益田市というローカルなバックグラウンドを背負ってのエントリーでした。
おそらく僕らの想像以上のプレッシャーを彼らは感じていたことでしょう。その
せいか、気合いが入りすぎていきなりフルパワー全開。オーヴァーペースで、初
日の3つのギグですでに完全燃焼状態でした。翌朝に話をした際には、「もうだ
め。あとのギグをキャンセルしたい」という言葉も聞こえました。てっきり冗談
だと思ったけど、真顔だったので半分は本気だったのかも。当然ながら、僕は聴
こえなかったフリをしてその場をやり過ごしました。そんなの、できるわけない
じゃあないか。

世界基準どころか日本基準もわからないままの出場ですから、まあ無理もありま
せん。それに、これは洗礼というか、<ビートル・ウィーク>に出場するバンドは
みんな、多かれ少なかれ体験することです。人間、絶体絶命のがけっぷちに立っ
たところからが勝負。まさにここからが<ビートル・ウィーク>なのです。これを
クリアすれば「バンド力」は飛躍的に向上します。逆に言えば、死力を尽くして
危機を乗り切ることこそが、このフェスティヴァルに出場する醍醐味であるとい
えるでしょう。

…などということは彼らには一言も言わず、僕はただ黙って静かに見守っていた
わけなのですが…。しかしナウ・ヒアは見事にやり遂げました。2日目の土曜日
の2ステージをなんとか持ちこたえると、日曜日の2本は開き直りパワーで乗り
越え、最終日の1本は完全復活。満員のオーディエンスにも恵まれ、実に感動的
なフィナーレとなりました。ファンタスティックでした。

次に、2年連続のThe Beatribes。
彼らについては僕は何も心配していませんでした。実力は去年のパフォーマンス
で証明済みだし、決してそれにあぐらをかくことなくストイックにビートルズ・
サウンドを追求していることがわかっていたからです。加えて、ほかの2バンド
のレヴェルが未知数であることも彼らのモチベーションになりました。一度大阪
にリハーサルを観に行ったことがあるのですが、おそろしいほどの真剣さで取り
組んでいました。「これまでの数々のバンドが築いてきた『日本代表』のブラン
ドを守るには俺たちががんばるしかない」という危機感、責任感を、痛いほど感
じました。ありがたかったです。

そしてフタを開けてみると、ビートライブスは、そのすべてのギグを満員にして
しまいました。どのギグも一切手抜きなし。魂のかたまりのようなパフォーマン
スが、オーディエンスをどこまでもワイルドにドライヴするのです。彼らのス
テージは実に硬派で、ショウとかエンターテイメント的な要素はほとんどなく、
ギミックに頼らずただひたすらゴリゴリと、100%以上の集中力で演奏します
(日本ではギャグ満載のMCトークで有名だそうですが)。その気迫が、オーディ
エンスにストレートに伝わるのです。もちろんサウンドが素晴らしいのは言うま
でもありません。ラスト・ステージとなった月曜日のキャヴァーン・パブの盛り
上がりは、それはもうすさまじいほどでした。僕もわりと長いことこのフェス
ティヴァルに関わっていますが、あれほど会場全体がひとつになったステージは
ちょっと記憶にありません。まったくとんでもないライヴでした。ビートライブ
スを誇りに思います。日本どころか、まぎれもなく、世界のベスト・バンドのひ
とつです。

最後にThe Clover。
このバンドの成り立ちやエントリーのいきさつについては、以前のこの欄で書き
ました。
これまでに例のないことですが、僕は最初の最初からコミットして、バンドのコ
ンセプトやステージ・プランを彼女たちと一緒に考え、3ヶ月という限られた時
間の中で精一杯のサポートをしました。

まったくの新人バンドだというのに、「ビートル・ウィークに出て恥ずかしくな
いバンドにしよう」とは考えず、「世界のトップ・バンドと勝負しよう」という
目標を掲げての挑戦でした。普通に考えれば、とんでもなく無謀なチャレンジと
いえるでしょう。でも、僕もクローバーも、「ありきたりのビートルズ・バンド
になってありきたりの演奏をしてそこそこウケたとしてもつまらない」「どうせ
やるなら、これまで誰も見たことのないバンドにしよう」と考えたのです。

それにしても、時間はわずか3ヶ月。彼女たちはあらゆるものを犠牲にしてバン
ド活動に打ち込みました。音楽面でサポートする人々にも恵まれて、出発の4日
前に、どにかこうにか「これがクローバーだ!」と言えるステージが完成しまし
た。まさに滑り込みセーフ、です。

3人組で、日本人の女の子で、キュートだけどハードボイルドで、いくつかの曲
には大胆なアレンジを施し、<シー・ラヴズ・ユー>や<抱きしめたい>などのあり
ふれた曲は演らず、その代わりにあっと驚くような曲をパフォームする…そうで
す、何から何まで型破りなビートルズ・バンドになりました。「最もビートルズ・
バンドらしくないビートルズ・バンド」の誕生です。

そして結果は…。
これが何とも表現するのが難しい。うまく行ったステージがあり、あまりうまく
行かなかったステージがありました。全体的に見れば、あるいは客観的に見れば、
じゅうぶんに成功だったと言えるでしょう。だって、どれも盛り上がったのです
から。ただ、例えばビートライブスのような、圧倒的な成功を収めるところまで
はまったく届かなかった。「世界のトップ・バンドと勝負しよう」という目標は
達成できなかったのです。

そもそもの目標が高すぎたのだ、とは僕には思えません。彼女たちにふさわしい
ほどの賞賛を得ることができなかったのがとても残念で、ということはつまり、
彼女たちではなく僕自身の力が足りなかったということになるわけですが…ごめ
んね。

それでも、クローバーの残したインパクトは決して小さなものではないと信じて
います。「こんな楽しみ方もあるんだよ」という新しい価値観を堂々と披露した
意義は、きっとこれから証明されることでしょう。そうあってほしいという期待
を込めて…。


というわけで、3つのバンドのみなさん、ほんとうにお疲れさまでした。そして、
ありがとうございました。

来年の<インターナショナル・ビートル・ウィーク>では、どんなバンドとの出会
いがあり、どんなドラマがあるのでしょうか。今から楽しみです。
2012年の出場バンドの募集は、来月にスタートする予定です。

                          ― Kaz(06/09/2011)


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<インターナショナル・ビートル・ウィーク>フェスティヴァルのため、9月4日
(日)までお休みさせていただきました。
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もしも7日(水)まで待っても返事が届かない場合は、お手数ですが再度ご連絡
いただきますよう、お願いいたします。


*** ガイドツアー「ロンドン特別編」 ******

好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、
実施しています。シャーロック・ホームズゆかりのスポットを案内する「ホーム
ズ・ツアー」と、ちょっと怖い「ロンドン・パブ・ツアー」。ディープなロンド
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公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
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長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
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リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
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