March 12 2013, No.545
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
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 ▽フロム・エディター
 ▼「利物浦日記2010」(14)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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ビートルズ・バンド<The BlueMargarets>が解散するそうです。

リヴァプールの《International Beatle Week》とフィンランドの《Tampere
Beatles Happening》に2回出場したほか、フランスのフェスティヴァルでも演
奏したブルーマーガレッツ。フランスの国営放送でもフィーチャーされたことが
あります。日本の女子ビートルズ・バンド――いや、この際「女子」は外しま
しょう――日本のビートルズ・バンドでは、最もインターナショナルな人気を集
めた4人組です。

もちろんこのNLWでもおなじみですね。これまで何度も、彼女たちの活躍を取り
上げてきました(偶然ですが今週掲載の「利物浦日記2010」にも登場します)。

そのブルーマーガレッツが解散――きっと、世界じゅうのたくさんのファンが
ショックを受けることでしょう。もちろん僕もです。連絡を受けたときはすぐさ
ま、「こらー! 勝手に解散するなーー!! ばかーーー!!!」と返事をしま
した。

たいして活発に活動してないんだから、わざわざ解散しなくてもいいじゃないか、
今のペースでゆる〜く続ければいいのに……と思うんだけど、でもたぶん、その
「たいして活発に活動してない」ところがまさに解散の理由なのかなあ、とも思
います。

「いろんなものを振り切って、前に進まなければならない時もある」ということ
なのかもしれませんね。終わりではなく、始まりなのだと信じたい。

現時点では、3月、4月、5月にそれぞれ1回行われるライヴでブルーマーガ
レッツは観納めとなります。
4月は名古屋で、3月と5月は東京です。僕が住んでるのは関西ですから、どれ
も遠いのですが、やはりどれかに顔を出して直接、「ばかーーー!!!」と言っ
てやりたいと考えています。

そうだ、ユーハさんを誘って行こうかな…って、彼はヘルシンキ。僕より100倍
くらい遠いから、さすがにちょっと無理だろうなあ……と書いてから調べてみた
ところ、実際には19倍だった。意外に近いかも!?
どうする、ユーハさん??

● ● ●

今週の「Photo of the Week」は、リヴァプールのシティ・センターにあるアイ
リッシュ・パブ<The Rising Sun>です。

「Photo of the Week」は、スカウスハウスのFacebookページ、またはウェブサ
イトのトップページでご覧いただけます。
 Facebookページ: http://www.facebook.com/scousehouse.net

                         ― Kaz(12/03/2013)


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▽「利物浦日記2010」(14)
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「利物浦日記2010」14 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo545.html ≫

【8月30日(月)】

「スペシャルマニアック・ビートルズ・ツアー」の終点は、キングズ・ドックに
あるホテル<ジュリーズ・イン>にした。僕の都合だ。10時からの<メンディップ
ス&20フォースリン・ロード・ツアー>にチェルシー&同行者が参加することに
なっていて、コーディネーターとして立ち会わなければならないのだ。

タクシーがホテルに着いたのは、ツアーの集合時間ちょうどの9時45分。Kさん
&Tさんはそのままマリオット・ホテルに帰り、僕はNさん夫妻とジュリーズ・
インのロビーへ。
チェルシー一行はすでにそろっていて、ツアーのドライヴァーもすぐに顔を見せ
た。予約の確認を済ませて、チェルシーたちを見送る。いってらっしゃい、楽し
んで!

やれやれ間に合ってよかったと思いながらジュリーズ・インを出る。
目の前には<エコー・アリーナ>。そのとなりには<リヴァプール・ビッグ・ホ
イール>がある。観覧車だ。

「ふうん観覧車かあ…そうだ! 天気もいいし、ちょっと乗ってみよっか?」

Nさん夫妻と一緒に乗り込む。乗客はどうやら僕らだけみたいだ。
このモダンな観覧車は、数か月前まで<リヴァプール・ワン>にあったものだ。
ショッピング・センターよりはウォーターフロントの景色がよく似合う。大きさ
的にも場所的にも、散歩がてら「ほいっ」と乗れる気軽さがいいではないか。ロ
ンドン名物<ロンドン・アイ>もいいけど、あれはちょっと大きすぎると思う。チ
ケットを買うのに並ばされたり、1周するのに30分くらいかかかったり。そし
てゴンドラも25人乗りと巨大で、キャッチボールでもできそうな広さがある。
地上130mでのキャッチボールは気持ちいいだろうな…でも怒られそうだ!

リヴァプールの<ビッグ・ホイール>のカプセルは4人乗り。キャッチボールはさ
すがに無理。将棋くらいならできるかもしれないが、言うまでもなく観覧車は景
色を眺めて楽しむためのものだ。

上空からの眺めは、予想通り素晴らしかった。マージー河が真下にあって、その
向こうにウィラル半島が見渡せる。こっち側にはピア・ヘッドを含む世界遺産エ
リアがあり、内陸部に目をやると、遠くに2つの大聖堂が見える。どっしりとし
た存在感で、まさに屹立しているという感じ。特にリヴァプール大聖堂の大きさ
はちょっと尋常ではない。よくもまああんなでっかいものを建てたものだと、あ
らためて感心する。そりゃ完成に70年もかかるわな…。

「ビッグ・ホイール」といっても、ロンドン・アイに比べれば「スモール・ホ
イール」である。ほんの2〜3分で1周してしまった。
いちばん下に来て、ああこれで終わりかあ…と思ったけれど、ドアは開かずにそ
のまま通過。我々のカプセルはまた上を目指す。おお、もう1周してくれるのか、
ラッキー!
2度目の頂点では面白いことが起きた。なんと、観覧車の回転がぴたりと止まっ
たのだ。てっぺんで。もしかして故障か? …なんて心配になったけれど、30
秒くらいしたらまた動き出した。きっとサーヴィスのつもりなのだろう。へんな
観覧車だなあ。

…などと3人でなごんでいたら、突然僕の携帯電話が鳴った。おや、誰だろう?

