February 07 2012, No.492
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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 ▽フロム・エディター
 ▼「利物浦日記2010」(10)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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2012年《International Beatle Week》のプログラムがリリースされました。
今年はビートルズのレコード・デビュー50周年(ごじゅっしゅうねん!?)と
いうことで、それにちなんだイヴェントがいくつも企画されています。

その筆頭に挙げられるのが、川向こうのウィラルにあるハルム・ホールでのイ
ヴェント<50th Anniversary Celebration at Port Sunlight Summer Festival>
です。
ハルム・ホールは、「ビートルズ誕生の場所」と言われています。ここは1962年
8月18日、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴのラインナップとなったビート
ルズが初めて演奏した歴史的な場所なのです。

このチューダー調のヴィレッジ・ホールでは毎年「サマー・フェスティヴァル」
が開催されていて、それは1,500人以上が集まるほどの規模なのだそうです。今
年は特別なはからいで、「インターナショナル・ビートル・ウィーク」期間中に、
ビートルズのデビュー50周年のお祭りとあわせて開催することになりました。
盛りだくさんの食べ物やマーケットをはじめ、クラシック・カーのラリー、遊園
地、ドッグ・ショウなどのエンターテイメント、そしてもちろんビートルズ・ト
リビュート・バンドの演奏もありという、なんともカラフルでぜいたくなフェス
ティヴァルになりそうです。

ほかには、伝説のジョン・レノン・パフォーマー、ギャリー・ギブソンがひさし
ぶりに登場する(何年ぶりだろう?)<Live Peace in Liverpool>コンサートや、
The Searchers、Gerry Marsdenによるライヴもあります。もちろん「ビートル
ズ・コンヴェンション」や「マシュー・ストリート・フェスティヴァル」などの
おなじみのイヴェントも開催。今年も盛大に盛り上がる「ビートル・ウィーク」
になりそうです。

フェスティヴァルの詳細は、こちらのページをごらんください。
http://www.cavernclub.org/beatles-festival-2012

スカウス・ハウスでは、今年もこのフェスティヴァルの鑑賞パッケージを企画し
ます。出来上がり次第、ウェブサイトにアップしますね。今しばらくお待ちくだ
さい。

あ、もちろん、今年も日本代表ビートルズ・トリビュート・バンドのエントリー
もしています。バンドはすでに決定していて、現在はギグ・スケジュールの調整
段階。あと2〜3週間くらいで発表できると思います。こちらもお楽しみに!

                          ― Kaz(07/02/2012)


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▼「利物浦日記2010」10
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「利物浦日記2010」10 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo492.html ≫

【8月28日(土)】

待ち時間はまだまだつづく。
とにかく何もすることがなく、この控室でじっとしていなくてはならないのがつ
らい。しかも待っているのは一世一代ともいえる大きな大きなステージなのだ。
ビートライブスのメンバーたちは徐々にナーヴァスの度合いを深めて行く。演奏
をしない僕はいたって気楽に構えていたのだが、うっかり能天気な冗談を言って
しまわないように気をつけた。

この待ち時間の間にメンバーたちに伝えたのは、次の2つのことだけだ。

「サウンドチェックで聴いたテイクは完璧だった。まさにワールドクラス。あの
ままでいい。誰にもマネのできないオリジナリティがある。ぜったいだいじょう
ぶ」
「緊張するなといっても無理だから、もうとことん緊張しよう。緊張して緊張し
て、極限まで緊張しつくすしかないと思う。その先にきっと何かがあるはず」

スモーカーのメンバーはときどきタバコを吸いに外に出る。この楽屋は大聖堂の
最深部にあるので、往復は長い道のりなのだが、特に面倒がる様子もない。ここ
にじっとして煮詰まるよりはいいんだろうな。
そのほかの時間は、ほかにすることがないのと不安なのとで、メンバーたちはと
にかくずっと練習をしていた。

途中、何杯目かのコーヒーを注ぎに行ったときに、ヌーブ9のフェルナンドに
「カズ、ちょっとちょっと」と呼ばれた。エマニュエルとエステバンも一緒だ。
「なに?」
「君んとこのメンバーえらいナーヴァスになってるな。だいじょうぶか?」
「うん…だと思うけど」
「なにか景気づけしてやるよ、おれたちで」
「ん?」
「日本語でgoodはなんていうんだ?」
「んー、んー、エエデ、かな」
「helloは?」
「んー、マイド」
「thank youは?」
「オオキニ、だな」
「どれがいいかな?」
「ぜんぶおぼえたら?」
「おっしゃ、わかった。…エエデ? マイド? オーキニだっけ?」
「そうそう」
「…エエデ、マイド、オーキニ。エエデ、マイド、オーキニ…。いま彼らが練習
してる曲が終わったらおれたち乱入するよ」
「いいね、よろしく。サンキュウ…じゃなかった、オーキニ!」

