November 29 2011, No.485
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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 ▽フロム・エディター
 ▼「祝GF200! ― ミナコ・ジャクソン インタヴュー」(1)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.485です。
今週より、特派員レポート「ゴールドフィッシュだより」200号記念として、
「祝GF200! ― ミナコ・ジャクソン インタヴュー」をお届けします。
6年半にわたる連載を総括し、リヴァプールの激動の日々を俯瞰するスペシャル
企画…などというたいそうなものではなくて、この機会にいっぺんミナコさんに
じっくりお話を聞いてみたいと思いました。日ごろはとにかく原稿と写真の編集
にお互いいっぱいいっぱいで、生みの楽しみや苦しみ、取材におけるエピソード
やスタイルの変遷などについては、「そのうちに」と言いつつ年月が経ってし
まっていたのです。

「ゴールドフィッシュだより」は、リヴァプールのライヴな姿をタイムリーかつ
ダイレクトに伝えるコーナーとして、このNLWにはなくてはならない存在です。
このインタヴューは、おそらく3回か4回の連載になると思いますが、読者のみ
なさんにも楽しんでいただけるとうれしいです。

● ● ●

ジョージ・ハリスンが亡くなって10年が経ちました。
ジョンのときと同じく、その日、訃報に接したときのことはよく憶えています。
あれから10年。この世界がいい方に回っているかどうかは僕にはよくわかりま
せんが、ジョージのようにできるだけマテリアル・ワールドに染まらないような
生き方がしたいなあと、いつも思いながら生活しています。ほとんど願望だけで
終わっている気もしますが。

昨日のLiverpool Echo紙に、ジョージに影響を受けたミュージシャンたちのコ
メントが掲載されました。
その中から3人、ポール・マッカートニー、ナッシャー(フランキー・ゴーズ・
トゥ・ハリウッド)、そしてミック・フリートウッド(フリートウッド・マック)
のものをここで紹介してみます。

<ポール・マッカートニー>
 ジョージとやったことに触れるたびに、いろんな思い出に浸ってしまうんだ。
ほかの人が思っている以上にね。あいつはスクールバスでのちっちゃな連れだっ
た。まあ僕もちっちゃかったけど。ラヴリー・ボーイだったんだよ。いなくなっ
て今でもさびしいよ、とても。

<ナッシャー(フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド)>
 おれがミュージシャンになったのは、ジョージ・ハリスンの存在があったから
だ。髪型、ギター、ブーツ、そしてあのたたずまい。何もかも最高だった。

 おれが好きなビートルズ・ソングのベスト3、<サムシング><ホワイル・マイ・
ギター・ジェントリー・ウィープス>を書いたのもジョージだ。

 ガキのころから大好きだったけど、今度のスコセッシのドキュメンタリーを観
てもっと好きになったな。携帯の着信にも使ってるくらいだからねおれ。メール
が入ると、あの<ペイパーバック・ライター>の攻撃的なオープニング・ギターが
鳴るんだ。1日に10回はジョージを感じることができるってわけ。

 この30年、ピート・ワイルからピート・タウンゼントまで、たくさんのヒー
ローたちに会うことができた。だがとうとうジョージにだけは会うことができな
かったんだ。死ぬまで後悔するだろうね。

 ジョン・レノン空港の壁に、ジョージのブリリアントな言葉が書いてある。あ
れを見つけたときはうれしかったな。『僕らにはお金がある。誰もがうらやむほ
どの。僕らには名声もある。誰もが一度は夢見るような。でもそれは愛ではない
し、健康でもない。そして心の安らぎでもないんだよね』というもので、まさに
ジョージという人を表しているような言葉だと思う。

 安らかに、ジョージ。音楽と思い出と、あのたたずまいにありがとうを。

<ミック・フリートウッド(フリートウッド・マック)>
 少年時代は、バンドをやるならリヴァプールで、という感じだったな。あの街
のことはずっと好きだよ。そこに住むスカウサーもね、もちろん。

 もちろんジョージが私のフェイヴァリットだ。最高に素晴らしい人だったよ。
ミュージシャンとして、アーティストとして、そしてひとりの人間として。ほか
に望みようもないくらいにね。


フリートウッド・マックのファンでありながら僕は知らなかったのですが、ミッ
ク・フリートウッドの元妻はパティ・ボイドの妹なのだそうです。つまり、
ジョージとは義理の兄弟だった時期があるのです。面白いですね。
で、そのジェニー・ボイドさんとミックは2度結婚して2度離婚したということ
です。面白いですね…ってこれは面白がっちゃいけませんね、すみません。

それからえーと、ナッシャーさんの言う<ペイパーバック・ライター>のイントロ
のギターですが、あれってジョージじゃなくてポールが弾いてるんでは…間違っ
てたらすみません。

                          ― Kaz(29/11/2011)


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▼「祝GF200! ― ミナコ・ジャクソン インタヴュー」(1)
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「ゴールドフィッシュだより」が200号を迎えたのを記念して、特派員ミナコさ
んにインタヴューをしました。数回に分けて掲載します(聞き手:Kaz)。


― 「ゴールドフィッシュだより」200号、おめでとう! 第1号の掲載は2005
年の3月15日。6年半前。まずは率直な感想を。

ありがとうございます!
第1号から6年半になるんですね。スタートした当時が遠い昔のようなつい最近
のような、不思議な感覚です。
飽きっぽい性格の私が、ここまで長く続けてこられたことが何より驚きですが、
これは紛れもなくリヴァプールという街にバラエティー豊かでユニークな話題が
溢れているおかげだといえます。

― 連載スタートのタイミングもよかったよね?

