August 04 2015, No.619
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼「利物浦日記2001」(1)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▽フロム・エディター
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

悲しいニュースです。
シラ・ブラックが亡くなりました。
リヴァプール出身の元シンガーで、TVプレゼンターとしても活躍したシラ。彼
女はビートルズのデビュー前からグループの妹分的な存在で、ビートルズと同じ
くブライアン・エプスタインの元でデビュー。歌手として数々のヒット(2曲が
ナンバー1)を飛ばしながら徐々にショウ・ビジネスの世界に軸足を移し、エン
ターテイナーとして不動の地位を築きました。

英国のメディアは、訃報とともに「英国で最も愛されたスターのひとり」「ショ
ウビズ界で最も有名な女性」「国内で最も成功し、最も稼いだパフォーマーのひ
とり」など、最大級の賛辞をシラに贈っています。

8月1日、スペインの自宅で亡くなったシラは、72歳でした。すぐに思いだし
たのは、昨年、彼女がインタヴューで、「75で死にたい」と語っていたことでし
た。耳が遠くなってしまったことをかなり気に病んでいたようで、「老いること
は辛く悲しい」とも漏らしていたそうです。
自身の予想よりは少し早くなってしまったけれど、事故や病気ではなく、自然死
(と見られています。今のことろ)であったことは彼女にとって救いになるかも
しれません。ただ、いきなり去って行かれてしまった家族やファンはショックで
しょうが…。

僕自身は、シラには会ったことはないのですが、シラのお兄さんのジョンさんに
は以前、親しくしてもらっていました。
親しくと言ってもただパブで仲良くビールを飲むくらいなのですが、それでも、
大らかで優しくて品のあるジョンさんに会うのは毎年とても楽しみでしたし、
ジョンさんもいつも喜んでくれているようでした。
あるとき「ほらこれを」と使い古しのレジ袋を差し出されて、その中にシラのサ
イン入りのカードが何枚も入っていてびっくりしたことがあります。また別のと
きには、なぜかホワイト家のファミリー写真までプレゼントされてしまいました。
スペインの別荘での集合写真でした(あれはどこにしまってあるのだろう…?)。

あ、よく知られていることですが、シラの本名はプリシラ・ホワイトです。白を
ひっくり返して黒にしてしまうというのが実にクールなわけですが、これは
『マージー・ビート』紙が書き間違ったことが発端なんだそうです。それを見て
「なるほど、ブラックのほうがカッコいいじゃないか」というブライアンのひと
ことでインパクトのある芸名が決まったのです。

仲間内で「ホワイティ」と呼ばれていたジョン・ホワイトさんは、ほとんど毎日、
ジャカランダのカウンターの奥に座っていました。ひとりで静かにマイルドエー
ルやストロングボウを飲みながら『エコー』のクロスワード・パズルを解いてい
る姿が、今も僕の頭に残っています。
でも4~5年前くらいから見かけなくなってしまって、スペインに引っ越したの
かなと思ったりしているのですが……元気で平和に暮らしていてくれるといいナ。

● ● ●

ビートルウィークまであと3週間となりました。今いろいろと準備に追われてい
ます。
このNLW誌面にも何かそれらしい原稿を書きたいと思っていたのですが…残念な
がら手も頭も回りません。
その代わりというかなんというか、きのうまったくの偶然で僕のPCの中の奥の
裏の底の反対側あたりからひょっこりぽろりんと出てきた、2001年のビートル・
ウィークのレポート「利物浦日記2001」をここに再掲載します。

ええと、2001年、です。
14年前の8月、です。

ということは、9.11もイラク戦争もリーマンショックも東日本大震災も安保法
案も、みぃんな影も形もなかった頃です。マイケル・ジャクソンもまだ生きてい
ました。
今から考えればとても平和な時代だったようような気がしますけど、そのときは
そのときでいろいろと問題はあったのでしょう。きっと。もはやほとんど憶えて
いませんが…。
ただ、この14年前の自分の文章を読んであらためて感じたのですが、ビートル
ウィークのピースフルな雰囲気は、昔も今もまったく同じです。変わっていませ
ん。どこをどう切り取っても、ピース、ピース、ピース、なのです。世の中の嫌
なことをぜ~んぶ忘れてしまえるくらい、幸せな1週間であると、個人的には
思っています。だからまあ、こんなに長く…といってもえーと、仕事としては
16年かな、どっぷりとコミットしているのでしょうね。ピース!