<ユー・アー・ヒア>の何度目かのランスルー。最後のコードが鳴り終わった瞬間、
部屋の入り口付近に並んだヌーブ9の三人組がコールを始めた。全員が右手でリ
ズムをとりながら、笑顔で関西弁を繰り返す。
「エエデ、マイド、オーキニ、エエデ、マイド、オーキニ、エエデ、マイド、
オーキニ、エエデ、マイド……」
突然の乱入に、ビートライブスのメンバーは最初はぽかんとした様子だったが、
3つめのコールあたりで何を言ってるのかを理解し、控え室は爆笑につつまれ
た。これで少しは緊張がほぐれてくれたらいいんだけれど。

その後も、ヌーブ9の美形のギタリスト、ジュリアンがビートライブスの演奏に
あわせてギターを弾いたりというシーンもあった。彼らはさすがにビートライブ
スほどは緊張していないだろうが、長い待ち時間をもてあましていることは確か
なようだった。彼らの出番は我々のすぐ後だ。
このあたりで気がついたのだが、ヌーブ9はこの控え室で、練習はおろかバンド
メンバーでの打ち合わせすらまったくしていない。これだけの大舞台を前にして
もまっさらの平常心。おそろしいほどの余裕である。

9時半前にステージ横に移動。ボブ・バーティーさんのパフォーマンスを横目に
小さな控えスペースで待機。
出番まであと10分ほど。ビートライブスの緊張はここでピークに達した。ゼイ
ンさんはギターをかき鳴らしながら声を張り上げ、うろうろしている。ほかのメ
ンバーもそれぞれの楽器を鳴らしたり発声練習したりと忙しい。会場とはドア1
枚で隔てられていて、外に音が漏れてしまうんじゃないかと心配になったが、み
んな思いつめたような表情で、やめろと言うには気が引ける。ただじっと見守る
しかない。

しかしそれも5分ほどでおさまった。メンバー6人が円陣を組み、よっしゃやっ
たろうぜと気合を入れる。全員の顔に覚悟と自信がみなぎっている。
さっきまではバラバラな感じさえあったのに、いざとなるとぎゅっとひとつにま
とまるものなんだな、たいしたものだなあと感心した。これがバンドというもの
なのかもしれない。

スタッフからお呼びがかかる。ステージ脇でボブ・バーティーさんの演奏が終わ
るのを見届けた。
プルピットでジュリア・ベアードさんが朗読する間にセッティング。
そして9時46分、ビートライブスの<ユー・アー・ヒア>がスタートした。

ゼインさんの奥さまがヴィデオ収録するので、僕はカメラに専念。斜め前、横、
うしろと移動してビートライブスの勇姿を写真に収めた。

ビートライブスの演奏は、あの完璧だと思ったサウンドチェックをさらに上回っ
ていた。
6人全員がひとつになって集中している。それが、カメラのファインダー、じゃ
なかった、液晶モニター越しにピリピリっと伝わってきた。

生み出されたサウンドは、まさに「天上の音楽」のようだった。天上の世界と地
上の世界を結ぶ大聖堂という場所にふさわしい。
ゼインさんの歌声、モーリーさんのギターソロ、ビリーさんのキーボード、ニッ
キーさんとピーコさんのコーラス、ヒッキーさんのパーカッションが絶妙に溶け
合って、大聖堂は形而上的な浮遊感に包まれた。時間や場所の感覚があいまいに
なり、心も体も透明になって、どこかに飛んでいってしまいそうな錯覚に襲われ
たほどだ。

極上というにふさわしい3分間は、あっという間に過ぎ去った。
となりの控えスペースに入って扉を閉めた瞬間、我々全員が歓喜の雄たけびを上
げた。がっちりと握手。そして抱擁。大きな仕事を見事にやり遂げた興奮と充実
感と安堵感を全身で表現した。

元の控室に戻る。メインステージではヌーブ9が演奏していた。スターのオーラ
がきらきらとしたパフォーマンス。さすがだ。

フィナーレまではまだ時間がある。控室でさっきの余韻にひたりながらしばらく
休憩する。金縛りにあうような緊張から解放されて、みんなすがすがしい顔をし
ている。スモーカーたちはまたタバコを吸いに外に出て行った。

このときにゼインさんに言われた言葉がとても印象に残っている。僕が「うまく
行ってよかったですね」と話しかけたら、こんな答えが返って来たのだ。

「ほんとによかった。でも、始まる前にここで待ってるときは、(このギグを
ブッキングした)カズさんを恨みましたよ、ほんとに」

10時45分、メインステージの横に移動。そして11時に出演者全員がステージに
上がり、フィナーレの<All You Need Is Love>がスタート。ビートル・ウィーク
史上のマイルストーンとなるビッグ・イヴェント《ピース、ラヴ・アンド・アン
ダースタンディング》コンサートは大団円を迎えた。
ビートライブスたちはボブ・バーティーやリック・アラン、ヌーブ9のルクレシ
アと並んでいる。彼らもスターなのだ。

オール・ユー・ニード・イズ・ラヴのコーラスが続いている。
いつまでもいつまでも続けばいいのに、と思いながら写真を撮った。僕も誇らし
い気持ちだった。
ビートライブス、ありがとう!

(つづく)

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