December 13 2011, No.487
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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 ▽フロム・エディター
 ▼「利物浦日記2010」(8)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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「利物浦日記2010」の続きを書きました。
今回のエピソードの中には、ブルーマーガレッツのインタヴューの話があります。
フランスのTV局用に収録したのですが、これが実際にどんなふうに編集されて
放送されたのか(あるいはされなかったのか)、やっぱり気になりますよね。

インタヴュアーだったジャーナリストのジャン=フランソワが、オンエア後に番
組のヴィデオを送ってくれました。
それで初めて分かったのですが、公共放送<France 2>の情報番組の1コーナーで
《ビートル・ウィーク》を特集したようです。
生番組の中の6分半くらいの枠で、ジャン=フランソワ自身もスタジオに招かれ
て生出演していました。

肝心のヴィデオには、ブルーマーガレッツが主役といっていいほどフィーチャー
されていました。キャヴァーンでの演奏シーンやアデルフィでのインタヴューの
カットもたくさん使われています。インタヴュー中にアカペラで披露した<プ
リーズ・ミスター・ポストマン>はもちろん、スキャットだけで歌った<ペニー・
レーン>の音声もちゃんと効果的に挿入されていて、ちょっと感動してしまいま
した。
記事中で紹介した最後のコメントは、ヴィデオの最後を締める「決めゼリフ」と
して登場します。

このヴィデオ、みなさんに観てもらえないのがほんとうに残念です。YouTubeに
アップするのは言語道断として、個別に送ることもやはり問題がありますよね…
ごめんなさい。

僕が関わったフランスの取材はこれが初めてではなくて、2007年、2008年、
2009年にも受けています。
ということは4年連続だったわけですね。今さらながら「へえ〜っ」と思ってし
まいました。

フランスでのビートルズ人気はかなりのもので、このフェスティヴァルがそんな
に人々の関心を惹くのなら、トリビュート・バンドもガンガン活動しているのか
な…とつい考えてしまいますが、そう思って振り返ってみると、リヴァプールに
はフランスのバンドの印象がまるでないのです。
ためしに今僕の机の近くにある近年の《ビートル・ウィーク》プログラムをパラ
パラしてみましたが、フランスの国旗は見当たりませんでした。
スペインやドイツやオランダやフィンランドやノルウェーやスウェーデンやロシ
アからは次から次へとたくさんバンドがやってくるのに、フランスからは(ほと
んど)皆無なのです。

面白いですね。面白いけれども不思議というか不可解というか…。
う〜ん、いったいなぜなんでしょう…??

                          ― Kaz(13/12/2011)


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▼「利物浦日記2010」8
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「利物浦日記2010」8 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo487.html ≫

【8月28日(土)】

11時45分。<ペニーレーン&ウールトン・ツアー>はホープ・ストリートで終了。
そのまま“ジョン・レノンのパブ”<イー・クラック>へ。
これからこのパブで恒例の<スカウス・ランチョン>なのだ。リヴァプールの伝統
料理スカウスを特別に用意してもらっている。

参加者は、さっきのツアーの23人にブルーマーガレッツ組の7人、そして今年
スタッフとしてサポートしてくれる下村えりさん、ランチョンのアレンジをして
くれたミナコさん&イアンさんにその友人2人。ということはえーと、全部で
35人という大集団だ。
メインルームは我々が完全に占領してしまった。あまり大きなお店ではないが、
ほとんど貸し切り状態である。
スカウスは、ノーマルの肉入りとヴェジタリアン用の肉なしの2種類。僕が食べ
たヴェジー用は野菜がいっぱいだった。スカウスもバゲットもおかわり自由。味
も量もみんなに大好評だった。

14時。僕と<ザ・ビートライブス>のメンバーはリヴァプール大聖堂に入った。
今夜ここで行われる、世界の平和を願ってのチャリティ・コンサート《ピース、
ラヴ・アンド・アンダースタンディング》のサウンドチェックのためだ。
このイヴェントは、25年以上の歴史を持つ《ビートル・ウィーク》でも過去最
大のものになるだろう。あの巨大なリヴァプール大聖堂を会場に使うことも異例
なら、ビートルズのロゴマークやポールのコメントが公式に使われていることも
普通はあり得ない。チケットは厳しく管理されていて、たとえ主催者のスタッフ
であっても無料で手にすることはできないそうだ。

カヴァーバンドによるビートルズやソロナンバーの演奏だけでなく、詩の朗読や
司教による説教、聖歌隊やストリングス・カルテットの演奏も交えて、4時間の
長丁場で行われるこのコンサート。ビートライブスはアジア代表としてジョン・
レノンの<ユー・アー・ヒア>を演奏することになっている。主催者から指定され
たのだが、冒頭の歌詞が「From Liverpool To Tokyo」となっているからという
だけでなく(ビートライブスはフロム大阪だけど)、歌われているテーマもまた、
このコンサートで歌われるにふさわしい。遠く離れた者同士が愛の力によって結
びつけられる、その奇跡を歌った名曲である。天上の世界と地上の世界を結ぶ、
カセドラルという場所にふさわしいナンバーだと思う。