発掘された「利物浦日記2001」は、まだまだ続きます。今後のNLWでおわりまで
掲載しようと思っています。最初にNLWに載せたときは、実はところどころを
カットしたショート・ヴァージョンでした。ウェブサイトにはフルヴァージョン
を掲載していたのですが、2002年のリニューアル以降は非公開となっていたので
す。つまり正確に言えば、「利物浦日記2001」のノーカット・ヴァージョンは、
NLWでは初登場だし、ほかで読める場所もありません。
……といっても、正直言って珠玉の文章ではまったくないですし、ただだらだら
長いだけなんじゃあという気もしないではないです。それでも、「ビートル・
ウィークの素晴らしさを伝えたい」という気持ちは感じられるレポートにはなっ
ているんじゃないかな、とは思います。あるいは平和な時代の平和な記録として
読んでいただけるかもしれません。そうなればうれしいです。ピース!

あ、当時の写真も今からいくつかスキャンして(デジカメ画像じゃないので…)、
「フォト・アルバム」ページに掲載しますね。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo619.html 

                         ― Kaz(04/08/2015)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▼「利物浦日記2001」(1)
――――――――――――――――――――――――――――――――― NLW □

「利物浦日記2001~インターナショナル・ビートル・ウィーク2001/Kazのリ
ヴァプール滞在記」(再録)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo619.html ≫

【8月23日(木)】
昼前、リヴァプール・ライム・ストリート駅着。
飛行機が南回りの乗り継ぎ&経由便だったので、おおよそ30時間近くもかかっ
てしまった。予算がないのってツライなあ。
タクシーに乗り、フェスティバル期間中の滞在先「カセドラル・パーク」に向か
う。
空はどんより曇っている。リヴァプールらしい天気だ。そして、少し寒い。
宿は、その名の通りリヴァプール大聖堂の敷地内にあった。通常は大学の学生寮
だが、夏のホリディ期間中のみ一般客を泊めている。
環境は悪くないけれど、市の中心部へは歩いて10分くらいかかる。さすがに
ちょっと不便。まあ仕方ないか。
部屋の用意が出来ていなかったので、荷物を預けて街へ出た。
「ビートル・ウィーク2001」フェスティバルは今日から始まる。早速仕事だ。

まず、手配していたイヴェント・チケットとホテルのヴァウチャーを受け取るた
めに、主催者(キャヴァーン・シティ・ツアーズ)デスクへ出向く。
ちょうど担当のレイさんが居た。

