November 20 2012, No.530
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼寄稿:「Footballの旅」(30)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.530です。
今週は「BW2012 おぼえがき」はお休みなのですが、その代わりに、下村えりさ
んの「Footballの旅」をお届けします。ちょうど第30回となりました、ぱちぱ
ちぱち(拍手)!
今月10日にグッディソン・パークで行われた<エヴァトンvsサンダーランド>の
マッチ・レポートです。サンダーランドのジョンソンがゴールを決め、エ
ヴァトンがきっちり逆転勝ちを収めるという、まさにえりさんのためにお膳立て
されたようなゲームとなりました。しかも家に帰るとマンチェスター・ユナイ
テッドも逆転勝ちだったそうで、その晩(というか日本では朝でしたが)僕のと
ころには、えりさんから超ゴキゲンなメールが届いたのでした。

この試合、えりさんの原稿を編集する際に僕もビデオで観てみたのですが、実に
面白いゲームでした。
特に、決まった3つのゴールがどれもほんとうに素晴らしかったです。3つとも
プロフェッショナルとしてのスキルとタマシイがこもったもので、「うわぁぁ〜」
と感心しながら何度も何度もリピートしてしまいました。なんでこんなことがで
きるんだ?

今回えりさんは、9月からリヴァプールに留学しているさおりちゃん(「BW2012
おぼえがき」にも登場中です)をグッディソン・パークに連れて行ってくれまし
た。初のプレミアマッチを愉しんでもらえたようです。
えりさんによると「もうすっかりトフィーズ(エヴァトン)ファンですよ」との
こと。彼女はビートルズがきっかけでリヴァプールに留学しているのですが、こ
れからはフットボールも大いに堪能してもらえればいいなあ。
せっかくなので、さおりちゃんの写真を「今週のフォト」ページにいくつか掲載
しますね。かわいいですよ!

● ● ●

「インターナショナル・ビートル・ウィーク」に出場する日本代表ビートルズ・
バンドの募集は閉め切りとさせていただきます。2013年の代表バンドはすでに
決定しました(来年に公表します)。応募していただいたバンドのみなさん、あ
りがとうございました。

● ● ●

今週の「Photo of the Week」は、レンショウ・ストリートのThe Dispensaryパ
ブで飲んだリアルエール<White Rat>です。美味しかった!

「Photo of the Week」は、スカウスハウスのFacebookページ、またはウェブサ
イトのトップページでご覧いただけます。
 Facebookページ: http://www.facebook.com/scousehouse.net

                         ― Kaz(20/11/2012)


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▼寄稿:「Footballの旅」(30)
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「Footballの旅」 / 下村 えり(Eri Shimomura)

 〜 Vol.30 Premiership - Everton VS Sunderland, 10 November 2012 〜

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo530.html ≫

【Introduction:まえがき】

「秋深き 隣は 何をする人ぞ」と一句歌いたくなる今日この頃ですが、皆さんお
元気でしょうか。
この句のついでにと言ってはなんですが、リバプールのお隣チームといえば、
Everton FCとLiverpool FC。スタンリーパークを挟んで、Goodison Parkと
Anfieldというホーム・スタジアムを持っています。
1世紀以上にもわたる宿敵同士のこの2チーム、老朽化が目立つ本拠地を新調し
ようとそれぞれ計画をスタートさせたものの、ここ数年のご時勢もあってか移転
計画は仲良く保留状態となっています。「2つのクラブで1つのスタジアムを
シェアしては?」というアイデアもありましたが、どちらもあっさりと拒否しま
した。

Liverpool FCの一番新しい情報では、スタンリーパークでの新設計画は中止し、
水面下では平衡してずっと話が出ていた、現在地での増設計画に持って行く方針
に落ち着いたらしいです。
個人的には、この歴史の古い両チームにAnfieldやGoodison Parkを去って欲し
くない。お互いに良きライバルとしてスタンリーパークと向かい合い、永遠に留
まって欲しいと思うのですが、こう願うのは私だけではないですよね?

