January 22 2013, No.538
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
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 ▽フロム・エディター
 ▼連載:「BW2012 おぼえがき」(12)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.538です。
「BW2012 おぼえがき」が、連載12回目にして最終回となりました。
昨年10月9日(ジョン・レノンの誕生日だ!)発行のNLW No.524でスタートし
て3ヶ月ちょっと。自分で思っていたよりは長い連載になりました。
タイトルを「おぼえがき」としたのは、箇条書きの文体でさささーっと簡単に、
とにかくシンプルに、スピード感のある原稿にしたかったからなのですが、その
コンセプトは長続きせず、途中からいつものようなだらだらとしたレポートに落
ち着いてしまいました。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」といいますが、まさにそんな感じかもです。な
んでもかんでも書きゃいいってもんじゃないよなあ…と自覚しながらも、ついつ
い書いちゃったわけで、きっと必要ないところもつまらないところも意味ごちゃ
ごちゃなところもいっぱいあると思います。そういう余分なところもひっくるめ
て、「ビートル・ウィークってこんなものなんだ」と感じていただければうれし
いです。まあ、「足りぬは余る、余るは足りぬなり」とも言いますしね…って、
なんのこっちゃ。

とにかく、2012年のビートル・ウィークのレポートはこれで終了です。ずっと
読んでくださったみなさん、ありがとうございました。

2013年ビートルウィークのスカウスハウス・ツアーは、現在企画準備中です。
ひとりでも多くのかたにご参加いただけるとうれしいです。

● ● ●

今週の「Photo of the Week」は、リヴァプールのディングル地区にある<The
Empress>と横のAdmiral Grove。リンゴ・スターゆかりのパブと、住んでいた通
りです(お家もかすかに写っています)。僕の大好きな場所です。

「Photo of the Week」は、スカウスハウスのFacebookページ、またはウェブサ
イトのトップページでご覧いただけます。

 Facebookページ: http://www.facebook.com/scousehouse.net

                         ― Kaz(22/01/2013)


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▼連載:「BW2012 おぼえがき」(12)
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「BW2012 おぼえがき」 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo538.html ≫

<8月27日(月)>

16:00 キャヴァーン・パブ。ミズウリの7本目にしてラストのギグである。挨
拶のMCのあとのオープニング・ナンバーは<I'll Be Back>。意表をつく選曲だ
けれど、これはきっと「またリヴァプールに戻ってくるぜ」というメッセージな
のだろう…たぶん。

それからの40分は、超満員の観客とバンドがぎゅっとひとつになって、坂道を
ごろんごろんと転がっていくようなライヴだった。最後らしい解放感にあふれて
いた。バンド自身もこの時間を楽しもうとしている。
ラスト・ナンバーはもちろん<Twist And Shout>。おそらくこれがミズウリのリ
ヴァプールでの100曲目だ。オーディエンスをひとりのこらず絶叫させての大団
円となった。

17:00 外に出ると、マシュー・ストリートは雨だった。ミズウリをジェームズ・
ストリートでタクシーに乗せて、少し時間があるのでそばのパブ<The Liverpool>
へ。実はちょうどこの時間、泣く子も黙るマージービートの硬派バンド<The
Undertakers>が毎年恒例のライヴをやっているのだ。

コピーバンドではなく、ホンモノのアンダーテイカーズである。さすがに60年
代と同じメンバーではないが、看板のジェフ・ニュージェント、ブライアン・
ジョーンズ、そしてジャッキー・ロマックスは健在である。3人とも60歳代の
はずだが、今でもバリバリのロッカーなのだ。特にジェフとブライアンはパワー
全開。すさまじい迫力。今でこれなら、全員が若者だった40年前はいったいど
んなステージをやっていたんだろう?

サックス奏者のブライアン・ジョーンズは、当時から同姓同名のローリング・ス
トーンズのギタリストと混同されることが多かったそうだ。おまけにビートルズ
のラスト・シングル<Let It Be>のB面に収録されている<You Know My Name
(Look Up The Number)>で、ストーンズのブライアンがサックスを吹いたものだ
からよけいにまぎらわしいことになって、「あのサックスはあなたですか?」と
事あるごとに尋ねられたという。そんなとき彼は決まってこう答えていたそうだ。

「いや、あれは泳げないほうのブライアン・ジョーンズさ」

なんともスカウサーらしい答えではないか。そう、ご存じのように、ストーンズ
のブライアンは1969年に自宅のプールで溺死している。決して泳げなかったわ
けじゃないだろうけど…だって、カナヅチの人間が自分の家にプールを作るわけ
がないじゃないか…と、カナヅチの僕は断言する。

ザ・リヴァプールは決して小さな店ではないが、毎年この日は、アンダーテイ
カーズのファンでぎっしり満杯になる。バーカウンターでビールを買うことすら
難しい状態だ。90%くらいは地元の人々で、オールド・ファンと第二世代が半々、
といったところだろうか。
年に一度の「マシュー・ストリート・フェスティヴァル」で街じゅうが盛り上
がっているわけだが、ここはほかの会場とは空気が違う。「この日この場所のア
ンダーテイカーズ」を観るために人々が集まって来るからだ。
日常性というか安心感というかホームゲームというか、僕はこの雰囲気が大好き
なのだ。ほんの少しの時間だったが、観られてよかった。