僕:「Hi レイさん」
レイ:「…カズ! よく来たな! 君のクライアントの分はちゃんと用意してあ
 るよ。えーと…(ガサゴソとファイルを引っ張り出す)」
僕:「どうもありがとう、レイさん(ほんとにちゃんと用意してあるのかな?)」
レイ:「…ほい、パッケージのチケットとホテルのヴァウチャー。スカウスハウ
 スの分だ。全部あるだろ?」
僕:「どれどれ、えーと…うんうん、みんなあるね…ん? 僕の分がないよ」
レイ:「あれ? 君のが? …ほんとだな。はは、ごめんごめん今から作るわ。
 えーと、今日の分から最終日まで全部だったよな?」
(その場でヴァウチャーを作成し、イヴェントごとの束の中から、チケットを1
枚1枚取り出して並べていくレイさん。僕にいちいち確認させる。後ろには何人
もの列)
レイ:「…これでいいかな?」
僕:「OK、どうもありがとう。それからパッケージとは別に、チケットだけ頼ん
 でいた分も受け取れますか?」
レイ:「もちろん。でもちょっと待ってくれよ。今から用意するからね。で、ど
 れとどれが必要なんだっけ?」
僕:「ははは、やっぱり。たぶんそうだろうと思って、ちゃんとリストを持って
 来たんですよ。はいこれ」
レイ:「よっしゃよっしゃ…(また1枚1枚確認しながらチケットを取り出す)。
 …あーカズ、この『マジカル・ミステリー・ツアー』だけどな、レギュラーの
 9時半出発の分はもう売り切れてしまったよ。その後の便になるけどいいか
 い?」
僕:「ん? それって何時出発ですか?」
レイ:「12時すぎかな」
僕:「うわーそりゃマズイ。このお客さんには都合があるんですよ。うーん…」
レイ:「そうか、うーん…OK、じゃあこうしよう。実はどっちの便にするか決め
 てない客が1組居る。そのために我々は両方をキープしていて…ほら、これだ
 (といって取り出して見せる)。彼等は今晩着くはずだから、遅い便を選んで
 もらうように言ってみるよ。で、早い便の空きがでたら、君に回そう。それで
 いいかな?」
僕:「仕方ないですね。OK、それに期待しましょう。明日また来ます」
レイ:「すまんな。じゃあ明日」

次はマシュー・ストリートの「ビートルズ・ショップ」へ。
マネージャーのスティーヴンと再会の挨拶をして、毎年恒例となっているお土産、
日本酒&スルメを渡す。大喜びのスティーヴン。
ひとしきり話した後でショップを出ると、そこにピート・ショットンが立ってい
た。そう、クォリーメンのメンバーだった人で(洗濯板担当)、ジョン・レノン
の小さい頃からの親友だ。

僕:「こんにちは、ピートさん。お久しぶりです(…といっても憶えてないだろ
 うな)。また会えて嬉しいです」
ピート:「や、やあ。こんにちは(いきなりの挨拶にちょっと意表をつかれた様
 子)。フェスティバルを観に来たんだね?」
僕:「はい、そうです。日本から」
ピート:「そうか。いい天気で良かったな」
僕:「(空を見て)いい天気?えらく曇ってますよ」
ピート:「ははは、ここじゃあな、雨が降ってなかったら『いい天気』ってこと
 なんだよ」
僕:「ははは。なるほど」
以前はかなり太っていたピートだが、すっかりスマートに変身していた。
病気でもしたのかな? 理由を聞くのはやめておいた。
僕:「じゃあまた。どうもありがとう、ピートさん」
ピート:「オーライ、またな」

「ビートルズ・ショップ」階上の「マシュー・ストリート・ギャラリー」では、
アストリット・キルヒヘアの作品展が開催中だ。
お客さんは誰も居なかったけれど、スタッフのアン=マリーは忙しそうだった。
お互いに再会を喜んだ後、アストリットのスケジュールを訊いてみた。

アン=マリー:「ちょうどリヴァプールに着いてるころね。メリッサが迎えに行っ
 てるの」
僕:「そうかあ。日曜日のコンヴェンションでサイン会をするんだよね。この
 ギャラリーでもやるの?」
アン=マリー:「もちろん。土曜日にここでサインしてくれることになってるわ。
 クラウス(・フォアマン)がサインするのはコンヴェンションだけだと思うけ
 ど、彼の作品展はアデルフィで明日からやってるはずよ」
僕:「本当!? あさってにアストリットがここに来るんだね。何時から?」
アン=マリー:「午前と午後の各1回づつなの。午前は11時ぐらいからかな」
僕:「OK、どうもありがとう。(飾ってあるエキシビションのポスターを指さして)
 これを買って、サインしてもらうわけだよね?」
アン=マリー:「そうよ、いいポスターでしょ?」
僕:「グレイトだね。素晴らしいジョンだ。他の物にはだめかな?」
アン=マリー:「そうねえ、このギャラリーで買ってくれたものならいいと思うわ」
僕:「(アストリットが撮ったジョンの写真が表紙を飾った雑誌“Get Rhythm”を
 パラパラめくりながら)この雑誌売り物だろ? これなんてどうかな?」
アン=マリー:「それはいいアイデアね。OKよ。念のために一筆書いておいたげ
 ましょう」
僕:「どうもありがとう、アン=マリー」