「あ、もしもしー、カズさんですか? Fですけどぉ」
ブルーマーガレッツのファミリーのFさんだ。なんだか機嫌が悪そう。
「はいはい、どーもー」
「……みんな待ってるんですけどぉ」

ん? 待ってる??
……あ、忘れてた! ブルーマーガレッツとの約束があった! ディングルの
マーガレットおばあちゃんのところに連れて行くことになっていて、10時10分
にアデルフィ・ホテルに集合なのだった…さっきまでおぼえてたはずなのに、観
覧車を見た途端にすっかりどこかに飛んで行ってしまってた…。

「あ、あれ? あぁもう時間ですね! えーとえーと、もうみんなそろってます? 
アデルフィ? えーと僕はですね、ちょっと今動けない状態でですね(まさか観
覧車に乗ってるとは言えない)、えーと…そうだ、悪いんですけど、タクシーで
ビートルズ・ストーリーまで来るよう伝えてもらえます? ええ、僕いまアル
バート・ドックのすぐ近くなんですよ。アデルフィの横にタクシー乗り場ありま
すから。僕も10分以内に行けると思います。ビートルズ・ストーリーのところ
で待ってますね。はい、よろしくで〜す!」

ふう…。なんとかごまかせたかな? 忘れてたのバレバレかな?
とにかくこうなってはのんびり景色を楽しんでいるどころではない。早く観覧車
を降りたい。
カプセルは再び終了地点に到着。しかしまたしてもドアは開かず、無情にも我々
はまた上に連れて行かれる…。

「おお〜〜い、開けてくれえ、出してくれえ〜!」
とドアを叩きながら叫ぶが、外には誰もいない。誰にも気づいてもらえない。

てっぺんではまたしばし静止。
「もうええっちゅうねん、はよう降ろしてくれえ〜!」

Nさん夫妻は僕の姿を見て笑っている。もちろん半分はギャグでやってるんだけ
ど、もう半分はやっぱり本気だ。早く終わってほしい。終わってくれ!

結局、3回転して観覧車の旅は終わった。
飛び降りるようにしてカプセルを脱出。アルバート・ドックにダッシュ。
ビートルズ・ストーリーの前に着くと、ちょうどブルーマーガレッツも到着した
ところだった。ぎりぎりセーフ! …って、そのまえに思い切りアウトだったわ
けだけど。

「もう〜、カズさ〜ん!」
「わはは、ごめんごめん!」
…やっぱりバレバレだ。
みんなでタクシーに乗って、マーガレットさんのお家へ。
2日前にもバスツアーで訪ねたわけだけど、ブルーマーガレッツはツアーに参加
しなかった。「ペニー・レーンやストロベリー・フィールドには行かなくてもい
いけど、マーガレットさんにはもういちど会いたい。カズさん何とかして〜!」
と頼まれたので、今日この時間に引率することになったのだ。もちろん、マーガ
レットさんも楽しみにしてくれている。

ブルーマーガレッツの名前の由来は、花のマーガレットから来ている。しかし花
のマーガレット(marguerite)のスペルは難しすぎて誰もおぼえられず、ずっと
簡単な人名のマーガレット(Margaret)にしたのだそうだ。この話をするとイギ
リス人にはとてもウケるのだが、とにかくそのおかげで、リンゴの家に住むマー
ガレットおばあちゃんには孫娘のようにかわいがってもらえることになったのだ
から、何が幸いするかわからない。もちろん名前だけじゃなくて、メンバー4人
の愛らしいキャラクターのおかげでもある。

1年ぶりの再会。ハッピーな時間はあっとう間に過ぎて、我々5人は乗って来た
タクシーに乗ってタウンに戻った。
リヴァプールの街に、太陽の光が燦々と降り注いでいる。向こうにマージー河も
見える。気持ちのいいドライヴだ。タクシーの運ちゃんが気を利かせてビートル
ズ・ナンバーを流してくれた。
ご機嫌でノリノリなブルーマーガレッツは、それを黙って聴いていられない。曲
にあわせての大合唱が始まった。
<Please Please Me><Please Mister Postman><I've Just Seen A Face>
<Yesterday><Ticket To Ride>……何曲歌っただろう? 運ちゃんも大喜びだっ
たし、僕もいっぱい笑った。でも君たち、今からキャヴァーンでギグなんじゃな
いのか? …これってリハーサル??

今日は《マシュー・ストリート・フェスティヴァル》。街の中心部は車が入れな
くなっているので、ジェームズ・ストリートの入口でタクシーを降りた。11時
15分。楽しい遠足だったね。さあ、みんなでキャヴァーンまで歩こう。12時か
らブルーマーガレッツのラスト・ギグである。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo545.html ≫


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▽スカウスハウス・ニュース
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スカウス・ハウスは、リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
公立のリヴァプール・コミュニティ・カレッジに加えて、今年より、私立の語学
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長期でじっくり学べる学生の方にはコミュニティ・カレッジを、まとまった期間
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スカウス・ハウスには、リヴァプール留学に関する専門知識や経験を持つスタッ
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NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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*** 今週のフォト・アルバム ******

連載「利物浦日記2010」の写真を掲載しています。ぜひご覧ください!
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