18:00 今日3回目のキャヴァーン・パブ。リヴァプール・ボーイズ7本目&ラ
スト・ギグ。日本代表バンドのトリでもある。バンドも、雨の中並んで入場した
オーディエンスも気合いじゅうぶん。
さっきのミズウリのときのような、坂道ごろごろなステージだった。雪国だった
ら大きな雪だるまがあちこちにたくさんできていることだろう。

18:50 ギグ終了。日本代表3バンドで合計20本。盛り上がらなかったステージ
はひとつもなかったし、どれもが素晴らしいクォリティだったと思う。こんなこ
とはこれまでなかったかもしれない。どんなバンドだって、だいたい6本も7本
もギグをやれば、ひとつくらいはうまく行かないのがあるものなのだ。

個々のバンド自身では細かい反省点はあるかもしれないが(きっとあるのだろ
う)、オーガナイズ側としてはまったく申し分ない活躍だった。数え切れないく
らいの人たちが、彼ら・彼女らのライヴを観て笑顔になってくれたのだ。ハッ
ピーな気持ちになってくれたのだ。これってやっぱりすごいことだと思う。
クローバー、ミズウリ、リヴァプール・ボーイズ。ほんとうにおつかれさまでし
た&どうもありがとう!

20:00 フィルハーモニック・パブ。これからスカウスハウス・ツアーのフェア
ウェル・パーティー、つまり打ち上げ会である。まずは地階のバーでビールを飲
んで乾杯。美味しい!

20:30 2階にあるダイニング・ルームで打ち上げ会の開始。バンドのみなさん、
参加者のみなさん、それからスタッフとしてがんばってくれたみなさん、どうも
ありがとう。乾杯!

22:00 パーティー終了。解散。はす向かいのフィルハーモニック・ホールやア
デルフィ、キャヴァーンではまだまだライヴが続いている。みんなそれぞれ、お
目当てのバンドを観に行った。僕はミズウリのジョニーさんとシノさん、ちかこ
さん、さおりちゃんと一緒に、フィルハーモニック・パブのラウンジでゆったり
とビール。話もはずんだ。

23:00 ジョニーさんとシノさんと一緒に、アデルフィのボールルームへ。ビー
トルズに続いて世界的な成功を収めたマージービートのバンド、サーチャーズの
ライヴ。ホンモノのサーチャーズである。個人的に今年のビートル・ウィークで
いちばん楽しみにしていたのがこれだ。サーチャーズのステージはほんとうに素
晴らしい。曲がいいし、ハーモニーは極上の美しさだし、何よりテンポがいい。
笑わせる、泣かせる、ノせるというエンターテイメント・ショウとしての構成も
洗練されている。

…のだが、体調不良と疲れからか、途中で猛烈に眠くなってしまった。立ったま
ま何度か船をこいで、ジョニーさんに、「カズ、疲れてるならいいよ。おれたち
のことは気にするな」と心配される始末。しかし終盤の怒涛のヒット・メドレー
で眠気は吹き飛び、サーチャーズの曲ではないのになぜか(ジェリーごめんな、
というコメントつきで)演奏された名曲<You'll Never Walk Alone>ではここぞ
とばかりに声を張り上げて一緒に歌った。もちろん数百人のオーディエンスの
ほとんどもそうで、気分は一気にアンフィールドである。最高に盛り上がった。

肉体派のアンダーテイカーズとスタイリッシュなサーチャーズ。この2つを同じ
日に観られたというのが、なんだかよかった。タイプは正反対ではあるけれど、
イキイキと音楽を奏で、オーディエンスと一緒に特別な何か、サムシング・スペ
シャルを生み出そうという姿勢は共通している。小手先の演奏では1ミリも伝わ
らない。魂がこもっていなければ、他人の心を震わせることはできないのだ。

00:30 ホテルに戻る。明日の朝、バンドのみなさんやお客さんをライム・スト
リート駅で見送りしたら、リヴァプールでの仕事は終わりである。ロンドンでも
ビートルズ・ツアーがあるのだが、僕よりもずっとベテランで頼りになるガイド
が案内することになっている。みなさん楽しんでね!

01:30 シャワーしてベッドに入る。どうやら今年のスカウスハウス・ツアーも
ハッピーに終わりそうだ。よかったよかった、ほんとうによかった。リヴァプー
ルとビートルズにも感謝しなくちゃ。来年がもう楽しみだ!

(おわり)

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スカウスハウスでは、以下のマッチチケットを確保しています。
ご希望のかたは、info@scousehouse.net までお問い合わせください(件名は
「フットボールチケット希望」とし、本文に「お名前」「ご住所」「希望マッチ」
「希望枚数」をお知らせください)。
下記以外のマッチも受け付け可能です。お早めにどうぞ!

 LFC vs Chelsea (20 Apr 2013)

フットボール・チケットに関する詳細はこちら:
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好評のビートルズ・ツアーに加えて、ロンドンでのウォークツアーを2コース、
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スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
スクールLILAとも提携しています。
長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
を留学に充てられない社会人の方にはLILAをおすすめします。
スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
フが、日本とリヴァプールの両方に常駐しています。入学前はもちろん、入学後
のサポートについても安心してお任せください。
http://scousehouse.net/study/index3.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧
ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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*** 今週のフォト・アルバム ******

連載「BW2012 おぼえがき」で登場したシーンの写真をいくつか掲載しています。
ちかこさん、えりさん、H-San.さん、提供ありがとうございました!!
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