それから馴染みのレコード・ショップに寄って挨拶した後、いったん「カセドラ
ル・パーク」に戻ってチェック・イン。
54番のドアの3号室。部屋の窓からはリヴァプールの街が見え、廊下の窓からは
どーんとカセドラルが見える。オーケー、悪くないぞ。
荷物を解いて、すぐに部屋を出る。
さて次の仕事は、と…そうだ、その前にパブに入ろう。ビターを呑みたいし、お
腹も空いた。
偶然だけど、「イー・クラック」が宿からいちばん近いパブだった。ジョンが学
生時代に通ったパブだ。ケインズ(リヴァプールのローカル・ビター)も置いて
ある。言うことなし。
マネージャーのポールに挨拶をして、ケインズを1パイントとフィッシュ&チッ
プスをオーダーした。ここの料理は安くて結構美味しい。あわせて£4.15。
でもよく考えると、ゆっくり味わって食べる暇はなかった。前日にリヴァプール
入りしているNくん&Eちゃんに3時にチケットを渡す約束があったからだ。あ
と20分。
フィッシュ&チップスをタッパーウェアに詰めてもらって、「マリオット・ホテル」
へ急ぐ。
しかしロビーに彼らの姿はなく、フロントから電話しても返事なし。やれやれ。
まあでも、ちゃんとチェック・インしていることはわかったので少し安心。また
後で来てみるか。

賑やかなチャーチ・ストリートのベンチでフィッシュ&チップスを食べて、郵便
局で切手を買い、アメックスでTCを両替し、新聞のスタンドで地元紙「リヴァ
プール・エコー」と「デイリー・ポスト」を買う。
そしてまたマシュー・ストリートに行って、「ビートルズ・ショップ」で通販用
の商品をいくつか買い、「グレープス」で新聞をパラパラとめくりながらギネス
を呑んだ。

5時に「マリオット」に行ってみると、Nくん&Eちゃんは今度は部屋に居た。
「すみませ~ん、待ち合わせの時間、間違えてましたあ~」とのこと。やれやれ。
2人を連れて「グレープス」へ。ビートルズ・ガイドのエディがいた。元気そう
だ。6月のLIPAの卒業式でポールと話せたんだ、と嬉しそうに話してくれた。
「びっくりしたよ。そこには20人くらい居たっていうのに、ポールは俺んとこ
にまっすぐ歩いてきたんだよ! まっすぐにね!」

今回のリヴァプールがはじめての海外旅行だというNくん&Eちゃんに、少し街
を案内する。
ゆっくりピア・ヘッドまで歩いて行って、マージー河を眺めた。
僕は夕刻のピア・ヘッドが大好きだ。今日はちょっと曇っているけれど、それで
も、何から何までがとても美しい。

8時半ごろ、3人で「ビートル・ウィーク2001」のオープニング・イヴェント
会場のタウン・ホールへ。玄関にレイさんが居た。

僕:「こんにちは、レイさん!」
レイ:「来たな、カズ! もうすぐ上で始まるよ。それから君のためにシャンペン
 を用意しておいたよ」
僕:「ははは、そりゃどうもありがとう」
タウンホールビートルズが1964年に凱旋した時に招待された由緒あるタウン・
ホール。外観も内装も、畏れ多いくらいに立派な造りだ。
上の階に上がってみると、すでにたくさんのファンが集まっていて、みんな楽し
そうにワイワイやっている。シャンペン・グラスを片手に。
…そうなのだ、てっきり冗談だと思ったのだが、シャンパンはちゃんと用意され
ていたのだった。しかも無料で。
早速僕も1杯もらって、37年前にビートルズが大群集に手を振ったバルコニーへ。
そこでダイアンに会った。毎年必ず来るノッティンガムの女性だ。