今日は「Footballの旅」を連載させて頂いて30回目、大好きなGoodison Park
のマッチ・レポートです。
私のお気に入りAdam JohnsonがMan Cityから移籍したSunderlandを迎えての
一戦です。どうぞお付き合い下さい。


【Goodison Park+本日の見所】

穏やかな秋晴れに恵まれた今日のリバプール、Goodison Parkも賑やかなムード
に包まれていた。それもそう、ここ4ゲームdrawが続くEvertonではあるが、
決して悔いの残るゲームではなく、勝ち星をあげていてもおかしくないクオリ
ティ。シーズンの初めにEvertonの監督Moyesはこう語っている。

「我々をジャッジするのはシーズンが始まって10ゲームからにしてくれ」

そして10ゲーム終わった今、リーグ4位につけるとは! 今年は期待できそう
なポジティブムードである。
先日はFulhamの監督Martin Jolから‘long ball team’(長い縦パスをダイレ
クトにストライカーに送ってゴールを狙うことしか戦術のないチーム)と皮肉ら
れたが、Moyesはそんな言葉に動揺するどころか、「何と言われようが要するに
結果をだせればよいのだ」と胸を張る。
今日の試合は故障者Tony Hibbert、Darron GibsonそしてVictor Anichebeを欠
くゲームになりそうだが、果たして彼の戦略はいかに?

方やSunderlandは不調のど真ん中。今シーズンPremier Leagueにおいては、計
6ゴールのうち5ゴールはSteven Fletcherによるもので、残りの1ゴールは相
手のオンゴール。Fletcherへの依存症は深刻で、新しく加わったメンバーの
チームへのブレンドの答えも出ないままである。

ましてやMoyesがEvertonの指揮を執ってからのこの10年では、17回の対戦で
なんと勝ち星ゼロ。敵地Goodison Parkにおいては、3−1で勝った1996年を
最後に白星から見放されているらしい。さて、この辺りでそろそろ風向きは変わ
るのだろうか。

今回は、初のフットボール観戦となる留学中の友人と一緒のGoodison Parkであ
る。界隈の周遊を楽しんだあと、キックオフ40分前にスタジアムの中に入るこ
とにした。
バックスタンドにあるLower Bullensの席はSunderlandのアウェイサポーター
の真横、一部ゴールの視界が柱で遮られていたが、ピッチとの距離も余りなく、
試合との一体感が感じられそう。両チームのウォーミングアップも始っていて、
慌てて、今日のお目当てのAdam Johnsonにカメラを向ける。彼の笑顔は眩しす
ぎる(笑)。


【Kick Off:試合開始】
明日11月11日は戦没者追悼記念日(Remembrance Sunday)。そのため、キック
オフ前に1分間の黙祷。今日の選手全員の胸に貼り付けられている、真っ赤な
ポピーの花はそれを象徴するアイテムだ。軍服を着た兵隊さんらとスタジアム
で遭遇するのもいつもこの時期である。

<前半>
試合は定刻の午後3時に始まった。開始と同時にアウェイSunderlandが積極的
に前に出る。最初のチャンスもSunderland。3〜4分、中央でボールを受けた
FW Fletcherが左前方を走るFW Sessegnonにスルーパス。SessegnonはDF
Colemanをすり抜けてゴール前でシュートを打つが、GK Howardが素早い反応で
セーブ。Goodisonに最初のため息がひびく。

次のチャンスも又もやSunderland。7分、今度はSessegnonからFletcherに素
晴らしいスルーパス。Fletcherはピッチ左からスライディングシュート。しか
しゴールの右にわずかに逸れた。またもやヒヤッとする場面にホームのファンも
不安を隠しきれない様子。逆に我々の左に陣取るSunderlandファンの応援は勢
いを増す。

完全にSunderlandペース。振り回され気味だったEvertonだが、少しづつ主導
権を掴み、ペナルティエリアへ侵入する回数も増える。30分台に入るとMF
Osmanからのボールを上手く受けたMF Pienaarが切れの良いショット。しかし
Sunderland GKの正面。

チャンスは生み出すものの、ゴールにはつなげられないEverton。
そしてロスタイムに入ると、Evertonファンの悪い予感が的中するかのように、
Sunderlandに先制を許してしまう。

DF Cuellarのコーナーキックをインサイドボックス内でEverton FW Jelavicが
跳ね返す。しかし後方で待機していたMF Gardnerがボールに追いつき、ダイレ
クトでゴール前にフィード。山なりのパスに追いついたのはMF Johnson。スラ
イディングしながらバウンドした瞬間を捉えると、ボールはHowardの右をすり
抜けてゴールに吸い込まれて行った。0−1!