さて、サウンドチェック。
当初主催者からは「サウンドチェックは12時集合。13時半まで。時間厳守」と
言われていた。
しかし12時すぎに行ってみると「サウンドチェックはいつでもいいよ」とのこ
とで、それならと2時からにしてもらったのだ(おかげでスカウス・ランチョン
を欠席しなくて済んだ)。

おそろしく広い大聖堂の中に、2つのステージが用意されている。
ひとつは奥にあるメインステージで、こちらではエレクトリック・セットでのパ
フォーマンスが行われる。手前にはアコースティック・セット用のステージがあ
り、ビートライブスはこちらで演奏する。ドラムはなし。パーカッション、キー
ボード、アコースティック・ギター2本、エレクトリック・ベース、そして女性
コーラスというスタイルだ。
最初から最後まで通しで2回、<ユー・アー・ヒア>を演奏。正直言って、僕は驚
いてしまった。サウンド、アレンジ、演奏、大聖堂の音響と雰囲気…もう何もか
もが完璧なのだ。素晴らしすぎる。

責任者のジョンに、「あとでリハーサルがあるんだよね。ランスルーは4時半から
予定通りにやる?」と訊くと、「んー、いや、君たちはもういいよ。ショウ本番の
6時半に入ってもらえれば」とのことだった。
なんとアバウトな段取り…というか、段取りが段取りになってないじゃないかこ
れじゃあ…。でもラッキー! これでブルーマーガレッツのインタヴューに同席
できるぞ!
ビートライブスのメンバーとは、18時10分にアデルフィで待ち合わせの約束を
して解散した。

15時45分。えりさんとアデルフィに集合。
このあと4時から、このホテルのラウンジでフランスのTV局用にブルーマーガ
レッツのインタヴュー映像を収録することになっている。
ジャーナリストのジャン=フランソワから10日前くらいにメールをもらって打
ち合わせした。去年アスプレイズとブルーマーガレッツを取材したジャーナリス
トからの紹介だった。
僕は参加できそうになかったのでえりさんに通訳をお願いしておいたのだが、同
席できることになってうれしい。通訳はえりさんに全面的にお任せして、僕は収
録風景を写真に収めることにした。

カメラマンとアシスタントが15分遅れくらいで到着し、ラウンジでのセッティ
ングに取り掛かった。それからさらに遅れることおよそ20分、スタンバイが完
了する頃にジャン=フランソワが現れた。
驚いたことに彼は車椅子使用者だった。今はバリアフリーの施設が増えているが、
考えてみればこの古風なアデルフィ・ホテルにはそういった気遣いはまるでない。
このラウンジへのアクセスは、おそらくかなり難儀したことだろう。彼の表情に
は苛立ちと疲労の色がほんの少し残っていたが、我々には愛想よく挨拶した。も
じゃもじゃ頭で顔が大きい。そして、発せられる言葉にはビリっとするほどのエ
ネルギーが感じられる…要するに声がでかいのだ。そしてよく笑う。

えりさんの通訳のおかげでインタヴューはスムーズに進行した。
ブルーマーガレッツは、途中で<プリーズ・ミスター・ポストマン>をアカペラ・
スタイルで演奏し、<ペニー・レーン>をスキャットした。
<ペニー・レーン>はこの曲が大好きなジャン=フランソワのリクエストだったの
だが、彼女たちは歌詞を知らず、ラララ〜でいいからぜひと言われて歌ったもの
だ。

しかし彼女たちのインタヴューでの答えは、どうも今ひとつ面白くない。みんな
性格が真面目だし、関西人ではないので、ウケを狙う習慣がないのだ。
少しむずむずしながら横で聞いていたのだが、最後の質問のときに我慢ができな
くなって、つい口を出してしまった。
「あなたたちはビートルズじゃなくてビートルズのコピーなのですが、そのこと
についてはどう思う?」という質問だ。
これに、「何言ってるの? 私たちがビートルズよ!」と答えたらどうかと僕が
提案。これにはジャン=フランソワが「それはいい!」と喜んでくれて、一旦は
採用されかけたのだが、最終的に彼がもう少しヒネリを加えたヴァージョンを収
録することになった。
「(カメラを向いて)あなたたちにスクープがあります。(ひそひそ声で)私たち
みんな、ビートルズの娘なの。シーッ!」

インタヴュー収録が終わったのは5時半すぎだった。
ブルーマーガレッツは7時からキャヴァーンでギグ。僕は6時10分にアデル
フィでビートライブスと落ち合ってカセドラルへ行くことになっている。
時間はちょっと…というかかなり厳しいけど、みんなでご飯を食べることにした。
総勢10名ですぐ近くにある<シーザース・パレス>へ。ここはキラキラっとした
内装のカジュアル・レストランで、イタリアンを中心にハンバーガーやフィッ
シュ&チップスなどの大衆メニューもある。

考えてみれば、ブルーマーガレッツと一緒に晩ご飯を食べるのは去年を含めて初
めてだ。
しかしゆっくり味わっている時間はまるでなく、僕は自分のパスタを半分とえり
さんのフィッシュを少しつまんで、ひとりで店を出た。

アデルフィにダッシュ。少し雨が降りだしていた。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo487.html ≫


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