僕:「Hi ダイアン! 元気? 去年の写真持って来たからね、明日かあさってに
 でも渡すよ」
ダイアン:「あたしがクラウスと写ってる写真? ちゃんと持ってきてくれたの
 ねっ! ありがとう!!」
僕:「ところで例のレコード・フェアは今年もあるのかな?」
ダイアン:「もちろん。いつも通りよ。明日とあさって」
僕:「何時からだっけ?」
ダイアン:「10時か10時半か、そのへんよ」
僕:「そうだよね。ありがとう。じゃ会場で会おう」

9時ごろ(たぶん)、奥の部屋でオープニング・セレモニーが始まった。
挨拶に登場したのは、なんとリヴァプール市長のジェラルド・スコットさんだっ
た。
スピーチの内容は、ほとんどお笑いだった。
自分とビートルズとの関係をひとつひとつ具体的に挙げるのだが、自慢げに語る
わりにはどれもこれも苦し紛れのもので(例えば親戚がコンサートに行ったとか、
奥さんが生まれたのはジョンと同じ病院だったとか)、逆に市長自身とビートル
ズにはまるで接点がないことを暴露してしまうという展開だった。もちろん、大
ウケだった。
やんやの喝采を浴びて市長がステージから降りると、2001年最初のギグが始まっ
た。
バンドは、たしか「クラブ・ビッグ・ビートルズ」だったと思う。ここのところ
毎年来ているブラジルのバンドだ。3曲ほど聴いた。

ご飯を食べようと3人で部屋を出て玄関に向おうとしたら、そこにアラン・ウィ
リアムズさん(ビートルズの最初のマネージャー)とベリル・アダムズさん(ブ
ライアン・エプスタインの秘書)が立っていた。アランは6月に心臓のバイパス
手術を受けたところだ。まさか今年のフェスティバルで見ることはなかろうと
思っていた。

僕:「アランさん! だ、だいじょうぶなんですか!?」
アラン:「はっはっは。わしゃもうすっかり元気じゃよ」
僕:「し、信じられませんよ、いったいどうなってるんですか、ベリルさん?」
ベリル:「みーんなそう言うのよ。ふふふ」

不死身のアラン・ウィリアムズ!
しかし酒のせいで死にかけたというのに、彼のアルコール中毒はやはり治らな
かったようだ。いつものように赤い顔をしている。話している間にも、カウン
ターで赤ワインを注文していた。やれやれ。
でも考えてみると、アランがワインを飲むのはこれまで見たことがない。少しは
体に気を遣うようになったのかもしれないな、と思う。
氷を3つほど手づかみでグラスに入れて、薄めて飲んでいたし。

アラン&ベリルとの話が終わってふと気がつくと、そこにスコット市長が居た。
何やら上機嫌で、そこら辺の人たちと記念写真を撮っている。
もちろん、我々もお願いすることにした。さっきのスピーチで分かっていたこと
だけど、やたらとひょうきんなおっちゃんだった。
ついでに名刺とサインももらってしまった。

Nくん&Eちゃんは、来ていきなりアランやリヴァプール市長と対面できたこと
にびっくりしているようだった。
そりゃそうだろうなあ。それに、僕だって市長に会えるなんて思ってもみなかっ
たもんね。
僕にしきりに感謝するので、
「ご褒美みたいなもんだよ。初日から最終日まで、延泊までしてフェスティバル
全部に参加するのは君たちくらいだからね。そういうのってやっぱり報われるも
んなんだよ」
と言ってあげた。本当にそう思う。