気分的にはAdamのゴールに飛び上がりたい心境だったが、やはりここは
Everton陣地、しかもEvertonには勝ってほしくもあり、グッと我慢。
ゴールは遠く見えにくかったのだが、私のカメラは幸運にもその瞬間をバッチリ
捕えた。ラッキー。

前半は完全にSunderlandリードの試合展開で、Evertonの勢いも堅い守りで封
じ込められていた。

<後半>
開始直後からEvertonの反撃が一気に始まった。
48分、PienaarのコーナーキックをDF Heitingaがヘディングシュート。ゴール
右角を狙い打つが、ゴールポストに陣取っていたJohnsonが見事にクリア。また
もやAdamのビッグプレーで左アウェイ陣のボルテージが上がる。Evertonファ
ンにしては惜しい一撃であったが、後半はまだ始ったばかり。良いスタートであ
ることには間違いなく、サポーターたちも期待感を募らせる。

それからもボールを支配しながら得点に結びつけられないEvertonだったが、選
手にもサポーターにも焦燥感は全く感じられない。

そんな前向きなEvertonに77分、同点のチャンスが訪れた。センターラインか
らOsman、Colemanとパスで繋がれたボールを、今シーズン絶好調のFW Fellaini
がゴール前中央で受ける。立ちはだかるディフェンダーたちの隙間から放たれた
シュートはクールにネットに収まった。1−1! Goodison Parkが一気に熱く
なる。

続く79分、勢いづくEvertonにまたもやチャンス。前線を張るFellainiと
Jelavicの2人によるエンターテイメント・ショウともいえそうな、見事な演出。
左サイドのOsmanがペナルティアークのFellainiにパス。Fellainiはバックフ
リックしてゴール前にボールを流し、左サイドより飛込んできたJelavicにピタ
リと合わせる。JelavicはディフェンダーとGKに挟まれながらも落ち着いて
ゴール右隅に蹴り込んだ。2−1。
Fellainiのクールな足技とJelavicの確実なフィニッシング。美しすぎる。


【Ending:試合終了】
結果、前半とは全く違う動きを見せたホームEvertonに勝利の女神は微笑み、
Sunderlandはゴールスコアラーの数は2人に増えたものの、Goodisonでの勝利の
野望は来シーズンに持ち越された。
試合内容は称賛を受けたEvertonの4ドローではあったが、その壁を破る為には、
チャンスを確実にものにする決定力と、ディフェンスの集中力強化が必要だった。
その過去の教訓が生かされた今日の試合であったように思う。

幾人かの故障者を抱えながらも今シーズンのEvertonは、頗る調子の良いFW2人
(Fellaini、Jelavic)に加え、他のポジションからも得点出来ているのがトッ
プ4をキープしている理由だろう。「ロングボール・チーム」と皮肉を言われよ
うが、前進あるのみである。
ただ個人的には「ロングボール・チーム」だとは思わない、もしそうだとしても
最近のEvertonの試合展開を退屈だと思ったことは一度もない。ワールドクラス、
高給取りの選手無しで、よく守りよく攻める、チームワークとバランスの取れた
魅力的なチームだと私は思っている。Moyes監督の手腕は見事というほかない。
これからのシーズン後半も益々期待したい。

(Fin)


≪マッチ・データ≫
 Premiership 12-13
 EVERTON 2 - 1 SUNDERLAND
 Goodison Park Stadium, Saturday 10 November 2012 15:00
                 
           エバートン     サンダーランド
 ゴール         2          1
        (Fellaini76 Jelavic79)  (Johnson45+1)
 ターゲットショット   6          3
 コーナーキック     6          2
 ファウル        14          15
 オフサイド       1          2
 イエローカード     1          3
          (Heitinga58) (Gardner69 Vaughan93 Rose95)
 ポゼッション      62%         38%

 Team Line-ups
 Everton: Howard, Baines, Heitinga, Jagielka, Neville(Vellios73),
     Coleman, Osman, Pienaar, Fellaini, Jelavic(Hitzlsperger),
     Mirallas(Naismith30).
 Subs Not Used: Mucha, Distin, Oviedo, Gueye.
 Booked: Heitinga.
 Goals: Fellaini, Jelavic.

 Sunderland: Mignolet, O'Shea, Cuellar, Rose, Larsson, Gardner,
     Colback(Wickham88), Johnson(Vaughan84), McClean, Sessegnon,
     Fletcher(Saha69).
 Subs Not Used: Westwood, Kilgallon, Bramble, McFadden.
 Booked: Gardner, Vaughan, Rose.
 Goal: Johnson.

 Attendance(観客数): 35,999

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo530.html ≫


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