September 27 2011, No.476
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼「平成23年のリヴァプールのビートルズ・スポット」(1)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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先週末、大阪のライヴハウス<ダンディライオン>で行われた《ジョージ・ハリス
ン降臨(calling)ライブ Vol.2》を観に行ってきました。
仲良くしてもらっている(というのもヘンだな…なんて言えばいいんだろう?)
バンド、The Chelseaに招待してもらったのです。チェルシーのみんな、どうも
ありがとう!

そのチェルシーのステージもすんごくよかったのですが、競演の2バンド、
Flying HorsesとFar East Menのライヴが、とても新鮮でした。
なんたって、ウィングスとジョージ・ハリスンのコピー・バンドなんですから。
普通はなかなか生で聴けませんよね。珍しいナンバーが、これでもかこれでもか
と登場するのにびっくりでした。特にファー・イースト・メンには興奮しました。
<True Love>や<Baltimore Oriole>なんてレパートリー、誰が考えるんだろう? 
マニアックすぎるのではという気もしないではないけれど、僕自身は思い切り楽
しめました。ひとりで大喜びしてしまって、一緒に観ていたチェルシーのメン
バーには呆れられてしまいましたが…。

少しですが、当日の写真を「今週のフォト・アルバム」で紹介しておきますね。
ぜひご覧ください。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo476.html

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さて、今週のNLWは寄稿がありません。
僕の連載「利物浦日記」をスタートさせることも考えたのですが、まだ抜け殻状
態が続いていてさっぱり気合いが入らず、かといってこの「フロム・エディター」
だけでは寂しいなあということで、ちっちゃなコラムをひとつ書いてみました。

題して「平成23年のリヴァプールのビートルズ・スポット」。このあいだ現地で
見て来たビートルズ・スポットを、ちょっとした最新情報を織り交ぜて伝えるこ
とにしました。いちおうシリーズものにしたいと思っていますが、特に反響がな
ければこれっきりになるかも…。ぜひ感想を聞かせてください。

                          ― Kaz(27/09/2011)


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▼「平成23年のリヴァプールのビートルズ・スポット」1
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「平成23年のリヴァプールのビートルズ・スポット」1 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo476.html ≫

【Walton Hospital】

僕がリヴァプールに到着した8月22日、地元紙<Liverpool Echo>を広げてみる
と、気になる記事がそこに掲載されていた。
「Demolition work begins at Sir Paul McCartney's birthplace Walton
Hospital」というヘッドラインで、サー・ポールの生誕地である元ウォルトン・
ホスピタルの取り壊しが始まったことが簡単に伝えられていた。跡地には新しく
メンタル・ヘルス・センターが建てられるそうだ。それについての開発業者と病
院関係者のコメントが短く挿まれている。しかし、取り壊しに反対したり、惜し
む人の意見は特に取り上げられていない。

つまり、計画はすでにスタートしていて、ポールの生まれた建物が今まさに取り
壊されようとしている、ということだ。僕自身にとっては、この滞在中に見に行
かなければ、おそらく2度と目することはできない、ということになる。

結局<International Beatle Week>期間中はまったく時間が取れず、リヴァプー
ルを離れる9月1日の朝、ロンドン行きの列車が出るまでの時間に、タクシーを
飛ばして行ってみた。

ポール・マッカートニーの母メアリーは、夫ジムと結婚する前から、この病院の
産科病棟で助産婦として働いていた。
長男のポールは1942年6月18日に、次男のマイケルは1944年1月7日にここ
で生まれている。
メアリーは14歳のときに看護婦のキャリアをスタートさせ、10年かけて助産婦
の資格を取った。助産婦を志したのは、妹を死産で、そしてその際の合併症で母
親を亡くしたことがきっかけだったと言われている。出産で命を落とす母親と子
供を、ひとりでも多く救いたいと考えたのだ。

ちなみに、マイケルのファースト・ソロ・アルバム(マイケル・マッギア名義)
《Woman》のフロント・カヴァーには、母メアリーの写真が使われている。まさ
にウォルトン・ホスピタル勤務時代のもので、看護婦の制服を着ているのだが、
現在我々が「ナース」と聞いて想像する姿とはまるで違う。修道女のように見え
る。看護婦の起源は中世ヨーロッパの修道女だと言われていているが、1940年
代のイギリスの病院においてもまだそのスタイルが残っていたというのは興味深
い。

ウォルトン・ホスピタルは、もうずいぶん前からエイントリー・ホスピタルに吸
収されている。メイン・ビルディングだったクロック・タワーの棟は、病院関係
者の宿泊施設になっていたようだ。

僕がこの場所を訪れるのは今回で3度目になる。15年以上もリヴァプールに通っ
ていて、しかもビートルズに関わる仕事をしていて3度というのは、いかにも少
ない。ビートルズ・スポットが集中するエリアから大きく外れているためなのだ
が、それにしても少なすぎると自分でも思う。ジョン、ジョージ、リンゴのバー
スプレイスは、数えきれないくらい訪ねているから、なんだかポールに申し訳な
い。
同じように、おそらくここを訪れるビートルズ・ファンは昔も今もそう多くはな
いだろう。取り壊しに反対する声が大きくあがらないのも、無理はないような気
がする。

夏休み最後の週末、しかも早朝だったせいか、クロック・タワーは静寂のなかに
あった。誰からも気にされず、誰を気にすることもなく、ただ無心でそこに佇ん
でいるように見えた。雲ひとつない快晴で、真っ青な空にタワーがくっきりと浮
かび上がっていた。まるで切り抜きをぺたっと貼りつけたみたいなコントラスト
であり、存在感だ。外から見る限りでは、もう使えないほど老朽化しているよう
には見えない。実に立派な、力強さを感じさせる建築物である。
…とここまで書いて、14年ほど前にここを訪れた際に、中に入ったことを思い
出した。トイレを借りたのだ。はっきりとは憶えていないけれど、いかにも病院
らしい、暗くて寂しい雰囲気だったような印象がある。

建物自体にはまだ工事の手は入っていないが、ホスピタルの敷地のかなりの部分
が工事用フェンスで囲まれている。
もう数ヵ月後もすれば、このクロック・タワーは跡形もなく消滅しているのだろ
う。そう思うと不思議な感じがした。

何枚か写真を撮り、野鳥の鳴き声を聴きながらいくつか深呼吸をして、ウォルト
ン・ホスピタルを後にした。
新しいメンタル・ヘルス・センターは、2013年にオープンする予定だという。

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo476.html ≫


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