彼らのご飯に付き合うことにして、「何が食べたい?」と訊くと、「ピザかな~」
というEちゃんの答え。
後でタウン・ホールのイヴェントへ戻る彼らのために、近くのヴィクトリア・ス
トリートの「ピザ・エキスプレス」に案内した。
2人とも美味しいピザに満足したようだった。

彼らと別れた後、宿に帰る前に「キャヴァーン・パブ」に寄ることにした。
今日は木曜日。ビリー・メイのギグがある日だ。
「ビリーさんまだ元気かな? ちょっと挨拶しておこうっと」
ビリー・メイは、ビートルズと同時代に活躍したマージービートのバンド「パス
ファインダーズ」(デッカやパーロフォンから何枚かレコードをリリースした)
のメンバーだった人で、今は独特の「ひとり多重演奏」で、このキャヴァーン・
パブを中心に活動している。

入ってみると、結構ぎっしりいっぱいだった。なかなかの熱気だ。ひょっとする
とタウン・ホールよりも盛り上がっているかも知れない。
なんだかすっかりフェスティバルのムードだ。おいおい、まだ木曜日だぞ。
演奏しているのは違うバンドだった。ビリーさんはその横で楽しそうに聴いてい
る。

僕:「Hi! ビリーさん!!(演奏の音が大きいので、絶叫している)」
ビリー:「やあ! カズ!! 久しぶり!! ミキ(うちの奥さん)は?」
僕:「今年も家で留守番です! ビリーさんによろしくって言ってましたよ!! 
 ところで出番はもう終わったんですか?」
ビリー:「いやいや、この後なんだ! もうすぐ!」

もうすぐと言われても、もう11時近い。今日着いたばかりだし、明日からは
もっと忙しくなるしなあ…せっかくだけど、演奏を聴くのは諦めるて帰ることに
しよう。
セッティング中のビリーさんに聞こえないようにさよならを言って、マシュー・
ストリートに出た。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo619.html ≫


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▽スカウスハウス・ニュース
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** リヴァプール現地ガイドツアー ******

ウェブサイトの「リヴァプール・ビートルズ・ツアー」ページをプチ・リニュー
アルしました。15年目となった「リヴァプール・ビートルズ・ツアー」、名所観
光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ&名所観光」、
「伝説のカスバクラブ・ツアー」、そして2つの「現地英語ツアー(Magical
Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の、それぞれに案内ページ
をつくりました。リヴァプール旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html


*** スカウスハウス通販 ******

ビートルズをはじめとする「英国盤レコード」の通販です。
リヴァプールで仕入れたレコードたちです。オーダーをいただけるとうれしいで
す!
 http://scousehouse.net/shop/records2014.html


*** フットボール・チケット&ツアー ******

スカウスハウスでは、2015-2016シーズンも、リヴァプールFCおよびエヴァト
ンFCのホームゲーム観戦チケットの手配を承ります。
また、スタジアムツアーや練習場見学をアレンジする「フットボール・ツアー」
もご用意。マニアックなフットボール・ファンはもちろん、初心者の方も大歓迎
です。ぜひご利用ください!
 http://scousehouse.net/football/stadium2015-16.html 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

ウェブサイトに新ページ「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」を
アップしました。
「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演奏する」というビートルズ・コピー
バンドの夢を、スカウス・ハウスがサポートします!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ロンドンには「ポールゆかりのレストランでランチ」という新企
画も登場。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧くだ
さい。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▼今週のフォト
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** 今週のフォト・アルバム ******

「今週のフォト・アルバム」では、『利物浦日記2001』本文に対応した写真を掲
載しています。14年前の写真をスキャンしました。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo619.html 


■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第619号 ■□

◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
◇編集 山本 和雄
◆Eメール info@scousehouse.net
◇ウェブサイト http://scousehouse.net/
◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net
◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html

ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。配信
の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。

◆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000065878.htm
◇めろんぱん
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000917
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2015 Scouse House