そうですね、2008年の「ヨーロピアン・キャピタル・オブ・カルチャー(欧州文
化首都)」に向けて街全体がワクワク感に満ちていて、その興奮を誰かに伝えた
いとか何か別の形に変えたいという気持ちがありました。
そもそもはひょんな思い付きからカズさんにメールを送って、それがきっかけで
始まったんでしたね?

― そうそう。ちょうど現地特派員がほしいなあと思ってたところだったからす
ぐにミナコさんにお願いして。

第1号は挨拶で、次は大聖堂の展望台とYe Crackeのフィッシュ&チップス、第
3回がアーティストのジョージ・ルンドお宅訪問&スカウスのおもてなし…と
いったトピックとつたない文章でスタートしました。

― 最初のころはほんとにちっちゃなコーナーだったよね。原稿は約1,000文字、
写真も1〜3枚だった。ところが、徐々に文章も写真もボリュームが増えていっ
て…。

自分の書いた文章をこういうかたちで公開することはそれまでありませんでした
ので、最初はかなり緊張していたんですよ。
でも毎回、事前にカズさんに目を通してもらい、ゴーサインが出ることで安心し
て書けるようになりました。いつもギリギリの入稿ですみません、忍耐強くおつ
きあいしてもらって本当に感謝しています!

― ゴールドフィッシュの原稿はどんなふうに書いてるのかな? 初期のころと
今では執筆スタイルに変化はある?

初期のころとはスタイルはだいぶ変わっていると思います。最初の頃は、文章を
書くこと自体慣れていませんでしたので、見聞きしたことや感じたことなどを忘
れないようにその場で事細かにメモしておいて、あとでまとめるだけで精一杯で
した。
でも、回を重ねるごとに頭の引き出し開きやすくなってきたのか、調べた情報や
写真をたよりにそのときの臨場感がよみがえってきて文章としてスルスルと出て
くるようになりました。「継続は力なり」ではありませんが、長く続けるとそれ
なりに違いがでてくるというのは本当ですね。

― なるほど。いったん自分の中にためてからアウトプットすると、現場では気
がつかなかったことが見えたりするんだよね。自分自身の感情も含めて。いつも
感心するのは、ミナコさんの感じたことがこちらに迫ってくるような、表面的で
ないレポートになっていること。

文章って頭で考えて書くものだと思っていましたので、このプロセスは私にとっ
て大きな新発見でした。体験と感覚と言葉がつながると、文章って作らなくても
出てくるものなんですね。また別々に書き始めていた複数のトピックでも、不思
議とつながるリンクが見えてきたり、内容が自然とまとまっていくようになった
りして、こういうスタイルに変わり始めた当初は「妖精でも降りてきたのか!?」
と思いました(笑)。

― そうそう、ときどき言ってたね、「いま妖精が降りてくるのを待ってます」な
んて。それからなんといっても写真だよね。写真のクォリティが素晴らしい! 
ミナコさんのフォトグラファーとしてのセンスには最初のころから驚かされっぱ
なし。当初はほんの数枚掲載するだけだったのが、どんどんと増えて行くことに
なったよね。

ありがとうございます。でも自分では「フォトグラファー」とは思ったことはな
く、「記録係」と呼んでもらったほうが近いと思います。最初は数枚に限定しな
ければいけないものだと思いこんでいてたので控えめに送っていましたが、その
うち選びきれなくなったときに大量にカズさんに丸投げしたら、そのまま掲載し
てくれたので、その後調子に乗ってどんどんボリュームが増えていきました。

― あんなにいい写真なら何枚でもウェルカムだよ。でも僕も最初のころはほん
とにたいへんだった。写真ページの編集が。ミナコさんに鍛えられたよ!

カズさんには、いつもストーリーを汲み取ったレイアウトにうまくまとめても
らっていて、感謝感激です。

― いやいや、感謝するのは僕のほう。ところで、いちば〜ん最初に掲載したミ
ナコさんの写真、リヴァプール大聖堂の展望台から撮ったホープ・ストリートな
んだよね。この時点では意識してなかったと思うけど、まさに「ゴールドフィッ
シュだより」を象徴するような1枚だよね。そう思わない?

象徴してるかどうかなど深く考えたことがありませんでしたが、ホープ・スト
リートが一望できて立ち位置であるリヴァプール大聖堂の影がちょこんと写って
いるこの写真は自分でも気に入ってます。ホープストリートは初めて来たときか
らずっと好きなエリアです。特にこの写真を撮った当時はホープ・ストリートを
活性化するホープ・ストリート・アソシエーションというNPO団体に深く携わっ
ていましたし、私自身このエリアの近くに住んでいたこともあり、身近で思い入
れがあって活動の拠点となっていたこの場所とリヴァプールの街を丸ごと捉えた
いという気持ちの表れがどこかにあったかもしれません。

― うん、それは6年以上経った今もそうだよね。ゴールドフィッシュだよりは
ホープ・ストリートから発信されているという感じがすごくある。それと、ほら、
この写真には今ミナコさんがイアンと住んでいる家もバッチリと写っているよね。
行きつけのイー・クラックも。

うちもイークラックも写ってますね。ホープ・ストリートは多少の変化はあって
も(ちなみにエヴリマンは建て直し中で現時点では更地です!)、全体の風景は
おそらく50年くらいほとんど変わっていないんでしょうね。現在住んでいると
ころからは、フィルハーモニック・ホールやパブが見えるので、確かに窓から外
を眺めるだけでも街の様子が感じられます。

― よく考えると、あの通りには宗教と音楽と教育とアートと文学とビールがあ
るんだよね、昔から。

(つづく)


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